頑張って覚えよう 覚えるには何処か大きな特徴から
「えー…と言うわけで、今日から住み込みで働くことになりました、よろしくお願いします」
何がと言うわけなのだろうか、携帯を返してから1ヶ月後、多分もう会う事は無いんじゃないかなーって思っていた5人がなぜか揃って住み込みで働くことになっていた…怪しい会話が一部で行われていたからそういう予感と言うより、ほぼそうなるだろうという確証も有ったけど、ちょっと急すぎない?
「えー、自己紹介を念の為にお願いします、私としてはABCDEでも構いませんけど」
「恵里香さんそれは酷くない?」
「聞きましたよーご主人様、お祭りの時に厄介になったお屋敷の主のお嫁さん達、使用人時代の呼び方がメイドAとかメイドBとか、果ては今の主が主になるまえはABCDE予備で、今もまだなお名前で呼んであげていないそうじゃないですか」
「いやー、それはー…ね?」
「リッカちゃんは拾ってからほぼ直ぐに名前を付けて呼んであげていたそうじゃないですか、エキナセアちゃんもヴェスティアさんと一緒に名前を考えたり…
なんでそれ以外の人はほぼ名前で呼んであげないんですかねー?」
「はい…今度からちゃんと名前で呼びます…」
「よろしい」
努力はしよう、ただ間違えて覚えても文句は言わないでほしい…
「はい、では自己紹介の続き」
「あ、はい、観山 アヤカです、海山海運の娘ですが、海運と言う事で海にしてあるだけで名前の方は観の方です」
「私は二条 アキラ、二条建設が実家になります、代々伝わる自慢は有名所の神社仏閣、果てはお城まで、すべての建造に携わっていた、と言う事らしいです、半分くらいは嘘でしょうけど」
「華園 アリス、華園製薬の…娘ですね、一応、現在トップの母とは血が繋がっていませんが、まあ仲は普通にいいかと、最近までお風呂を一緒に入っていましたし」
「レガリア社長の娘、大野 アイナです、どうです?これを機に業界ナンバーワンの家電に総入れ替えしてみませんか?」
「コデック社長の娘、浅野 アスカ、ナンバーワンなのは壊れやすくて直ぐ買い替えているだけ、耐久性も格段に上、業界二番手なのは買い替え頻度が低いから、どうです?コデック製にしてみませんか?」
「はいはいはいはい、自己紹介有難う、後うちは何気に全てオーダーメイドでレガリアでもコデックでもありません」
そう言えばちょっと前にルシフがあれやこれやと要望を聞いて全部特注品に変えたよーとか言ってたな、何所のメーカーかを示すロゴも一切入っていない、ただ消費電力やら何やらが文字通り桁違いに少なく、かといって性能が低いわけでもなく、ざっとこの先20年はこれに追いつく事は無いだろうという物ばかり、追いついたとしてもコスト面の問題で再現するのは無理だとかなんとか。
「では次にこちらですね、こちらが西野家の現当主、葵お嬢様、隣にいるのが御付の秘書のロザリア、あなた達よりは年下ですけど、この屋敷の全体やお嬢様の仕事を全て把握している結構すごい子なので何かあれば相談するように。
そちてぷりちーなわたち、お嬢様の幼少の頃から仕える事ぴー十年、そう!この私こそが西野家筆頭メイド長!東野 恵里香ちゃんだー!」
「誰がぷりちーでちゃんですか、年を考えなさい年を」
「はぐぅっ!」
胸を押さえて倒れ込む恵里香さん、うん、こちらも文化にもだんだん慣れてきたけど、流石にそれは無いと思います、若干引いている子もいるし、口から吐き出したケチャップを拭こうね、はいキレイキレイしましょうねー。
「馬鹿は放っておいて、私は使用人の大久保 春香、一応そこの馬鹿と同い年」
「私もそこの馬鹿と同い年で鹿島 透、まあ言ってしまえばお嬢様共々、小さな頃からの腐れ縁かな?」
「ついでに感覚で紹介されましたが、ロザリアです、一応葵様の養子と言う事で西野 ロザリアとなりますね。
何か分からない事や相談事があれば気軽にお尋ねください」
「で、肝心の彼ですが…契約した時に念書に有ったように名前は尋ねないでください、それと此処であったことは基本他言無用、何かあっても外に持ち出さない事、たとえ親兄弟でも口外しない事、いいですね?
一応彼の呼び方に関しては、あなた、もしくはご主人、またはそれに通じる物でお願いします。
まあ、今日の所は荷物整理も有るでしょうし、お仕事は明日からと言う事で、ではお疲れさまでした」
葵さんはそう言い残し、部屋から出た所で各自解散、自由行動となった。
「どしたんご主人様?メモ帳なんか持ち出して?」
「いやー、新しく入ってきた子がいるから名前を覚えようとね?」
「ふむふむ、どんな子?可愛い?」
「皆可愛いんじゃないかなぁ?」
「メモしてある名前は…ふむふむ…葵ちゃん所の傘下の娘達か…なら容姿は申し分なし、こっちのページは…あー…」
「恵里香さんにね、名前を憶えてちゃんと呼んであげないと駄目だよーって言われたから、今からちょっと聞きに行こうかと」
「なるほどねぇ、今も呼び方が元メイドAだとか、元王女だとか、聞く人が聴いたらなんのこっちゃ、だしねぇ…」
「覚えるの苦手なんだよねぇ…」
「まあゆっくり覚えて行けばいいんじゃない?」
「取り敢えず北に行ってくるね」
「はいはい、念の為に私もついていくよー、取りあえずメモ帳に書いてあるメイドA→元メイドA→ってのは消しておこうか」
「ほぇ?名前?今更?」
「うん」
「まあ構わないんだけど、昔渡した書類にもちゃんと名前書いてたんだけどねぇ…」
「どうにも覚えるのが苦手でねぇ…」
「まあそう言う事なら…取りあえず皆を呼んでくるね」
「はいはい、のんびり待ってるよー」
新しいメモ帳を取り出して…対象の人物の顔写真と名前と…
記憶にある顔写真をメモ帳の1ページ1ページに丁寧に貼り付け、名前のメモを取る準備は完了、顔写真に間違いは…
「全部あってるね」
「良かった」
全部あってた、後は名前を聞いてメモを取るだけだね。
「まあまずは私から、メイドDからの元王女こと、フィリス・アナ・ノルバッハ、フィリスが名前、アナがディアナ様信徒の証明、ノルバッハが家名だね」
「フィリスが名前で…信徒の証…家名…よし、これでメモ帳を見れば大丈夫」
「一回呼んでみてくれない?」
「あー…フィリス?」
「はい、何ですかご主人様?」
やたらと上機嫌で返事をしてくれる元王…いやフィリス、そこまで嬉しい物なのかねぇ?
「あ、そうそう、家名は全員ノルバッハだから、家名は省略しちゃっていいよ」
「はいはい」
「信徒の証明は有ったり無かったり…まあ教会で洗礼を受けたかどうかの違いだね、大体進行している神様の下二文字を頂いている感じだね」
「ふむふむ」
「まあ、これも特に気にしなくても良いかもしれないけどね、改宗できるなら皆ご主人様の信徒になってるしねー」
「あー、それは確かに、名前が無くても身近にいて姿形が確認できるなら信仰できる、がうちのメイド達の持論ですね」
「何それ?」
「エリス達のお仲間も良くやっているじゃないですか、信仰は世界樹派かご主人様派かでの争いをを、彼女たちは皆ご主人様の姿形を知っていますし、直接触れ合っていますからね」
「あぁ…」
過激派になるとこっそり闇討ち、または両勢力から武力制圧されて世界樹の根元に埋められ、翌日には世界樹から正常になった状態で生まれ変わってくるというあれか…
「アレは極端な例だけど、うちのメイド達は皆近い物が有りますよ?
私や狐が仕掛けたなんちゃって誘拐や転送や転移でもなく、警備を掻い潜って誘拐や転送などをしようものなら、間違いなくメイド達が総出でお出迎えに行きますよ?」
「何それ怖い」
今のところそんな事になった事は一度もないが…もしそうなった場合は…
「まあ、その辺り一帯は無に変えるんじゃないですかね?」
「何それ怖い」
これからも誘拐なんかを企む人が出ませんように…
「こほん、気を取り直して、」
「元メイドAことシェイドです、信仰は元々無く、今はご主人様なので証明は有りません」
「元メイドB、ホノカ・ノゥ、元ユノー様の信徒です」
「元メイドCのローラ・ヴァ・ノルバッハです、一応以前に言ったような気もしますが、あの時は名前だけでしたかね?信仰はご主人様8ミネルヴァ様2くらいですかね…ミネルヴァ様に聞いたら10:0にしなさいと言われましたが…」
…それでいいのか信仰対象になったユノーとミネルヴァは?
まあ、本人が10:0にしてと言っているのならそれでいいんだろうけどさぁ…
「元メイドEでエリシア・ノア、植物を司るという事で私達の種族はケレス様かクロノア様の信徒が多いですね、初めてお会いした時は色んな意味でビックリしましたが…」
「あぁ、ね…野菜も植物だからね…」
「それ以上はいわないでください…」
植物を司る信仰対象の神様とご対面できると、少しはしゃいでいたのはいいのだが…
いざ2人を呼び出してみると…その…ね…
土方ズボンに腹巻、頭に手拭いを巻き、クワを担いだ状態で御光臨なされた…あの場にいたのが元メイドEことエリシアとフィリスだけだったからよかった物の…
「何で事前に呼び出すからって伝えておいたのにアレで来たんだろうねえ…」
「ありのままの姿を見せたかったんじゃないでしょうか…?」
「まああの2人にとっては今の正装はあれだしね、土や植物を司る、つまり農業や林業、そういう事だね」
いやー、個性的な信仰対象が多いですね…
「では、妻A改めサイリーズ・カンです、芸術も司るという事でウルカン様の信徒です」
「妻B、ヘルガ・レス、エリシアと同じですね」
「Cのハル、信仰がご主人様です、今後ともよろしくお願いいたします、何時でも空いていますので、またぜひいらしてくださいね?」
「妻Dでミオンシェファル・ティア、ヴェスティア様の信徒で今日もご主人様に頂いた屋台で料理を振る舞っていました、後で食べにいらしてください」
「妻Eことモルディア・ティア、ミオンと同じで一緒に屋台をやっています」
「ミオンとモルディアの料理もどんどん美味しくなっていってるんだよ、後で食べに行こうね」
「うん、まああとでね、今は名前と顔を一致させるのが大変で…」
メモした名前と顔を覚え、メモを見ずに名前が有っているかも確認し…覚える事が多いなぁ…
「次はお楽しみの娘達だー」
「えーと…10人と、そのお嫁さん達だっけ…?」
「そだね、孫は1人も居ないけど、お嫁さん含めると結構多いよー」
「…また今度でいいですか?」
「だーめ、私も付き合って上げるから、一応名前を聞いてメモするだけはしておこうね」
「ふぁい…」
その後娘ちゃん達の自己紹介が始まり、何とかメモを取りつつ顔と名前を一致させつつ覚えていったが、流石にこれ以上は無理、一度には覚えられない、と言う事で撤収…
メモを見れば多分何とか…少し怪しい気もするが…多分次からは名前で呼ぶ事ができるだろう、きっと…4割くらいは…念のためもう一度思い出してみよう…
1人目が…えーと…シ…シ…うん、メモを見ないと分からんね、何々、シエルド、シェイドの娘で後姿がそっくり、ならんでも姉妹にしか見えない…
こんなのメモしたっけ…?
「あぁ、頭から煙拭いて倒れてたから色々付け足しておいたよー。
名前だけじゃなくて何かしら特徴を付けたしておいた方が分かり易いでしょ?」
「これは特徴と言って良いのかどうか…」
「後姿がそっくりで姉妹にしか見えなくても毛色が違うでしょ毛色が。
生みの親のシェイドが黒、娘のシエルドがフィリスと同じ白、全然違うでしょうが」
「じゃあこっちは…?」
「んー?ホノカはシェイドと同じ黒、娘のカホも同じ黒」
「同じじゃない…」
「いやいや、ちゃんと書いてあるでしょ?
カホの方が角が少し短い、身長が2センチ低い、胸が母親に比べて30センチも小さい。
これ大きな特徴だよね、正面や後ろから見れば一目瞭然、角とか身長とか、微妙に違う顔つきなんかは後で覚えて、最初は胸で判別だね」
「ふぅむ…」
「で、次がローラの子で、親と同じ種族の特徴である虎柄が良く出てるけど、母方が金黒白、娘のレイテが白に近い銀黒、尻尾も金黒の縞と銀黒の縞で綺麗に分かれてるね」
「これならシエルドと同じで見分けは付きやすいかも」
「エリシアはホノカと同じ感じ、耳の長さは同じ、髪の色も同じ、身長も同じ、違うのは足やお尻の肉付き、スカートで隠れて普段は見えないけど、足腰などの筋肉の付き方はフィリス似だね、後若干娘の方が胸が小さい、具体的には1センチくらい。
見分けが付かないときはスカートを捲ればいいよ、エーリスの方が筋肉質で硬くて、エリシアの方がニーハイソックスがちょっと肉に食い込んでる」
「捲らずに見分ける方法は…?」
「髪の長さ、エリシアがエーリスより5センチ長い」
「はい、暫くはスカートを捲らせて頂きます…」
結い上げたりしてる髪の長さが5センチ違うとかどう見分けろと…下していても遠目に見たらわからないよこんなの…
「小休止した所で次ね」
「えぇ…」
「後もう少しだから頑張って。
次サイリーズの娘のカテリーズ、念の為に2人の全身像を映し出してみました、まずは特徴を捉えてみよう」
「どっちがどっち…?」
「一見そっくりな二人だけどよーく見たら違う所があるでしょー?
まずはそこを上げて行ってみよう」
「んー…左は目の色が青で右が赤?」
「正解、で、どっちがサイリーズでどっちがカテリーズ?」
「…右がサイリーズ?」
「はずれ、ここでフィリスの目の色を思い出してみよう、フィリスの色は赤だったよね?」
「そう言えば赤だったような気がしなくもなくもない…?」
「サイリーズが青、カテリーズがフィリスと同じ赤と覚えよう、んで、そんな小さい特徴じゃなくてもっと分かり易いのが有るのね?」
「えー…何だろう…んー…サイリーズの方が太い?」
「太くはないねぇ、そう見えるだけで、正解はサイリーズの方が娘よりはるかに小さいでした。
太く見えるのは娘の方に合わせて拡大してるからだね。
具体的にはサイリーズが158に対してカテリーズは186と結構大きい、これはフィリスの母親からきている遺伝だね」
「だったら最初から等倍の縮尺で出してよ…」
「違和感に気づかなかったのもどうかと思う、全身一回りは太くなってるのになぜか目の違いを見つけるし…
まあ、これで分かったと思うから次、ヘルガとヘレネ、今回は同じ縮尺で出してみました。
はい、それではここからわかる違いは?」
「…なんだろ、髪の長さも色も同じ、サイドテールが右か左位?」
「それは母娘で合わせてそうしているだけでその日の気分で逆になるから違うね、パッと見でわかる違いがあるでしょー?」
「えぇ…えー…スカートの丈がミニかロング?」
「正解、ヘルガがロングを好んで、ヘレネはミニを好んでます、後は下着の趣味が違ったりも有るけど、ヘルガがミニを履くことが無ければ、ヘレネもロングを履く事は無い、スリーサイズも違っていたりするけどパッと見でわかる様な物じゃないから、この二人はスカートの長さでまず覚えようね」
「ふむふむ」
「んで…これは簡単かな?ミオンと娘のファラファリス、まあファラちゃんでいいね、何か名前を纏めて二つ付けるのが伝統の家系っぽいから。
では等身大の全身像ドン!さぁ特徴は何だ!?」
「んん?髪の色が黒白、白黒?」
「そそ、面白い家系だよね、向かって左に父方、向かって右に母方の髪の色が出てくるの、左の白がフィリスで右の黒がミオン。
女性が子を成すと父方の髪の色、男性が子を成すと母方の髪の色と、結構変わった体質をしてるよね。
ちなみにファラの髪が白以外、例えば白金と黒だった場合ご主人様との間に出来た子供、と言う可能性が出てくるわけだね、浮気をして子供を作ると一発でばれちゃう家系とも言えるね。
問題は相手方が浮気をした場合は分からないって欠点は有るね、ここの家系が子供を作った時のみに出る特徴だし」
「ほーん…」
「後例にもれずやっぱりスリーサイズとかは違うけど、一目見てわかる様な物じゃないので割愛。
まあ気になったらご主人様もミオンかファラを襲って子供を作ってみるといいんじゃない?
ミオンなら白金に黒、ファラなら白金に白ってなると思うからさ」
「いや、できないの知ってるでしょ…後、襲うとかしないから…」
「ハハハ、寧ろ向こうから襲ってきそうだよね、それに子創りに関してはいろいろ慎重にやらないとね、まあいいや、つぎ。
モルディアとアルティア、例によって全身像をどうぞ」
「ん、ん…んー?」
「まあこれも分かり易いかな、ホノカやカホと同じでもあり、サイリーズとカテリーズと同じでもある」
「あぁ…目の色と胸か」
「そそ、ただこっちはオッドアイだね、モルディアが両目金に対して、アルティアが赤と金、胸に関してはモルディアが86に対してアルティアが71、平らだね、これに関してはもう遺伝と言うよりそう言う体質だった、としか言えないね…モルディアも結構大きい方だし、フィリスもあれはあれで胸筋みたいなもんだけど84は有るし、ご主人様、アルティアの胸を揉んで大きくしてあげてー?小さいのが悩みらしいから」
「無理です、それにその相談なら狐さんかミアでは…」
「まあちょっと揉んだだけで大きくなるならもうとっくに大きくなってるよね、憐れアルティアちゃん、でもご主人様は大小関係ないから未来は明るいね!」
「なんで私なの…それに娘ちゃん達全員にお嫁さん居たじゃん…」
「それはそれ、これはこれ、親とお嫁さん公認だし、浮気にもならないね、寧ろお嫁に来た元騎士団長副団長の方が愛人まである、どちらにせよ一部反対はあれど国も公認しちゃってるから、間男だ何だと気にせずやってあげなさいな、具体的には2センチは大きくなるまでは」
「何で2センチ?」
「揉んで発育させてもそこがもう成長限界だから、これ以上は狐とかミアのお薬に頼らないと発育しないね」
「アルティアちゃん…」
「大トリを飾るのはこちら、フィリスが産んだ奇跡、9人のお嫁さんの血とフィリスの血が合わさって生まれた奇跡、フィレーネ、いやー、狐のお薬って凄いね、継ぎ接ぎだった物を綺麗に一纏めにしたんだから、余程大事にされてない限りお薬を渡す前に死んでたね、ハハハ。
で、まあ特徴は見て分かる通り、フィリス譲りの兎耳、ローラ譲りの虎尻尾、ホノカ譲りの胸、外見的な大きな特徴はこんな物かな?
見た目にはわからない特徴としては、シェイドと同じで鼻が利いて、エリシアと同じで植物と親和性が高い、他にも手先が器用、芸術家としてもそれなり、料理も割と得意、一時はっちゃけてたけど国を裏から支配してるくらいには頭が良く回る、誰に影響されたのかお嫁さんを除くと愛人が数十名、正妻の座に居座っている隠密ちゃんこと第十三騎士団の元団長ミントに元副団長シナモン、は偽名を捨てて本名、フォルカとジアーラに戻ってますね、の両名と共に裏でコソコソと何かをやっている、まあこちらには筒抜けですけど…」
「外見以外の情報必要だった…?」
「いや、特には?でも面白いじゃん、これだけ強烈な情報があれば一発で覚えれるって。
そもそも娘ちゃん達全員が見た目だけじゃなくて色々と面白いんだよね、お嫁さんのほとんどが元騎士団長と副団長とか、あの一家だけで大陸を回していけるね、戦力面では申し分なし、経済もホノカにカホと言った優秀な子がいるし、食文化もミオンにモルディア、農業にはエリシア、工業にはサイリーズにカテリーズ、そしてそれを纏めるフィリスに、その全体を監視するフィレーネ、多分裏でコソコソやってるのも何処か空いてる島国で国でも作る気なんじゃない?」
「国…作る意味あるのかねぇ…」
「そこは当人じゃないと分からないね、そこそこ広くて年中通して気候が安定、温泉も有って船が行き来するための海流も安定、そう言った所を探しているのは事実だね。
まあ国じゃなくて観光地の開発でもしようとしているのかもしれないけど、叔母がアレだし」
「アレか…アレじゃなぁ…」
「投資すれば確実に倍以上になって帰ってくるんだけど、資金を引っ張ってくるところが毎回悪いからね…その引っ張ってくるところを作るか、投資させて軌道に乗った所で譲渡なりして資金源を作るつもりなんじゃないかな?
それにまだ北のお城完全に直ってはいないし、そこに押し留めておくという使い道も…」
「ああ…ね…」
北のお城の再建までざっと数十年、馬鹿やる度にようやく形になった所が吹き飛ぶから工事は一向に進まない、築城に関わっている人がくいっぱぐれる事は無いが、賽の河原と何が違うのだろうか…形になる度崩れていくお城を眺め続けている現場の人達の心境は如何に、まあ死んだ魚の目をしているんだろうけども…
「何時まで経ってもお城の復旧目途が立たないし、お城の跡地に仮設住宅を作ってそこで書類仕事、寝泊まりは仮設住宅を離れて親族の家を転々と、そして現在お嫁さんはフィリスの家に保護されて別居中、間違いなく国は発展しているんだけど、取扱いに困ると言えば困るね、だから暫く国から離れて貰うつもりなんじゃない?」
「ふむ」
「まあもし違ったらその時はその時だね、どうするかはフィレーネ次第、もし国を立ち上げるとしたら…
最低でも石像か銅像くらいは覚悟しておいた方が良いね、場合によってはメイド達総出で細部までこだわってそっくりな物に作り上げます」
「やめて?」
「まあ、これだけ強烈なのが有れば1人位は覚えたよね?」
「多分大丈夫、暫くメモ帳を使用すると思うけど」
「じゃあ軽くテストしてみよう、この二人はどっちが誰?」
目の前に外見はぱっと見そっくりな二人の像が出される、えーとこの二人は…
「外見的な特徴はほぼ同じ、足腰の筋肉の付き方が違うのでスカートを捲って確認…ふむ…」
筋肉質な方がエーリス、ニーハイが少し食い込んでいる方がエリシアか、どれ。
「こっちの少し硬めのがエーリスで、こっちの食い込んでいる柔らかめがエリシア、どうだ」
「…正解です」
「もっとじっくり触って確かめて下さいな」
「うん?」
はて、像が喋るとはこれいかに?そう言えば何か良い匂いもするし、像にしては温かい様な?
「言って無いけど、その二人は像じゃなくて本物ね、誰も立体映像とは言って無いよ?」
「…そう言う悪戯はやめようか…」
とりあえず本人が二人いるので、改めて二人を並べてよく観察。
「んー…改めてみると目とか鼻とか口とか少し違う…?」
「目元はエリシア似、鼻と口がフィリス似、後若干耳の角度も違う」
「声も似ているようで違うなぁ」
「一応家族内でも一番似ている方と言われていますからね、毎日見ていないと間違える人の方が多いですよ?」
「そうそう、お母様の方を探していて私を連れて行って後から間違いに気が付く、なんて事がよくありますね、声も良く聴けば微妙に違うのですが、急いでいると違いが分からない程度ですからね。
そうなると証明するには家族内の誰かを連れてきてもらうか、本人に来てもらわないと証明できないんですよね…」
「足を見せたり触らせたりして証明、なんてご主人様でなければまずできない証明方法ですしね」
「ふぅむ…所で」
「どったのご主人様?」
「名札付けるのは駄目なの?」
「…それは」
「流石に…」
「ないわー…」
「えぇ…だめぇ…?」
中々良い案だと思ったんだけどなぁ…同様にリボンや髪飾り、その他小物を提案してみたが、取り換えっこすると見分けが付かなくなる、と言う事でお流れになった、以前に試してそれでも間違えて連れていかれたから効果は無いとも言っていたが。
「ただいまぁ…」
「お帰りなさい、何かずいぶん疲れてますね?」
「一気に数十名の名前を覚えようとしたらちょっとね…名前って何のためにあるんだろうね…」
「何所の誰かを分かるようにするため、極端に言えば識別するための物…じゃないでしょうかね?
無ければ人を呼ぶときにもそこのあなたとか、先日会ったそちらのあなたとか、返す言葉もあなたあなたと、わけのわからないことになりますし」
「やっぱり必要かなぁ…」
「必要ですね、所で、名前を覚えようとしたとの事ですが、この家の住人の名前くらいはちゃんと覚えていますよね?」
「あー、多分?」
「こほん、では、今私の隣でお茶を飲んでいるのは誰?」
「ぷりちーな西野家筆頭メイド長の恵里香さん」
「ぶっふっ!それ引きずるのもうやめません…?」
噴出して机の上に飛び知ったお茶を拭き取る恵里香さん、言い出したのはあなたじゃないか…
「ではその正面でお茶を被ってどうしたらいいか分からなくなっている人は?」
「…アスカ?」
「残念、アスカはその隣でお腹をと口を押さえている方、お茶を被ったのはアイナです、アだけは合っていましたね」
「アだけ合ってるも何も、新しく着た子皆名前アから始まってるし、取りあえずハンカチ貸してくれれない?」
含んでいた量が多かったのか、ハンカチが元々少ししけっていたのか、ハンカチ1枚では拭き取れなかったらしい、取りあえずハンカチと布巾を渡しておこう。
「初日の新人に顔射と言うセクハラをかました恵里香は置いておいて、そこで口とお腹を押さえている子は誰でしょう」
「あ、アスカだっけ?」
「正解、先ほど答えを言ったので覚えていたようですね、笑っている理由はアイナがお茶をもろに顔面に受けたからか、ぷりちーに反応して笑ったかでこの後の処遇が決まります」
「えっ?」
「では次に」
「ちょっ!ちょっとタイム!処遇って!もし後者だった場合どうなるんですか!?」
「…恵里香次第?」
「顔面です!顔面にお茶を受けたのを笑っただけです!」
「本当に?」
「本当です!信じて下さい!」
「では判定をお願いします、どうぞ」
えぇ…私に丸投げ…?真実を伝えればいいの…?
「あー…両方だね、ぷりちーで反応して、見事に顔面でお茶を受けたのを見て耐えきれなくなったみたい」
「嘘です!お茶だけです!信じて下さい!」
「ねぇアイナ」
「何ですか恵里香先輩?」
「こういう遊び知ってる?ゴムパッチンって言うんだけど」
「テレビで見たことは有りますね…さ、アスカ、口をあーんして?」
「んー!んんーー!!」
「ゴムが嫌なら洗濯ばさみもあるよ、何所を挟むかは…」
「噛みます!洗濯ばさみはいやぁぁぁぁぁ!」
「なんだろう、急に明るく楽しい場所になったような」
「ですねー」
机を挟んでアイナがアスカを羽交い絞めにし、恵里香さんが何所からか取り出したゴムバンドを咥えさせ、ゆっくり少しづつ伸ばしていく、その様子にアスカは唸り続けているが、口を開けることは許されない、そして程々に伸びた所でゴムが発射され、パチーンと気持ちの良い音と共に明日香の顔にゴムが直撃していた。
「はぁ…はぁ…お…思ったよりは痛くなかった…」
「そらそうよ、ちょっと伸びやすいだけだもん、音だけってやつだね」
「はぁー…なら洗濯ばさみでもよかったような気がします…そっちも痛くはないんですよね…?」
「…慣れれば?」
「やっぱりゴムパッチンだけで…」
「アイナ、ゴー!」
「いやー!やめてぇぇぇ!」
「楽しそうだねぇ、じゃあ次の問題、調理場から顔をのぞかせている3人は左から?」
「んーと、アリスとアキラとアヤカ?」
「惜しい、アキラとアヤカが逆だね、アリスは正解、アリスは何所で見分けて覚えてた?」
「髪の色…かなぁ?1人だけ地毛で金だし」
「なるほど、アキラとアヤカはどちらも黒だからね、アイナとアスカは染めている金だから根元は黒いし。
じゃあ特徴から覚えるとして、こっちおいで」
調理場にいた3人を呼び寄せ、並んで立たせて特徴がよく分かるようにしてくれる。
「まずアリス、さっき言ったように綺麗な金色の髪、地毛なので根元から黒くなってくるわけでもなし。
次、アキラに間違われたアヤカ、いきなり顔のパーツで見分けて覚えろと言うのは酷だから、簡単に説明すると、アヤカよりアキラは一回り背が低くて、髪の長さが倍くらい違う、アキラは肩を少し超える程度まで、アヤカは腰より下、正面からだとちょとあれだけど、後ろからなら一目瞭然ですね」
「ふむふむ」
後ろを向いて貰うと確かに長さが全然違う、ほぼ正面しか見てなかったから気づかなかった…
「それとあそこで洗濯ばさみで挟まれているアスカは新人の中で一番背が高いね、アイナはその次だけど、アスカが先の方に軽くウェーブをかけていて、アイナが先の方をカールしてある。
まあどうしてもだめなら横からだね、アスカより立派な物をアイナは持ってるから」
「ああ…」
なんだろう、覚え方は何所でも基本的には変わらないのかね…?
「ところで透先輩、あれ止めなくていいんですか?」
「いいんじゃない?現に君たちは我慢できてたでしょ?ぷりちーとかお茶の顔射で笑うのを」
「それはまあ…」
簡単に特徴なりを説明された後、一緒にお茶を呼んでいる所で刑の執行はまだ続いていた…まあ喜んでるから口を出す事は無いな。
「そ、そこは駄目!引っ張った時絶対痛いから!いくら挟む力が弱くても流石にそれはー!アッー!」
「ほらほらアスカ、ここがいいんでしょう?それとここも、ここも、あそこも。
はい、各所に洗濯ばさみを付けた所をみんなに見て貰いましょうねー?」
「やーめーてー!お嫁に行けなくなるー!」
口ではいやいやと言っているが、特に抵抗もせず、暴れるふりだけをしているし、若干赤くなっているし、どういう関係なの…
こちらを向かされたアスカは耳、鼻、唇に洗濯ばさみを挟み、後は引っ張って外すだけという状態にされていた。
「これは…ちょっとアスカの親には見せられない光景ですね…」
「親は幼馴染の腐れ縁でライバル同士、時折一緒に遊びに行くくらいに仲は良いですが…その娘達がこれでは…」
「普段は業界ナンバーワンナンバーワンと言っていても、アイナの手に掛かればワンワンと鳴くワンちゃんになりますしね」
「あら、そういうご関係だったの?まあうちはそういう関係も大いに結構だから、何だったら色々根回しをして同性婚も出来ちゃうよ?」
「あの二人に教えたらその日のうちに婚姻届を出しそうですねそれ」
「いーやー、少しづつ引っ張って焦らさないでー!一気に外してもう楽にしてー!」
「まあ、今の関係が一番楽しそうでもあるよね」
「ですね、では最後の問題、私とずっと一緒に座っている人は誰でしょう」
「透さんと春香さん」
「正解、見事正解したご主人様にはこれを上げましょう」
「ありがと」
焼き立てのクッキーを貰ってしまった、先ほどまでアリスにアキラ、アヤカが焼いていた物だが…うむ、ちょっと焦げてるけど問題なし、今後に期待しよう。
「それで今日は1日中名前を覚え回っていたと」
「お母様も大変ですね」
「どうにも昔から覚えるのは苦手なんだよね」
お風呂に入って寝る前に葵さんとロザリアと一緒に温かいお茶を飲みながら今日の出来事を話し、恵里香さん達が葵さん達のいない間に馬鹿をやったりしていたのを話した。
「んー、問題、私とこの子は誰でしょう」
「西野 葵、西野 ロザリア、葵さんは家の主でロザリアの義理の母、ロザリアは養子として迎え入れられた形になっている」
「ま、よろしいでしょう、ではロザリアの本当の母の名前は?」
「ローザベル、毎日掃除してるからお墓はピカピカだね、たまにはいくら丼食べ放題が良いって言ってるけど」
「生きてるの?」
「いいや、ちゃんと死んでるね、生まれ変わっていないだけ、ちょっと遠い所でお仕事の手伝いをしながら過ごしてるけど」
「お母様の好物って何?」
「生前だとアケビとかキイチゴとか、死後はなんでも大丈夫になって今は塩辛とかいくらの醤油漬け、辛子明太子も良いって言ってたね」
「お母様…」
ロザリアは悲しみで涙を流しているが…理想が崩れてその悲しみのあまりに流れた涙だろう…まあ、ただ食生活が変わっただけでローザベル自体は姿以外はほぼ変わってないから大丈夫、ちゃんとフォローはしておこう…ローザベルは何時でもロザリアを見守っているからね、ただ活動するのに沢山食べないと駄目なだけだから…
ぷりちーな筆頭メイド長
御年ピー歳、見た目よりは遥かに若い、10代前半にしか見えないほど
実年齢を知っている人から突っ込まれてケチャップを口から吐き出すまでがワンセット
ロザリアが葵さんの手伝いをするようになるより前に家全体と葵さんの仕事をすべて把握してサポートしていたので一応は凄い人
信仰の証
教会で洗礼を受けたら誰にでも簡単につく、皆が皆信仰しているわけではない、でも実際に存在しているので無神論者は居ない
改宗できなくもないがちょっと難しい、納得させれる内容の文書を送らなければならないし、何時読んでくれるか分からないので数年待ちとかよくある、基本的に新しい物から読むので定期的に送れば早めに改宗可能
一応信仰して洗礼を受けるとちょっとその分野に強くなる
特徴
場所や人を覚えるのに大事な物、細かい所は後から、まずは一目見てわかる大きな特徴から
特徴も何も無く似たり寄ったりの場合難易度が跳ね上がる
初日の新人に顔射セクハラ事件
自分で振って置いたネタを後で掘り返されて盛大に噴出し、正面にいた新人は顔にぶっ掛けられ言葉を失った
勢い余って顔に噴き掛けるのはパワハラかセクハラか…取りあえず顔射だったので見ていた人はセクハラと呼んだ
ゴムパッチン
良く伸びるゴムを加えさせて引っ張り、程々に恐怖を煽った所で放す
ただよく伸びるだけの柔らかい物を使用、怪我をしたら大変だからね
洗濯ばさみ
見た目は洗濯ばさみ、ただし挟む力はそれほどない、先も柔らかい素材でできており、挟むというよりは軽く摘まむ程度
少しづつちょいちょいと引っ張って心を刺激するのが大事、そしてここぞと言う所で一気にひっぱる
業界ナンバーワン
電化製品の最大手、国内でナンバーワン、壊れやすいのが玉に瑕
とは言え壊れやすいのは大体無茶な使い方をしているせい、ちゃんと耐久テストは合格してる
ワンワン
どうしてこうなったのか、何時からこうなったのか…多分純心無垢な時代にごっこ遊びをしたせい、飼い主がアイナで飼い犬がアスカ、気が付けば親にも言えぬ関係に
でも監視カメラで常に防犯を徹底してるのでばれてる、両家の両親公認、舞い込んでくる縁談は両家の親共々すべて蹴り飛ばしている
いくら丼食べ放題
死してなお栄養を取る事を止めず、多分新しい管理人さんの所でどんぶり飯を食べながら仕事を手伝ってる
一応お供えをした物がご本熊に届くようになっている
涙
悲しみのあまりに溢れ出た、理想が崩れ去った悲しみ故に…
ローザベル自体食べる物が変わっただけでほぼ何も変わっていないのでちょっと傷ついてる、娘の勘違いにローザベルも涙




