餌付け 食べたら自己責任
ふんふん、ここで一旦火から下して、砂糖とヨーグルトを加えてよく混ぜる、砂糖が溶けたらもう一度冷ましてお好みの果物…みかんの缶詰と余ってるパインでいいか、を加える、果物を崩さない様に軽く混ぜたら冷凍…時間かかるから凍結させちゃえ、したらかき氷機で削ってフルールたっぷりヨーグルトシャーベット。
…これ何かいろいろと間違ってないか…砂糖を溶かすのは兎も角、シャーベットなら定期的にかきまぜないとだし、そもそも火にかける必要が無いし…熱したことで分離も発生してるし、これは人には出せんな…お腹が緩い人が食べるとお腹壊しちゃう…
何所からどう見ても失敗なヨーグルトのかき氷風を食べ終え、拾ってきたレシピを削除、これは完全に失敗だったな…次のレシピはー…
何々、自宅で簡単、本格的チャーシュー、豚、牛、鶏、羊何でもござれ。
えー…まずは肉を適度な大きさのブロック状に切り、下茹でをします、下茹でをする時は生姜やニンニク、長ネギの葉の部分があるとなおよいでしょう。
下茹でが終わった肉の表面に醤油を万遍なくかけ、良く染み込ませます、染み込ませたら高温の油の中に入れ、香ばしくなるまで上げます(油跳ね注意)、表面の色がこんがりと揚がったら油から取りします。
チャーシューを付ける調味液を作ります、氷砂糖、酒、醤油、ネギなど、無ければネギだけでも良いです、氷砂糖も無ければ普通の砂糖で、野菜を調味料で煮込みつつ砂糖がしっかり溶けたら揚げた塊肉を耐熱容器に入れ、先ほど作った調味液を入れます、この時調味液を作る時に入れた野菜を肉の上に乗せておくとよいでしょう。
最後に蒸籠、もしくは蒸し物ができるお鍋に入れ約1時間、大きさによっては2時間ほどじっくりと蒸すとよいでしょう。
なるほど、この前のお肉の塊がまだ残っているし、ちょっと作ってみようかな。
怪しいレシピもあるが、たまにこういったまともな物もあるからレシピを漁るのは止められない…たまにそれ大丈夫なの?ってものが試してみれば理に適っていたとかよくあるからなぁ…
ただヨーグルトシャーベット、あれは駄目だ…牛乳を温かい所に置いておいたらヨーグルトが自然に出来ると思っているのと同じ類かも知れない…
「それで朝から揚物の音がしていたんですね」
「朝から揚物は流石にウッとくると思いましたが、朝食用では無くて良かったです」
「そお?うちのメイド達なんて朝から天丼大盛りなんて出そうものならおかわりを要求してくるよ?」
蒸している間に軽めの朝ご飯、トースト1枚に薄めのベーコン2枚、レタスの葉を2枚にスライストマト2枚、トーストは1枚を半分に切ってあるので挟んで食べても良い。
「良い匂いが漂ってきている所にBLTサンドと言うのも物足りない気がしますね」
「まあ、あれはお昼用だし、朝食が終わったら仕込みの続きをしないとねぇ。
あ、麺とご飯どっちが良い?」
チャーシュー丼か麺で仕込みの内容も変わってくる、麺だとスープを取らないと駄目だからなぁ…
「麺」「麺」「ご飯」「麺」「ご飯」「麺」「麺」「麺」「麺」「麺」「炒飯と麺」
「ご飯が2人の麺が8人と炒飯と麺が1人と…」
ん?1人多くない?
「やっぱりラーメンと来れば炒飯とセットでしょ、後餃子とかから揚げ、エビチリなんかも良いね」
「どったの?今日何かあったっけ?」
ルシフが皆と同じBLTサンドを食べつつ自然に溶け込んでいた、ルシフの分作ってないんだけど…
「ん、んぐ、まあラーメンと炒飯は切っても切れないよね、それこそ私とご主人様の縁みたいに!」
「取り敢えず私の朝食返して?」
何が良いか聴いている時にでも持ち去って行ったのだろう、私のお皿がなくなっていた…まだ三分の一も食べてないのに…
「いいじゃんいいじゃん、今日の向こうの朝食BLTサンドだったんだよ?」
「ならなおさら食べる必要は…」
「バナナ、レモン、ちよひめのホイップクリーム和えスポンジケーキサンド」
「あ、はい」
それはただのフルーツケーキでは…?
「いやー、同じBLTでもこっちの方が朝食って感じがするよね」
「私は朝食がなくなったけどね、後頭文字を取ってなんでもBLTにすれば言ってもんじゃないと思う…なんでちよひめなの…大将錦じゃ駄目だったの…」
「私的にはとちおとめとかとよのか、後Lはレモンよりルビーロマン、レモンの果肉一粒一粒丁寧にバラしてクリームに混ぜ込んでるのは良かったんだけどね」
「無理に3つに纏める必要もなかったと思うけどね、フルーツケーキなら」
「だねぇ」
骨を洗い、一度煮て茹でたお湯を捨て、次は骨を砕いて野菜などと一緒にしっかりと煮込み、蒸したチャーシューを蒸籠から取り出し、調味液には付けたままそのままゆっくりと冷ます。
「麺は何麺?細?中?太?」
「細でいいんじゃない?一玉一玉も少な目で…替え玉をして大体1人前より少し多くなるくらい」
「じゃあこんな物だね」
中寄りの細麺、スープがスープだし、ちょうどいい位…かな?
「替え玉も含めて大体30玉…いや50は欲しいかな?」
「はいはい、それにしても」
「うん?」
「新しい子達だーれも調理場に来ないね、うちだと間違いなく誰かしらが摘み食いに来るのに」
「あぁ、そだねぇ…チャーシュー麺からチャーシューが消えて仕方が無いから肉野菜炒めを乗せたことも有ったねぇ…」
「あの時は誰が犯人だったんだっけ…カーラだっけ…?」
「カーラが実行、カミラが陽動、カルラが企画立案、動機はルビー達に美味しい物を食べさせたかった、まあ後でお尻ペンペンしたけど」
「一切れ二切れならまだしも、まだ切っていない塊を全部持って行くとは思わなかった、食べさせてーって言うから一切れとって食べさせている間に少しづつ移動させて、2人目に食べさせている間に調理場から離脱、2人目は暫くその場に残り視線が向きそうになったらチャーシューを食べさせてきて視線を固定、何所でそんな知恵を付けたんだろうね…」
「あの後しれっと戻ってきて肉野菜炒めラーメンを食べていたのはらしいと言えばらしかったけどね」
あの時の敗因は調理場に私しかいなかった事か、ヴェスティアとエキナセアに追加の野菜を採ってきて貰うタイミングが悪かった事か、はたまたヴリトラとハクの2人が臭いが籠るからと外でスープを炊いていた事か…全部だろうなぁ…
「あの2人凄い仲が良さそうですけど、急に現れたあの人は一体…?」
「簡単に言えばこれですこれ」
「表現の仕方が古いですね…」
「何もしなければ攻撃してくる事は無いので、普通に接していればいいですよ、気に入って貰えればちょっと美味しい思いができる?」
「ははぁ…よく分かりませんね…」
「初対面ならそんな物ですね、私の時の初対面なんてサスペンスごっこに巻き込まれた上に、部屋が血塗れにされてましたからね」
「どちらの初対面の時に?」
「今麺を凄い速度で作っている方、凄かったですよー、実際に刃物を腹部に刺して出血させた状態で放置して、頃合を見計らって家の中に堂々と入ってくるっていう。
こっちはいきなり家の中で人が殺されたとか、監視カメラ全部チェックしても誰も入ってきた記録も無いわ、ひょっとしたら身内による犯行かとか、そんなこんなで混乱してたら死体が消えているわ。
死体が消えたと思ったらここで殺人事件が!とか言いながら通報すらしていないのに刑事としてやってくるわ、手帳も本物そっくりに作られていたり、割とやりたい放題でしたよ」
「実際に腹部に刃物って…よく生きてますね…いくら親しい仲でも大人しく刺されるとかまずありえないと思うんですけど…」
「それくらい仲が良いってことだね、演技の為に心臓も呼吸も止めていた辺り結構やりなれてるね、ごっこ遊び」
「ごっこ遊びってそんなのでしたっけ…?」
「ごっこだからこそ真剣に、やらせは一切なく本物より本物らしく、これ基本ね」
「うわっ!」
「あ、もう麺打ち終りました?」
「後はもうスープができればラーメンだけなら何時でもだね、私はちょっとお買物、餃子の皮にするほど粉が残ってなかったからちょっと買ってくるよ」
「はい、行ってらっしゃいませ」
「あ、暇なら誰か一緒に来る?助手席空いてるし」
「私は新人さんに色々教えている所なので遠慮しておきます」
「私も教えて貰っている途中なのでちょっと…」
「あらそれは残念、今まで体験できなかった事を体験させてあげようと思ったのに」
「それは追々…まだあれは秘密ですから」
「なるほどー、まあそう言う事も有るよね、まあ誰かしら暇な子が1人くらいはいるでしょ、それじゃ行ってくるねー」
「あれってなんです?」
「アヤカにはまだ免許がないから免許を取ってからね、そしたら好きにして良いから」
「はぁ…と言う事は車で?」
「だね、アイナとかアスカが見たらびっくりして転んじゃうかもね」
「そんなまさか…」
スープは白濁しない程度、されど骨髄でとろりと…透き通っているのに骨髄が溶けだし、少しねっとりと纏わり着く様な不思議なスープの出来上がり、合わせるのは味噌や塩より醤油か…
スープはこれ以上火にかけなくて良し、少し冷めたくらいがねっとり感も増して丁度いい、温めるにしても醤油を方を温めて、熱々の麺を入れればいいかな?
ルシフは餃子の皮に使う粉が足りなくて買いに行ったし、餃子に包む具材を作らないとなぁ、何が良いだろ…ラーメンが結構こってりしているからあっさり目で行くか、にんにくやニラをガツンと効かせるか…んー…にんにくとニラは抜きでいいか。
玉ねぎ少々にほどほどの短さまで刻んでスープで戻した春雨、チャーシューと同じ肉の脂身を少し、寸胴から取り出し良く冷やして煮凝りのように固まっているスープを入れて軽く混ぜ合わせて餃子の餡は出来上がり、しっかり口を閉じないと火を通している間に溶けだしたスープが溢れ出てしまうが…まあルシフなら大丈夫、期待通りの物を作ってくれるだろう。
次は唐揚げ、いつも通りに砂糖と塩に醤油で作った調味液に漬け、衣は片栗粉に溶き卵で…衣は揚げる直前だな。
「ただいまー、今から練って寝かせば食べてる途中に皮ができるね」
「食べ始める前じゃちょっと遅くない…?」
「と言うわけでお願い?」
「まあ、いいんだけど…そこで倒れているアキラは一体…?」
襟首を掴んだ状態で引きずられていたので調理場の床でうつ伏せで倒れている、時折ビクン、ビクン、と動くので生きてはいるようだが、今は小麦粉を練っているので確かめる事ができない。
「暇そうだったからちょっと捕まえて一緒にお買物して来ただけだよー、ただ一度乗せてから終始動かなくなったからそのまま引きずって来ちゃった」
「そう…まあ食堂に椅子にでも座らせておいて、足元に転がったままだとちょっと危ない」
「はいはい、じゃあ食堂に行こうねー」
あ、やっぱり引きずって行くんだ…しかし、運転が荒いわけでも無し、特に何かが無い限りは道路を封鎖したりとかもしないはずだし、何が有ったんだろうか?
「生地はもう伸ばして包むだけね、後はお任せー」
「はいはい、これは焼きより蒸しが良いね、皮も極力薄めで透き通るくらいに…」
「その辺りもお任せ、皮厚めで焼きとか茹ででも良いし、脂身は生でも行けるし、玉ねぎもそのままサクサク食べれる、春雨がちょっと火を通さないと駄目ってくらいかな?」
「まあ透けるくらい薄くして蒸した方が良さそうね、色的にはちょっと今一だけど、エビがあるから綺麗な赤色も入るか」
「んだね、餃子一個に対してエビ1尾ね、分かってるとは思うけどちゃんと口を閉じないと溢れ出るからね?」
「ハハハ、大丈夫大丈夫、頭と尾は見た目だけにしか使わないから」
「頭はちょっと欲しかったかな…」
「だーめ、もう使うって決めたから、炒飯に使うのは別の物でよろしくー」
「まあいいんだけどね」
脂を取る時に使った鶏皮に長ネギの一部を細かく砕き、炒飯の具材にする、エビの頭を揚げて砕いた物の方が結構いい味でるんだけどねぇ…
準備をしている内にいい時間になってきたので、ベースとなる醤油タレを湯煎で温め、調味液に漬けて置いた鶏腿を衣と絡め、鶏皮で取った脂で唐揚げに、中も外も鶏、新人さんは後で悲鳴を上げそうだな…
丼に温めた醤油タレを入れ、スープを注ぎ良く混ぜ、茹で上がったばかりの麺は余り湯切りはせず熱々のお湯と一緒に入れてスープと絡め、こっそりと収納に隠し続けていたメンマ、刻み葱、牛肉で作ったチャーシューを乗せれば…
「パッと見はボリューム満点だよね、拡大してみれば」
「そこはまあ、替え玉とか前提だから、他にも唐揚げとか餃子とかもあるし」
机の上には温めている醤油タレにやや温かい程度のスープ、刻み葱にメンマ、スライスしたチャーシューを並べ、自分で具材やタレやスープを自分好みで追加して貰う。
麺や餃子の追加はこちらで受け付け、自分好みの濃さに調整したミニ丼に麺を放り込むだけ、炒飯も小さめのお皿に盛るだけ。
餃子に唐揚げに加え、脂を取った後の鶏皮も塩を振って出してあるので脂分はたっぷり、普通の丼などで出すと間違いなく食べすぎるだろう…今でも若干…いやかなり危ない感じがしているし…新人さん達次第かな…
「スープが透き通っているのに濃いですねぇ…醤油タレが無くても美味しく頂ける位には」
「餃子すご…完全に透き通って中が見えてるし、入っているお肉は脂身ひとかけらだけ、そこに玉ねぎの甘みと溢れ出す濃厚なスープ、それをたっぷりと含んだ春雨…そしてぷりぷりの海老…」
「その辺にあるお店で食べる唐揚げより何か…こう…美味しさが直接来るというか、外の衣まで鶏と言う感じが…」
「はー…こういうのも有るんですねぇ、パリパリサクサクしてて何か安っぽい感じですけど、癖になりますね」
「メンマ大盛りチャーシュー4枚、食べ進むと底にはさらにチャーシュー!スープが透き通っているから丸わかりでちょっとしたビックリとか嬉しさは出てこないけど」
「ファイブA達はよく食べるねー、しっかり動けば問題は無いけど」
「誰もが通る道です、温かく見守りましょう、餃子2個追加で」
「そうだね、美味しいには必ず付いてくる物を忘れるのはよくある事、替え玉と炒飯、炒飯カス多め」
「しっかり仕事を割り振ってそれなりに動くようにしてあげてくださいね、この家にジムなんてものは無いので、から揚げと餃子4個」
「まだ入ったばかりなので割り振れる仕事が掃除か草刈、皿洗い位しか有りません…替え玉炒飯カス抜き、餃子を炒飯に乗せて」
皆名前がアから始まるからってファイブAはどうかと…特に気にしてはいないようだけど…
「そう言えば今はもう復活してるけど、結局の所アキラは何でビクンビクンしてたん?」
「あー、あれねぇ、車庫にある車を見ておったまげて腰抜かして、ちょっとふるえて声を失っていた所を助手席に積み込んで買い物に行ったからかな?」
「それだけで?」
「それだけだね、別に驚く要素なんてないと思うんだけどねぇ、ただの乗用車だし」
「ズズッ…あれを乗用車と言うのはどうかと思います…腰が抜けて立ち上がれなくて車から降りれなくなった状態で放置されたので、客寄せパンダか檻に入れられた珍獣になった気分でしたよ」
「たかが乗用車で腰を抜かすとは…アキラは普段から高級車で送り迎えされてたじゃない…」
「いやー…あれはもう次元が違うというか…乗るのも恐れ多いと言うか…アスカも見たら腰抜かすよ…」
「乗用車で腰を抜かすわけないじゃない、それに車は車庫に止まっている軽トラックに葵様のスポーツカー、それと外出用のリムジンくらいでは?」
「まあ、なんというか…うん…アノクルマヲミルトキヲタノシミニシテオイテネ?ワタシハコシヲヌカスノニチョキンゼンブカケテモイイカラ、ネ?」
「そこまで言うのであれば乗ってあげましょう、後言葉遣いが壊れていますよ?」
「アスカ、アスカ」
「なんです?」
「私もアスカが腰を抜かすのに貯金を半分、もし私が買ったら…暫くはアスカがパシリね」
「うぐっ…絶対に腰を抜かしませんからね!」
何やら賭けまで行われ始めた、葵さん達は初めて見た時も普段とほぼ変わらず、寧ろ自分から乗りたがっていたくらいなんだけどなぁ…
「もし、もし?」
「はいはい、どの御代わりが欲しいの?」
「あ、では替え玉一つと餃子を1個麺に乗せて。
それでですね、車庫は一つしかなかったように思うのですが、本当の所はどうだったんですか?」
「あー、言っていいの?」
「その子にだけならいいんじゃない?賭けに混ざってないし、多分近い内に見る事になると思うし」
「じゃあ昼食が終わったら食堂でちょっと待っててね、私は運転できないから乗るならルシフがいないと駄目だし」
「はい、楽しみにしてますね」
そう言ってカウンターから離れていくアヤカ、アリスもアリスで賭けに参加せず、我関せずと早々に食事を終えていた。
…ふむ、ちゃんと食べる量は程々にするタイプと、アヤカもおかわりはした物のアレで丁度1人分くらいだな。
「皆元気だねー、私も参加しちゃダメなんだろうか?」
「駄目でしょう、勝敗の分かった賭けに参加してどうするのですか…」
「ちょっと通帳の数字を倍に増やそうかなーって?」
「通帳の数字を0にしてあげましょうか?それなら幾らでも参加しても構いませんよ?」
「横暴だー!」
「恵里香はそもそも新人より貯蓄が多いはずでは…」
「この前夢の9桁ーとか言ってたじゃない、というか無駄遣いが無ければもっと早く到達してた…」
「細かい事は良いんですよ、細かい事は、娯楽無くして仕事は成り立ちません!たとえ見えている地雷や世間で言われている糞なゲームであろうとフルプライスで購入!
その後軽くプレイしてごみ箱にダンクシュートして綺麗にして棚に納めるまでが一連の流れです」
「ゴミ箱にダンクする意味とは一体…」
昼食が終わったのでぱぱっとお皿洗いなどを済ませ、約束通りにアヤカを連れて車庫へ移動、もし乗ってみたいとなった時のためにルシフも一緒に。
時折車は入れ替われど、特に驚くような珍しい物は無かったと思うのだが、アヤカの反応やいかに…
「ここが車を停めてるもう一つの車庫ね、奥に行くほどお値段が上がっていくけど、まあ値段よりは乗り心地とか運転のしやすさだよね」
「ふわぁ…」
ルシフが簡素に説明しているがアヤカは既に心ここに非ず、どこか遠くへ行きかけている…
「おーい、大丈夫ー?」
「あ、はい、私は大丈夫です」
「ちょっと怪しい感じだけど意識ははっきりしてるね、それじゃあ説明の続き、一番手前にあるのが一番安いやつ、乗り心地そこそこ、運転のしやすさ良好、ちょっとしたドライブならこれがお勧め、ただ乗り心地がそこそこと言うだけあって、長時間運転するのには向いてないね、疲れやすい体質ならなおさら」
「はい」
「次に何台か飛ばしてこれ、一番最初のと比べると値段はまあ、ほぼ倍くらい?
マニュアルだからこれに乗るならオートマじゃなくてマニュアルで取る事、とはいっても半分以上がマニュアルだから、全部乗ってみたいならマニュアル一択だね、向かって左がマニュアル、右がオートマ、もし乗った時に車を停める時は出来るだけ分けてね?
で、この車だけど、この手の車は大体乗れても2人乗り、何だけど、極限までエンジンを縮小化、走るためのパワーはそのまま、フレームから何まで軽くてとにかく頑丈な物を使用、結果、4人乗りができるようになってます。
問題は燃費があまり良く無い事、縮小化した結果1つのエンジンでも走るには走るんだけど、精々軽と同じくらいになっちゃったんだよね、だから前後でエンジンが2個ついてます、まあ複数人でお出かけしたい時様だね、乗り心地もそんなに悪くないよ、エンジン音も割と静かだし」
「ルシフは運転したがらないけどね」
「そらそうでしょうよ、乗り心地は悪く無くて、4人も乗れるとは言え、エンジンのパワーは1個当たり軽と同じ、2個積んでも燃料タンクは1個で共有、高回転で燃料馬鹿食い、スーパーカーの形をした燃費最低の乗用車だよこれ、ほとんどネタだね。
後2個積んでる分駆動系が特殊だからどこかがイカれるとギアが吹っ飛ぶ、ついでにエンジンに穴が空く、この辺りの問題をどう解決していくかがこの車の問題だね」
「それ、大丈夫なんですか…?」
「まあ一応は大丈夫だね、硬い物に勢いよくぶつかったりしなければシャフトも折れないし、普通に乗る分には燃費の悪い普通自動車よ、名義上はスーパーカーだけど。
それじゃあ次は、こいつが良いかな?アキラちゃんが檻に入れられた珍獣気分になったやつ」
「追い打ちは止めてあげて?本人はここにいないけど、多分明日辺り悲鳴あげるから」
「んんっ!ここからはスーパーカーではなくハイパーカー、世界に3台と無いやつも混じってる、もちろん全部新車…だったが正しいかな、卸してから1年以上は経ってるし。
まあちゃんと定期的にメンテナンスもしてるし、都度部品を新品に交換してるからほぼ新車だね。
一応ここからの車に乗る場合は念の為にこれが車にあるか確かめる事、このまま公道走ると間違いなく止められるから、その時はこれを出せば全部解決。
あ、事故ったりしても特にお金は請求しないので安心してね、こちらから当てたとしても相手に過失があるなら10:0に持って行けるから、まあそもそもあたる前に自動で停車するから大丈夫だけどね。
ちょっと乗ってみ」
「あ、はい」
ルシフに促され車に乗り込むアヤカ、一応助手席か、運転しても誰も何も言わないとは思うけど、一応配慮しての事なのだろうか?
「ご主人様はそこに立っててね」
「はいはい」
「じゃ、よーく見ててね、今足が掛かっているのがアクセル、その隣がブレーキ、でアクセルだけを踏みっぱなし、当然加速します」
車が此方に向かって走り出す、が…
「このように踏みっぱなしでも一定距離に車が有れば自動で減速、対象の5メートルくらい手前で振動も無く停車します、これは人じゃなくて車だったり、障害物だったりでも同じね。
自分で運転する限りは車の方からアシストしてくれるし、前だけじゃなくて前後左右、360度カバーしてるから、ハンドルを切りすぎても急に曲がったりせずスムーズなライン取りで右左折が可能、でも指示キーは手動でちゃんとやってね?ナビに目的地を入力しておけば自動で右左折の指示キーを出してくれるけど、目的地が無い場合は指示キーを出してくれないからね?」
「ちょっとびっくりしましたが、なるほど…これなら余程残度が無い限り自分から事故をする事は無いですね…」
「ここから置いて有る車にだけ搭載している機能だね、まずはここので運転になれて、手前のに乗るってのも有だね」
「普通は逆な気がします…」
「そこは反論できない」
「取り敢えず何度も後ろに下がっては前進を繰り返すのもうやめない?当たったとしても壊れるのは車の方だからいいけどさぁ…」
「で、大トリを飾るのはこちら、世界に一台だけ、誰もが羨むルシエラモデル、石油王ですら買いたくても買えない一台だよー」
「え…なんでそんな物がここに?」
「ま、元々私が特注して作った車だしね、今は譲渡して葵ちゃんが持ち主だけど、余り乗ってないみたいだね」
「ロザリアがたまに乗るくらいだね、葵さんは外にあるほうの車庫にある車に乗ってるよー」
「これ一台で一体いくら位に…」
「んー…そうだねぇ…貴重な素材に誰も再現できないような部品、対戦車ミサイル位なら煤と埃しかつかない頑丈さ、ガラスにひびすら入らないね。
ドアを開けるにも運転するにも生体認証が必要、何とかドアを突破してもエンジンも特殊で配線弄って直結、なんてことはできない、そもそもキーが無ければスターターも無いんだよねこれが。
車載カメラは24時間はっきりくっきり高画質、真夜中の犯行だろうが昼間のように鮮明に写ります、顔を隠したりしていても駄目、素顔がはっきり見える謎技術付き!
でもまあ、問題としては乗る本人が下りた所を狙われたらどうしようもないって所だから、これに乗るのは暫くは車庫と繋がってる練習場か、もしくはご主人様と一緒か、色々と鍛えた後になるかな?」
「確かに、車本体が駄目でも運転している人が下りた所を襲えば後は脅して奪えますもんね」
「一応常に衛星カメラで周囲を監視しているから、怪しい挙動の車とかあれば即座に子飼いの警備員が駆け付けるから大丈夫だったりするけどね。
何時でも何所でもあなたの傍に、情報、技術、PMC派遣から冷凍食品配達まで何でもござれルシエラカンパニー、どうです?うちの保険に入りませんか?」
「いえ、遠慮しておきます…」
「ハハハ、だよね、滅茶苦茶怪しいし、傍から見たら何言ってんだコイツってなるよね」
「しかし分らないことが…」
「はいはいなんでしょう?」
「先程からルシエラしか所有していない車が有ったり、保険に誘ったりと、あなたは何者なので?」
「あー、まー、一応本人?見た目は全然違うけどね、ハハハ」
「それ本当ですか…?」
「ほんとほんと、でなきゃこの辺りの車がここにあるのはおかしいって、それに少し前にルシエラが来たとか、結構報道されてたでしょ?」
「え、ええ…」
「その時拠点にしていたのがここ、ホテルに泊まっている振りをしてここで寝泊まりをしていたのだ!
で、その時の迷惑料と滞在費として帰るときに車を車庫付きで全部葵ちゃんにプレゼントしたのさー。
まあ私の正体は残りの4人にはまだ内緒ね?びっくりした顔が見たいから」
「それは構いませんが…ほんとに?」
「あれは変装した姿だしね、こんな感じで…こう…くしゃくしゃーっと」
「うわっ、本当にルシエラだ…」
「ハハハ、アイムルシエラ!まあ困った事があればすぐ頼りなー、親の経営する会社に関しては葵ちゃんの所だから問題はないだろうけど、縁談やら何やらが面倒な時は特にね、相手が嫌なやつだったりし場合、軽く不釣り合いにして破談理由に出来るようにするからさ」
「そう言う事になった時は…一応お願いします…」
「はい、任された、よし、それじゃあちょっとそこで運転の練習をしていこうか、免許はどっち?オートマ?マニュアル?」
「オートマで考えていますけど…」
「じゃあオートマから乗って行こうか、教習で使うのに近いのは…この辺りから、さ、乗って乗って」
「私は先に戻ってるね」
「はいはい、また後でねー」
何やらルシフ先生による臨時の自動車学校が開かれるみたいなので家に戻ってのんびりお茶にするとしよう…しかし…んー…これ私必要だった…?
食堂まで戻ってみればアリスが一人でお菓子作り中、集中しているようだし、声をかけてびっくりさせてもいけないし、隅の方でお茶を飲んでいようかな…
のんびりとした時間を過ごす事30分、お菓子を作り終えたのか、アリスが机の上に焼き菓子を置いている、焼き立てみたいだし、1枚貰おうかな。
「1枚貰うよー」
「はい、どうぞ」
「はて、お味のほどは…」
焼き立てでサクサクとした歯ごたえ、程よい塩味に香ばしい香り…これは…
「鶏皮だね、それも脂の抜けきった」
「美味しいですよねぇ、鶏皮、常備しておきたいくらいです」
「落とした脂はどうしたの?」
「取り敢えずボウルに入れておきました」
「はいはい、後でネギとか追加してネギ油にしないとね」
「お手伝いします」
「ありがと」
アリスと2人でサクサクと音を立てながら、脂が抜けきり、カスとなった鶏皮を食べ続けた。
んーむ、夕食は何を作った物かな…
ヨーグルト風かき氷
牛乳を熱した所にヨーグルトと砂糖を入れ、再度加熱、良く掻き混ぜたらあら熱を取った後お好みの果物を入れて冷凍
カッテージチーズとして取り出して使うなら兎も角さらにそのまま冷凍、舌触りは酷いし水っぽいしで人に出していい様な物ではない、お腹が緩い人は確実に下す
自宅で簡単
簡単と言いつつ簡単というほど簡単ではない
ただ作れる環境が有るなら簡単と言えば簡単、人によりけり
BLTサンド
ベーコンレタストマトが基本でありこれこそがBLT、決してバナナ、レモン、ちよひめではない、そもそもちよひめだとChiでありTiではない
BRASSIERE・LONGGIRDLE・TIGHTS!でもない、頭文字がBとLとTなら何でもいいってもんじゃない、なおメイドにこの姿にしてBLTと称してご主人様を挟み込み、BLTサンドと言い切った怪しい薬を作っている狐さんがいたとかなんとか
脂を取った後の鶏皮
パリパリサクサク、カロリーを気にせずお摘みにどうぞ
何気にお嬢様なのでカスを食べるのは初めて、知ってはいけない禁断の味を知ってしまった
チャーシュー麺
麺の上にチャーシューを並べるだけでなく、丼の底にも何枚か仕込まれている
白濁しているスープでこれをやられるとちょっとうれしい、これをやってくる店が本当に有った
ファイブA
海山海運令嬢アヤカ!二条建設令嬢アキラ!華園製薬令嬢アリス!コデック令嬢アイナ!レガリア令嬢アスカ!5人揃って!
別に戦隊でもないし胸囲も皆が皆Aというわけではない、纏めて呼ぶのが面倒だからと皆の名前の頭文字から取ってファイブAとした、決めポーズも多分無い




