ぶわぁちぁるりありてぃ 色々とリアルって言ったじゃん…
「ほら御主人、飯だぞ、さっさと起きて食いやがれ」
「もうそんな時間か…」
暫く放置できるように急ぎで稼ぎ、使用人が無料で永続雇用できる家を買い、のんびり過ごし始めて少々、書置きを残していった使用人と連絡は付かず、暫く枠が空いている状態にして生活をしていた所、最近フリーになって次の雇主を探しているというので再雇用したのだが…
なんか荒んでる気がするんだけど…何が有ったんかね?見た目は変わらないが中身がかなり変わっている気がする…
「とっとと餌食って斡旋所で仕事貰ってこい、家賃払えるだけのペッタンコが手に入るまで帰ってくるなよ」
「家賃も何も、家は持ち家だし、もう5年分は支払済ませてるから次に支払うのは6年目からだよ」
「あ、そう、じゃあいいや、ん」
「うん?」
「ん、当分生活して行けるだけのペッタンコを寄越せ」
「あぁ…はいはい…じゃあ1億あればいいね…」
1億渡してもまだ9億ペッタンコは残るから大丈夫、大丈夫だきっと、多分…使い込みはしないだろう…
「何か程よい依頼はなぁい?短期でも長期でも緊急でも」
「少々お待ちくださいませ…紹介できる依頼はこちらになります」
えーと何々…新しい農地の開墾、期限が1週間で1ヘクタール…鬼かな?人海戦術なら兎も角支給品がクワだけで一人用とか…あ、でも期間が過ぎても1ヶ月以内なら報酬が減るだけで済むな、4分の1まで削られるけど、1週間以内に済ませれば家庭菜園用大型プランターか…雑貨屋さんで買えばよくないこれ?
「報酬が大型プランターって微妙じゃない?」
「そちらのプランターは収穫と雑草処理以外は自動で済ませてくれます、また、植えた植物によって適切な温度管理や土の栄養管理なども調整してくれますので、お気軽に家庭菜園で野菜などを作る事ができます、詳しくは報酬で得た際に付属する説明書をお読みください」
結構便利な物だった、収穫と雑草抜き以外は放っておけばいいとは…野菜とか値上がりがまだ続いてるし、ちょっと農地の開墾に行ってきますか、ペッタンコは5万程度だけど特別報酬がメインだなこれは。
「開墾するのは何所で?森を切り開く必要はある?」
「こちらを持って指定の場所まで行けば案内してくれる人が居ますのでそちらの方の指示に従ってください、森を切り開く必要は今のところ無いようです、ではお気をつけて」
ふむ、まあ支給品が貸出のクワ1個だし、森を切り開くとか普通は無理よね、伐採して根を掘り起こしてってしないといけないし、その場合はノコギリ位は追加されるはず…
依頼書と言う名の応募書類を持ち、地味に行列ができている所へ並び、列が進んでいくのを待ち続け、10分くらい待った所でようやく私の番場回ってきた、最近は農地の開墾が人気あるの…?
「次はあなたですね、依頼書をこちらに…はい、確認しました。
こちらが開墾用のクワ、貸出品ですのでお帰りの際はあちらの倉庫に返却を、では看板に5の9と書かれている所をお願いします、縄張りをしてあるのでその範囲内だけで大丈夫です。
依頼書にもある通り期限は1週間、期限を1週間過ぎるごとに報酬は25%ずつ減って行きます、1ヶ月までは待てますが期限を過ぎれば1からやり直しとなりますのでご注意を、では頑張ってください」
ふむ、1ヘクタールの縄張りが10かけることの10で一度に100人まで受けれる依頼か、採取以来だともう月1万乗るかどうかだから開墾を1ヶ月かけてもこっちの方が報酬が多い分こっちに来る人が多い、のかねぇ…特別報酬狙いかも知れないけど、野菜のお値段が上がって白菜が1個750ペッタンコとか、ダイコン1本450ペッタンコとか、割と洒落になっていない、そのための農地拡大かも知れないけども。
さて、私の場所は5の9で…ここだな、さ、頑張って開墾すんべ、岩から小石まで全部取り除いて、片隅に纏めて置いて、掘り返している時に出てくる石がなくなったら砕いて砂にして…
はて、畑にするとしても何用の畑…豆か、ダイコンか、それとも麦か…ゴボウだともうちょっと深めにして盛り上げないといけないし…まあいいや、畑とかとして使えるようにするのが目的だし、50センチほど掘り返しておけばなんにでも使えるか。
只管ザクザクと土を掘り返しては出てくる小石を纏めて置いて有る片隅に投げ捨て、投げ捨てては掘り返し、少しずつふかふかの土にしていけば…そう、壺だね、畑の中に壺は付き物だよね。
なんで開墾中の何もない荒野に壺が埋まってるのよ…勉強中に呼んだ昔話でもあれは既に畑として完成している所からだったじゃん…まあいいや、耕すのに邪魔だから引っこ抜いて片隅に置いておいて、残り5分の1…耕すべ耕すべ…
「はい、期限以内の終了を確認しました、クワを倉庫に戻してこちらを斡旋所の受付までお持ちください。
開墾作業は何時でも受け付けておりますので機会が有ったらまたお越しくださいませ」
あー、指定範囲内の開墾終わったー、農場に比べると範囲は狭いが、やっぱり一から開くとなるとちょっと大変だぁね、出てきた壺は持ち帰っても大丈夫と言う事なので、家に帰ったら開けてみようかな。
「…はい、依頼の終了を確認しました、こちらが報酬5万ペッタンコ、それと特別報酬の大型プランターの説明書がこちらになります。
プランターは自宅の空いている場所に設置されていますので、気にいらない様であれば説明書にある通りに移動させてください。
それでは、お疲れさまでした」
よーし、本日のお仕事終わり、開墾に3時間程掛かったが、気になったプランターは貰えたし、何か壺も出てきたし、早速家に帰って確認しよう。
「帰ってきましたか、このガラス温室邪魔臭いのでこちらに動かしてくれません?」
「あ、はい、説明書説明書…」
なになに…温室に誰もいないことを確認、誰も居なければ扉を閉め、脇にあるスイッチを押す、すると設置した時の範囲が表示されるのでお気に入りの場所を指定したら再度スイッチを押す、それじゃぽちっと…
「おお、便利」
ガラス温室は先程まであった場所ではなく、指定した場所まで瞬時に移動していた。
「で、何を育てるんです?花?野菜?この設備なら大抵の植物は育てられますよ」
「あー、そうだねぇ、野菜を育てるとしても種を買ってこないとねぇ…」
大型プランターと言うよりは超小型プラントと言えなくも無い気がするガラス温室、稼働させようにも種が無ければ育てられるものも無し…
「取り敢えず白菜、それとダイコン、後ネギと春菊の種買ってこい、今あほほど高いのはこの4つ」
「あ、はい」
うぅむ…何日あわざれば括目ーっていうけど、人はこうも変われる物なのか…まあ荒んでいるだけでよく働くし、頼んで置いたことはしてくれるからいいんだけども…取りあえず種を買ってこないとな、種は…何所だ、雑貨屋か…それとも農協か…
「雑貨屋は種と一部の農具だけ、農協は種と肥料、それと農具一式、種は雑貨の方が安いから種だけ雑貨で買って肥料と収穫用の籠とかハサミは農協で買ってこい、分かったらさっさと行け」
「へーい…」
種が雑貨のそれ以外が農協…よし、お買物終り、確かに雑貨の方が安かったけど種も地味に高いなぁ…ここまで影響が出てるし、食糧事情が落ち着くのはまだまだ先だねぇ…
「ほら、種と肥料寄越せ、それと説明書」
「どうぞ、こちらになります」
「んー…なるほど、この温室一つで1ヘクタールの畑1面分の生産量、それと種も採れるか…
取りあえず肥料は後でいいのに変えるとして今はこれで良し、収穫まで1週間、種が…」
「後はお任せしますね…」
「おう、壺は綺麗にして中身を種類別に分けて置いたから、必要のない物は適当に売ってこい、置いて有るメモの所に持って行けばその値段で買い取ってくれるから」
「あ、はい」
できる子なんだよねぇ…要らない物を整理するついでに斡旋所でどうしてああなったか聴いて来ようっと、まずは…メモに書かれている宝飾店か。
「こちら、カトレア様のご紹介と言う事で合計300万ペッタンコで買い取らせて頂きます、またのご利用をお待ちしております」
んー、通常報酬の60倍の稼ぎ…そんな物が埋まっているのであればただの開墾作業が人気なのも納得、全部が全部ここまで高額になるとは限らないだろうけど、開墾してあのプランターの上におまけで追加報酬もあると来ればやらない理由が無いよね。
さて、次は斡旋所で使用人の子がすさんだ理由を聞かないとなぁ…聞いたところでどうしようもないけど、流石にもう永続雇用で雇ったし、時間をかければ矯正はできるしね。
「と言うわけで雇用した…カトレアか、なんであんなに荒んだの?別れる前も元からちょっと雑な所は有ったけど」
「カトレア様が荒んだ原因ですね、少々お待ちください…お試し終了の翌月、契約の更新が無かったので
斡旋所で待機、新しく迷い込んできた方に雇われ1ヶ月、お試し期間中とはいえ1日の労働時間制限を超えてもあれをしろこれをしろと命令、お試しで雇った方は働かず家賃等も使用人に稼がせようとして家から一歩もでず、また事あるごとに合意も無しに手を出そうとしたため衛兵の手により拘束、現在服役中。
この辺りが原因かと思われます、それ以降はあなたに雇われるまでは実家に帰省、使用人としての仕事が来ても全て断っていたようです」
「ほーん、たまたま雇った人が大外れだったのね」
「そうなりますね、他に御用は有りますか?」
「んー、ぽっぽちゃんとひよこちゃんの復活周期ってどれ位?」
「フェニックス尾羽に炎霊石、またはフレスベルグの尾羽と氷霊石を合成して現地に持って行けば5日ほどで復活するようです、自然発生ですと3ヶ月毎ですね」
「尾羽は売っちゃったからもう無いし…石もないから…後2ヶ月待ちか」
「そうなりますね」
「じゃあ今の所は特に無いかな、それじゃまた」
「またのお越しをお待ちしております」
羽毛布団が持って行かれたから新しいのが欲しくなったのだが、3ヶ月毎かぁ…あっちのぽっぽちゃん達は翌日には復活してるんだけどなぁ…乱獲防止とかそう言うのかな…?
「ただいまー」
「もう飯と風呂の用意は出来てるからとっとと飯食って風呂入って寝ろ、後マッサージが必要なら風呂に入った後にでも言え」
荒んでいても優しいのかそうでないのか…でも羽毛布団を持って行かれたのは辛い、今の布団が悪いという事はないんだけど、別格だからなぁ…暑ければぽっぽちゃんの羽が適度に冷却、冷えればひよこちゃんの羽が適度な温かさに…そしてふわふわで柔らかくとにかく軽い、キャンプ用の寝袋にも使うほど、寝心地が良ければ目覚めも快適、早く次のぽっぽちゃん達が出てこないかなぁ…
用意された食事を食べ、お風呂に入ったら枕を返して就寝、ではなく継続のまま、今日は1日中遊ぶのだ。
「ん、今日は居るのか、追加で作るからちょっと待ってろ」
「はいはい」
朝食は目玉焼きに白ご飯、お味噌汁に納豆焼き海苔焼魚、これぞ朝食って感じがしなくもないね、お茶を飲みつつ追加を待ち、持ってきてくれたところで食事開始、焼き鯖に大根おろしを乗せ、ご飯と一緒にぱくっと…んー、幸せ…
「で、今日はどうするんだ?」
「うん?」
「朝から働きに行くのか昼から行くのかそれとも夜か、昼飯がいるのかどうか、どっちだ?」
「朝からちょっと遠出するからお昼はいらない、帰ってくるのも多分夜」
「食ったらすぐ出るのか?」
「ちょっと買い物とかしてからかな?バックパックも大容量のが欲しいし」
「そうか、ちょっと待ってろ」
早々に朝食を済ませると奥に引っ込み、こちらが食事を終える頃に戻ってきた。
「昼飯用の弁当、バックパックが欲しいならここ、表通りにある物より良い物を取り扱ってる。
耐熱耐冷耐乾、各種取り揃えてるし、ちょっと上乗せすれば耐火耐凍の物もある、全部に対応したのも有るがそう言ったバックパックは容量が少ない、使う場所に合わせて何種類か買って置け。
これ以上の物となると後は自分で材料を揃えて作るくらいしかないな、耐火ならフェニックスの尾羽、耐凍ならフレスベルグの尾羽を使えば燃える事も凍る事もなくなる」
「ぽっぽちゃんとひよこちゃんか…まだ2ヶ月あるんだよなぁ…」
「尾羽が無いなら羽毛でも良いが効果は落ちる、大容量に拘るなら尾羽だな」
特に火もついてなければ何も詰めていないキセルを加えて格好をつけるカトレア、君本当にどうなってんの…
「羽毛ねぇ…羽毛は布団に使っちゃったしなぁ…尾羽も売っちゃったし…まあ今は変な環境の所に行く予定はないから普通の大容量でいいかな」
「今何つったよ?」
「普通の大容量?」
「そうじゃなくて最初の方」
「羽毛布団に使った?」
「そう、それ、前にふんだくったやたらと寝心地の良い羽毛布団、あれじゃないだろうな?」
「アレだよ?ぽっぽちゃんとひよこちゃんの羽毛で作ったお布団」
「頭おかしいんじゃねえの?」
「羽毛布団に適した物を適した形で使っただけでおかしいとか酷い…」
「あれ1枚で軽く3億ペッタンコはしそうだな…路頭に迷いそうになったら売るか…」
「まあ、いいけどね…またぽっぽちゃんとひよこちゃんから羽をむしって来ればいいだけだし…」
適当に話し、お弁当とメモ帳に書かれた地図を受け取り、裏通りにあるバックパック専門店へ、お店の中は旅慣れた感じの人が数名、何所に行くかに合わせて選んでいるようだ、耐火が無ければ積んである物資は燃えるし、耐凍が無ければぶつけた拍子に破損、更には食糧等まで凍りつき何も食べれなくなる、場所に合わせたバックパック選びは大事だねぇ…そんなところに行く予定は…2ヶ月後か、でもその時は手ぶらでいいや、ぽっぽちゃん達をバックパックに詰め込むとか無理、容量が足りない…担いで持って帰って場所を借りて解体する方が楽。
今回必要なのは普通の大容量なので…まあこの辺りか、強度そこそこ、きっちりつめれば20キロ位までなら超えても大丈夫、これでいいね。
「おっちゃんこれおくれ」
「5万ペッタンコ」
「はいはい」
「また来ておくれ」
愛想は良くないが物は値段に比べて遥かに良い、耐性が必要なバックパックが入用になったらまたここに来よう。
今日の目的は特に何もなし、国境を超えない程度に適当に採取、後は森のもっと奥へ入ってみよう、以前洞窟に入って国境を超えたりもしたが、その上にある森がどうなっているかは分かっていないし、何か面白い物が有るかもしれない、気分はピクニックだな。
人の増えた森の中を歩き、採取しても問題のなさそうな物を採取、採りつくされて禿げあがり、何も生えなくなっている所もある、何でもかんでも根こそぎ採取したらそうなるよね、斡旋所でちゃんと最低でも5株は残せと説明されるはずだが、何も残っていない、これが森の全域で発生しているとなると…
ふむ…全滅する前に土ごと確保してプランターで育成しておくか、調合してみようと思っていたのにこのままだと出来なくなるのはちょっとなぁ…
まだ誰の手も入っていない奥地ならある可能性もなくはないが…あるという確証もなし、目についたら保護という名目で1種類づつ確保していこう、とはいえ大体採り尽くされてるんだよねぇ…雑草すら生えていないし…進んでいけば見つかるかなぁ…
これは確保、これも確保、これはもう確保した…これは…見たこと無し、確保。
奥の方はまだ誰の手も入っていないみたいだねぇ、とはいえ今のままだと何れなくなりそうだから早めに確保しておくに越したことは無し、バックパックに問題なくはいるまでは確保して行こう、気を付けて入れないと他の植物で潰れて台無しになるけど、もう後…大きさ次第で2種類が限界だな、そろそろ陽も暮れるし、後1種類見つけたら帰ろう。
しかし今探索している場所は奥地、見たこと無い物の方が多いのでまだサクッと目標の残りの1種類を採取、良し帰ろう、後は増やして置いてって言えば栽培して増やしてくれるだろう、あの温室だけで1ヘクタール分の生産力は有るみたいだし、特別報酬がまたもらえるようなら開墾に行っても良いし、貰えなければ買える所を聞くか。
さぁ、街に帰ろうかと言う所でさらに奥地の方から走ってくる…あれは駄犬…手持ちに毛刈りのための道具は…当然ない、遊んであげる余裕はなくもないが、バックパックが駄目になる…よし、走って逃げよう。
そうと決まれば街で一直線、ハハハハハ、捕まえれる物なら捕まえてみるが良い、何時もなら立場は逆なんだけどねぇ、絨毯や敷き毛布などに使うために追い掛け回し、捕まえた後は首から下はツンツルリン、一度にかなりの量が取れるので駄目にならない限りは新しく刈る事もないし、1日で元に戻るのだが…それは兎も角として今は振り切るのみ、さっさと家に帰って夕食を食べよう。
「ただいまー、これに入れてある草とか花とかの栽培をお願い」
「あん?どれどれ…あー、肥料が足りねぇな、後温室も、これは野菜と一緒の温室にはできねぇからここに行って温室買ってこい、今有るのと同じでいいから…500万も出せば買えるな、行ってこい」
言われた通りにお買物へ、農協で買えるようなので温室で肥料と一緒に纏めて購入、家に直接お届けとの事なので温室はもう家に届いているはず、ついでに採取した植物用の籠、雑貨屋で乳鉢やら薬研やら、試験管にフラスコにアルコールランプに…調合調薬セットを購入、栽培に成功したら暫くは室内で実験だな、イデアとかタニアとかエリス、ニールとかティアがいれば色々と捗るんだけどなぁ…精霊水やら鱗やら…調薬も捗れば肥料の問題も解決…ある程度再現しているのなら何処かに居るはず、暫くは家を空けて探し回るのも良いかもしれないなぁ…
お買い物を済ませ、家に帰り指定された場所に温室を移動、栽培を任せて夕食を食べ、お風呂で汚れを落とし枕は終了に、生活費も渡した、栽培も任せた、次にやりたいことは材料が潤沢に無いと捗らないので頻繁に行く必要も無し、暫くはやるべき事をやりましょ、まずは洗濯物からだな。
「んー…?」
「どしたの?」
「いやー、何か森の浅い所でいきなり死に戻りする人が大量に発生したって言ってたから記録を見てたんだけど、こんな所に出るように設定してたかなーって?」
「なんか変なのでも居たの?」
「なんか森の浅い所を駄犬がお散歩してるみたい、ここで採取して生計を立てていたプレイヤーは今有る資金だけでやりくりしないといけなくなったね、どのみちもう資源は枯渇してたからもう稼ぎも何もないだろうけど…あー…ご主人様を追っかけて行って、捕まらなかったからまた戻ってくるのをずーっと浅い所で待ってるのね」
「採取してる時に来るんだもん、毛を刈る道具もなかったし、適当に振り切って帰った、次に行くとしたら毛刈りのための道具を揃えてからだねぇ、家の絨毯を張り替えたいし、あぁ…そうなると機織りとかも一式そろえないと駄目か…」
「満喫してるねぇ、まあ駄犬はこのままでいいや、放っておけば帰るでしょ、内外の掲示板で森に入ったら一瞬で死んでアイテム全ロストするバグがどうのとか言ってるけど、多分に自分の死ぬ直前に起ってる事が把握できてないだけなので無視、そもそも死んだらペッタンコ半額徴収に所持アイテム全ロスト、と言うか死んだ場所にぶちまけるってのは仕様だし、食い荒らされるまでは残り続けるから拾いに行けばいいだけだしねぇ」
「そう言えば人が増えたといえば増えたけど、街がパンクしてないのはどういう事で?」
「それはただ単に初期開始地点の違いだね、ほぼ均等に振り分けてあるから一つの街で起こった問題は例外なく他の街でも同じような問題が発生してるね。
街周辺の資源の枯渇だったり、食料品の値上がりだったりと、ちゃんと色々リアルなゲームですって書いてるのに、殆どの人が根こそぎ持って行くんだよね、そのうち傷薬とかの材料は栽培してる人から買うしかなくなるだろうし、早めに栽培の環境を整えた人がプレイヤー間の経済を支配しそうだね、まあ環境を整えるのに最低1000万か、特別報酬の大型プランターを貰わないと大量生産できないけど」
「プランターと言う名前の温室なアレか…」
「アレだね、開墾のリタイアマラソンをしている人が多いけど、あれリタイアは回数制限あるし、ちゃんと最後までやった方が良いんだけどねぇ…
最初は期限切れたとしても、終わったら開墾作業に必要な筋力や体力は着実に成長していくから、やっていればそのうち1週間以内で終わるようになるし、埋まってる壺はその間給金が減るのを見越しての追加報酬みたいなもの、特別報酬を貰ったら壺はもうでなくなるけどね、代わりに報酬が倍になるけど」
「そう言えばプランターが貰えるのって1回だけ?」
「1回だけだね、じゃないと1週間以内にこなせる人は幾らでも貰えちゃうし、1000万の温室がもらえるんだからかなりお得でしょ、ちゃんと完了させれば少しずつ食料品が安くなるよ、タダにはならないけど、今ご主人様がいる所は…これは酷いね…白菜が1200ペッタンコって…開墾を完了させたのもご主人様を除けば3人、値が下がる速度より上がる速度の方が上回ってるね、内部はその街その街で掲示板を隔離してるし、外部で情報を拾わないとそのうち白菜が5000ペッタンコとか行きそう、もうギャグだね」
「うちはもう家庭菜園に手を出したからほぼかう必要はないかな…」
「売りに出してる食料品とかは基本プレイヤー向けで街の人とかには影響ないけど、寧ろ街としては懐が潤っている様な物だけど、どんなに高い余り物でも買ってくれる上客がいる様な物だし、安くして欲しいのなら頑張って開墾して畑を増やしてねって感じだね」
「あれ1回完了でいくらくらい下がるの?一応昨日やった感じでは行列ができてたけど」
「リタマラ組だから完了率は1%未満として、1回辺り現在価格が1%安くなる、初期設定価格の半額が最低値かな?そこまでは安くなる、白菜だと初期設定が200だから100が最安値、ご主人様の所は今6倍まで値上がり中、傷薬も…森に入れなくなったからプレイヤー向けは3万行ったね、来週には到達しそうだったけど、駄犬いい仕事するわ、1週間も早く傷薬の上限値まで持って行くとは」
「店で取り扱ってる傷薬って効果どんなもんなの?お世話になる事が無いから常備すらしてないんだけど」
「打ち身擦り傷切り傷程度ならすぐ治る、骨折や切断も1瓶でくっ付く、2便で痛みも全部消えるかな?
使い方も街の人とほぼ同じだね、住人は各種病気の治療薬としても使うけど、そっちは上かな?
特級になると各種欠損、末期の病気なんかも治るよー、妖精やら精霊から材料貰わないと駄目だけど、上くらいなら森で手に入るのから作れるね。
ちなみに解毒や麻痺直し、盲目治療等は別の材料が必要だから、たまには森以外にも、だね、特級なら全部治るけど」
「まあ暫くはゲームは無しかなぁ、生活費も渡してお仕事はお任せして来たし、栽培を任せた植物が増えないと何もできない、ぽっぽちゃんもまだ生き返らないって言うし」
「まあ、流石にね、毎日毎日生き返ってたら特殊鉱山に入れないし、ゲーム内3ヶ月、リアルタイムで42日はちょうどいい位かと、そもそもぽっぽちゃんとかひよこちゃんとか、一般プレイヤーだと最低でも5年は鍛え続けて、なおかつ耐火、耐凍装備一式揃えて、人数も…大体400…500くらいかな?それくらいで挑むような物よ。
5年間わき目もふらず肉体を鍛えに鍛えて、自身も音速で動けるようになったらぽっぽちゃんとか駄犬に何をされたかも分からずに死ぬ事は無くなるね、後は囮と攻撃で分かれて全滅する前に仕留めれば大丈夫、現代兵器こそ最強ー、なんて言って再現して使っていると、森に出てくる野生動物位が限界になるかな」
「ほーん、ぽっぽちゃんと駄犬なのにねぇ…」
あの農場で野菜などに取り付いた虫をついばんだり、たまに収穫したての大豆やお米を貰って喜んでいるぽっぽちゃんにひよこちゃん、ただそこに居るだけの駄犬…想像ができんな…
「普通ならそうなるって事よ、ゲーム補正で急成長させても、ちょっとした人生をかけるくらいの気概で行かないと駄目ってやつ、ちなみに1日6時間睡眠で毎日ゲーム内で12時間鍛えた場合5年だから、1日12時間のゲーム内丸1日ならもうちょっと早くいけるね」
「まあ久しぶりにぽっぽちゃん達の顔も見たくなったし、ちょっと農場で作業してくる」
「はいはい、行ってらっしゃい」
んー、駄犬に会うかも知れないし、ちょっと良いお肉も持って行こう。
「ピ、ピ」「クルルッ」「ハッハッハッ」
「何もしないときは寄ってくるんだよなぁ…」
まだ穂が固まる前の稲をひよこちゃんに、採れたての大豆をぽっぽちゃんに、ちょっと良いお肉はお皿に乗せて駄犬に、んー、やっぱり良い触り心地だよなぁ…
必死て啄んでいるぽっぽちゃん達の頭をぐりぐりわしわしと撫で、駄犬の毛をブラッシング、食べる物が無くなるとさっさと何処かへ行ってしまったが、まあ気まぐれなペットってそんな物よね、飼ってるのは私じゃないけど。
短い間だったか、久々に顔を見たので土いじり、そう言えばニンジンとかゴボウを育ててないし、レンコンはレンコンで専用の畑が必要だよなぁ…今暮らしてるのは2人だから温室1棟でほぼ賄えるが、お米に小麦の主食に、じゃが芋に玉ねぎに…生産力はそこそこあるとはいえ、出来るなら早めに整えておくべきか…
土いじりを終えた後は図書室で調べ物、機織り機ってどうやって作ってたっけかねぇ…
「ピギィィィイイイッ!」「ピギャアアア!」「キャイン!キャイン!」
「うん?」
何やら叫び声が聞こえたので外を見ると…丸鶏と剥げ散らかした犬になったぽっぽちゃん達がいるね、たらふく食べて油断していた所を狙われたか…
暫くは洗濯やら食事の用意やらをしつつ屋敷に通い、機織り機や製材に使う機材、脱穀機やら石臼やらの作り方を頭に叩き込み、必要な物を覚えた所で久々にログイン、3週間もは経っていないが…どこまで増えたかなぁ…
「うん?起きたか御主人、採取した薬草一式は全部干して倉庫に入れておいたから使う分だけ持って行け」
「あー、ありがとね」
採取した物は順調に増えている模様、ただ温室は3棟位は増やす必要がありそうだなぁ…でもこの家の庭はそんなに広くないし、後どれ位設置できるだろうか…農協に行って聞いてみればいいか、その前に頭に叩き込んでおいた機織り機やらの図面を紙に起こして設計図…
「あん?機織り職人にでもなるのか?それとも機織り機を売るほうか?」
「どちらかと言えば前者かな、他にも脱穀機やら色々作るけど、駄犬を見かけたから毛を刈って絨毯とか織り物を作ろうかなーって」
「紡績をができないと機織りは何の意味もないんじゃなくて?」
「…忘れてた…」
そうだよね、紡いで糸にしないと駄目なのに機織り機だけあっても何もできない…
「紡績と機織りならここ、脱穀や製粉はここ、自分で織物をする場合は1日1000ペッタンコ、紡績は物によっては自分でやらないと駄目ですね、犬の毛ですと…2000ペッタンコ位でしてくれるんじゃない?短いと断られるけど。
脱穀と製粉は一律5000ペッタンコ、その代り量は無制限、一度に多く持って行く方が得だから最低でもバックパック1つ分、100キロは持ってけ」
たまに話し方が変わるのはそう言う荒んでいる性格を作っているからなのかどうなのか…突いてやれば戻りそうな気がしないでもないけど、おもしろいから放っておこう。
しかし、作り方を頭に叩き込んできた意味が無かったな!
…鍛冶場も材料費等さえ払えば場所も貸してくれるみたいだし、駄犬の毛刈り用ハサミを作ってこよう…
荒んでる
能力値がほぼカンストに近い状態でプレイヤー等の間で話題になり引っ張りだこになった
その時色々問題を起こされて荒んだ
少々お待ちください
所謂読み込み中、なうろうでぃんぐ
奥に引っ込んだり依頼書を漁っているようにしか見えない
壺
ここほれわんわん、たまに良い物が入ってる、最低でも売れば10万ペッタンコ、最大100万ペッタンコ、交渉と持ちこむ場所次第
行列ができてたのはこれのせい、壺が出たら即リタイアのマラソンが流行中、真面目に働くより大体2週間目で出る壺を売る方がもうかる、でも3回目くらいでもう依頼書が貰えなくなる罠が有る
信用を捨てて一時のお金を得るか、信用を得て普通に報酬を得るか、壺が出てもリタイアせず普通に開墾を済ませればちゃんと信用が上がる
大型プランター
別名超小型プラント、温室内が一種の工場、セットした肥料等を自動で消費、野菜を生産してくれる
でも草抜きと収穫は手動、野菜などの出来は肥料次第、農協で売っている肥料は普通、それ以上を求めるなら自分で作る
特別報酬でもらえるのは1回だけ、2回目からは報酬が倍になるだけ
時間外労働
使用人は別に奴隷ではない、家事以外の事をするかどうかは使用人自身の意志と好感度次第
5時間を超えると一切何もしなくなる、それでも命令を続けるとどんどん好感度が下がり、悪行やら色々あかんものが貯まっていく
ぽっちゃんひよこちゃん乱獲
絶滅する事は無いけどやっちゃダメ、相場と価値的な意味で
そもそも音速を軽く超えて飛んでくる奴を乱獲できる方がおかしい、本来は人間を卒業した400~500人で受ける依頼
本物のペットの方はもっと速いし頑丈
バックパック
冒険者必需品、インベントリなんてものはない、ちゃんと食料や消耗品を詰め込みましょう
通常バックパックは何の耐性も無し、刃物で切り付けると切れたり、火を点けると燃えたり、氷山みたいなところに行くと凍り付いて割れる
極度の乾燥地帯で耐乾ではないバックパックで行くと何もかもがカラッカラに乾く、液体の傷薬も乾燥して粉になる
大容量で100キロ位まで積み込める、ぽっぽちゃんを持ち帰る場合空の大容量を50個用意すれば足りる
採取制限
その採取する植物から半径50メートル以内に出来れば10株、最低でも5株は残しておくこと
ゲームだから放っておけば生えてくるだろうと思ってサービス開始直後からのプレイヤーがほぼ採り尽くした、何時まで経っても生えてこないので現在は奪い合い、数少ない資源の取り合いに発展中
現在は採取依頼すら出ていない、材料が高騰すれば傷薬も凄い高騰、昔100ペッタンコ今30000ペッタンコ、自分で調合したりする人に売ったりするために採取は続いてる
開始間もないので育てるより採取する方が楽、なので株分けして育てている人は少数
駄犬
別名フェンリル、とても触り心地の良い毛並みをしている、痛んで来ると新しいのを作るためにメイド達に追い回される、ちょっと良いお肉を上げるとすぐすり寄ってくる
狐さんを見ると4本足で立ったまま固まりジョバーっと粗相をする
掲示板内・外
ゲーム内とリアル側で使える掲示板が違う、ゲーム内はその街にある掲示板を介して情報のやり取りを行う、他の街の情報は斡旋場などで情報を買う必要あり、時間と情報をペッタンコで買う様な物
ログアウトして公式か外部掲示板に行けば他の街の動向が見れる
ご主人様のいる街は現在大荒れ、森に入ると即死するバグだ何だと騒ぎまくってるやつらがいる
それ以外でも荒れている部分は有るがほぼ全て自分達の行いのせい、人の話は聞きましょう
機織り機
紡績で糸から作る事を忘れていた、ついでに言えば街にはちゃんと紡績や機織り、製粉に脱穀等、ほぼ全て揃っている
別に覚えてくる必要も作る必要も最初からなかった




