なぞのきかい そう言う決まりがある、わけでもない
まずは邪魔な触手を取り除きまして、触手を取り除いた傘を塩に漬けまして、天日干ししてまた漬けて、3日ほど繰り返し水分が抜けた物を取り出します、水分の抜けた傘を重ねて長さや細さ、形を切り揃えます、この時四角にしておけば形を揃えやすいでしょう、余った外側は後で細かく刻みます、刻み終わった物を水に30分漬けて塩抜き、3回水を入れ替えて塩が抜けていないのであればもう一度、抜けていれば自ら引き上げて余分な水分を落とします、キッチンペーパーを被せ、重しをして水分が落ちるのを待ちましょう、余分な水分を落としている間に漬けダレ作り、特に思いつかなければポン酢でもよいでしょう、クラゲ自体は無味無臭なのでお好みの味付けにしましょう。
…これ簡単クラゲ料理じゃなくて塩蔵クラゲの製造工程と塩抜きまでの工程じゃない…肝心の漬けダレとかそう言うのが無いじゃない…というかなんでクラゲ料理で探して一番上に製造工程が出てくるのよ…まあいか、酒の肴用だし、いつも通りにウニと…白出汁と梅酢にしようかな。
白出汁に味醂と砂糖を入れて火にかけて、砂糖が溶けたら冷まして梅酢を合わせて味を確かめながらウニと和える、味が決まったらクラゲにタレをかけ半日から1日漬けこんで完成、食べる時にウニと混ぜれば梅酢でさっぱりとした味わいの特製うにくらげー、ウニでなくても良かったかもしれんね、何だったら海藻サラダと和えても良いかもしれない…
色々変な部分も有ったが、肴の仕込みも終わったし、夕食のお肉をどうするか考えないとなぁ…
焼くか煮るか揚げるか…湯煎で火を通すのも有だな、塩に少量の砂糖、香草で作った調味液に漬けて…ブロック肉と一緒に袋に入れて湯煎…よし、これで行って見よう。
仕込みは終わったが…んー…まだ夕食には大分早いなぁ、朝食に使う魚でも釣ってくるか、鮭の塩漬けも良いけど、マスの塩漬けも良いよね。
それほど大きいのを狙う必要も無し、マス以外は逃がすので…餌無しのスプーンでいいか、書置きは…明日の朝食に出す魚を釣ってきます…これでよし、さ、釣りに行くか。
釣り始めてから1時間、何も釣れる気配はないがこれはこれで良いもんだ…最近の釣りと言えば、これを養殖するからこれを釣って来い、これも養殖して卸すから釣って来い、海産物も許可が下りたからあれを釣って来いこれを釣って来い、貝もいくらか捕って来い…何か違うんだよなぁ…睡眠をとるついでに出来るゲームのはずなのになぜか心が休まらない…もう依頼を特に受けなくても安定はしているし、釣りをして日々を過ごすだけでいいといえばいいんだけどね…
海でも川でも舟を毎回借りてるし、手漕ぎくらいなら自前で作るか造船所で頼んで買う方が良いかねぇ…それほど高い物にはならないだろうし、毎回毎回借りたり返したりするだけでも結構費用がかさむし…ふむぅ…
舟を作るか、それとも買うかを悩みつつ、ぼーっとしていたら根掛かり…直ぐに取れるからいいんだけど、それにしても何も釣れないねぇ、何も釣れなかったら釣れなかったで塩漬けにしてある鮭を持って帰るだけだけども、中まで塩が入っているのと表面にだけ入って中がふわっとしてるのは全然違うからなぁ…そうこう考えているとまた根掛かり…今日は駄目っぽいね、最後一回投げて駄目だったら加工場で塩漬けにしてる鮭を持って帰りましょ。
「最近は切り身の状態で泳いでるんですね」
「塩の海で泳いでいたよ」
釣ってくると書置きを残し、持って帰って来たのは塩漬けにされ、綺麗な紅色になった鮭の切り身、軽くからかわれつつ鮭の切り身を渡し、部屋に戻ってお着替え。
「あ、骨はついてないと思うけど念のために確認しておいてね」
「はいはい、冷蔵庫に入れる前に確かめておくよ」
最後と言いつつその後も2時間程続けても釣れなかったし、まあ今日はそういう日だったってことかね。
よし、着替えてちょっと一休みしたら夕食を作ろう、仕込んだお肉に野菜スープに蒸し野菜、後は…油物で春巻きでも追加するか、タケノコとキクラゲ、形を整える時に出たお肉の端材も叩いて具材に、玉ねぎも有ったし人参も有る、結構具がたっぷりになりそう、でも少ないよりは多い方がいいか。
軽い休憩も終わり、そろそろ夕食を作らないとなーと思い調理場へ行った所、何やら見慣れない物が…何だろうこれ…調理場にあるからには調理器具か何かなんだろうけど…何だろう…どうやって使えばいいんだ…?
そもそもこれは調理器具で合っているのだろうか…誰も何も言わずに置いて有るという事は調理器具なんだろうけど…釣りに行っている3時間ほどの間に何が有ったんだ…んー…それほど場所をとるものでもないし邪魔にもなってないけど、用途が分からない…説明書も見当たらないし、こういう時は触らずにおいておくに限るな、うん、さて、夕食を作ろう。
「調理場に有ったアレなに?説明書もないし使い方とかがさっぱりわからなかったんだけど」
「あー、あれは実家からの届け物です、生ものを送ったりするときに真空パックにしておくとちょっと日持ちしますし、冷凍保存するときにも使えますね」
「基本的に使いきりだから生ものの保存はそんなに考えてないなぁ…」
「遠まわしに言えば送った物を活用して、食べきれないときは真空パックにして保存しなさい、多すぎる時は遠慮なく家に送りなさいと。
直接的に言えば美味しい魚が沢山釣れたら家に送ってね、と言う事です、以前のヤマメの昆布締めや黄金イクラなどを持って帰った時に味を占めたようで、家に持って帰れないなら真空パックで送ってくれーってやつですね」
「ふむ…まあ、真空パックにするようなものはないかな…」
残ったら残ったで食べきるし、時間を置いて旨味を引き出す目的以外でお刺身用の柵を保管しておくことも無いし…使う事…あるのかねぇ…?
んー、真空パックで鮮度を保てる時間をちょっと引き伸ばしか…真空パックで売ってる物はよく見るけど、自宅でかつ自分で真空パックにするって考えは無かったなぁ…そもそもそこまで長期間保存する事も無かったし…何かに活かせるとしたら…なんだろ、少なくとも今の状態ではないな…
夕食の片づけも終わったし、晩酌の肴も出したし、部屋で軽く運動したらお風呂に入ろう、ちょっとした疲れのせいか、尻尾の毛もあまり輝いていないし、ちょっとくたびれているし、芯まで温まったらゆっくり寝よう、明日になれば疲れも抜けてスッキリしているさ。
「今日は特に何もしなくていいぞ、今養殖している物以外の許可がまだ下りてないからな」
「あ、なら適当にその辺で過ごしてくるかな」
…そもそも休むのが目的ならこっちに来る必要はなかったのでは…?完全に日課になっていたので失念してしまった…まあ来てしまった物は仕方がない、イベント中で遠くの採取場所にもすぐ行けるらしいが、ルシフから参加禁止って言われてるから利用できないし…散歩にでも行って来ようかな、登山でも良いし海水浴でも良いし…街中をぶらつくだけでもいいかな、適当なカフェにでも入ってパフェを食べるのも良いなぁ…
「出かけるならこれを着て行け、仕立てたばかりだから丈なんかが有って無かったらすぐに言えよ、その場で直すから」
「あ、はいはい」
何時ものコートに、赤と黒のゴスロリに編み上げブーツ、ミニハットに何時ものサングラス、もうコートとサングラスはセットだよね、でもなんでまた急にゴスロリ?最近だとアロハにジーンズだったのに…あれか、エキシビジョンに強制参加させられてから怪しい人で浸透したからか?
ふむぅ…アロハもゴスロリもどっちも同じか、変な目立ち方をするという意味では、危ない感じか変な感じかの違い位だな、多分。
しかしまあ、使用人と言う職種は主人にゴスロリを着せたりメイド服を着せたりするのが職務規定にあるんかね…?胸の部分は…ぴったりと言うわけでもなく少し余裕あり、腰回りはベルトが4本ついててこれで調整、スカートの丈…膝下まで、ストッキング…尻尾穴も開いてて真っ白、ブーツは脛辺りまで…サングラスとコートが無ければ多分普通に見えるんだろうな…いや有ってもどちらにせよ変な人か…
「ちゃんとサイズは合ってるか?」
「特に問題も無く、ほぼぴったりだね」
「そうか、じゃあ最後にこれだな、日傘、日焼けはしないだろうけど一応な」
「結構びっしり刺繍が入ってるね縁が蔦で合間合間に百合の花やら…」
「おう、自信作だ、裏から見てもばっちりだぜ、それじゃ気を付けてな」
まあいいや、適当に良さそうなカフェでも探してパフェでも食べよっと、イチゴ…チョコ…フルーツ…チョコかな?他にも気になったら追加で頼もう。
「お待たせしました、こちらチョコクリームパフェになります、ご注文は以上で宜しいでしょうか?…それではごゆっくりどうぞ」
よし、食べよう、早速食べよう、疲れた時は甘い物、ここなら実質食べ放題、いくら食べても向こうのお腹は膨れない、でも食べたという満足感がうんぬんかんぬんって、食べたくても食べれない、そういう人も世界各地の料理を食べ歩き、とかルシフが言ってたけど、そんな事より今はチョコレートパフェだ、たっぷりのチョコクリームにスライスしたバナナ、スポンジケーキに砂糖控え目プリンだけのシンプルなパフェ、はぁ…いくらでも食べれそう…
注文したパフェをゆっくり味わいながら食べ進め、半分ほど食べた所で中から更にプリン、こちらも砂糖は控え目だが生クリームたっぷりのミルクプリン…これは嬉しい隠し玉、果物もバナナ位なので食べていても水っぽくならない、んー、いいねぇ、まだまだ食べれそうだ。
「おねーさん追加注文、クリームパフェを一つと…イチゴのサンデー、特濃アイスココア砂糖控え目」
あぁ…今凄く満たされている…いろいろと疲れ切った所に甘い物ほぼ食べ放題…パフェが700のコアが300ペッタンコで食事1回分とほぼ同等だが、それでも量が多いので客が多いのも納得。
先程から女性男性関係なくどんどんお店の中に入って行っている、そこそこ人気があるお店だったのかもしれないねぇ、チラッと見るだけでも中は混雑しているし、空いている内に2つしかない特等席っぽいテラス席の一つを取れてよかった、もう片方のテラス席も埋まってるし、外にはそろそろ行列ができそうな勢いだねぇ…まあ、既に座っている私には関係ないし、そんな事より今はパフェだ、特濃ココアにクリームパフェから掬ったクリームを浮かべて生クリームマシマシクリームココア…この舌少し纏わりついてくる濃さがたまらない…
「塩唐揚げとフライドポテト、それとアスパラとベーコンのフライの盛り合わせ、ソースは無しで」
甘い物を食べた後は少し塩の利いた物が欲しくなるよね、塩味の利いた揚げ物3種の盛り合わせを頼み、少しずつ摘まんでパフェとココアで甘くなった口の中を塩で上書き、そしてまたパフェを…
「はぁ…満足した、おねーさんお会計ー」
いやー、ちょっと食べすぎた気もするが、疲れなんかもう吹き飛んだ気がするね、お会計を済ませたら舟の注文ができるかどうか確かめに行こうかな、駄目だったら木材を買ってきて自分で作らないとね、貸船屋に行けば買えるかどうか聞けるかなぁ…?
「おはよう、今日はずいぶんとすっきりしてるね」
「あー、パフェやら何やら食べまくったからかな…?」
「ゲームの中だし、何を食べようが太ったりすることはないしね、ゲームの中くらいは自由に、だよね」
「養殖するための魚介類を捕りに行かされている私に自由はあるのだろうか…」
「さぁ…?雇った使用人に何時まで続けるのか聞けばいいんじゃない?どこまで養殖する物を増やすのかって」
「何所まで増やすんだろうねぇ…買った土地は3ヶ所養殖場になってるし、庭に有った温室も残り2ヶ所に移してさらに増設してちょっとした農場になってるし…特に何もしなくても余剰分を卸すだけで暮らしていけるんだよねぇ…」
「だんだんこっちと変わらなくなってきてるね」
「なんでなんだろうねぇ…」
過程や方法は違えど、最終的に同じような生活に落ち着くのはもうそれが染み着いているから何だろうかねぇ…まあ次に行ったときにでも後どれだけ増やすのか聞いてみよう、でもその前に土地の追加購入かなぁ…
袋に入れて湯煎
蒸したり焼いたりするのとは違ってしっとりした仕上がりになる
ただし脂も袋の中に残るので脂は落ちない
真空パック機
味を占めたアイナの親が送ってきた物
でも使う予定は今の所ない
コーディネート
やたらと女性になっている主人にゴスロリやメイド服、チャイナ、果てはスモックまで着せたがる
男性なら男性でどこかのマフィアのボスみたいな服装だったり執事服だったり、要は皆の玩具、着せ替え人形
パフェ
店によって様々、クッキーやらクラッカーやら棒状の焼き菓子やら果物が大量だったり
サンデーを頼んでも入ってる物は同じ、器が違うだけ、後盛り付け方




