ほぼ完全再現 今度は猫が家出した
「忘れ物は有りませんね?では帰りますよ」
「2週間なんてあっという間ですねー、ここに住みたい、なんて事は無いですけども、遊び足りない感じはしますねー」
「恵里香さんって凄かったんですねぇ…GTどころかサメも特に苦労する事無く釣り上げてるし…」
「ははは、見習いたまえ後輩君、メイド長は伊達ではないのだよ」
「お嬢様と同じ良い所出身のお嬢とは思えませんでした」
「私は何でもできるのだよ、海や山や川のレジャーを始め、書類整理から会社の運営まで!私に不可能はないのだ!」
「何でこう…出来るお嬢様なのに残念な雰囲気が漂っているんでしょうね…」
「馬鹿やってないで、ほら、帰りますよ?」
アスカ他、後輩ちゃん達にこれが実力の差だと言わんばかりに164センチのGTを始め、274センチのイタチザメ、マハタ等色々釣り上げた後、マリンスポーツで大はしゃぎ、ビーチバレーでもハンデ戦の1対2で圧勝と言う意味の分からない状態に、お嬢と言うよりは野生児その物だった気もする…
「それで、あの人に勝つことはできるんですか?」
「出来ないから不可能って言うんですよ…」
「不可能はないとは一体何だったのか…」
家に帰って来てやることはまず1つ、買った物は特に無いが荷物整理、お土産もこれと言った物はないので無し、帰りにどこかによると言ったことも無かったので衣類整理に釣具のお手入れ、最後に記念撮影した写真を飾れば旅行の後片付けはお終い。
小さいハタは刺身等で食べる事ができたが、大きいのは食べる事かなわず…また今度海に行って捕って来よう、でも小さいのを沢山食べたので当分の間はいいか、お昼もそばやらラフテーやら頻繁に食べたし、今日の夕食は何を作ろうかね、夕食の時は飽きが来ない様にいろいろ出てきてたし、これにしようってのが思いつかないんだよねぇ…悩んだ時は…白米に豆腐のお味噌汁、塩鮭に漬物と海苔、これだな。
豪華な物が続いたり、好きな物ばかりを食べた後はこういうシンプルな物が一番、トーストに目玉焼き、ベーコンに葉物野菜等でもいいけど今一夕食と言う感じはないのでこれは明日の朝食にでも、ホテルでいいだけ食べた気もするけどそれはそれ、これはこれ、屋敷に戻って塩鮭を取ってくるか。
「南の島のお土産は?」
「何もないよ?それにここに置物を置いても仕方ないでしょ…食べ物に関しても作ればいいだけだし…」
「まあ、いいですけどね、不在の間にあちらに作ったゲームセンター?直通の扉をゲーム部屋に設置しておきましたので、何人かのメイドが車庫の方で遊んでいるはずです」
「あー、戻ったらそろそろ夕食だって伝えておくよ」
ゲーム部屋と直通で繋げたのか、まあ毎度毎度借りている部屋を経由していくのもめんどいだろうし、車庫に繋がっているなら何時でもすぐ車に乗ってお出かけも出来るから悪くはないか、ただ扉を開けた途端爆音が響くのに目を瞑れば…目と言うよりは耳だけども…防音処理、しないとなぁ…
「残った塩鮭の身を解して、海苔を砕いて、これまた残ったご飯の上に乗せる、熱々のほうじ茶を上からかけて、漬物を齧ってお茶漬けをサラサラーっと…」
「何所のおじさんおばさんですか…以前の話は全部作り話で本当はお嬢ではないのでは?」
「失敬な、ちょっとばかし田舎生活が長かっただけですよ、塩辛い魚を解して味付け海苔を砕いて、それをお茶漬けにして食べると美味しいって思うだけで」
「やはり若作りしているだけで中身は40とか50のおばさんでは…?」
「給料明細の数字全部0にしてあげましょうか?」
「給料を決めるのは恵里香ではなく私です、後それは以前に私が言いましたよね?」
「おばさん呼ばわりするアスカにちょっとした脅しをかけたかった、反省する気は一切なし、後でゲーセンに集合な?」
この賑やかな食卓、帰って来たって感じがするねぇ、ほぐし身をちょっとご飯に乗せ、味付けのりで巻いて…これが美味しいんだよねぇ…漬物もちょっと甘い目にしてあるので塩辛い物とよく合う、そして味噌汁をずずっ!と…締めに余ったお味噌汁をご飯にかけてねこまんまー、これもこれで美味い。
「こっちもこっちでおっさんおばさん臭い人が…」
「ま…まあその方は遥かに年上と言う事は確かですし…残さず美味しく食べているだけですから…」
「アスカ…ゲーセンに集合は取り消し、気をしっかり持って、生きて帰れるように願うんだよ?」
「え?え?何々?今から何が起こるの?私何か言っちゃいけないような事言った!?」
部屋の片隅で食事をとりながらこちらを笑顔で見つめるルシフ、食後にアスカが何処かに連れて行かれるだろうけどきっと大丈夫だろう、明日の朝には帰ってきているはずだし、特に怪我したりすることも無いはず、何所で何があったかはルシフと連れ去られるであろうアスカにしかわからない事だが…
「惜しいやつを亡くしたな…失言をするからこんな事に…」
「アスカは大丈夫でしょうか…抵抗するまもなく連れ去られていきましたが…」
「さて、ゲーセンに行こうっと、誰か昔の対戦格闘ゲームやろうぜー、必殺技がちゃんと必殺技してるやつ」
「あれ今のゲームと違って入力判定がシビアで難しいんですよね…」
「今の格闘ゲームは通常とか超とか分ける前に、当たって死なないならただの技って書くべきだと思うんだよね、バランス云々以前に」
「皆さん切り替えが早いですね、アイナとか狼狽えてどうしたらいいか分からなくなっていますよ…」
「大丈夫大丈夫、そのうち慣れるから、それにアリスとかアヤカも特に慌てすらいないじゃん」
「あー…まあ、一度向こうに行きましたし…悪い方ではないのは分かっていますので、特に何事も無く帰ってくるかと」
「お風呂も前に遊べるだけ遊ぶぞー、クレーンゲームも景品が大量入荷されてるみたいだし、欲しい物が有れば貯金箱のようにつぎ込むといいよ!
まあ後で返金されるけど、取るのに何円かかったとか生々しい記録が取れるね」
「お金がかからず手に入るに越した事は無いですけど、それだと取ったという実感は湧きませんしねぇ、今日の設定は?」
「激渋、アームはガバガバ、角度も刺さり難い角度、アームで押して倒したりするのも無理、挟む力も常時最弱で変化する事は無し、重心も調整されてるからもし持ち上がってもすぐにアームから外れる、何度か持ち上げたとしてもほぼほぼ初期位置に戻る、普通にやると万単位つぎ込むことになるね」
「気持ちよく取らせてくれない辺りがほぼ完全再現しているとも言えますよね…お金は戻ってくるので良いのですが…後取ったらちゃんと貰えますし」
「今日の軍資金は1人1万円ね、では各自解散、好きなゲームで遊べー」
しかし、ゲームセンターなのに各種自動販売機や飲食コーナーがあるのはどうなんだろうか…ペットボトルや缶ジュースを始め、ラーメンにそばにうどん、ホットサンドにフライドポテトにポップコーン、果てはカップ麺の自動販売機や瓶に入ったジュースの自動販売機まで、内部を弄ってあるのでラーメン等生ものの賞味期限等が過ぎる事は無いと言っているが…なくなったら自分で追加しないと駄目なんだよなぁ…裏に調理場がこっそり増設されてるし…自分で作った物を自動販売機で買うという不思議な気分も味わえる。
他にもクレーンゲームの景品を保管しておくための場所、筐体に入れる基板を保管しておくための場所と、車庫より広くなっている気がするが大丈夫だろうか…今はくっ付いてるけどそのうち分離して独立しそう…
「取れ、取れ、取れ…取れなーい!アームよわすぎー!」
「必殺技でなーい!もっと入力受付を緩和してぇぇぇ!当たったら10割もきつい!」
「この必殺技を見切らぬ限りおぬしに勝利はない!ははははは」
当初の予定より規模は大きくなったがまあ…皆楽しんでいるからいいか、さぁて、自動販売機に入れるラーメンとか作らないとな、たださらっと牛飯とか山菜おこわとか、天丼の自販機まで追加されてるのはなぁに?一応お弁当などを入れるパックで出すタイプのようだけど…メニューを増やされるとちょっとつらい…
自動販売機の商品の追加が全て終わった所でちょこちょこっと買ってきた基板のゲームをプレイ、タイトルしか書いていなかったのでどんな物かは分かっていなかったが、よくある横スクロールアクション、ただこちらの起き上がり時に無敵フレーム等が設定されておらず、一度ダウンを取られるとそのまま死亡確定、メガクラッシュと呼ばれる物も存在していない、そんなゲームでも一応ノーコンティニューでクリアしている人が居るというから驚きだよねぇ、私は…まだ無理だな、7回はコンティニューしないとクリアできない…
ゲームをクリアした後は自動販売機で瓶のオレンジジュースを一本買い、栓を空けてグイッと飲み一息、自動販売機に追加している間に皆はもう引き上げていたみたいだし、後はもうお風呂に入って寝るくらい、でも軍資金はまだ9000円少々…クレーンゲームにつぎ込もうかな、景品は何かのゲームやアニメのキャラの人形ばかりだが…そういう物なのかね?適当にお金を投入し、挑戦して散って行ったメイドやアイナ達の無念を晴らすように景品を取り、一角に作ってあるショーケースに納める。
んーむ、コレクションも大分増えてきたなぁ、箱のまま飾ってあるので味気ない気もするが…一杯になったら開封して詰めるか、適当に並べてあるのも整理して分ければそれなりに見える…かな?
適当にクレーンゲームにつぎ込み、残り200円になった所で自動販売機にセットしたばかりのきつねうどん、お茶を買ってちょっとしたお夜食、何時まで経っても出来立てで麺も伸びない、便利ではあるんだけどねぇ…補充がめんどいのだけはどうにもならんね…
「4ヶ月ぶりのお目覚めですかご主人様?」
「うん?あー、こっちは倍で進むんだっけ…1ヶ月家出して…半月ほど準備や色々して、そこから半月ほど良好で大体2ヶ月だから…うん、4ヶ月位だな」
「お帰りを心よりお待ちしておりました、早速ではありますがこちらの書類にサインをして頂ければと思います」
「名前ないんだけど…なんて書けばいいの…?」
「お名前が無ければ拇印でも血判でも、チェックマークでも問題は有りません」
「あー、朱肉もペンもないし血判でいいか…」
親指を少し噛み切り、血をにじませ書類にポンと押して血判は終わり、そういや書類に目を通してないけど何の書類だ…?
「はい、確かに受け取りました、ではこちらを持って詰所の方までお願いします、渡した後はこちらで全て終わらせますので、明日まで、1日ほどは斡旋所の方の宿でお安く下さいませ、それと指をお出し下さい」
「うん?あー…はい…血を舐めるのは分かるけど思いっきり吸うのは何でなの…」
「…ふぅ、何となくですかね?では血も止まりましたので、行ってらっしゃいませご主人様」
「いってきます?」
んー…言われた通りに詰所まで来たのだが…あれは誰だろうか…見た目が同じだけでまた中身が別人になっているのではなかろうか…?それとも被っていた猫が家出したのだろうか?まあ触れずにそっとしておいたら戻るかもしれないな。
詰所まで行き、血判を押した書類を渡してやるべきことは終了、衛兵さんはなにか、あーなるほどね、って顔をしていたが、何の書類かよく分からないんだよねぇ…封筒に入ってたし、押した時もサインを入れる所しか見えなかったし…何か危ない書類でなければいいのだが…まあいいや、斡旋所で宿を1日取りましょ。
「おっとちょっとまった、これを持って行きな、受付にこれを渡せば1日無料で泊めてくれる、他にもちょっとお高い料理が無料で食べれるぞ」
「おー…得したようなそうでないような良く分からない…」
「まあタダで貰える物は貰っときな、明日になれば家の方にも帰れるようになっているさ、それと一応鍵を預かって置くぞ、ちょっと作り直さないといけないからな」
なんだろ、改築か何かかな?でもそれなら詰所だけで大丈夫な気もするし、血判も必要な気はしないんだがなぁ…明日になるまでは分からんね…それまでは適当に時間を潰しましょ。
「あら?お久しぶりですね、本日は何の御用でしょうか?依頼の紹介ですか?通行などの許可証の発行ですか?それともデートのお誘いですか?」
「いや、どれでもないけど…これを渡しに」
「それではお預かりいたします、えーと…はい、わかりました、では誰をお選びになりますか?」
「はい?どういう事で?何を選べば良いの?」
「えと…説明するとですね、自宅の増改築に伴い、自宅の一部の出張の斡旋所、要は斡旋所の職員の誰を家に招き入れるかですね、メリットとしましてはこちらに来ること無く依頼を受ける事が可能、各種手続きや許可証の発行、申請等が全て自宅で可能になる。
また、今回は衛兵の派遣も有りますので、土地の売買、施設の売買も自宅で可能になります」
「はぁー…なるほど、家から出なくてもこれから依頼を受けたり、増改築等ができるようになると…」
「はい、その通りです、この場にいない受付や、この街に居ない衛兵の派遣も可能ですので、ご希望を添えて下さればその通りの人材が送られるようになっています。
例えば…身長が50センチとしていすれば、該当する種族、妖精族等がまず選ばれます、そこから容姿などを選んでいただき、最終決定した時に一番合致している方を派遣する事になっています、これは衛兵の方も同じです」
「ふぅむぅ…見た目とか身長等による能力の変化はあるの?」
「特にありませんね、好みの容姿で選んでいただいて結構です、ご希望はありますか?」
「んー、どうしようね…カタログみたいなのはないの?使用人を選んだ時のような」
「ございます、こちらのカタログからお選びください、また、この方の髪でこの方と同じ顔、体つきはこの方と指定してくださればそれに合致する方を派遣いたします、ですがあまり極端な…
例えば牛人族であるこの方の大きさで妖精族も同じ大きさ、と言うのは紹介できかねますのでご注意ください」
んー、どうしようかね…能力は特に変わらず、妖精族も可能となると…龍人族も可能だったりするのか…?
「選べる種族って何がいるの?」
「そうですね、あなたの場合ですと…龍人、精霊、森人、妖精、狐人、狼人…ほぼ全てですね、どちらからお選びしますか?」
「もうちょっと考えさせて…」
ゲームの中だしなぁ…余り似た容姿にすると後で罪悪感が沸きそうな気がするし…能力も変わらないとなると…うーん…
「あ、じゃあ君で、何だかんだでなじみがあるし、顔見知りだし」
「分かりました、では衛兵はどうなさいますか?」
「衛兵はいつもお世話になってるおっちゃんで」
「はい、では後ほどあちらの方に連絡を入れておきます、それではこちらが契約書になります。
改装が終わりしたいお伺いいたしますので、その時はよろしくお願いします。
それとこちらが本日お泊りになる部屋の鍵で御座います、お食事も併設されている酒場の2階の指定席へお願いいたします」
「はいはい、じゃあちょっと早いけどこれからよろしくね」
んー、ただの増設やら派遣する人をどうするかだけの書類か、危ない書類でなくて良かった…さて、特にやる事もないし、釣りにー…って今道具は倉庫だし、家に戻れないから取りに行けないね…今日の所は適当に街をお散歩して時間を潰すか…
「お帰りなさいませご主人様、これからもよろしくお願いいたしますね?」
「あ、はい、これからもよろしくね?」
翌日家に戻ると家が1日で豪邸に…それから門の近くに出張の詰所、家の中には小さな酒場、その隣には斡旋所、他にも色々増設されている…これいくらかかったの?それと家出して行った猫はもう帰ってきそうにないねこれ…
お土産はない
シーサーとか置いても何の効果も無い
後駄犬辺りが拗ねて破壊する
塩鮭のほぐし身でお茶漬け
辛口の塩鮭を解し、海苔を散らして熱いほうじ茶で簡単鮭茶漬け
鯛茶漬けとかなら職人っぽくなるのにこっちだとおじさんおばさん臭くなる、何故だ
ゲームセンター
車庫の内部を拡張して作られた遊技場、お金を入れるのは気分、100円玉は後で両替機の中に戻され、両替機の中のお札は手元に戻ってくる
当初の予定より台数が増え、自動販売機も各種追加されたので常に出来立ての料理が食べれる、料理を作った人からするとセルフ自動販売機
クレーンゲーム
2プレイ100円、この日は激渋で普通にやると2万つぎ込んでも絶対取れない
景品は小売価格800円以下と言う決まりはあるが、超える物が有っても個人用なので特に問題はない
4ヶ月ぶりのログイン
毎日ログインしているファイブAも居れば、たまにしかログインしない雇い主もいる
持家でもない限り大体家を追い出されているくらいの放置期間
被っていた猫
何方かと言えばこっちが本来の性格
被っていたのは猫と言うより虎、4ヶ月放置プレイを受けて寂しくなって虎が何処かへ行った
派遣員
多額のペッタンコが必要になるが、自宅に各施設を設置する事ができる
流石に身長50センチに80センチの胸囲、見たいなことは出来ないが大体は通る
容姿などを指定した場合自分の美的感覚に自動調整して一番好みの見た目になった状態で派遣されてくる




