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ぶわぁちぁるりありてぃ 寝ても起きても変わらんな

『先日発売された色々とリアルなゲーム、既に各所で偽物が販売され始めたそうですが、公式より、買う前にハンマーか何かで思いっきり叩いてください、傷すら入らなければ本物、傷が入れば偽物、偽物だった場合は迷わず公式まで連絡を、また取扱店は本物と証明するための書類、ハンマーを置いておくこと、また叩くことを拒否された場合も即座に連絡を、偽物を製造販売した所に然るべき処罰を与えます、との事です。

また、偽物、本物問わず転売等を見かけた場合も通報を、詳しくは公式ホームページを参照してください、との事です。

いやー、それにしてもびっくりするほど人気ですねぇ、この色々とリアルなゲーム、こちらが公式よりお貸し頂いた物になります、早速こちらに用意したハンマーで叩いてみましょう、お願いします』

「連日逮捕者のニュースが流れ、今日はニュース番組で偽物や転売品にご注意と流れ、人気がすさまじいですね」

「転売にせよ偽物にせよ近い内に消えますけどねー、そんなもの許すほど甘くは有りません。

というか転売する意味がないんですよね、取り扱い許可を得ている小売店に書類が有りまして、それにサインして支払いを済ませると購入者の家に直接届くようになっています、在庫が切れる事も有りませんし、子機の紛失が怖いという人には本社の方で子機を保管して、指定した人たちのアクセスを許可するようにしていますので、究極一度支払ってしまえばもう後は耳宛さえあればいつでもどこでも遊べます、本体を持つ必要すらないってやつですね」

「それはそれで便利ですね、場所も取らない、ゲームを遊ぶにも公式が売りに出している耳宛をつければいい、それだけですし。

でもそれだと耳宛も転売とか偽物が出ません?」

「こっちも子機と同じ、在庫は切れることが有りませんしオーダーメイドで作りますし、同じように書類にサインして、ふわふわとしたイメージでもいいから自分好みのデザインを提示して、その後支払いをすれば自宅へお届け、そもそも耳宛は5000円ほどですしね、転売する意味が有りません」

「在庫が切れる事無し、正式な売買は書類を通してから、有効と言えば有効ですか…」

「一応子機を購入した人の名前やら情報はすべて本社に保存されるから、2つ目の購入からはその理由を根掘り葉掘り問いただされますね、学校の授業やら何やらで使うのに複数で購入するのであれば、学校名と用途をちゃんと伝えていただければ購入できますね」

「これ…授業に使えるんですか…?」

「学校なんかはノンプレイヤー用しかないけど、そこに入学申請すればそこで授業を受けれるね、授業が受けるのが嫌な子は遊べばいいし、斡旋所で仕事を受けて社会勉強もできるよ、授業中ならちゃんと保護機能もあるから安全に出歩くこともできるし、単純に授業の幅が広がると思ってくれれば。

色々とリアルなだけあって働けばお給金も出るし、こっちと変わらないようなお仕事もあるし、農業とかの一次産業とかは兎も角、向こうで開発した技術やらなんやらはこっちでも再現できるし、こっちの技術を持ち込むこともできるし?

あっちで発明、こっちで実用して売り込み、なんてことも出来るね」

「ただの現実シミュレーターなのかファンタジーなのか…世界観滅茶苦茶ですね…」

「まあ突き詰めれば効率よく破壊できる兵器とかも産み出せますしね、ちなみにそんな物を開発した場合、何所の国のどの機関、または個人か、全て発表したうえで身柄を押さえます。

というか誰が何をしているか全部記録してますしね、というか規約に行動すべてを記録してますって書いてるし、危険な物でもない限り盗んだりすることもなければ公表する事はないとも」

「まあ、規約にあるなら…やるほうが悪い…?まあ書いてても読み飛ばしたり、自分の方が正しいんだから規約程度で縛れるわけがない、なんて思ってる人も居そうですが。

まあやる所はやるんでしょうねぇ…」

「やったら国名やら何やらすべて公表した上でうちの施設部隊が動くから最終的に国が消えるだけだね、で、さっきからご主人様は何をしてるの?」

「え?」

 あっちへ行きこっちへ行き…庭と料理場を行ったり来たり、時計も確認しつつある程度は大雑把に、失敗すると食べれた物じゃないからなぁ…下準備が終わった後も細かく食べやすい様に刻まないと駄目だし、軽く干して水分飛ばした方が味も入りやすいし食感も良い、ここ手でを抜くわけにはいかない。

「今日から摘みやおかず用として出すためのクラゲの塩抜きをしてるだけだけど?

ついでに捕って来たばかりのウニとかいくらをクラゲ用に調整している所」

「あ、うん、こっちには特に興味なさそうね」

「いやー、ゲーム内で食事してもこっちじゃお腹は膨れないし、それはそれ、これはこれでしょ。

コリコリ食感とプチプチ食感、ウニの甘みが美味しい海鮮丼、追加して欲しい物がるなら早めにね」

 寝ている間に遊べるならその寝ている間だけでも十分なのだ、色々勉強やお仕事に使えるとは言っても、食事を持ってくることはできないしね。

「じゃあオコゼの刺身、後皮のから揚げ、それとハマグリの網焼き」

「海鮮丼に入れる様な物ではないね、構わないけど」

 クラゲを干して洗ったウニも軽く干して、いくらを漬けたらオコゼとハマグリを取りに行くか、ついでに蟹も取ってくるか、お味噌汁に生の蟹に蟹しゃぶに…しゃぶしゃぶも有るなら丼に乗せる刺身も多めに用意してしゃぶしゃぶに出来る物の種類を増やしておくか。


「いやー、満足満足、うにくらげってだけで丼ご飯で行けるのに、生うにと軽くあえて味を染み込ませてるってのが憎いねぇ、いくらも漬けダレが同じと言うわけでもなく、漬けた後のいくらを軽く潰してそれに漬けこんであるとか、何とも贅沢…」

「クラゲってこういう食べ方をする物でしたっけ?」

「うにくらげは普通にスーパーなんかで売ってるね、酒粕とか入ってるけど、これは酒粕なし、ウニの味そのままにウニの味を引き立てるように味付けしたクラゲ、噛めば噛むほどウニと調和して…」

「クラゲ自体はちゃんと処理すれば無味無臭、素直に味付けした通りの味になるから使い方次第だね」

 いくらとクラゲのプチプチコリコリと楽しい食感にウニの甘みに旨味たっぷりのクラゲ、他にもエビに蟹に刺身の海鮮丼に味噌汁にしゃぶしゃぶ、んー、贅沢…

 中にはエビ、手作りのカマボコ、蟹、表面にウニを添えた茶碗蒸しもなかなか、いささか味がまとまってい無い気もするが、ちょっと贅沢に行きたかった気分なのでこれはこれで。

「最近焼き魚に味噌汁、白米に漬物といった組み合わせが出てきてないような気がするのですが…これは一体?」

「あー…なんでだろうね…何かそう言う気分にならないんだよね…なんでだろ…ちょっと前にゲームの中で1週間ガチガチの味のないパンと水だけだったからかな…」

 1日1個の廃棄予定の物を貰って来たのを保存して置いたような水分のとんだ硬いパン、それとコップに半分の水、あれは中々にくるものがある、取調べの時以外は寝るくらいしかできないし…

「まあ、そのうち戻ると思うからご心配なく」

 あの嫌な食事を忘れる事さえできれば元に戻る、きっと…


「そう言えばゲームをやっていない間は借りてる家とかどうなるの?

向こうに居た時は2ヶ月分の家賃を稼がないとなーって思ったけど、終わってからは2週間くらい遊んでないし」

「あー、家賃滞納で催促の手形が届いてるんじゃない?半年までなら滞納できるけど、4ヶ月目辺りから取り立て屋が出てきて、6ヶ月で強制退去、そこから滞納した分の家賃を返し終わるまで強制労働。

強制労働中は街の外に出れない、一回の労働で得られる報酬も掲示板で受ける物より少ない、240時間働けますかみたいな労役につくことになる。

まあ借りてる家のグレードによるけど、大体ゲーム内で240時間、10日分働けば解放されるね、家賃50万とか100万だと720時間、使用人は永続でもない限り2ヶ月放置で契約自動解除なので加算され続ける事は無いけど、仕事として働いた分はしっかり請求されるから、その程度によってプラス120時間。

そもそも耳宛は紛失しても小売店で再発送して貰う事も可能、一応再購入になるし、2000円くらいは貰うけど、寝てる時に遊べるから余程の事が無い限りはまあ、ログインしなくなるってことはそんなにないだろうし、ちゃんと家賃払うんじゃないかな?」

「ほーん…」

「1日4時間しか眠れなくてもゲーム内では8時間遊べる、遊ぶ時間としては8時間もあれば十分だよね、プレイ時間によって差が出てくる部分は有るけど、そこはまあ仕方がないかな。

課金要素も今の所は気分転換に見た目を変える程度だし、ガチャ…は運で出る出ないで騒ぐ人が出るので却下、まあ後々イベントか何かでチケット配布、それでお好きな見た目変更用のアイテムと交換、先行配信で誰でも入手可能、そのアイテムを100円で売る程度かな?もちろん使い回しも出来るようにするから何個も買う必要は無し」

「札束で殴りあうオンラインゲームなんかに比べるとずいぶんと良心的に思えますねぇ…遊ぶためにまずは25万と5000円払う必要があると考えなければ…」

「あっちはリアルマネートレードやガチャでの出費を考えればそれこそ1000万単位での出費をする人が居るし、それに比べれば結構良心的じゃない?

そもそも強い装備とか強いキャラをお金で買い集めて殴り合うゲームじゃないし、そう言うのが好きな人はずっとそっちを続けるだろうしね」

「そういう物ですかねぇ…あ、そう言えばこれゲーム配信とかどうなってるんです?」

「一度本社の検閲が入るけど一応可能、ただ生配信は無理、あっちはこっちの倍の速度で時間が進んでるし、生放送何かやろうものなら常に2倍速で動き回る人の映像しか流れないよ。

まあ余程変な事をしなければ普通に許可は下りるからご自由に、拠点にある1日の記録と書かれたノートにその日の出来事を全て記録してあります、後はそれを提出して検閲御許可が出れば編集するなりそのまま流すなり。

公式で配信している映像はご主人様がテストプレイした時のダイジェストだね、開始直後は素っ裸だったから省いて、ごみ拾いに採取、家を買ってからのいきなり投獄生活とか」

「洞窟を抜けるとそこは隣の国で密入国だったとか、誰が予想できるんですかね…」

 取り調べの時に地図を見て分かった事ではあるのだが、国境沿いにある街で各国を繋ぐ流通経路の一つ、つまり少し山に登って迷ったり、下手に洞窟に入って進むといとも簡単に密入国になるというとんでもない場所…

 だからこそ栄えている所だったんだろうけども、荷物全没収からの投獄、水とパンのみの生活1週間は辛かったなぁ…

「まああれはあれで遊ぶ上のヒントとして結構使えたから結果オーライだね、許可なしに他国に入ると密入国で投獄、そして取調べになるぞって言う。

後ちゃんと稼いでればそこそこの家を借りれるし、使用人だって雇える、普通に遊んでる限りは結構自由にできるってことだね」

「今日で逮捕者が国内だけで3桁乗りましたけどね」


 夕食後、お風呂にも入り寝るだけになったので新しくなった耳栓…と言うよりは耳宛、を付けて1週間ばかり放置していたゲームで遊んでみる事に、使用人は多分いなくなっている可能性が高い、契約を更新するにも、雇い主が不在なら資金もない、家賃も滞納してるし…使用人は居なくても別にどうとでもなるので気にしなくて良し、やるべきことは滞納している分も含め家賃を払うためにがっつり稼ぐ事、強制労働の労役に着く前に掲示板で依頼なり外に出て稼ぐ方が遥かに効率はいいらしいし、まずは100万、できれば150万を目標にしよう。

 ではでは、おやすみぃ…


「んー、不思議な感じだねぇ」

 眠りについたと思えばこっちで目が覚める、身体と脳はもう眠りについているのでしっかり休めている、でもこちらでやったことはしっかり刻み込まれて覚えている、理論的には狐さんの作った塔と同じらしいが、、あっちを少し緩くした感じ…でもあるのかな、あっちは100年かけて最上階を目指せだったしなぁ…私は何か100年近く市長をやっていた気がするが…人口が何人を超えましたとか、災害が発生しましたとか、消防署が足りませんとか言われても困る…予算は潤沢にあるけど狙ったように消防署とか立てた所にキノコが生えてくるんだよ…綺麗に十字に切れ目の入った…まあそれはいいや、もう済んだことだ、まずは家に何か変化が無いかを確認しなければ。

 使用人は契約終了でもう居ない、契約終了からそれほど経っていないので埃もたまってない、郵便受けには…来月に100万ペッタンコ纏めて払うようにとの催促状、お財布の中身は…借りた時に払った初月分の50万ペッタンコ、買出し用と食費で10万渡して残り10万ペッタンコ位、最低90万ペッタンコの収入が必要で、安定していないとそのうち追い出されるかもしれないので安定して月100以上稼げるようにならなければいけない…んー…困ったときは…斡旋所だな、受付さんに何か聞いてみよう、後使用人の書置きも大事に仕舞って置こう、何時か使うかも知れない。


「あら、大体1ヵ月ぶりですね、今日はどういった御用で?」

 1ヶ月来てなかった事になっているはずだけども、覚えていてくれたのね、なら遠慮なく相談させて貰おうかね。

「ちょっとばかし沢山のペッタンコが必要になりまして、何か稼ぎのいい仕事か依頼が無いかなーと」

「期間はどれ位で?それといくらほど必要ですか?」

「来月頭までに100万ペッタンコ、家賃滞納しちゃってねぇ…稼げるうちに稼いでおいて後はのんびり稼いでいけばいい状態に持って行きたい」

 もう来なくなる可能性も…まあなくはないけど、まあ遊べるうち位は…ね、こちらでの生活基盤を築いておくに越した事は無い。

「1ヶ月の短期で100万…少々お待ちください」

「はいはい」

 掲示板に張り出されている物では100万には手が届かない、採取も人が増えている今は軒並み買い取り価格が下がっていて週3万届くかどうかまで落ち込んでいる、供給が増えれば増えるだけ買い取り価格は下がる、正しいといえば正しいが…だからと言って売っている物の値段は変わらないし、チラッと見ただけでもびっくりするくらい上がっている物もある、主に食料品と傷薬などの日常品に消耗品にと、食料品に関しては生産量なんて早々増えないしね、消耗品も生産速度に限界はあるだろうし、暫くはちょっと上がり続けるままだなこれは。

 これはこの街だけに集中しているから起きている現象か、それとも他の国の街でも起きている現象か…どちらだろうか…それ次第で賃貸ではなく安くても良いから家を買って家庭菜園等で自給自足も可能にしておく必要が出てくるな、戻ってきたら聞いてみよう。

「お待たせしました、1ヶ月以内に100万ペッタンコとなりますと、採取ならこの国の中心にある…この山ですね、この山の山頂に生えている植物、氷晶花が1本50万ペッタンコ、採取制限は1日10本、それ以上は採取できなくなりますのでご注意を、栽培に成功した物はその限りではありません、ただ環境を全く同じにしないと枯れていきますのでご注意を」

 山頂の環境がどんな物か分からないけど、まったく同じにしないと無理とか、環境・設備を整えるだけで家が買えないそれ?

「次はこちら、こことは真逆の位置にある街に出された依頼ですが、海に出現した海竜とクラーケンの討伐、こちらは2つで1つですので5000万ペッタンコ、船を出してくれる人は居ませんので、海上を歩いて移動できる方、または水中で問題なく呼吸や移動等ができる方のみにお出しできる依頼です」

「あー、まあどっちでも大丈夫だね、歩く方でも水中で移動する方でも」

「後は…街道に出没している盗賊団の討伐、規模によって追加報酬有。

道楽貴族の護衛、無理難題はいわれるかもしれませんが支払いは良いです、どれをお受けになりますか?」

「んー…取りあえず山に行って来ようかな、10株とって来れば当分凌げそうだし」

「ではこちらを受領と言う事で、期限は特にありませんが、現地は気温が大体マイナス70度ですのでお気をつけて」

「はいはい、じゃあ適当に行って来ようかね」

 海で討伐も稼ぎはいいが、出来るだけ日帰りできそうな近場がいいやね、ぱぱっと行ってササッと採取して帰って来よう。

 斡旋所から出た所で何やら喧嘩を売られている、買いますか、買いませんかとお知らせが届いたので買わないをぽちっと、そんな面倒な事をしている暇はないのだ、早く家賃を稼がないと…少し後ろが騒がしくなったが衛兵が走ってきて静かになったので気にする事もないな、さ、なけなしのお金でバックパックを購入したら出発だ。


「んー、一面雪景色…どころじゃないな」

 見る物全て凍りつき、昔は普通に生えていたのだろうと思える木も凍り付いている、字面も氷に覆われて凍っているし、何の対策もなしに来ると凍死待ったなし、買ってきたバックパックはもう駄目だな、登山中にぶつけて割れてしまった…底に穴は開いていないのでまだ何とかなるが…底に穴が空いたら手で持てるだけだな…さて、お目当ての氷晶花は何所かなー…

 もう場所的に山頂なので生えているはずなのだが、それらしいものが見つからない、凍った地面の上にはそもそも植物なんて何も生えていない…となると…となると?うぅむ…生えていると言っていたからには生えているはずだし…凍った地面の下…?

 表面を探すのを止め、凍っている地面を少々深めに切り取り、引っこ抜いてよく観察…ふむ…ただの氷の塊だね、何所に生えてるのよ…

 氷を戻した後、再び彷徨い歩き、どうにも見つからないのでちょっと休憩、ほんと、何所に生えてるんだろうかねぇ…

 地図で教えられたとおりの場所に来たのだが、何か間違えているのだろうか…どうしたもんかねぇ、今からでも討伐に変えようかなぁと、上を向いて空を眺めた所、かなり高い場所ではあるが、何やら小さい物が生えている、目を凝らしてよく見てみると見本用に作られた氷晶花と同じだね、ふむ…そっかぁ…ここはまだ山頂じゃなかったかぁ…そりゃいくら探しても生えてないわ…

 どこかしらに登れる所が有るはずなので注意深く探し、どう見ても何もない、何所に境界があるかもわからない歩ける場所が確かにそこに有った。

 これ一歩間違えたら奈落の底に転落だなぁ…これで1株50万ペッタンコとか割に合わないと思います…


「お帰りなさいませ、お早いお帰りですね」

「はい、氷晶花10株、あれ見つけろとか無理だと思う…1株50万も割に合わない気が…」

「やはりそうですか、昔から出ている依頼なんですけど誰も受けませんし、受けた人も誰も持ち帰れなかったんですよね」

「そんな物の見本が何であるのさ…」

「お伽話に出てくる花だからですかね?

天高くそびえる山に生えている氷の花、神様に会いたいと言う一心の願いだけで山を登り、辿り着いた先で見つけた花、その花を見つけた少女は願いが叶い、神様と合う事ができました。

それでこの花を所持している物は願いが叶うと言われているんですよ、まあ今の今まで姿形だけしか伝わっていませんでしたし、実物が有るとは思っていませんでしたけど」

「ほーん…そもそもその話だと見つけた時点で願い叶って神様と合ってるわけだし、所持しているかどうかは関係ないのでは…?」

「まあお伽話ですし、縁起物として欲しがっているんじゃないでしょうかね?

そもそも初版ではその少女が生還した、なんて何所にも書かれていませんし、後期編集された物では花を持ち帰ったとか、神様とあった後天使となり時折花を摘みにくるとか、幸せに暮らしましたとか、結構コロコロ変わってますよ」

「お伽話ってそんな物よね、取りあえず報酬ちょーだい?家賃払わないと…」

「はい、ではこちら氷晶花10株分で500万ペッタンコとなります、お疲れさまでした」

 よーし、何とか日帰りで500万ペッタンコの収入、これで約10ヶ月分、滞納している分を払っても8ヶ月は大丈夫…今日稼いだ分は家賃として貯蓄して置いて、次からは家賃の掛からない所、家の購入を目指さないとな、色々諸々掛かるらしいけど、年100万ペッタンコ、纏め払いも可能、不在の間の掃除を考えれば使用人付の家、最低5億…明日も討伐依頼が有ったらそっちへ行こう、暫くは家を空けても大丈夫になったしね。

 で、斡旋所を出たらまたお知らせ、何所の誰から対人戦の申し込み要請がなんたらかんたら、面倒なので拒否、そんな事より今日の食事の食材を買いに行かなければならないのだ。

 歩きなれた道を歩き、1ヶ月ぶりとなる顔なじみの商店でちょっと値上がりしている食材を買い、鍵を使って家に戻ってお食事、食べ終えたら片づけついでに掃除も済ませ、枕を終了にしてお休み、さ、今日もお仕事頑張ろう。


「向こうで家賃のために働いて、こっちで食事だ何だと働いて、身体は確かにしっかり休めて快調なんだけど何か休めていないような気がする」

「それはご主人様は毎日食事の用意や掃除、買出しなんかをやってるからだろうねぇ、それとほぼ変わらない事をやれば休んだ気分にはならないだろうねぇ。

家賃代を稼ぐのも大事だけど、普段できないような事をやったりするのがゲームなんだから。

まあその普段できないような事ができるようになるまで持って行くまではこっちと変わらないけど、少しずつ幅は広がっていくからやりこめばやりこむほど世界が変わるね」

「ほーん、まあ次からは出来るだけ高いやつを受けて、ちょっとくらいは放置していい様に一軒家を買うつもりだけど、高額の依頼は直ぐに無くなりそうなんだよねぇ…5000万ペッタンコの依頼ももう無くなってそうだなぁ」

「高額な物はそれだけ実力も要求されるから、そもそも掲示板に張り出されないし、実力に見合わない物は受付の人も出してくれないようになってるよ。

余りにもしつこいと出してくれるけど、好感度は間違いなく下がるし、リアルな死の体験と共に死に戻りだね、所持品全ロストで、下着とパンツはお情けでついてくるけど、組成費用は一律所持ペッタンコの半分、持って行かれるのが嫌なら予備の装備を購入して拠点にストック、消耗品や換金アイテムにしてから冒険に、だね」

「なら依頼は残ってるか、ただそれより高いのが有るかどうかよねぇ、手っ取り早く短期で稼げるのーって言ったら4つくらいだったし」

「指定した期間次第だね、1ヶ月以内ならそれ相応でその額を問題なく稼げる範囲、1年がかりで達成するような物ならそれこそ1回で億稼げるのも紹介してくれるよ」

「家賃は滞納してる分もまとめて払って余裕は有るし、長期のを紹介して貰おうかなぁ…」

「まあ、好きな様に遊ぶといいよ、売られた喧嘩を買っても良いし、自分から吹っかけても良いし」

「そう言えば1回喧嘩を売られて、その次は対人戦がどうのってお知らせが来たなぁ、拒否したけど」

「拒否した所でデメリットはないから、面倒だったら全部拒否でいいさね、その後襲いかかってきたら衛兵がすっ飛んでいくし、あ、拒否した後こっちから仕掛けても衛兵がすっ飛んでいくから注意ね、ご主人様なら衛兵に負ける事は無いと思うし、不意打ちをする事はまずないと思うけど」

「出来るだけのんびりしたいしね」

「こういうゲームに付き物の目立ちたがり屋とか、何所何所所属のプロのゲーマーとかいたりもするけど、そう言うのに絡まれても基本無視しておけばいいよ、面倒だったら街に戻った時にでも通報してくれれば記録を漁って牢屋にぶち込めるから」

「今のところそう言うのはないかなぁ…もしそう言う事になって余りにもしつこいようだったらそうさせて貰おうかな」

「ちなみに賞金首になるけど、何所か適当な国の王城に殴りこんで、王族皆殺しからの重鎮やら近衛やら、全部排除すれば国を乗っ取れるよ、無政府状態で開始になるけど」

「誰がそんなことするのよ…」

「さぁ…?現代兵器を開発した人がやるんじゃない?そもそも野生の熊までしか現代兵器が利く相手がいないけど、戦車とか爆撃機なら…そうだねぇ…ドラゴンの鱗に煤をつけるくらいならできるんじゃない?

後当てれるならフェンリルとか、フレスベルグの足とか羽をもぎ取れるんじゃない?」

「フェンリルとフレスベルグって…ディアナのペットの?」

「あれをゲームとして遊べる程度に弱くして量産した様な感じ、他にも有名所だとフェニックスやらガルーダ、九尾とかそんな物後々出てくるよー、喧嘩売って殺されるかなんとか話し合いに持ち込んで見逃してもらうかはプレイヤー次第、人間やめれば倒せるけど」

「なるほど…」

 そう言えば最近あのわんことぽっぽちゃんに会ってないなぁ…こちらに生息している似た様な動物で言えば…豆柴と鳩なんだよなぁ…あの威厳の欠片もない駄犬に豆食ってる鳩…そんな物を増やしてどうするんだ…わくわく動物王国でも作るのか?いや、本気を出したら確かにすごいんだけど、あのわんことぽっぽちゃん、狐さんが来たら固まったまま粗相をしたり、音速で飛んで逃げたりするからなぁ…その後羽をむしられた丸鶏になって吊るされて帰ってくるけど。

「流石に駄犬と鳩ぽっぽのままじゃないから大丈夫、ちゃんと威厳を感じられる方だから」

「なら安心…できんな…そっちの姿でも所々剥げ散らかしたり、丸鶏になってたし…」

「うちだと最下層だからね…毛布羽毛布団にと素材扱いだし…」

「また今度良いお肉を上げよう…」


 さて、本日のお仕事とお風呂も終わり、やって参りましたゲームの世界、目指すは斡旋所、今度は期間長めで報酬の良い物を出してもらうか。

「いらっしゃいませ、本日の御用件は何でしょうか?」

「えーと、期間長め…出来れば最長でも8ヶ月位で終わる…出来るだけ報酬の多いのある?」

「少々お待ちくださいませ」

 さて、今度は何が出てくるかな、報酬次第ではこつこつ積み立てて行って、遠征できる期間を延ばして行っても良い、国内だけで完結できるのであればそれが一番良いのだが。

「お待たせしました、8ヶ月以内に終了してかつ高額報酬の物、まずはこちらになります。

火山に住み着いたフェニックスの討伐、期限が3ヶ月以内、討伐報酬は3億ペッタンコ、死体を持ち帰れば素材も別途で換金。

氷山に住み着いたフレスベルグの討伐、期限は6ヶ月以内、こちらも3億で素材も別途で買い取り、場所は以前登って頂い山ですね。

何方も目にもとまらぬ速さで飛び回り、焼き尽そうとしたり凍て付かせようとして来るようです、討伐に赴く際はそれに応じた準備を」

「期限がいないってなってるけどすぎるとどうなるの?」

「特に何も、悪さをしているわけではありませんし、死体を持ち帰ってもすぐに別個体として復活しますし、報酬が高いのは復活するわずかな期間の間に純度の高い氷や、火山にある特殊な鉱山を採掘するからですね、それで動くペッタンコは僅か1ヶ月で10億とも20億とも」

「ふむ、なら久しぶりに鳩ぽっぽとひよこ狩りに行こうかね」

「両方を受けるという事で宜しいですか?」

「両方で」

「分かりました、期限が過ぎても違約金等は発生しませんが、報酬は発生せず素材のみの買い取りとなりますのでご注意を」

「あー、羽毛は貰うかも、鳩ぽっぽとひよこの羽毛で作った布団は気持ちいいんだよねぇ…」

「…贅沢ですねぇ…普通は装飾品で熱や冷気耐性をつけるのに使うのですが…」

「それで、火山はどの辺りに?氷山は前に行ったから覚えているけど」

「火山は…こちらですね、氷山の丁度真向い側、手前まで快速馬車で移動した場合往復2ヶ月と言った所ですね、1ヶ月以内に討伐し、持ち帰る必要があります」

「はいはい、じゃあ行ってくるかな」

「火山はかなり高温ですので耐熱耐火装備をお忘れなく、それではお気をつけて」

 よーし、久々にぽっぽちゃんとひよこ狩りだ、本来の大きさになってるとしたら…バックパックは役に立たないし、引きずるか担いで持って帰る事になるな、バックパックの買い替えは無しの…まあ何もいらないか…快適な生活基盤を築くためにぽっぽちゃんとひよこちゃんには犠牲になって貰おう…なに…何時もの事だ…


「ピッ!ピギィィィィィッ!!」

「よし、まずはひよこちゃんと、可哀想だけど首を切って…振り回して血を抜いて…これで良しと」

 立派に育ったフェニックス事ひよこちゃんを仕留め、鶏とほぼ変わらない締め方をして処理完了、これでお肉も美味しく頂ける、それにしても、ひよこちゃんも元の姿に戻ると大きいね、後で唐揚げにして食べよう、食べ応えが有りそうだ。

 血抜きの終わったひよこちゃんを担ぎ下山、期限はまだあるが氷山に行くと羽毛が凍り付いて駄目になりそうなので一旦斡旋所に戻ろう、羽毛だけじゃなくてお肉もちょっと貰おうっと。


「お帰りなさいませ、フェニックスの討伐を確認しましたのでこちら、3億ペッタンコになります。

素材の方はどうなさいますか?こちらで解体しますか?それともご自分でなさいますか?」

「あー、道具と場所を貸してくれるなら自分で」

「ではこちらへどうぞ、解体場の使用料は1回500ペッタンコ、時間制限は有りません、道具も自由にお使いください、ただし道具の持ち出しはできませんのでお気を付けを」

「はいはい」

 さて、まずはまだぶらぶら繋がっているひよこちゃんの頭を落として、羽を全部むしって…もみじ、手羽、手羽元、内臓各種、胸肉腿肉…ふぅ…ひよこちゃんから取れた鳥肉の出来上がり、ちょっと量が多いけど、から揚げにするから腿肉が有ればいいや、羽は布団に使う所だけ確保して尾羽は売りだな。

「解体終わったよー、それじゃ買い取りの査定お願い」

「…見事に食用肉になりましたね…せっかくのフェニックスが…」

「食べると美味しいよ?」

「…そうですか…では…胸肉が2000万ペッタンコ、腿肉200万ペッタンコ、あ、心臓は有るんですね、心臓一つで8000万ペッタンコ、手羽先1000万ペッタンコ、手羽元1500万ペッタンコ、もみじ…爪と蹴爪有で5000万ペッタンコ、頭くちばし有で7000万ペッタンコ、内臓各種も綺麗な状態で1億5000万ペッタンコ、尾羽も状態は良…6000万ペッタンコ、4億7500万ペッタンコになります、それと報酬を合わせて7億7500万ペッタンコですね、お疲れさまでした」

「はいはい、さて、次はぽっぽちゃんだな、羽毛と肉は一旦家に置いてくるか」

 鍵を使ってお家に帰り、ひよこちゃんの肉は冷蔵庫に、羽毛は…今は誰もいない使用人の部屋にでも置いて行こう。


「やっぱり普段と変わらんなぁ…」

「昨日は何をやってたの?」

「何か8ヶ月以内に達成できる高額報酬の依頼は有るって聞いたら、ぽっぽちゃんとひよこちゃんの討伐が有ったからそれを、ゲーム内でひよこちゃんの味を再現しているのはビックリした」

「ゲーム内でも狩られるぽっぽちゃんとひよこちゃんに合掌…まあゲーム内に持ち込んだの私だけど」

「まあ、何だかんだでぽっぽちゃんとひよこちゃんのおかげで5億の家は買えたし、5年分纏めて維持費を払っておいたからあっちの時間で5年は放置できるね。

後でぽっぽちゃんとひよこちゃんに大豆でも差し入れてあげよう」

「何だかんだでこっちと変わらないって言いつつも楽しんでるよね」

「そのうちごっちゃになってぽっぽちゃんとひよこちゃんを狩りそう…」

「その時はちゃんと羽毛を丁寧に処理するんだよ?手荒くやると寝心地悪くなるから」

見分け方

遠慮なくハンマーでぶっ叩け、とはいえ小売店に子機そのものは置いてない、置いて有る所はほぼ偽物

見分ける方法として公式がハンマーで叩けと言っている、拒否したら通報すべし


転売

してもいいけど何が起こっても自己責任、とはいえ1つ以上は購入理由を根掘り葉掘り聞かれる、人を使って大量に購入しても製造元のコピー用紙が無くならない限りいくらでも製造可能

中古買い取り価格も一律コピー用紙1枚分で固定、それ以上の買い取り価格は認められていない


世界観やらなんやら

科学に魔法に何でもあり、科学と魔法を合わせた技術も作れる、現代兵器も可能、申請すれば産業スパイ等すべてを弾きだせる場所や実験場を貸してくれる

シミュレーターとして使うか、秘匿性抜群の会議場として使うか、ファンタジー世界として遊ぶか、どう使うかは自由


すてーたす

マスクデータ、見えるわけがない、でも努力した分だけはちゃんと成長する

植えた木を毎日飛べばそのうち何メートルもジャンプできるようになる理論を搭載

開始時はプレイヤー本体の身体能力と同等、どういう風になりたいかは自分の努力次第

基礎トレーニングも無しに衛兵に喧嘩売るとあっと言う間に取り押さえられる、外に出て犬や猫に絡まれると喉を食いちぎられて死ぬ程度、でも頑張ればファンタジーと言えばこれ!のようなモンスターとやりあえる、なお攻撃は装備が耐えても本体が耐えれるくらい頑丈でないと死ぬ、HPで受ける、なんて甘えたことはできない、ちゃんと避けるか受け流しましょう


お知らせ

基本的にメニュー画面はないけど何かあればお知らせが届く、PvPだったり喧嘩を売られていたり

特に送らなくても一方的に襲い掛かる事も可能、その代り衛兵がすっ飛んでくる


氷晶花

お伽話に出てくる氷の山の頂上に咲く花、見つけたら願いが叶うとも

後期編集版も生還したとは書いていないし、あながち間違いではない

願いが叶うかどうかは願い次第


わくわく動物王国

フェンリルやらフレスベルグ、ガルーダにフェニックスやらオロチやら九尾やら、ある程度有名所が一杯いる

ディアナがうち何匹か飼ってる、大体は駄犬と鳩ぽっぽが素材として狩られる、ペットって何だっけ…

フェンリル:駄犬 フレスベルグ:鳩ぽっぽ フェニックス:ひよこ ガルーダ:雀 オロチ:居ない 九尾:居ない ギリメカラ:手乗り象 他多数

各種色んな動物大集合


ひよこちゃん

余すところなく薬になる、心臓を煎じて飲むと火に強くなり、内臓を乾燥させ粉末にして処方すれば病気が治り、羽毛や尾羽は耐火耐熱装備に、爪と蹴爪は美容に

胸肉や腿肉は唐揚げにすると美味しい、ちょっと寿命が延びる、長寿の薬

羽毛布団に最適


ぽっぽちゃん

羽毛以外に欲しい部分はひよこちゃんから取った後だったので丸鶏の状態で受付に持って行った

中身は無事だったので8億で買い取られた、こちらも色々と薬になる

羽毛布団に最適

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