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ぶらり釣り旅行 間違いなく不審者

「お、お、おおー?結構持って行く力が強いねコイツ」

「おう、しっかり踏ん張って体と竿を持っていかれない様にしろよ」

 フラフラと旅をしていたら南の方に辿り着いたので、以前にアリスとかアヤカが言っていたGTとやらを釣りに来てみたのだが、掛ったと思えば一気に糸を持って行かれ、その後も走り続けて中々巻き取れない、無理やり巻いてもいいけどそれだと針が外れるしなぁ…

 走り過ぎない様に時折スプールの回転を手で直接調整し、少しずつ弱らせ、抵抗が弱くなった所で巻き取り、走り出したらまた少し弱らせ…30分ほど格闘を続け、ようやく釣り上げて試合終了、中々いい勝負であった。

「おおー、結構でけぇな、大きさも…170…2か、良く釣れたなぁ、ナイスファイ」

「いぇー」

 船頭さんと同乗してた人に良くやったと褒められつつ、記念撮影の後にリリース、シガテラ毒などの可能性が有るので食べない方が良いとの事、釣ったら食べるは基本だが、毒の可能性があるのなら仕方がない、釣り上げたロウニンアジに別れを告げ、今度は同乗者が再開した所を眺める、疲れてはいないのでまだまだ大丈夫だが、大きなのが1匹釣れたので満足、許可を貰って狙いを変え、ジギングで食べれる魚狙い、同乗者の竿にかかれば直ぐに回収してサポートに回り、釣り上げた後は記念撮影をして再開、同乗者も同乗者で160ほどのロウニンアジを釣り上げていたので疲労で今は倒れているが…

 ジギングを続けていた所、スズキが釣れたので許可を貰いその場で刺身にして皆で食す、うむ、醤油とわさびは旅のお供に最適だな、豆板醤なども旅をしている間に漬けて置けばいい感じに漬物が出来上がるので悪く無し…

 小休止でスズキの刺身を食べて気力も回復、疲労も程々に回復した同乗者も釣りを再開、狙うは170オーバーと言っていたが、釣れるかどうかはその時の運次第よね。


「気を付けて帰れよー」

「またどこかで一緒になった時はよろしく」

「はい、それでは」

 時間が来たので港へ戻り、船を降りて船頭さんと同乗者に別れを告げ、民宿で一泊したらぶらり釣り旅行を再開、これ以上南には行けないみたいだし、また船に乗って移動だな。

 帰りも行きと同じ船に乗り込み、暫く海を眺め続けていると到着したので船を下り、次はどの道を通って行こうかなーと地図を開いて行先を決定、北側を通って来たのなら折り返しは南側、もしくは中央の2択よね、でもずっと海沿いを移動して来ていたし…やっぱり中央で山を突っ切っていくのも有りか…?

 よし、海沿いは一旦止め、山を突っ切って行こう、川魚を食べたい、山を通る道を進んでいけば養殖している所や釣りができる所、川魚を出してくれる旅館が有るかもしれない…


「予約はないんですけど、1泊2日っていけますかね?」

「少々お待ちください…はい、お部屋は空いておりますので大丈夫です、お食事はどうなさいますか?」

「朝と夕でお願いします」

「分かりました、ではこちらへどうぞ」

 仲居さんに菖蒲の間に通され、それほど数のない荷物を纏め、再び受付で情報収集、近くに何が有るか、釣りをしても大丈夫な所があるかを聞くのは大事。

「そうですね、ここから少し歩いた所に山で捕れた猪や、川で捕れたイワナやヤマメなどを出してくれるお店が有りますね、大江の亭という看板が出ていますので直ぐお分かりになると思います。

釣りをするのであれば階段を下りた先に釣り堀が有り、道具が無ければレンタルも有ります、入場料の中に5匹分までの料金は含まれていますので5匹までならそのままお持ち帰り、またはその場で料理してもらう事も可能です、6匹目からは1匹につき150円ほど追加されますのでご注意を」

「ありがと、釣って来たのってここで料理してもらう事も出来る?」

「はい、夕食の1時間前にお渡し頂ければ可能です、どういった料理になるかは板長の気分になりますが」

「はいはい、じゃあお昼は大江の亭で食べて、夕食前に釣り堀に行って来ようかな」

「はい、では行ってらっしゃいませ」

 よし、お昼は猪肉を食べよう、お魚もいいけど山と言えば鹿や猪肉も忘れてはいけない、どんな料理が有るのかなぁ…楽しみ。


「こちら猪肉の炭火焼セットになります、ごゆっくりどうぞ」

 タレは匂いを匂いで上書きするようにニンニクたっぷり、さらに追加で下しニンニクが追加の薬味として置いて有り、刻み葱に山椒、ゴマ…これは…期待できるね。

 猪肉を炭火でじっくり焼き、ニンニクたっぷりのタレに漬けて口の中に入れれば、ニンニクの強烈な匂いが突き抜け、後から猪肉の独特の匂いがやってくる、しかし臭いというわけではなく、ニンニクと合わさり気にならない程度に抑えられ、噛めば噛むほど味が出てくる…

 タレをほぼ使わず、独特な匂いが前面に出てこようとも、それはそれで野生の味を食べているという実感がわいてくる、駄目な人は駄目だが大丈夫な人は美味しく頂ける、この極端な感じもまた良し。

 余さず美味しく頂いた所でお会計、帰りに匂い消しを貰ったので明日、臭うという事は無いだろう、ちょっと食後のお散歩したら釣り堀に行って釣りをしましょ。

 んー、それにしても吹き抜ける風が気持ちいいねぇ、山道もあるし、頂上まで行ってみるか。


「ニジマスとヤマメ、それとイワナですね、たしかにお預かりしました。

御夕食の時に調理した物をお持ちしますので楽しみにして置いてくださいね」

 釣り堀で釣ってきた魚は仲居さんに渡したので菖蒲の間に戻り、畳の上に寝転がり、ググーっと伸びてごろごろ転がりリラックス、海もいいけどやっぱり山と川も良い物だね…

 畳の匂いを堪能し、体も心も休めた所でお風呂へ、天然ではないが露天風呂、頂上から見下ろすのとは違う景色を堪能し、お風呂から上がった所で夕食。

 切り身になってはいる物の、ヤマメとイワナ塩焼き食べ比べの他、山菜やこの近辺で作られているお酒を使った酒蒸しでの食べ比べなど、ニジマスは出てきていないが朝食に出すために仕込みをして置いているらしいのでお任せ。

 素材の味そのままの塩焼きも美味しければ、山菜と一緒に酒蒸しにし、木の芽などを添えて香りをわずかにつけてある物も美味しい、ご飯もご飯でイワナとヤマメの骨を炙り、その骨から取った出汁と一緒に茸と一緒に炊いた茸ご飯、結構贅沢…

 夕食を堪能した後は再び露天風呂に入り、暗くなり、明るい時とはまた違った景色を眺め、程々に温まった所でお風呂から上がり、早めに布団に入り就寝。

 明日は何所に行こうかな、また地図を開いて適当に行き先を決めるか…


 朝食に出てきたニジマスは丁寧に骨を取り除き、薄切りにして何かを包んでいる、包んでいるのは…甘納豆、生でも寄生虫等の心配がなくなるように処理してたから翌日に持ち越したのか…

 切り身にはわずかな塩味が付いており、包んでいる僅かな量の甘納豆が更にニジマスの旨味などを引き出している、これ作るのかなり手間が掛かるだろうに…

 他にもマスと山菜の押し寿司、そのままの美味しさを確かめるための刺身、じゅんさいと茸のお吸い物。

 朝食を残さず食べ、着替えを済ませ、受付で支払いを済ませて出発、何所に行くかは山を下りてから、だね。


 えーと、現在地がここで…昨日泊まった旅館がここ、もう少し歩いて行った所にバス停、ふむ、まずはバス停を目指そう、それからの行先はバスを降りてから、終点まで乗って行くのも有だな、よし、行こう。


 暫くバスに乗り、山を離れて海の見える所に出たのでバスを降り、バス停に書かれている地名を頼りに現在地を確かめ、進んでいく方角が有っているかどうかを確かめる、ここで南に進むとぐるっと回って北側に出るか、また南の島に戻る可能性が…かなりあるな。

 今日はここまで行こうと地図に書き込み、ぶらぶらと寄り道しつつ、シャッターが大半降りている商店街を歩いたり、海沿いにある加工場や競りが終わった市場を見物させて貰ったり、名物を聞いいたり、その名物は何所が美味しいかも聞き、来た道を戻ったりしつつも少しずつ今日の目的地へ。

 ただ、あっちへ行きこっちへ行き、ぶらぶらと歩きまわったので未だに宿泊する場所を決めていない、ホテルや旅館、民宿が無くともキャンプ場が有ればどうとでもなる…困った時は人に聞いてみる、だな、うん…

 結果、ホテルは周辺には無い、民宿も無し、旅館は昨日泊まった所がお勧めで近辺には無し、キャンプ場も無いとなると…海で夜通し夜釣りも良いかもしれないね、ちょっと戻れば堤防も有るし、時間的に夜釣りをする人も集まってきてるし、あの中に混じって夜釣りと洒落込もうかな、途中で寝ちゃったら…まあその時はその時か…

 ここでは何が釣れるか、何を狙いに来ているのか、それを聞くのもちょっと楽しみだね。


「そうだなぁ、ここだとタチにイカ、後危ないけどエイだな」

「エイかぁ…そう言えば最近食べてないなぁ…」

 洗うのに大量の塩が必要だったりするのでちょっと大変だが、もし釣れたら夕食にしようかな、焼いたり揚げたり…釣れたばかりならレバ刺しもいける…でも捕らぬ狸のなんとやら…かな?釣れるかどうかわからない物の調理法を考えても仕方がない、まずは何でもいいから釣ろう。

 何時でも何所でも海釣りの強い味方ジギング…ではなく、街灯の明かりに寄ってきている小魚等をサビキでいくらか確保、後は何時ものように泳がせでタチウオとイカ、あわよくばアカエイ狙い、どれかが釣れるといいねぇ…

 待っている間に周りに断りを入れ、多めに釣って置いた小アジの下処理、油を温めている間に下処理を終わらせた小アジに塩、粉末ニンニク、片栗粉と小麦粉を混ぜた簡易から揚げ粉を纏わせ、油で揚げて揚げたてをサクサクと頂く、釣りたて揚げたては美味しいねぇ…匂いと音のせいで何人かがこちらを見ているが…良いって言ってたじゃない…

 多めに確保しておいた小アジは5匹ほど残し、それ以外は全てから揚げに、すでに半分近く近くの釣り人に持って行かれたが、代わりに釣れたイカや食べた分として小アジの追加が来ているので損はしていない、から揚げ粉が減っただけ、イカも絞めて寄生虫の確認、居ないようなのでイカ刺し、ゲソは天ぷらにしてわさびと醤油で…で、私は何をしに来たんだっけ?

 持ち込まれるイカやらクロダイ、当たりであろうタチウオを渡され、その場で調理し振舞う、何ならと持ち帰ってすぐ火を通せばいい状態にしてお返し、アルミホイルで作った器にタチウオ、仕切りを作ってイカも入れ、塩と胡椒を振り、バターを乗せて刻みにんにくを入れ、ホイルで蓋をして渡す、後はオーブントースターで焼くだけでタチウオとイカのホイル焼きができる、野菜等の追加は自分でお願いします、手持ちが無いんです、醤油は今入れると片側だけに染み込むのでお勧めできません。


 流石に酒を持ち出す人は居なかったが、夜釣りをしているとは思えぬ現場となった堤防に警察が駆けつけ、騒いではいなかったが、1ヶ所に集まって釣れたばかりの魚などを使った料理を食べていれば、傍から見た場合不審者達が何かをしているように見えるよね…不審者がどうのと通報がーって来てたし。

 特に騒いではおらず、ただ飲み食いしながら釣りをしていただけと言う事、お酒なんかも一切なかったので特にお咎めは無く今日はお開きと言う事で解散、携帯コンロで調理していた事だけは注意されたが…火を扱ってたからそこは仕方がないね…

 最初にサビキで釣った小アジ以外は釣れなかったが、何だかんだでイカやタチウオを貰ったので夕食は満足の行く物になった、次は…何所で寝るかだな…

 陽が落ちる前に聞いた通りに辺りに泊まれる所は無し、解散する前に誰かに1日泊めてくれないか頼んでみるべきだったか…となれば最後に取るべき手段は…


 んー、せめて下に葉っぱを敷き詰めるべきだったか…

 適当な山に入り、寝袋で睡眠をとったのは良い物の…ちょっと寝心地は良くなかったなぁ…今日は何所か泊まれる所があるといいな、下山したら今の地名を調べて、目指している方角と合っていたかどうか調べないとね、さぁ、今日は何所で何が見れるかな。

 …でもできる事なら先に宿を取ってからだね、うん。

GT

ロウニンアジの事、180センチまで育つとも200センチを超えるとも

南に辿り着いたらアリスとアヤカの言っていたGTの事を思い出して釣りたくなった

大きく育ったロウニンアジはシガテラ毒の可能性が高いので食べちゃダメ


ナイスファイト

頑張って釣り上げた人、もしくはかかってくれた魚に投げかける言葉、この場合は両方

同乗者のあんちゃんは169とわずかに目標に届かず、でも実質170、仲良く記念撮影してお別れ


猪肉

あえて匂いはほぼ残したまま、野性的な香りと味を楽しもう

ちゃんと匂いを抑えたワイン煮込み等も有る、ダイレクトに味わうなら焼いてタレをつけるだけ


釣り堀

初心者でも安心、ほぼ絶対と言っていいほど釣れる仕掛けと餌を用意してくれる

1匹オーバーするごとに150円追加、現地で塩焼きにして食べ、お土産に5.6匹追加で釣って帰る人も多い


板長

時間より早めに釣り堀で釣ってきた魚や、山に入ってきた山菜を渡すと料理してくれる

その時の気分で何にするかが変わるが基本的にハズレはない、ハズレは忙しい時期に渡すとそのままの塩焼きで出てくる、でもちゃんと内臓も抜いて竹串に刺し、囲炉裏でじっくり焼いている


夜釣り

主に夜に活発に活動する魚を狙う、タチやハモを狙うなら夜、イカも街灯などが有れば寄ってきているので割と釣れる

ただ釣りたての魚をその場で食べていただけなので決して不審者ではない、現場にいた人からすれば…遠くから見れば集団で小さいけど火を囲んで何かをしている怪しい人


最終手段

人目につかない山でキャンプ、私有地の可能性もあるので真似しちゃダメ

そうでなくてもやるものじゃない


ぶらり釣り旅行

ロザリアと1周旅行の約束が有るので出来るだけ海沿いだけに固定

後1年以上かけてする物ではなく、短期の家出なので回れる所も知れてる

今頃メイド達はカップ麺に冷や飯入れて食べてる

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