美味しいのは認める だがそこに愛はない
「そっちに逃げたぞ!逃がすな!追え!」
「足の速いやつは先回りして道を塞げ!急げ!」
んー、今日も我が家のメイド達は元気だねぇ、逃げている狼三姉妹は今日は一体何をしたのやら…こちらは嵐が去った後のお片付け、壁に頭から突っ込んで伸びているメイドを引っこ抜き、汚れを落とし手からベッドに寝かせて次は割れたお皿や花瓶のお片付け、荒れ果てた絨毯は伸ばせば直るので伸ばして置いて、空いた穴は適当に板で塞いで後で狐さんにお願いをしまして、最後に三姉妹が何をやったかを確かめまして…なるほど、プリンが冷蔵ボックスから消えているな、残っているプリンを誰が食べるか決めている間に掻っ攫って行ったか?
古来より人のプリンを食べると殺人事件に発展してもおかしくはないと言われているし…三姉妹はその禁忌に触れてしまったか…何時もの事だけど、追加のプリンを作って…チョコとミルクの追加して3種類、ホイップクリームもイチゴとチョコを追加して3種類…これで良し、メイド達も諦めてそろそろ戻ってくるだろうし、机の上に並べて置かないとね。
「試合に負けて勝負に勝った、今はそんな気分です」
「たんとお食べ」
今日も三姉妹の逃げ切り勝ち、追いかけ回すメイド達から逃げ切り、プリンを食べられたメイド達はクリームたっぷり3種のプリンを得る、だが三姉妹は1つのプリンと引き換えに3種のクリームたっぷりプリンを失った…
「んー、このプリンも中々」「ミルクにイチゴホイップ山盛り」「チョコプリンにチョコホイップでチョコマシマシ…」
わけも無く普通にメイド達に混じって食べている、追いかけていたメイド達は一体何に勝利をしたのか、追いかけていたメイドにしかわからない…
「穴が17ヶ所、割れたお皿が8枚、花瓶が5個、割れた窓が27枚、壊れた扉3枚…また派手にやりましたねぇ」
「修理費用は如何程に?」
「そうですねぇ、砂山一掴みくらいですかね、お皿と花瓶は後で作るなり買うなり」
「枚数が足りないわけでも無し、花瓶は物置に前のが有るから取りあえずそれかな」
収納の中から砂山を一掴み取り出し、狐さんに渡して後はお任せして置けば修繕は終わるのでこちらはこれで良し、お皿と花瓶用の粘土あったかなぁ…
収納の中に焼き物用の粘土は無し、農場に行って掘り返してこないと駄目か、田んぼならちょうどいいのが取れるし、多めに掘って行こうかな。
穴や扉、割れた窓の修繕は狐さんに任せ、農場へ焼き物用の粘土を掘りに移動、割れたお皿も砕いて混ぜるし、10キロ位あればいいか、お皿と花瓶のついでに急須とティーポットも作ろっと、湯呑みとカップも新調するか。
「田んぼの土を持って行くのは構いませんけど、後で持って行っただけの量を戻してくださいね?」
「はいはい、掘り返した後に新しい土を入れておくね」
田植え前の田んぼの土を掘り返し、焼き物に向いた土を10キロほど掘りだし、掘り出した量と同じ土を田んぼに戻し、周りの土と混ぜて馴染ませて完了、さて、土を良く捏ねてお皿と花瓶を作らないとね。
割れた花瓶とお皿を粉末にしましてー、掘り返してきた土と混ぜまして、良く捏ねたら2キロほど取り分け砂を混ぜてまたよく捏ねる、砂と混ぜた土はなじむまで暫く置いておき、その間にお皿と花瓶を作ってしまう、模様などは後で入れれば良いし、形を整えたら蔵に入れて乾燥、予備のお皿も減ってたし、20枚位は必要かな?
割れていたのは丸皿が8枚、角皿も減ってきてたし、やっぱり多めに30枚位か、丸が20の角が10…花瓶は物置に有るので2つくらいでいいか、花瓶の形もシンプルに円柱型で。
鼻歌交じりに陶器作りに勤しみ、丸、角、花瓶と順調に作り、流れで急須に湯呑み、ティーポットにカップも作り上げて蔵で乾燥待ち、ティーポットとカップにいれる模様はどうしようかなぁ…
新しいポットなどの模様を考えつつ蔵の扉を閉め、部屋に戻る前に物置に寄って花瓶を持ちだし、花瓶が割れてなくなった所に設置、花瓶も花に活けてほぼ元通り、んー…やっぱり花瓶は無地の方が良いね、無地の方が花が良く映える。
よし、部屋に戻ってポットの模様を考えよっと、今は狐模様だから…狼模様にするか、ついでにクロバナロウゲも描いて…んー…ちょっとくどい感じがするかな…狼の足元に1輪くらいでいいな、これで行こう。
ポットに入れるためのデザインを紙に起こし、細かい所を修正、まだちょっとくどい気もするが…白の陶器に白い狼…花だけをワンポイントで入れる方が良いか、紙に起こした後も修正に修正を重ね、その後も3種類ほどデザインを紙に起こしてどれにするかを考え、最初に紙に起こしたデザインを採用、採用しなかった方もカップのデザインに流用、ポットだとくどく見てもカップだとそうでも無い、大きさのせいかねぇ…
「あら、今使ってるポットなどはお片付けに?」
「そろそろ新しいのにしようかなって、今乾かしている所」
「古いのは頂いても?」
「んー?いいよー、焼いてる時に割れたら割れたでまた新しいの作るし」
「では遠慮なく」
狐さんは慣れた手つきでお古の急須にティーポット、湯呑みにカップなどを持ち去り、代わりに何代か前のティーポットなどを置いていく、そして代わりに置いて行かれたポットとカップは…
「ではこちらのポット等を頂いていきますね」
テラとノクスが持ち去っていく、無駄が無いと言えば無いのだが…
「出遅れたあぁぁぁ!」
「ポットは…ない!急須も…ない!あぁぁぁぁ…」
使用済みの中古品を欲しがるので新しい物を用意してもあまり意味はない、個人仕様でのポットやカップが欲しいというだけなので、食事の時に使う湯呑みなんかにはこだわりはないんだよねぇ…こればかりは出遅れたメイドの問題なので何も言える事は無い…
さぁて、今日の夕食は何を作りましょうかね、まだ時間はあるし、ゆっくり考えよう。
「カップ麺」
「インスタントラーメン」
「カップうどん」
「火にかけるだけのうどんと火にかけるだけのラーメン、それと冷や飯」
「…探さないでください、少し屋敷を出ます…」
悩んだので何が食べたいか聞いてみたらカップまたはインスタント、そしてアルミ鍋に入ったスープを注いて火にかけるだけのうどんとラーメン、止めに冷や飯と来た…確かに、確かに冷や飯をカップ麺とかの残ったスープに入れると美味しいけど…それを夕食として注文されるのは辛い…熱々のご飯を1日放置した位まで冷やして、並べたカップ麺にお湯を注いで行ったり、携帯コンロに火を点けて回るだけ…おお…もう…
「ご主人様」
「何狐さん?」
「きつねそばときつねうどんのカップをお願いしますね」
「…1ヶ月位旅に出ます、探さないでください…」
全力でその場から走り去り、扉を駆け抜け、お財布を持って恵里香さんと一緒に近所のスーパーへ行き、売れ筋のカップ麺各種10箱ずつ、アルミ鍋入りのうどんとラーメンも各種10箱ずつ購入し、軽トラックに積み込み、家まで戻った後、買ったカップ麺等を屋敷の食堂に運び込み、ご飯を炊き、蒸らし、そして最後に冷やす。
後はお湯とコンロ位は自分で何とかしてください…と、よし、さぁ家出だ。
「なるほどなぁ、それで家を飛び出してきたと、いきなりカップ麺と冷や飯でいいって言われたらショックだろうなぁ…」
「もうみんな私の作る料理に飽きたのかなぁ…」
屋敷を再び飛び出し、お財布を持ってぶらりと1人旅、流れ着いた港で愚痴をこぼしつつ、何所か良い釣り場が無いかを聞き、堤防の方で小アジ、底狙いでたまにヒラメ、フカセでクロダイが釣れるというので目と鼻の先にある堤防でフカセ、気晴らしで釣りに来てみたが、何か釣れるといいなぁ…
釣り糸を垂らしたままぼーっと過ごし、フカセも特に反応もないまま時間は過ぎていき、風が強くなり雨も降りそうだったので釣りを中断、宿を取っている旅館まで戻り、特にやる事も無いので此処でもテレビを見ながらぼーっと過ごす。
はー、暇だねぇ…そう言えば陶器も乾燥で蔵に置いたまま放置して来たし、もう乾きすぎてひび割れてるだろうなぁ…まあまた作ればいいか、急須とかティーポットは新しいのに変えるつもりだったから手元にないし、好きな時にお茶が飲めないのも何だかなぁ…今は旅館の急須が有るからいいか、電気ポットでお湯を沸かして注ぐだけー。
雨が降りそうだったから引き上げてきたが、昼食はどうした物か、雨が降ってるけど何処か食べに行くしかないかなぁ、朝昼無しの夕のみだし、適当にぶらつくか、大衆食堂なりセルフなりがどこかにあるでしょ。
「肉うどん大、冷やしで」
「肉大、ゲソ、昆布、おにぎり…740円になります…はい260円のお返しです、ごゆっくりどうぞ」
んー、天かすとネギと生姜もセルフで取り放題…ネギ少々の天かす多め、生姜も少しで特性肉うどんの出来上がり、大でうどん3玉入ってるし、天ぷら2つにおにぎりも付けて740円なら悪くないな、さ、食べましょ。
出汁を吸いきる前の、表面に出汁を軽くまとっているだけの天かすをサクサクと食べながらうどんを啜り、次に肉とうどん、肉天かすうどんと食べ方を変え、合間合間にゲソや昆布天、おにぎりを食べる、出汁まで残さず飲み干し昼食は終わり、さて、お昼は何所へ行こうかな、雨も降ってるしアーケード街の中をぶらつくとして、その辺のお店を梯子しようかな。
「少し荷物検査をしてよろしいですか?」
「あ、どうぞ」
「それと出来ればレシートを持っていませんか?」
「はいはい、どうぞどうぞ」
「…はい、少々お待ちください」
ここに来る前に他のお店で買い物はしたが、何だろね?
「問題ないようですね、念の為店を出るまで荷物はお預かりします、出る時は荷物がゲートを通らない様に持ち上げてお進みください」
ふぅむ、何が原因だろね?まあいいや、何か面白そうなのがないかなぁ…なんだこれ、他のゲームとは何か違うような…えーと…アーケード用の…基板?本体は…別売り、そもそもここでは取り扱っていないと…少し気になるけどどういう物か分からないし、手は出さない方が良いな…
その後も店内をぶらつき、特に気になるものは無かったので荷物を返してもらい退店、また他の店で止められても何だし、収納に入れて置こう。
何やら少々音が響いているが、ここは何が有るのかなー…んー…いつも行くスーパーの一角にあるのと同じクレーンとかメダルゲームか、入っている物が違うけど、特にやる事もないし、ちょっと遊んで行こうかな。
さてさて…どれが取れそうかな…何かの人形…は取れそうだな、100円入れてさくっと回収、次の台は…いやな感じがするね、無視して次、これもダメこれもダメ、これはいける、回収…
うむ、大漁、1回で取れなさそうなやつは全て無視したが、それでも台数が多かったので結構な数になってしまった、何やら限定とか目玉とか銘打ってるのは1回じゃ無理だなぁ…
アームに引っ掛けるのは駄目…持ち上げる力はない、アームの力は固定で変動せず絶対に持ちあがらない…ふむ…これを1回で取るには…
力が無いのであればアームを箱の僅かな隙間に入るように調整、後は狙った所に入りますようにと何かに願い、アームが箱に沿って上に上がる時にスコンとわずかな隙間に入り持ち上がる、持ちあがった箱はフラフラと動き、そのままアームから外れ、奥に転がり落ちて景品の受け取り口へ…よし、1回で取れたね。
しかし、取った所で特に飾るわけでも無し、取った景品の買取りコーナーもすぐ脇に設置されているが…売る意味はまずないよね…買い取り額も200か300円だし、目玉でも500円、運が良ければ兎も角、大体は何度かやってようやく、だから売った所でねぇ…
クレーンゲームの取れそうな物は全部取ったし、そろそろ次に行こうかな、時間的には…あー、そろそろ戻らないと夕食時か、雨も止んでいるし旅館に帰りましょ。
旅館で夕食のコース料理を堪能した後は露天風呂、露天風呂から出た後は旅館の一角にあるゲームコーナーでメダルゲーム、なんだか遊んでばかりの1日だねぇ、でもこういうのもたまにはいいね。
明日は何所へ行こうかな、適当にバスか…それとも電車か…歩きで適当にぶらつくのも良いな、今いる場所が何所かすらも分かってないし、暫くはのんびり一人旅と洒落込みましょ。
プリン
古来より勝手に人のプリンを食べると殺人事件にまで発展すると言われる恐るべきデザート
果たしてメイド達は勝負に勝ったといえるのだろうか…
カップ麺とアルミ鍋の麺
冷や飯を組み合わせれば破壊力倍増、アルミ鍋のうどんなどはそのまま漬けて食べるだけでなく煮込んで雑炊に
愛の欠片も無いメニューとも言える、少なくとも夕食に頼むような物ではない
天かすモリモリネギ生姜肉うどん
セルフで天かすネギ生姜取り放題だからこそできる暴挙、カロリーなんか気にするな!
無料で天かすネギ生姜等は取り放題なのでたぬきうどんはメニューに存在していない、食べたい場合かけを注文して自分で天かすを入れる、自分の好きな様にトッピングをしよう
万引き防止のアレ
店に入ったら反応して鳴り始めて荷物検査をされた、まだ店内には入っていない、入り口に差し掛かった時の出来事なので直ぐに誤解は解けた、そもそも出ていく時ではなく入った時に鳴っている
ブザーが鳴った原因は他店で買った物の中の1つにブザーを鳴らすためのチップが抜かれないまま入ってたから
そりゃ箱を空けずに奥から引っ張り出してきたディスクと別々にしたまま袋に入れたらチップは箱の中に入ったままだよねって言う、そんな落ち、なお実話




