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温泉旅行37日目 屋敷に帰らないと街が危ない!

急に唐突な新しい設定―気にしてはいけません、脳死するのです―

後ジャーマンポテトのシーズニングでパスタ食べたらバジリコに大量に胡椒を入れた物と全く変わらなかった悲しみ

 あー…極楽だぁ…ずーっと浸かっていたい…

 温泉旅行にきてから1ヶ月少々、屋敷に帰らず温泉を満喫していた。

 食材を捕りに海へ行ったり農場へ行ったりするくらいで旅館に滞在したままである。

 狐さんも含め皆いい感じに温泉で蕩け、温泉から上がった後はマッサージでさらに蕩け伸びている。

 来たばかりの頃の騒がしさは無く、街をぶらついても商店などの人から以外は話しかけられることも無い。

 四日目頃から男性の姿が減り始め、五日経過した頃にはもう行商人と衛兵、元々住んでいた人を除く男性は全て居なくなった。

 代わりに女性は増えたが、メイド達の機嫌が悪くなることは無くなり、毎日メイド達と街を巡っていたので機嫌が大変良くなり…

 狐さんを含むメイド達が蕩けに蕩けきっている状態になってしまった…

 商店の人達から良い奥さん達を貰ったねぇとか、今日もお似合いの夫婦ですね、と言われたのも原因の一つだろう。

 そんなこんなで屋敷に戻らす1ヶ月以上が経過してしまった。


「ただいま戻りました」

「ご主人様今戻りました」

「おかえりー」

 ベリスとシュリエルは国を回ってやる事が有るので、旅館に滞在しつつも旅館からお仕事に行っている。

 何かを持っているがなんだろうか?

「この国の王よりお届け物です、事前に確かめてあるので危険な物ではありません」

 ふんふん?シュリエルから受け取り中身を確かめる。

 えーと何々?源泉が小瓶一つ分欲しい?

「なぜに源泉を小瓶一つ分?」

「温泉街の人々が温泉に浸かり若返っているという噂が行商人により広まったようでして」

「それを聞きつけた一部の貴族が挙って源泉を抑えるべきだとか、今住んでる人達を追い出して貴族専用の保養地にすべきだとか…

まあそういう人たちが大勢出てきて抑えが利かなくなったようで、それで小瓶一つ分だけでも源泉を別けて貰えないかと」

「まあ…いいんじゃない?」

 小瓶一つ分でどの程度効果があるのかは知らないけど、変なこと考えてなければ大丈夫だろう。

「後は狐さんにちゃんと報告しておいてね」

「心得ております、では源泉を小瓶に摘めた後また王都まで行ってまいります」

「はいはい、行ってらっしゃい、厨房に夕食作ってあるから食べていってね」

「ありがとうございますご主人様」

 ベリスとシュリエルは狐さんに報告後、早めの夕食を食べ源泉を一瓶王都に持って行った。


「しかし…温泉街の人皆若返っちゃったね…」

「そうですね、少し長く留まり過ぎました」

 1か月以上滞在して少しどころでは無い気がするが…

「これ元に戻るの…?」

「私やルシフにミネルヴァ、他のメイド達の影響も受けて大元から変質してしまっているのでかなりの時間がかかりますね。

それに今後もここの温泉を利用する限り戻る事は無くなるかと」

 つまりもう効能が元に戻るという事は無いという事だね!どうしよう…

「一応ではありますが、この温泉街はもう聖域化していますので、邪な考えを持つ者は近づけないかと」

 聖域化しちゃったらしい、この街の収入どうするの…

「まあ収入はどうとでもなるでしょう、小瓶一つでも多少の差はあれど若返りの効果はでます、源泉を小瓶に摘め販売すれば利益は莫大なものになるかと。

美容で動く費用というものは中々馬鹿にならない物ですので」

 それなら収入は問題ない…のか?

「それに圧力をかけ出入りする人をなくし封鎖したとしても、聖域化している影響で食料は街にいる人達全員を余裕で賄える生産力があります。

兵糧攻めもするだけ無駄という事ですね、仕掛けた側の食料だけが一方的に食い潰され負けます」

 街にいる人たちを余裕で賄えるだけの生産力があり、外敵は侵入不可、これなんて要塞?

「聖域化したメリットは他にもありますが、置いておきましょう。

デメリットは観光収入が減るくらいですね、良い人も悪い人もお金を落としていってくれることには変わりはないので。

ですがそれ以上の収入原を得ているので問題は無いでしょう、悪しき人は入れず治安も良くなる、この街にとっては良い事尽くめですね」

 まあそれならいいか…

「その分他の街に寄り付くでしょうからそっちは悪化するでしょうね、こちらに影響はないのでどうでもいい事ですが」

 それは同感、知らない所より見知った人達のいる所の安全。

「まあそう言うわけでこの温泉街は収入減も問題は無く、食糧不足に陥るという事も無いわけです。

海産物などが行商待ちと言うくらいですね」

 この街はこの先安泰だという事は分かった。

 その後も狐さんと話しながら温泉街を散歩した、商店の人や地元の人達に今日もお似合いの夫婦だねと言われ狐さんの尻尾がパタパタ音を出しながら揺れていた。


 翌日ベリスとシュリエルが帰ってくるので小瓶の件の報告を聞く。

「小瓶一つで一人用のバスタブ一つ分、と言ったところのようです、王妃が入浴したところ皺が減り肌にハリが出ていました、王も同様です。

その後お湯を半分に減らしお湯を追加したところ効果は消えていました」

「わかりました、では今後は小瓶一つで販売するという事で、よろしいですか?女将」

「何から何まで有難う御座います」

 収入が減った穴を埋めるために狐さんが温泉街の収入にちょっと動いていた。

「源泉を卸す相手はこの国にして置きましょうか、国が管理し販売するのであれば偽物を製造し販売すれば大罪、バレたら国益を損ねたとして極刑か強制労働送りですね。

ベリス、シュリエル、こちらの書簡をこの国の王に、源泉の効果に関する注意書きも書いてあります」

「わかりましたメイド長」

「それでは行ってまいります」

 戻ってきたばかりのベリスとシュリエルがまた出ていった、お弁当はしっかりとその手に持って。


 今日も今日とてメイドを連れてお散歩、饅頭を売っていた老夫婦も若々しくなり以前より饅頭の皮が美味しくなっている。

 以前は饅頭の皮をこねる力が弱くなってきており味が落ちていたが、若返り力が戻ってきたので昔の繁盛していた頃の味に戻りつつあるとの事だった。

 温泉卵は特に変わらず…という事も無く、味は変わらないが1個食べるだけでも力が漲ってくるらしい、力仕事の前にお気に入りの温泉卵を食べるのが流行らしい。

「ご主人様、あーん」

 メイドが温泉卵をすくって食べさせてくるので食べる、偽物の鱗騒動があったとは思えない位の機嫌のよさである。

「ヴリトラもあーん」

 お返しに食べさせて上げる、商店の人も今日も仲のいい夫婦だねぇと囃し立ててくる。

 ヴリトラは少し顔を赤くするが食べることはやめない、一口食べ終えると次を催促してくる

 もくもくと温泉卵を食べながらも、吸い込まれそうなほどの真黒な髪と角と羽と尻尾が日を反射して輝いている。

 うんうん、いつみてもピカピカで綺麗だ。

 その後もヴリトラが満足するまで温泉卵を食べ続けさせた。

 それにしても…龍人族のメイド達と散歩すると皆温泉卵要求してくるんだよね…うちでも定番メニューに入れようかなぁ…


 夕食時、ベリスとシュリエルが帰ってくる。

 小瓶一つにつき金貨10枚で買い取り金貨11枚で売るとの事、本数は毎月100本、初回は5000本納めてほしいとある。

 小さじ一杯程度の小瓶一つで金貨11枚とは恐れ入る…持ち運びできるし、ある程度なら薄めて乳液代わりにも使えるから安いと言えば安い…のか?

 温泉街に旅行に行くと考えれば11枚では済まないだろうし、それ以上の効果を求めるのであれば上乗せして温泉街に来ればいい。

 ただ物が物なので運搬中に奪われる可能性もあるので持ち運ぶ人員を選抜中との事。

 私欲に塗れた貴族などから送り込まれてきてるものを片っ端から排除しているらしい、まあ注意書きみるとその辺りは問題なさそうだが。

 不穏分子を一掃するいい機会なので一掃するとの事だと、シュリエルに聞かされた。

 なお狐さんの用意した注意書きはこうである。

 1:普通の人であれば肌は若返る、また寿命も少し伸びる。

 2:善人も同上

 3:欲に塗れた者は程度により肌は荒れ老化が始まる。

 4:過去に犯した罪を清算していない場合も同上、清算し改心していれば肌は若返る。

 とあり、この程度の部分が非常にいやらしい。

 他人の為に美しくありたいというのは問題なし、自分も若く美しくなりたいというのであればまだ問題ないが、自分だけが若く美しくあればいいと言った感じになると効果が反転する。

 不当な手段を用い奪い去っても同様、手に入らなかったからと言って脅したり盗んだりすると駄目。

 程度と非常にふわふわとした書き方で罠を張る狐さん。

 まあ基本的には悪い事した人だけが引っかかるよう出来ている、一応聖水だしね…程度が軽ければ浄化されて真人間になるくらいだ。

 女将さんに文書を渡し記入してもらい契約成立、これで温泉街は毎月白金貨10枚の収入を得ることになる、街の維持費とかを考えればそれほど手元に残る事は無いけど維持していくには十分である。

 初回は5000本納品なので白金貨500だがまあそこはどうでもいい、街の維持運営費に回る事には変わりない、当然5000本では需要は満たせないので暫くはくじ引きで売るらしい、昔狐さんが使ってた不正防止対策マシマシのくじ箱で…


 そんなこんな合った後は皆と夕食。

 今日はデザートに老?若?夫婦にお願いして特別に作って貰った一口より少し小さめの饅頭、これを揚げる、表面の色が狐色に変われば完成、後は余分な脂を全て落とす。

 一口よりも少し小さいので手軽に摘まめる、皮も外はカリッと中はモチっとしており餡子も砂糖はそれほど使わずほぼ小豆の甘さのみ。

 トッピングでバターや蜂蜜、胡麻に抹茶の粉を用意して置いたがほぼ好評だった。

 栗が美味しい時期になったら栗の甘露煮を持って行って包んで貰おう、そう思いつつ上げ饅頭を摘まんだ。


 温泉旅行にきて大体40日目くらい。

「そろそろ屋敷に帰ろうか」

「そうですね、少し長居しすぎた結果聖域になってしまいましたし、これより酷くなる前に帰りましょうか」

 というわけで撤収開始、女将達は別れを惜しんでいたがこれ以上留まると取り返しがつかない事になるので手早く荷物を纏め屋敷へ帰っていった。

 40日近く放置していた割には屋敷は綺麗である、何だかんだで農場に来たついでに草刈り位はしてたからね…

 中の掃除とかはメイド達にお任せ、流石にそこまでは手が回らなかったから許して?

 子狐形態で狐さんに許しを請い許してもらった。


 ユースティア達は温泉土産を渡しに一時帰国した、例の源泉も50本づつ位持って行ってたからユースティア達の両親の現役引退はまだまだ遠そうだ…

 以前あった時いい加減隠居させてくださいって泣いてた。

 テレサは院長に源泉を渡したが院長は自分で使用せず、御払いや祭事の時に使うことにしたらしい、聖域産の聖水だから効果は確かなものだしなぁ…

 ただ何度も御払いなどをしてると少量は付着するもので、付着した場所からみるみる若返ったそうな、テレサが聖女になる前は聖女を務めていたそうで、根っからの善人で効果が凄かった。

 今だとテレサと並んでも姉妹にしか見えないもんなぁ…これ効きすぎて完全に不老になってないか…?

 狐さんと用相談案件である。

 マキナは…弟か妹が増えるんじゃない?一人娘だったマキナが家を出たので少し寂しかったらしく少し励んでいたらしい、そこに今回の源泉で少し若返り更にお盛んに。

 マキナが来年弟か妹が出来るかもと言うくらいには今でもお熱い夫婦らしい。


 なんにせよ温泉旅行はこれにて終り、調理場も徹底的に掃除しないとな、早く掃除しないと皆の夕食が作れなくなる。

 後、帰り際にルシフが狐さんに向かって「この狐温泉街を聖域化してやがんの、ははは」と言いながら笑ってぶっ飛ばされていた。

 ルシフも聖域化した原因の一人だから狐さんの事を笑えないと思います。

 ミネルヴァ達なんて少しだけどやちゃったって反省はしてたからな、本当に少しだけ…

 女将さんは何だかんだで源泉を国に卸す立場になったので貴族の位を得て温泉街の領主になった。

 元いた旅館はそのままの形を残し領主の館に、勤めていた人達も元々優秀なのでそのまま雇用。

 形そのままで務めてた人がそのままなのはまた何時泊りに来ても良い様にとの配慮かららしい、かなりの時間は空くだろうけど街が落ち付いたらまた皆と行くとしよう。

 どうせ女将さん達は温泉に浸かりすぎて不老化してるし…寿命も大分延びたからまた何度か顔は合わせるだろう。


 なお急いで撤収した理由はあれ以上ダラダラと過ごしあと20日くらい滞在した場合、聖域超えて神域になる可能性があったからである…

 神域は聖域の上位互換というか完成版というか…ね…そんな感じで急いで撤収したのである。

 じゃあ何で聖域化する前に帰らなかったのかと言うと、狐さん達が温泉で蕩けまくってて気が付いたときにはもう止められない所まで行ってたから…じゃあもういっそ聖域化しちゃえと。

 そんなどじっこな狐さん達可愛い、からかうとルシフみたいにぶっ飛ばされるから言わないけど…

 後、若返った院長さんの事聞いたらやっぱ完全に不老になってた、もう歳をとる事は無いので寿命では死なず、怪我も命に係らなければさほど掛からず治癒、致命傷も時間が掛かるだけで治ってしまう。

 狐さんが有無を言わさず出会い頭に心臓を抉り取った時点でまあ分かってたことだけど、生物止めてました、なんてこったい。

 仕方がないので修道院は後任に引き継ぎ、院長は屋敷で暮らすことになった、テレサは嬉しそうだが恩師が生物を止めたことに対する態度はそれでいいのか…?

 まあ院長もテレサと一緒にいて楽しそうだからいいか、テレサにユノーを紹介されて御茶飲み友達になってるし。

 被害は最小限に抑えられた、そう考えることにしよう。


 後日、名前を未だに知らないので院長と呼び続けていたらフローレンスですと自己紹介された。

 その日の夜テレサがフローレンスを伴いやってきてフローレンスの服を脱がし始める、大変お綺麗で…

 ってそうではなく、抵抗しないフローレンスもフローレンスである。

「一体何を?」

「メイド長からの御命令です、務めを果たすようにと、ご主人様も脱がせてあげてください」

「あっはい」

 ウィンプルを外したフローレンスの髪は透き通るような綺麗な銀髪だった。

 フローレンスを脱がせた後はテレサも脱がせ、二人を連れベッドへ行き頑張るのだった。

 フローレンスは元々聖女だったので経験は無く初めてだった、が、テレサと同じく復活が速く貪欲だったため、体力を削り切るのに朝までかかってしまった。

 その後満足した顔をして眠る二人を抱え眠りにつくのであった。

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