ぶわぁちぁるりありてぃ 日券と密漁、ついでに不審者
「というわけで、サービス開始してまだ半年もたっていませんがテコ入れです。
しかし予想が出来ていたとはいえ、本当に予想通りに逆に笑いがこみあげてきますよね、自分がやらなくても誰かがやる、自分が採取しても他の人が取らずに残す、そう言う考えて行動する人の方が圧倒的に多かったので…」
「まあ、うん、蚊帳の外にいる私としては何の影響もないけど」
駄犬がうろついている森は誰も入れなくなったため、一時は少しずつ植生等が戻りかけていたが、毛を刈って暫くすると居なくなり、再び人が入り始めた事で生き返り始めていた自然は壊滅、傷薬も3万ペッタンコから戻らず、それでも商店に並んだ物は全て買占めが発生、それをさらに高額転売する物が続出、米や小麦もキロ10万とかなり値上がりしている。
公式より開墾作業に従事したり、斡旋所での説明通りに取り過ぎずちゃんと残せば翌日にはある程度は戻る、とゲーム内で大々的に発表したらしいのだが…
「まあ、人の話を聞く様なプレイヤーの方が少ないからねぇ、なのでテコ入れと言っても全体を楽にするというより、頑張って留特定の人だけが楽になる様な変更だね。
最後まで開墾したり、ちゃんと採取制限にしたがって採取してた人は記録を遡って、商店で使った分をほぼ払い戻し、食料品やら消耗品等を住人達と同じ値段で買ええる、とかそんなんだね。
優遇されたければ仕事も投げ出さず、制限のある物はちゃんと制限を守って正しく採取しましょうってね。
開墾リタマラをやった人達はもうまま放置、その代り3回制限をなくして何度でも可能、その代り3回目以降壺は出なくなるし特別報酬も無し、大体50回くらい開墾作業を済ませて住人の倍額で済む位…かなぁ…?
取りあえず値段の影響は全体ではなく個人にだけ影響するようにだね、真面目に開墾やってれば種とか肥料とか安く買えるようになるし、多少なりとも割引してくれるようにー、だね」
「まあ好きにすればいいんじゃない?取りあえず駄犬の毛が生え変わるのは何時になるのか…」
「毛だけなら1ヶ月位かな、それにしてもこの家の中凄いねぇ…カーテンにシーツに枕に、普段着からエプロンまで全部レースでフリフリになってるし」
「アレの趣味、今も部屋で何か作ってるんじゃない?駄犬の毛を使ったファーコートとか」
「駄犬の毛も没収されたんだ?」
「1本も残らず根こそぎ、刈った毛を適当な革に植え付ける物もあるとか何とかで」
「まあ、有るにはあるね、ちょっと劣化するけど、刈った毛を植毛して伸ばす物もあるよ、時間はかかるけど1本の糸として使えるようになるまで伸ばすことも可能」
「ほーん、じゃあ縫い糸を駄犬の毛で作るのも出来るのか、また生え変わったらごっそり刈り取ってこよう」
日課となりつつある斡旋所での依頼漁り、今日も何か良い物が無いかと受付で聞き、日帰りで出来そうな物を選び、出先で適当なお土産を確保、さぁ帰ろうかと言った所でアナウンスが入り、少し前までルシフと話していたテコ入れが入った模様、特に反応のない人も居れば喜ぶ人、ふざけんなと叫ぶ人、悲鳴を上げる人に分かれる。
ここの所の値上がり続きで目先の利益だけを優先し、限界までリタマラ、全滅するまで採取した人は何の保証もなく、ちゃんと開墾をしたり制限を守っていた人は食料や傷薬を買った時のペッタンコの払い戻し等が行われた、とはいえ補償が受けれなかった人もちゃんと最後まで開墾を熟せば何れは倍額程度で済むこと、そこから更に頑張れば通常価格になると発表され、採取に関しては全滅した所は1割程度までは戻す、また全滅させたらもう戻らないとのお達しも。
これで採取する人が減るとまでは行かなくても、止める人は出てくるだろう、どっちの方が多いかは…まあどういう結果になろうと関係が無いと言えば無いけども、食料にせよ傷薬に使う材料等も家で育てているし、家賃も要らない、年に100万持って行かれるけど纏めて支払い済みなので当分払う必要なし、うむ、早めに基盤を整えて正解だったね。
「はい、これお土産ー、配達先の街で売ってた民族衣装やら何やらの実物、それと最近のファッション誌」
「おう、衣装はそこに置いてファッション誌をくれ…ふむ、流石に国が違えば来ている物も流行も変わるな」
「生地にどれだけ緻密な柄を入れるかが流行みたい、遠くから見るとモザイクにしか見えないと思うけど」
「もっと近くで私を見て、って事だろ、まあ目が痛くなるからその流行はいらないな、シンプルなケープとかそう言うのだけでいいや」
駄犬の毛は加工が終わったのか、白銀のファーコートがハンガーに吊るされている、勿体無いなぁ…絨毯とか毛布にすれば気持ちよく過ごせるのに…1ヶ月後には生え変わっているらしいし、また刈り取って今度こそ絨毯に、だな、できれば掛布団用の毛布も…
「取り敢えずそこに掛けてあるファーコートはあんたの分だから部屋のクローゼットにでも仕舞っとけ、次から出かける時はちゃんと着て行けよ、そろそろ冷え込んでくる時期だからな」
「あ、はい」
特に気温がどうであろうと何ともないのだが…作ってくれたのであれば今度から着ていく事にしよう、しかし駄犬の毛を使っているだけあってふわふわもこもこ、更に輝いていてちょっと派手である、燃えたりすることもないから良いといえばいいんだけどねぇ、撥水性も高いし、雨合羽代わりにも使える。
まあクローゼットに仕舞って置こう、今日はもう出かける事は無いし、干しておいたダイコンを沢庵にして、ついでに切干大根も作って…紫蘇も育ったから梅干しも作ろうかな、干しシイタケも作れば幅が広がるなぁ…
鰹節やら昆布なんかも自宅でどうにかしたい気はするが…こればかりは海の近い所に住んでいないとどうにもならんね、もう暫くは川魚で代用、海は…海竜とクラーケンが未だに暴れていて国内の海産物はちょっと値上がり傾向、後1ヶ月もすれば何処かに行くだろうって受付の人が言ってたけど…欲しくなるよねぇ、手元にない物ほど欲しくなる…出汁なんか日々使うものだから僅かな値上がりでもちょっと響いてくる、だからこその代用品なんだろうけども…
…よし、明日はちょっと海に行こう、鰹節を利かせた麺つゆでうどんを食べたい、現地に行けば少しは安く買えるはず、逆に出荷して以降材料が取れず、現地にだけ無いなんてこともなくはないだろうけど。
その時はその時か、貝類には影響がないはずだし、貝の出汁でお味噌汁にしよう、駄目だった時の為に熊手とバケツを持って行けばいいな、自由に捕っていいかどうかは現地に漁協が有るだろうし、そこで聞くとしよう。
「うむ、コートの丈とかはちゃんとあってるな、よし、行ってこい」
「客観的に見てもおかしい格好としか思えません」
出来立てピカピカ駄犬のファーコート、干潟に入るための胴付ゴム長靴、軍手に手拭い、バケツに熊手、ファーコートが潮干狩り一式を台無しに、潮干狩り一式がファーコートを台無しに…現地で着用しちゃダメだったの?
「少しは自分の見た目を気にしろ、ただでさえ注目を集めるのに、ファーコートだけだと女どもが寄ってくるだろ、少し変にして遠ざけるくらいで丁度いい」
「あ、そうですか…」
「分かったらそのまま行ってこい、途中で着替えんなよ」
見た目を気にしてくれた結果がギリギリ通報されないこれなんだろうけど…別の意味で視線を集めている気がしないでもない、すごく残念な物を見るような目で見られているし、同じ馬車に乗った人達もどう反応していいのか困っている、こちらもどう反応し返していいか困っている。
気まずい空気のまま2時間程揺られ続けて目的地に到着、そそくさと下りていく同乗者、少し離れた所でほっと一息をつく同乗者、変化格好ですみません…着替えたら怒られるんです…
気を取り直して、露店を開いているおっちゃんおばちゃんに漁協が有るかどうかを聞き、一帯の漁業を仕切っている所があるというので場所を聞き出し移動、さて、貝を捕るのは無料か否か、どっちかねぇ…
「貝類は密漁の被害に会って数が激減してるから当分は捕るのは禁止、鰹節と乾燥昆布は漁の再開のが来月の半ば予定でこちらも在庫はほぼ無し。
海竜とクラーケンを追い払ってくれたら量は明日にでも再開可能だな、干潟への立ち入り許可が出るは3ヶ月後だな、再開後もここで券を買わずに取ると密漁で犯罪になるから、犯罪者になりたくなければちゃんとここで発行している券を買えよ、ここに聞きに来ている時点で大丈夫だとは思うが」
「鰹節と昆布は予想してたけど、アサリも駄目かぁ…個人で海に出て漁をする場合は?」
「船を出すと直ぐに海竜とかがすっ飛んできて沈めるから船を出しての漁は無理、後漁をするなら此処で許可を取る事、捕った魚は一度全て市場に持って行く事、釣りなんかも許可証が必要だな。
船を沈められても良いのなら許可証は発行するが?」
「んー、取りあえず許可証貰おうかな、いくら位?」
「日券で10万、週40万、月100万、年券で500万だな、漁業で生計を立てるなら月券と年券どちらを買うかの見極めもするように、当然ながら船を沈められても補償なんかは一切ないからな、そこを踏まえてよく考えるように」
「んー…何所で何が捕れるかもわからないし、日券で、それと捕った魚を入れる網はここで取り扱ってる?」
「日券が1枚とスカリが…大中小どれにする?」
「中でどの位?」
「大体100キロだな、大で最大300キロまでは入る」
「どれくらい捕れるかもわからないし中かな、後は手掴みで取るから道具はいいや」
「はいよ、日券とスカリ中で12万ペッタンコ、スカリはレンタルだから壊すなよー、壊したら追加で1万の支払いな、全損なら8万」
「はいはい、それじゃあ適当に海に出てみようかな」
「おう、気ぃつけてな、捕った魚は一度全部市場に持って行くんだぞー、それと…
せめてコートか長靴一式どっちかを変える事は出来んのか?」
「変えたら怒られるから無理」
海はべたなぎ、風も弱ければ天気は晴天、お散歩日和ってやつだねぇ…さ、海に出ましょ。
船を繋いである港から海に繰り出し、沖へ出た所で海の中に潜りどんな魚がいるかの確認、チラッと見るだけでもシイラにカジキにマグロにカンパチにヒラマサに…季節感もなければ統一感ねぇな…生息するための環境すら無視していて狐さんの海に近い様な…大きさはそれほどでもないけど…
これだけ魚影も濃いのであれば海竜やらクラーケンが食事に来るのも納得、遠くで大型魚を捕食しまくっているし、満足するまで食べたらまた他の所で、と言った感じなのだろう。
まあ、あっちはあっち、こっちはこっちでお魚さんを捕まえるとしましょ、スカリの容量は100キロまで、カンパチをメインにサバやアジ、たまにスズキなんかも捕獲してスカリの中へ、何層かに分かれているのでちゃんと種類分け、あれもこれもと捕っているとスカリの重量制限に引っかかったのか口が開かなくなった。
ふぅむ、最後に何か大型でも捕まえて引きずって帰ろうかな、カジキか、それともマグロか…ハリバットって手もあるな…でも捕まえてる魚が水圧の変化に耐えれないか、マグロにしておこう、ちょうど近くを回遊してるし、どいつが良いかなぁ…こいつかな?
目の前を通過しようとしていた一際大きなマグロを仕留め、血抜きをしながら港へ戻り、港で働いている人にスカリを渡して運ぶのを手伝って貰いつつ市場へ、市場に運び込まれた魚は直ぐに内臓などの処理、氷で冷やして競りにかかる、欲しい魚は競りが始まる前に確保して置けば持って帰れるらしい、欲しいのは鰹節なのでカツオが2匹、マグロはどうしようかな…値段を聞いてからにしようか…
「マグロあれ1本でいくら位付きそう?」
「そうだなぁ…最近は漁に出れてないからあれ1本で3500万ペッタンコかな?
そうでなくても2000は硬い所だな、切り開いてみた所身は締まってるし脂ものってる、重さも400キロと申し分のない大物、1本丸々は今の海の状態だと売れないが…
持ち帰るなら欲しい部位を持って行っておくれ」
「ふむ、なら腹の部分を100と背の部分を100ずつかな」
「はいよ」
赤身と大トロの部分を100グラムずつ包んで貰い、その後切り分け部位毎に競りにかける、赤身に中落ちにトロに兜に、骨まで余すところなく競り落とされ、マグロだけで3700万ほどの収入に…アジとかサバ、スズキ等は全部で50万ペッタンコほど、マグロ高いなぁ…日券買ってマグロ1匹捕るだけでも生計が立てれそう…
「スカリは欠損なしだな、また魚が捕りたくなったら来てくれや」
「次はいつ来るか分からないなぁ、目当ての物は捕れたし」
「そうか、まあ来月には漁も再開するだろうし、その時は色んな海産物が並んでるだろうから気軽に寄ってくれ。
それと…せめて今度からは着替えてから来てくれ…海水が入り込んでダポンダポンいってんぞ…」
「あぁ…」
誰も何も言ってこなかったから特に気にしてなかったわ…胴付で素潜りすればそりゃ腰から足元まで海水が溜まって歩くたびに音が出るよねって…どこかで脱いで海水を抜いてくるか…
適当に砂浜に下りましてー、まずコートを脱いで干しまして、胴付を下せば溜まった海水がだばー…っと、脱いで引っ繰り返せば足元まで溜まった海水もほぼ流れ落ちる、しっかりとした洗浄は帰ってからだな、取りあえず馬車に乗れる程度には綺麗にしておきましょ、駄犬のコートも海水で少々ベッタリしているが丸洗いできるし、何処かで洗い場を借りて洗えばいいか。
ふんふんふーんと適当な鼻歌を歌いつつ、胴付を再び身につけ、コートを勢いよく払い海水をある程度弾き飛ばす、後は水場水場…市場に戻って借りればいいか、市場まで引き返し水場を借り、コートを適当に丸々水洗い、再び水を切りある程度乾かしたら身に着けて帰りの馬車に。
ただ当然のことながら…乾いてないので濡れているし、行きよりさらに怪しくなっているので馬車内の空気はさらに重く気まずく…潮干狩り用のバケツの中に氷とカツオが2本突っ込まれているし、そのバケツの中からはマグロを包んでいる紙がちょっとはみ出てるし…怪しさは満点だな、潮干狩りに行ったと思ったらカツオと氷を持ち帰ってきた、さらに全身びしょぬれで、通報されない事を願いましょ…
「おう、おかえり、洗濯物全部出してとっとと風呂入ってこい、ちょっと潮臭いぞ」
「はーい、貝は捕れなかったけどカツオは捕って来たから、後で鰹節にでもタタキにでもお好きな様に、紙に包んであるのはマグロ、それもお好きに」
「おう、後で刺身にでもするわ」
予定とはかなり違ったが、捕ってきた物を渡し、洗濯物を全部出してお風呂でのんびり…はぁー…ちょっとした臨時収入も有ったし、維持費を追加で払っておこうかなぁ…それとも温室を増やそうかなぁ…栽培が有るのなら養殖もあるかもしれないけど、漁協らしきところにそんな物は無かったしなぁ…また明日にでも聞きに行こうかな、それで養殖ができるならエビ位は養殖したい所、食用に釣り餌にと幅広く使えるし、釣り道具もどうにかしないとなぁ…
「晩飯できたから早く風呂から上がってこーい、頭とか洗うのに時間がかかってるのなら洗ってやるから言え」
「あー、もう上がるから大丈夫」
さて、夕食を食べたら少し早めに寝てログアウトしましょうかね、朝一でちょっと調べものだ。
「んー…」
「どったの?」
「いやー、ご主人様が順調に有名になって行ってるなーって、潮干狩りスタイルに駄犬のファーコートって馬鹿だよね、怪しさが凄い。
見た目は良いのに組み合わせが酷くて台無しにしているというか、声を掛けがたい雰囲気を醸し出しているというか、すれ違った人の殆どの感想が残念な人で一致してるね」
「ほーん…」
「まあ、それは別にどうでもいいけど、住人以外の人と付き合っていくかどうかはご主人様の自由だし、問題はイベントが未だに何一つとして思いついてい無い事だねー。
対人イベントは好みが分かれるけど好きな人は好きだし、採取系のイベントだと縄張り争いが発生するし、討伐系に関しては上と下の差が酷すぎてバランスとれないし、難しいんだよねぇ」
「それぞれのイベントで得られるものは…?」
「対人だと参加した人の中ではこの人が一番ですよーってのくらい、採取だと1週間薬草とかが採り放題のマップを解放するくらいですかね、時間制限も何も無しの場合はそれこそ縄張り作る奴が出ますし、常にいる人が有利になるし、時間制限を付ければ常にいる人がなぜか文句を言い出す始末。
まあ採取は時間制限有で文句を言う奴は無視ですね、それで討伐の場合は…どの辺りでしょうね…スライム大発生とかが面白そうですかね?そこいらのゲームと同じ感覚でやると間違いなく死にますけど。
初回だし、3つくらい同時にやろうかねぇ、人とやり合いたい人は対人に行けばいいし、普段は少しずつ栽培して調合と化している人は採取に行くだろうし、皆とワイワイやるのが好きな人は討伐で分かれると思うし、ちょっとくらい派手なほうがいいよね」
「ルシフの作ったゲームだし、好きにすればいいんでない?」
「まあ適度に楽しませつつ、だね、明らかに現時点ではどうあがいても無理な物を倒せるようにしろとか言うのは無理だけどね、知恵も搾らない、自分を鍛える事もしない、それで倒せるようにしろとか色々となめてるしねぇ…
対人は補正なしの採取がゲーム内時間1日2時間制限の…討伐が…別マップに移動で大量発生系かなぁ…野犬の群れからヒグマの群れ、よくあるゴブリンやコボルトにスライムの群れ…うん、これで行こう。
これでも満足しない人向けに超大人数レイドも組んじゃおう、何とかダメージが入って頑張れば倒せる程度…陸地に打ち上げられたクラーケンくらいが良いかな、あれほっとけば窒息死してくれるし、下手に殴り掛からなくても知恵を絞ればちゃんと勝てる奴がいるよって教えるのにいいかも知れない…逆に浅瀬フィールドの海竜で派手に散って貰うのも…」
「まあ私は調べものがあるから屋敷の方に戻ってるね」
「はいはい、イベントをやる時は告知が出るから、まあ参加するなら言ってね、運営権限で拒否するから」
「それはそれでどうなんだ…」
自宅で出来るエビの養殖はー…あった、えーと何々…エビの生育に適した環境作りから始めましょう、必要なのはまず何よりも水、川エビであるなら川の水、海のエビであるなら海水を循環、濾過させるための…
以上を整えたら生け簀を作り…雄と雌を離し、餌となる団子を日に決まった回数与え…生育開始から1年程で出荷可能…ふむ、小エビならそんな物か、海水の確保ができれば後は温室と循環濾過をするための装置、それとエビを捕まえてくれば出来そうね、定期的に海水を取り換えないと駄目だけど、よし、装置の図面も記憶したし、いざ、エビの養殖業者に転職だ!
「エビの養殖?それを家でやると?…病院行くか?いい医者知ってるぞ?」
「出来る事をしようとしただけなんだけどなぁ…」
ここに温室を作ってエビの養殖をするといいだしたら病院に連れて行かれそうになってしまった…出来ると思うんだけどなぁ…
「まずここは山間にある街で海から離れてる、養殖するにしてもせめて川エビだろう、できれば手長エビが良いな。
それと養殖するための機材等一式だが、増えすぎたりした物をその辺に離して生態系を壊す奴らも居なくはないから念書やなんやと色々必要だ、これはペットとして買う時も一緒な、邪魔になったからと言って隣の国から入ってきた観賞用の魚なんかを川に離したら罰金5000万ペッタンコは覚悟しておけ、その川で捕れた物を増やしての放流であれば組合が買い取ってやってくれるからそこも覚えて置け。
それと養殖するのなら家をもう少し大きい家に買い替えろ、いや、家と言うよりは土地だな、家は使用人を増やしたりしなけりゃ今のままでも十分広い、詰所に行って土地を広げたいから土地を買いたいって言ってこい、その間に養殖の準備を整えておいてやる」
「あ、はい、行ってきます」
「コートを着ていくの忘れんなよー」
ふぅむ、家をそのままに土地を広げる事も出来たのか、まあこの辺り一帯はまだ誰も入居してないし、そもそも何も建ってないし、それなら土地を買う事も出来るか…?
「おっちゃん土地を売っておくれ?」
「んお?家じゃなくて土地か?」
「土地、いろいろ手広くやってたら土地が狭いから買ってこいって言われて…」
「えーとお前さんが今住んでいる所は…あー、まだ周辺に誰も住んでないから空地の状態か、建物無しの土地だけなら…今の家と同じ土地の広さで1億、新しく家を建てるなら以前と同じ5億で使用人付、土地と使用人だけなら大幅に値引きして…2億5000万ペッタンコって所か、どうする?後で1億5000万追加で払って保留しておいた使用人を付ける事も出来るぞ」
「あー…じゃあ家の周囲5ブロックと使用人1人追加で、また稼いでこないとなぁ…」
「はいよ、使用人はカタログを送るから今いる使用人と相談して決めてくれ、維持費なんかは追加で払う必要はないぞ」
「はいはい、んー…残高が3億ちょっとになってしまった…ここからまだ出費があると思うと辛いなぁ…」
「それでも安定した稼ぎは有るんだろ?でなきゃ追加で土地を売る事なんかできねぇって、今のところ家を持ってるのはあんただけ、それ以外は良くても家賃50万の賃貸だな、追い出される奴も少なくはないが」
「次に稼げるのは2ヶ月後かなぁ…マグロ漁なんかも稼げそうだけど」
「まあ自分のペースで無理のない範囲でな、維持費滞納したら水道とかは容赦なく止めるけど」
「追加で払ってるから10年は大丈夫」
「そうか、気を付けて帰れよー」
「それじゃまたねー」
よし、家に戻って養殖の準備を進めよう。
「病院行くか?いい医者知ってるぞ?」
「えぇ…」
「土地を買って来いとは言ったが、誰が此処まで買ってこいと言ったよ、一体何を作る気だよ?」
「買えるうちに確保しておこうかなーって?まだこの周辺は誰も住んでないし、人が住み始めてからだと土地が必要になった時に飛び地になりそうだし…」
「まあそれはそうだけどな…でも限度ってものがあるだろう、工場でも建てるのか?」
「んー、適当に農場でも作ろうかな、温室沢山設置して、まだレンコンとかお米専用の畑とか田んぼが無いし」
「俺の身体は一つしかねぇよ?管理させたかったら使用人増やせ使用人、でも変なのは雇うなよ?教育するのがめんどくせぇ」
「使用人のカタログが届いてるはずだからまあ、後で見よう」
「だな、取りあえず養殖の許可証は貰ってきたから、何所に設置するか決めてくれ、範囲は25メーター四方だから新しく買った土地な」
「まあ、無難に一番近くのお隣だよね」
「はいよ、後は水とか薬剤が循環して馴染んだら準備は終わりだな、増やすための手長エビは明日入れておくから新しい使用人決めるぞ」
「あ、はい」
どっちが使用人でどっちが主なんだろう…まあ何もできないさせてくれないほうが主だよね、うん。
「ダメ、ダメ、これもダメ…どうにも不作ですね」
「もう適当に決めちゃわない?皆似たり寄ったりだよ、得意分野が」
「ここで妥協すると後々面倒ですからね、これは一から教育する方がましだな…斡旋所言って新入りのカタログ貰ってこい、こっちのカタログは全員不採用って伝えて置け」
「へーい…」
口調が戻ったり荒くなったりするタイミングが未だにつかめん!カタログよりそっちが気になる!でも全部不採用を出された以上は次のカタログを貰ってこなければなるまい…さ、斡旋所に行こうか…
「このカタログ全員不採用だそうですので、新人さんのカタログを下さい」
「少々お待ちくださいませ…こちらが新人のカタログとなります、まだまだできない事の方が多いですがよろしいですか?」
「あ、はい、それでいいです」
「分かりました、ではお決まりになりましたらカタログの方からお雇い下さいませ、またのお越しをお待ちしております」
よし、新人さんのカタログを貰えたし、家に帰るべ…
「んー、キープ…ダメ…キープ…あ、この人は伸びそう、キープ…御主人今幾ら持ってます?」
「端数切捨てて残高3億ペッタンコ」
「3億…後2人までなら可能…伸びそうなこの人は取りあえず付箋つけて…あ、この人は…即決、この人も即決、後1人は…こちらの方が良さそうですね、こちらの方で…」
「決まった?」
「はい、きまったぞ、詰め所行って追加の3億払ってこい、後は俺が教育しておいてやるから、まあ来週には仕上がってるはずだ」
「はい、行ってきます」
さらばちょっとお金持ち生活、こんにちはまだちょっとお金持ちな生活、まだマグロで稼いだ分が2000万は有るしね…まだ行ける、まだ行ける…
「それで、追加の2人分か、はいよ、確かに3億ペッタンコ、余り散財するなよー」
「うへぇーい…」
基盤を整えたと思ったら一気にお金が飛んでいった今日この頃、養殖を考えたのが悪かったのか、新しい使用人を雇うと決めたのが悪かったのか、どっちなんだろうねぇ…
家に戻ると新人さんを教育中のカトレアがいたのでちょっと稼ぎに行ってくると伝え、本日何度目かになる斡旋所へ…ペッタンコだ…今はとにかくペッタンコが要る…短期で高額の依頼を探さねば…
「一月以内で5億ペッタンコ位稼げるの無い?もしくは無期限で10億位の…」
「少々お待ちくださいませ…1ヶ月以内ですとこちら、鉱山に住み着いた魔物の一掃、火山の特殊鉱山に住み着いた魔物を全て排除するのが目的です、フェニックスのいない今しか採掘ができない為緊急依頼となります、成功報酬は6億ペッタンコ、期限を1週間過ぎるごとに1割ずつ減って行きますのでご注意を。
無期限で有ればこちら、ホムンクルスの製造、未だに成功させた者の居ないホムンクルスの成功例の提出、1体につき3億、最大10体まで買い取りで30億ペッタンコ、ただ材料すらわかっていない物ですのでお引き受けするかは慎重に。
妖精の捕獲、森の奥に精霊や森人達と暮らしていると言われている妖精の捕獲、報酬は1体につき50億、彼女たちの能力は凄まじく、捕まえようとした人たちは例外なく全員死亡したそうです」
「あー…鉱山の方で、無期限の方は絶対に受けない…」
「分かりました、鉱山の場所はこちらになります、期限は1ヶ月以内、2週間以内に完了すれば4億上乗せされますので頑張ってください、それではお気をつけて」
「よし、ちょっくら鉱山までひとっ走り行きますかね」
というか何所の誰だよ…ホムンクルスの製造法を知りたがったり、妖精族を捕まえようとしてるのは…まあいいや、さっさと鉱山いって依頼をこなしてしまおう、森の奥に住んでいるという情報は貰えてるし、駄犬と戯れながら探してみるのも有りか。
「はい、依頼の終了を確認しました、こちら10億ペッタンコになります、お疲れさまでした」
さて、散財した分も戻って来たし…一旦家に戻るか、森の探索はお昼を食べてからにしよう、毛刈りの道具は…まだ生え変わってないだろうし、要らないか。
「ただいまー」
「おう、おかえり、ひよっこどもは疲労で倒れてるから挨拶はまた今度な、昼飯はもう用意できてるぞ」
「あ、じゃあ頂戴、お昼からもちょっと出かけるから」
「おう、替えの服を用意しておくから飯食ったら出かける前に着替えてから出かけろよ」
「はいはい」
はぁー…ちゃんと出汁を取ったお味噌汁は美味しい…手長エビのから揚げも揚げたてサクサクで何とも言えない美味しさ…ご飯も贅沢に各種茸の炊き込みご飯、漬物も自家製のごりごりで塩辛い沢庵が一切れ、これがまたいいんだよね、塩っ辛くて一切れでいくらでもご飯が進む…
「ご馳走様…よし、そろそろ行くか」
「せめて30分くらいは休憩しろ、ほら」
ソファに座らされ、頼んでもいないのに肩や腕をマッサージしてくれるカトレア、うぅむ、性格がよく掴めん…
「これで良し、着替えを用意しておいたから着替えさせるぞ」
ただこの選択は如何な物か…
最近お気に入りになったのかファーコートは確定、ストローハットにアロハシャツ、ハーフジーンズに真っ黒のサングラス…なんかの映画で見たマフィアか何かかな…?
「よし、行ってこい」
「行ってきます…」
ま、駄犬のいた所よりさらに奥に居るかどうかはまだわかんないけどねー、居なかったら…駄犬と追いかけっこをして帰ろう。
「何か何処かのマフィアの下っ端かボスが遊んでるって話題になってるね」
「ほーん?」
「まあパッと見はただの不審者だよね、ご主人様」
「私の選んだコーディネイトじゃないんだけどなぁ…」
パッと見マフィアの下っ端に見えて、上等なファーコートを着ているが故に判断が付かなくなっているらしい、ただのプレイヤーの1人でしかないんだけどねぇ…森の奥地に妖精は居なかったし、ただただ悪眼立ちしただけな気がする…
てこ入れ
普通の一般ゲームと同じ様に採取しまくったりリタマラをやったら消耗品があほほど値上がり、薬草なども全滅した
無視しても良いけどちゃんと開墾などをしている人にまで被害が出るためてこ入れと言う形で区別をつけた
開墾リタマラ
まとめなどでは短期で稼ぐ方法として推奨されている、鵜呑みにしてリタマラをすると後で痛い目に合う
実際は繰り返し受けて最後までやるほうが最終的な稼ぎも多いし、1000万相当の温室も1個ついてくる
初めての開墾で1ヶ月超えても次にやれば人よるけど2.3週間、その次にやれば1週間以内に終わる程度には筋力もスタミナもついて効率化もされる
白銀のファーコート
駄犬の毛を使ったファーコート、火を点けても燃えないしふわふわもこもこで気持ちが良い
うっすら輝いていてすごく目立つ、間違えても潮干狩りに着ていく物じゃない
うっすらと白銀に輝く…海の中…どう見ても疑似餌です
胴付長靴
手ぬぐい、熊手、軍手、バケツを付ければ潮干狩りスタイル、腰まで水が来ても大丈夫、超えて入ってくると脱ぐまで水がたまったまま
ファーコートを上から羽織れば一気に怪しい人になる、もしくは残念な美人
密漁
干潟や浜辺でいくらでもアサリやハマグリが捕れるからと人が殺到、券を買わなくても捕れるのでタダで捕れる、余った分は売ればいい、なんてやってたら立ち入り禁止になった
そもそも密漁した物は個人取引の時に盗品ですと警告が飛んでくるので買う方が少数、それでも買ったら同罪、衛兵に見つかり次第罰金と懲役
ちゃんと密漁にもならない捕り放題の所もあるにはある、人の手が入っていない無人島やまだ誰も見つけていない入り江など、そこは管理外なので密漁にもならない、捕りすぎても全滅するだけですむ
イベント
バランスを考えるととても大変、PvPは補正なしだと虐殺、採取系は時間制限が無いと常時いる人が有利、討伐系も差が出る
そもそも特化している人に勝てるとしたらまぐれ位なのだがそれでもバランスがどうのと騒ぐのがいる
養殖
他の所に放流しない等念書を書かされる、放流したら最低5000万、各所に放流すると億の罰金が発生
ペット等も同じ、最後まで責任を持って面倒を見る事、今の所外来種の放流等は行われていない、したらその場で取り押さえられて放流した物も即殺処分になるので増える事は無いが…
土地
余裕を持って家の周囲5つの空き地を買った
5億~200億の家が建つ土地一つ辺り100*100、家の周囲を囲う様に買った、が、5つ購入は流石に広すぎである
空空空
空家空
無人の大通り
ホムンクルスの製造
ここでの製造法は龍族の鱗に精霊や妖精、森人から聖水等を提供して貰い、高純度の属性を含んだ石、母方となる人の血、父方となる人の血を混ぜ合わせないと駄目
どれかの種族と敵対した時点でもう作れない、作るなら作るで材料が貰えるくらい仲良くならないと駄目
生まれたばかりは感情が無い、どう育てるかは作った人次第
妖精誘拐依頼
見える地雷、友好を装ってかどわかすこともできる、が…
取りあえずバカ高い報酬の依頼がないかと聞くと出してくれる、そして妖精などの存在を知って喜ぶ人が居る




