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新人に聴かれると語りたくなっちゃう おじいちゃんが悪い

「恵里香先輩恵里香先輩!少し質問が!」

「はいはい、何かな?新入りのアキラ後輩」

「葵お嬢様と恵里香先輩って仲がかなり良いですよね?初めて出会ったのは何時だったんですか?」

「あー、お嬢様との出会いねぇ…ちょーっと長くなるよー?」

「大丈夫です、お茶とお茶菓子を用意して皆待っていますから」

「ふむ、それなら腰を落ち着けてから話そうかね」

 ふぅむ…恵里香さんの昔話か…ちょっと興味あるね、私も混じって話を聞くとしよう。


「じゃあ何所から話そうかな…出会った頃だから…初等部かな…そうだねぇ…

あの頃の私はこう…なんていうか無敵でしたね、恐れる物は何も無く、幼稚園に通っていた時からもう他とは違う、私に比べると周りは至って普通なんだなと、そう考えているような子供でしたねぇ。

そんな状態のまま普通の幼稚園からお金持ちなどの子が通うエスカレーター式の、所謂お嬢様学校ですね、そこに入学したんですよ、そんなに裕福では無かったですけど、問題なく通えるだけの稼ぎは有りましたし、親の見栄と言う奴で。

そこで入学の時に代表としてお嬢様が何やら有り難いようで有り難く無い事を代表制としてスピーチ、初めて見たのはその場ですねぇ…なんか中身の無い事をダラダラ喋ってるなーくらいにしか思ってませんでしたが。

で、スピーチも終わり、今度は理事だ何だと喋りはじめるわけですが、これまた中身が無いので割愛、そもそも理事が感謝しているのは献金やこれから入ってくるお金であって、入学生一同を祝福はしていませんからね、おめでとうとはいっても上辺だけです。

そんな意味のない話が終わったら教室へ移動、適当に教師による紹介が簡単に行われたらその日はもう解散ですね、自宅から通う人も居れば寮から通う人も居る、私も最初は後者でしたね、何せ家が遠い、車で移動しようにも2時間以上はかかる、なので最初は寮住まい、一応相部屋ではありましたが、一応一緒になった子とは関係は良好だったんじゃないでしょうかね?特に喧嘩も無く、風邪を引いたら薬を貰ってきて看病してあげたり、親元を離れて寂しくて泣いている所を慰めてあげたりと。

お嬢様とは関係ないのでこれはもうここで切って置きまして、次にお嬢様を見たのは入学式の翌日ですかねぇ、学校の中に馬鹿でかい車で乗り付けてきたんですよね、馬鹿でかいとは言っても見たことのない子供から見たらで、実際は車庫にあるリムジンよりちょっと長いくらいですね、それが玄関の前に止まってて邪魔だの何の、一体何所の誰だこんなあほな事やってるやつはと思いながら避けて進んでいると出てきたのは、入学式の初日にスピーチをしていたお嬢様だったと、その時私は思いましたね、何だこの非常識な奴は、恥ずかしげもなく出てくるあたり頭イカレてるんじゃないか?…って。

実際お嬢様はそれがさも当然のように車から降りてきて、適当に取り巻き候補と挨拶を交わしながら校内に入って行ってましたし、兎に角凄く邪魔で鬱陶しいことこの上なかったですね。

それからそんな日が暫く続きまして、入学から大体2ヶ月目くらいですかね?毎日毎日同じ所に停めるわ、降りてくると直ぐ取り入ろうとする子達が団子になって邪魔臭いわで…毎日毎日鬱陶しいんじゃぼけぇ!って、花壇の近くに置いて有ったバケツに水を入れてぶっ掛けたんですよねぇ、それはもう盛大に。

すると団子になっている子達は泣きだすわ、教師が駆けつけてきて入学したての小学生相手に間接決めて取り押さえてくるわ、結構滅茶苦茶でしたね、お嬢様は何も言わずこちらを睨みつけていましたけど。

その後はもう謝罪文を無理やり書かされるわ反省文も書かされるわ、親も呼び出しをくらうわ、話の分かる親だったのでこういう経緯があったと言えば全面的に賛同してくれましたけどね、謝る事は何もない、放っておいた教師陣が悪いと。

その日以降はまだ入学したての小学1年生だと言うのにもう派閥が出来上がったわけで…西野派か東野派かで…苗字が苗字なので綺麗に割れたんですよね、東西で、私としては派閥は別にどうでもいいですし、放っておいても良いんですけど、放っておいたら放っておいたで先走る子もでますし、先走って仕掛けたらどこを落としどころにするか、仕掛けられた場合もそこは同じ、出来るだけそんな事にならないように周りに目を配って纏めたりと…なんか思ってた小学生ライフでは無かったんですよ…小学生にして既に学校を割るとは言いませんけど、クラス2つほどは割る程度の派閥になってましたし…

それでいがみ合いが続いているまま夏季休暇ですね、それに突入いたしましてー、2ヶ月ほどの帰省、課題なんかはとっとと済ませて近くの山や川、海なんかに繰り出して釣り三昧、実に平和な夏休みライフ、いやー楽しかったですねぇ、おじいちゃんの家で釣ったばかりのタコを食べたり、おじいちゃんの貰って来たタイを刺身で食べたり、あの時の美味しさは今でも覚えてますね。

そんな夏休みライフを楽しんでいて、最終日近くですかね、なぜか学校の方から呼び出しがかかったんですよね、それで何じゃらほいと早めに帰ってみるとまあ、寮の私の部屋がこれでもかと荒されていましてね、盗られた物は何もなく、ただ荒して滅茶苦茶にするのが目的だったようのですが、それをやった人が大問題でしてねぇ、荒したのが連絡してきたのとは別、教師のくせにお嬢様の派閥に入っている教師だったんですよねぇ…監視カメラに証拠が残っているのにもかかわらず特に何の処罰も無し、当然の如く壊した物の弁償も無し、寧ろこっちが払えとまで言ってきましたね、1銭たりとも払いませんでしたけど。

しかしまあ、壊れたベッドや机、箪笥は直さないと使えない、新しいのを買うにも小学生では払えない、味方の教師陣は献金たっぷりのボンボンの教師には勝てない、理事は金しか目に入ってない、そこで手を貸してくれたのがお嬢様だったんですよね。

壊れた物を全部買い替えてくれましたよ、後でやりやがったなてめぇ!ってなりましたが、間違いなくその時は感謝しましたね。

で、新学期には問題なく元通りで、また普通に派閥抗争が開始されるわけですね、教師は処罰されなかったのでそのままですけど、時間がたてば派閥も大きくなるもので、体育祭が行われる頃には1学年丸々真っ二つ、同じクラスでもあいつと組むのは嫌だと、それが全てのクラスで発生し、東西で分かれて競う事になるという珍事が有りました、小学生ですし、感情を殺してと言う方が無理ですし、腹芸なんかできない分素直ですからね。

東は私が仕切っている分動ける子が多いですし、結果は圧勝しましたが、その後も行事は何かと東西で分かれていましたね、体育祭なんか初等部を卒業するまで東西に分かれたままでしたし、学舎も東西で分かれる事になってましたね…一体なぜあんなことになってしまったのか…

話しを戻しまして、体育祭の後、年末の冬期休暇ですね、これまたおじいちゃんの家に行き、ワカサギを釣ってその場で天ぷらにして食べたり、おばあちゃんと一緒におせちを作ったりしてたのですが、いざ年越しで新年だーってなった時にですね…子供ってほら…お年玉を欲しがるじゃないですか…?そのお年玉が1円ももらえなかったんですよ…で、その原因は何だと聞くと、お嬢様が立て替えたベッドや机、箪笥などの家具ですね、それの支払いで全部持って行かれてました、この時やりやがったな!ってなりましたね、新年早々無一文、お年玉1回の支払いじゃお嬢様学校の家具なんか到底支払い切れるわけもなく、それから数年、お年玉は有りませんでしたね、こちらが肉体的な分、あちらは頭脳的と言いますか、陰湿と言いますか…そして休暇が終わって出会うと澄ました顔で勝ち誇るわ、覚えてろよてめぇってなりましたね。

そんなこんなでお年玉が無いまま小学生ライフを続けましてー、派閥は少しずつ大きくなりながら、特に変わり映えもしないまま2年3年と進学しまして、4年に上がった時くらいですかねー、この辺りからボンボンが露骨になって来たというか、親の権力を振りかざすのを躊躇わなくなったというか、酷いもんでしたねぇ、お嬢様のグループの中堅辺りに位置していましたので、中小相手には力が絶大なわけで、親が会社に圧力をかけてうちの派閥の子達の親が経営している会社を潰そうとしたんですよね、もしくは働いている場合は左遷や強制解雇、ボンボンはボンボンで派閥を変えないと家がなくなるとか小学生相手に直接脅しをかけてましたし、小学生相手に何クソガキ以下の事やってんだとか、てめぇ自体は何の力も持ってないじゃねぇかと思ったもんですね。

まあ結果として派閥は少し小さくなりましたし、親が何人か左遷された子が出たり、圧力に屈さなかった所も潰れたりしましたけど、元通り以上になっているので、問題はなかったと言えばあまり問題は有りませんでしたかね、結果論ですけども。

それで4年生から5年生になり、また派閥の人数が少し増えたりしつつ、減ったりしつつ、5年生の時は何も起こらず、次に事件が起こったのは6年生になってからですかね?初等部卒業前のお楽しみ、修学と言う名の観光旅行ですね、これもまた東西に分かれてですけど…

一応お嬢様学校とは言え初等部なので国内旅行ですね、行き先は古都、神社仏閣などの観光旅行です、それで最初のうちは皆楽しんで観光していたんですけど、東西一緒にすると争いがおこるからって、観光場所はずらしていたんですね、それでバスで移動している時にどうにも予定のない所を走っているんですよ、街からどんどん離れていって気が付けば山の中、教師は打ち合わせだ何だと別のバスに乗せられていたので不在、バスが止まったかと思えば運転手とガイドが下りて、急に傾いたかと思えばバスは横転、もうね、小学生相手に何やってんだと、下手したら死人でてるぞと…幸いみんな打ち身だけで済みましたが、運転手とガイドは当然逃亡、予め停めてあった車に乗って走って行きましたね、そこからはもう四苦八苦ですよ、なぜか出されない捜索願、教師も誰一人として探そうとしない、探そうとした教師は何故か不審者として留置場送り、まさか小学生でサバイバルライフなんて思ってもみませんでしたね、サバイバルと言うほどサバイバルはしていませんけど、幸い頭は回るほうでしたし、派閥の子は基本的に動ける子達ですし、さっさと荷物を持てるだけ持ってその場から離脱、バスが走って来たという事は少なくともタイヤの跡は残っていますし、それを追って下山ですね、冬ではなく温かくなっていた春、梅雨もまだ少し先とあって、夜は皆でくっ付いて眠れば寒さはしのげましたね、掛布団の替わりは剥ぎ取ってきたバスの遮光カーテンで代用できましたし、それで慎重にタイヤの跡を追いつつ、数少ない食料を分けつつ、大体3日位ですかね?とっくに修学旅行なんて終わっています、そのくらい慎重に痕を見失わない様に追って行った所、ようやく道路に出まして、道路を歩いて下っていた所を地元の人に保護されました。

携帯なんかは全部没収されていましたからね、それに有ったとしても圏外ですし、電池切れでアウトになっていたでしょうね、どちらにせよ自分の足で歩いて降りるしかありませんでした。

保護された後は病院で皆軽い療養、親は行方不明になっていた事実を病院で初めて知り、学校側は運転手が身代金目的にやったんじゃね?程度の受け答えで責任逃れ、というか事実を知っていて擦り付け、結局学校側は証拠不十分でお咎めなし、運転手とガイドだけが指名手配されてお終い、留置場に入れられていた教師も誤認だったわで軽く済まされる程度、ボンボンの親が報道陣等を買収していたので報道されることも無し、まあ中々に嫌な事件でしたね、運転手もガイドも当時は捕まらず、海外に逃亡した、なんて噂もでましたがなんて事は無い、そもそも指名手配の写真が違うんですよ、実在しない人物の顔なんですよね、適当にその辺の人の顔のパーツを切り貼りして作ったような似顔絵、そんな物を手配書として出してるんですよね、ただこちらは故意の誤認と違い大々的に報道されましたね、犯人はこいつだと植えつけて、本当の実行犯は多額の報酬を受け取り豪遊、笑いが止まらなかったでしょうね。

そんなこんなで怒涛の修学旅行を終え、何事も無く過ごし来る初等部卒業前、ある意味審判の日ですかねぇ…

お祝いだか何だか知りませんけど、まーた玄関前に車を停め腐りやがりましてね、リムジンではないですけど、高そうな、本物のお金持ちしか所持を許されない様なやつ、それでお嬢様を迎えに来ていた当時のお嬢様の親だった人ですね、その人が下りてきまして、周りの人を気にせず子供ですら押しのけてお嬢様の元に向かうんですよ、私も一旦寮に戻って荷物を纏めようとしていた所を押しのけられて転びまして、色々たまってたのも有るのでその辺に落ちて大使を思いっきり顔面に投げつけてやりました、メガネが割れてざまぁみろと思いましたよ、ええ、お嬢様はそんな様子を特に何も思わず見ていたようですが、それでまだ腹の虫はおさまらないのでのけぞっている間に追い打ちをいたしまして、その後キレたその人に本気で殴られるわ蹴られるわで骨を何本かやりまして、何か西野家がどうのと権力を持ち出してきまして、治療もされないまま本宅へ連れて行かれましてー、それから親も呼び出しを受けましてーの、その状態で暫く待っていたら田舎でのほほんと暮らしてるおじいちゃんとおばあちゃんが出てきたわけですね、あれ、おじいちゃんも呼ばれたの?って思ったらそうでも無く、当時の西野家の御当主様でしたよって言う、だったらお年玉もっとはずんでくれても良かったじゃん!立て替えたぶん小学生から毟り取らなくていいじゃん!って。

たぶん木端の娘がやらかしたから厳しい処罰をとか言って呼び出したんでしょうけど、まあおじいちゃんの慌てようったらなかったですねぇ、直ぐに医者を呼べだの救急車を呼べだの、これをやったのはどこのどいつだとか犯人探しを始めたり忙しかったですねぇ。

そもそもおじいちゃんの苗字って西野じゃないんですよね、東野でもないですけど、なら北か南かと言えばそうでも無く、竹下なんですよ、女房の所に入り婿に入ったからーって、苗字を竹下に変えてやがるんですよ、で、ややこしい事にうちの親も婿に入って竹下から東野に苗字が変わっているわ…おじいちゃんの住んでる所は末端も末端、おばあちゃんの竹下工務店が有るくらい、孫請けの孫請けの仕事をしているような木端ですよ?そんなところに住んでいるのがまさか連れて行かれた先の当主とか誰が予想できますかっての…

それですぐ病院に搬送されて全治3ヶ月のー、折れたりした歯も何とか直してのー、それから今日に至るまでの説明やら何やらをしましてのー、その過程でお嬢様が遠縁であることが判明しましてのー、通っていた学校は大量粛清が発生しましてーの、で、メインイベントとしてお嬢様の元親ですね、それの公開処刑と学校で権力を振りかざしてたボンボンやその親も公開処刑されましてー、中等部に上がると同時位に派閥は合併しましてー、その辺りから本宅で住み込みで働きはじめた感じですかねー?

取りあえず使えるお金が無ければ始まらんと、おじいちゃんと言う強力な後ろ盾も出来たので、働いて給料を貯めてはこつこつ投資や株に手を出してみたり、働いている時にお嬢様と話したりしてみて、あぁ別にこいつ自体は別に悪いやつじゃないんだなと、お互いに理解して行って先程の合併につながるわけですね、で、働きつつ学校に通いまして、高等部に上がる頃ですかねぇ…その頃に買ったのがこの家ですね、まあ元々あったのをおじいちゃんから土地ごと丸々買っただけですけど、その後ちょっと山を切り開きましてー、元々あった思い入れのある家を景気よくぶっ潰しましてー、今の家を建てましてー、高等部卒業と同時に結婚指輪代わりにお嬢様に渡しましてー、我ながら凄いプロポーズでしたね、稼ぐだけ稼いで家と土地を買ったので養ってください!って、で、買った後にこの土地を何で切り開いたり開発してなかったかも気づきまして、もうお嬢様に譲渡した後だったので全部丸投げですね、一応血筋的には私が直系、お嬢様がかなり遠い所にいる遠縁、私は当主の座は必要ないのでそれもひっくるめてお嬢様にぶん投げて今の関係ですねー、うちは実力さえあれば直系でも遠縁でも関係ないですし、おじいちゃんもそれでいいんじゃね?って適当に言ってますしね、そもそもおじいちゃんが投手の癖に末端のおばあちゃんの所に入り婿に入るから変に拗れていたというかなんというか…後ずーっと田舎に引籠っていたから何が起こっていたかも把握してなかったし…誰が悪いと言えば…おじいちゃんが全ての元凶だったんじゃないでしょうかね…敗れたTシャツに腹巻、土方ズボンに手拭いに足袋、冬場だと腹巻の中に新聞を仕込んで上からどてら、何所からどう見てもしがない町工場のじいさんでしたし、それで判断しろってのが無理なもんです…

おばあちゃんは綺麗な着物を着ていましたし、別に贅沢が敵とかそう言った事でもなく、本当に純粋に私服がそれなんですよ、楽だからって…人前に出る時はきちっと決めてるから大丈夫だって…否かだとその私服のまま近所のじいさん達と酒を飲み歩いている様な人なのに…

まあ色々とありまして、高等部卒業と同時に当主の座を一応頂きまして、それと同時にお嬢様に婚約指輪代わりに家と土地を叩きつけまして、ある意味お金でお嬢様を買いまして、大学に通いつつグループ全体の資金の流れを把握したり、ボンボンみたいな馬鹿が居た所はグループから弾きだして、正常化した所で結婚指輪代わりに当主の座と会社を全部譲渡、私が仕事の内容全部を把握してるのはそのせいだね、透と春香に関しては中等部辺りからの付き合いかな?

取りあえず大雑把にだとこんな物…かな?もっといろいろあるけど。

では質問をどうぞ」

 ふむ、では…

「長い!良くお茶の一杯も飲むことなくそこまで喋れたね…」

「慣れです、慣れ、長時間にわたって話すことが頻繁に有ればできるようになります、次」

 バッサリ切られてしまった…


「学校であった粛清って、一時凄く話題になったやつですか?

女児数十人纏めて誘拐を隠蔽、更には誘拐の指示を出していた理事長とその教師って報道されていた」

「そだねー、それで有ってるよー、当時加担していた教師全員名前から何まで公開、その後裁判で全員有罪、今も塀の中で仮出所すら認められていないね、財産も隠し財産も全没収してるから出てきても何もできないけど」

「お嬢様の元親ってどういう事ですか?」

「あれはそもそもお嬢様と血が繋がってない、運よくお嬢様の母親の入り婿として再婚してー、その後お嬢様の母親が臥せって、療養を理由に本宅に潜り込みましてー、我が物顔で好き勝手やらかしてた大馬鹿野郎かな?

使い込みもしてたし、誰とも血の繋がりのない赤の他人が直系の孫に暴力を振るった、そもそもそれ以前にやっていたことが非常識で頭おかしいだろってことで、そいつの一族郎党現在路頭に迷ってるかな?グループからも弾きだしたし、そもそも入り婿っての自体が怪し部分だらけだったからねぇ。

小学生とか力のない弱い者相手には強いけど、ちょっとでも力の付いてくる中学生相手となるともう無理、もやしを通り越してカイワレだね、それに監視も入ってるから何もできない、借金も現在どんどん増えて行ってるし、死ぬことも許されてないね」

「結局運転手とガイドは何者だったんですか?それと今は捕まってるんです?」

「現在は無期懲役で塀の中、誘拐と殺人未遂、その他もろもろでもう2度と出てこないね。

犯人はボンボンが雇ったどうしようもない屑2人、死んでもいいからバスを横転させて、パニック状態にして子供じゃ出れない様にして放置、エンジンもかけっぱなしでそのうち炎上して死ぬだろうって、まあ普通にフロントガラスぶち破って逃げたんですけどね、エンジンも止めたので炎上もしませんでしたし。

で、ボンボンは前述のですでに塀の中にいたんだけど、殺人と誘拐を依頼してたってことで罪状が増えてもう出てくる事は無いね、親も親で偽の犯人の似顔絵をこれが犯人だと、マスコミを使ってでも国民に植え付けて犯人が見つからない様にしていたので共謀等で同じくもう出てくる事も無い」

「間接決めた教師って誰だったの?」

「ボンボン、全体重を膝に乗せてきていたからあばらにひびは入ってたね、デブだし、漫画かなんかで読んだ間接だから力任せで完全には決まってないけど変な方向に捻じれてて痛かったし」

「おじいちゃんとおばあちゃんって何者?」

「言ったように私服があれで多大に勘違いさせるような元当主、それと末端の町工場を経営していた人。

本宅ほったらかしで数十年帰ってなかった筋金入り、私の両親も知らなかったらしい」

「思い出の家を潰したと言ってましたが、この辺りに海はないですし、タコやタイは何所から?」

「あれは車に乗って海まで行っていただけですね、タイはおじいちゃんの飲み仲間から回ってきた物です、今思えばあの飲み仲間の身なりはかなり良かった気がしますね…言うなれば少し前に隠居したヘラクレスの…」

「そう言えば最近高級外車と言えば…の会長が隠居してニュースになりましたね」

「他人の空似…じゃないんでしょうねぇ…おじいちゃんの愛車って全部中古とは言えそこ製でしたし…子供だからちょっと変わった車くらいにしか思ってませんでしたよ…」

「ワカサギってどこで釣ってました?」

「この家の近くに流れる川の上流にある湖、真冬になると凍結するからドリルとかで穴を空ければ釣れる」

「婚約とか結婚を申し込むって、そういう関係は何時から?」

「御想像にお任せ、多分考えているよりは結構速い」

「何で当主を譲渡して使用人に?当主のままでもよかったのでは?」

「中等部から高等部卒業まで働きすぎて疲れた、それで譲渡と同時に貯金も全部渡してすっからかんの無一文になってのんびりしようかなーって思った、働かなくても一応食べていけるし」

「ズバリ、派閥にいた子達の今は?」

「さぁ…全員は把握してないけど、大半は普通に異性と結婚して家庭を築いているんじゃないでしょうかねえ?」

「おじいちゃんとおばあちゃんの今は?」

「本宅を離れて田舎で暮らしてる、町工場ももう畳んでるからもう無いかな?

後やっぱり愛車はヘラクレス製で何か身なりの良いどこかで見たようなじいさんが頻繁に出入りしてる」

「本宅は今どうなってるの?」

「持ち家が無い、持ちたくない、仕事の都合等々で親族が占拠中、家賃が掛からないしね、食費とかは取られるけど」

「良く同性での結婚が認められましたね」

「書類上とかが法律で無理なだけで、別に書類なんかなくても内縁とかそう言うので行けるしね。

ただ法律で認められてないってだけで内縁ってのはそこら中にいるね、私を男とくっ付けたければお嬢様より魅力的な男を連れてこーい」

「ここにいるこの人は?」

「それは反則、それを持ち出したら法律が素足で逃げながら匙を手当たり次第投げる様な物。

見た目云々じゃなくて色々規格外な所が…ね?」

「たまに訪れるルシフさんって何者?」

「あー…それは本人から言うまでは内緒で、その方がびっくりしていいから、とは本人の談」

「お嬢様に譲渡した貯金の額は?」

「あー、そうだねぇ…ざっと250兆くらい?税金が発生しない様に根回しするのにちょっと苦労したけど」

「年間予算並みの貯金ってどれだけですか…」

「一度に動かす金額が大きすぎて、ちょっと失敗して10兆削れた所で他から30兆とかポンッと入ってくるんだよね、そんなお金を動かしてる物だからリターンも多くてねぇ…」

「今の貯金は?」

「最近ようやく9桁乗りました、いやーやっと億までたまったよ、嬉しい物だね」

「国家予算並みの貯金を譲渡して置いて億までたまって嬉しいとか…金銭感覚がよく分かりません…」

「扱っている金額が大きすぎると感覚が麻痺するんだよね、私はその麻痺してた状態から正常に戻っただけだね。

世の中にはもっと上がいるけど」

「この方との関係は?見た所食事や何かお手伝いはしているようですが、正式に雇っているわけでは無いようですし」

「あー、なんだろうねぇ…難しい所だねぇ…ロザリアの親とも言えるし、歩く核弾頭とも言えるし、でも悪い人ではないですよ?」

「恵里香先輩の両親は今何をしてるんです?聞くだけでも色々巻き込まれてそうですけど」

「ふっつーに妹と一軒家で暮らしてますよ、都内でもなく片田舎で、働いていた所も別に首になったわけでもないですし、そもそも母の秘書ですし切るわきゃないですけど。

何ですかね、おじいちゃんに似たんでしょうかね?同じ様な事やってますよあの両親、妹は普通の一般家庭と思ってますし」

「今はこんな物ですかねぇ…?」

「はいはい、まあまた何か聴きたいことが有ったら御休みの日にでもね?」


「割と嘘も混じってたよね」

「話を持って楽しませるのは先輩の務め!ってね。

流石に子供だけでまとまって下山は無理ですって、正確には1人で突っ走って助けを求めた、ですね。

1人なら身軽ですし、1日も有れば人里まで出れます、後は目印を頼りに皆の所に戻るだけです。

後はそうですねぇ、お嬢様は最初から割と好意的でしたね、派閥ができて別れてたのは本当ですけど。

壊された物もお願いして立て替えて貰っただけですしねー、どういう流れを通ったかは分かりませんけどお年玉が全部お嬢様に流れたのも確かですけど…」

「寮にいた同室の子は?」

「あれはたまに泊りに来てたお嬢様ですねー、そもそも1人部屋しかないのに相部屋なんてあるわけないですし、元々好意を持ってれば寮で寝込んでいる私を看病しに来ますよねって」


「さて、それじゃもういい時間ですし、私はそろそろお暇します」

「はいはい、おやすみー」

「ちなみに透と春香も初等部から仲は良かったですね、派閥を無視して行動するくらいには」

「まあそういう物だよね」

「それじゃおやすみー」

 そう言い残し葵さんの部屋に入っていく恵里香さん、まあ、仲が良いまま今の今まで関係が続いているのなら悪い事ではないよね。

 後さすがに歯が折れたって嘘はどうかと思う…明日から入歯扱いされるぞ…

おじいちゃん

ある意味元凶、末端の町工場で働いていたおばあちゃんの所に入り婿、苗字を変える

さらに当主であることを息子には話さず、息子も息子で嫁さんの所に入り婿、また苗字が変わる

中古の薄汚れた高級外車を乗り回すやんちゃっぷり、なおその車もよく観察すると世界に3台とない車


身なりの良いじいさん

時折現れてはタイだの、イカだの、サバだのを置いていくじいさんでおじいちゃんの酒飲み仲間の1人、ヘラクレスの会長さんそっくり、というか本人

腹巻手ぬぐい、アロハシャツにジーンズ、そして足袋、冬もトレードマークのアロハをそのままにどてらを着こなす

多分このじいさんの孫娘も同じような人生を辿ってる


おばあちゃん

息子にも秘密を隠し通した悪女、と言うわけでもなく、金があるからと威張り散らさない様にするため普通に教育した

町工場で主に生産していたのは主に反物、工務店と書きつつ反物、田舎で誰も来ないからって看板を書き換えたりやりたい放題、末端だろうが小さかろうが、一度で出る利益はかなりの物

雇っている人にかかる人件費やら何やらで収入としては最終的に普通程度に落ち着く、今は町工場を畳んで別の所で新しく作った反物を取り扱う会社の代表取締役なんかをやってる


恵里香の両親

何だかんだで結構会社を大きくした、けど恵里香の妹には普通のサラリーマンとかOLと言っている

やっていることが立場を隠していたおじいちゃんと変わらない、後田舎方面に住もうとする辺り、親に似たのかはたまたそういう血筋なのか…

恵里香さんの住んでいる所も田舎寄りの片田舎である

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