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記憶にございません やきう拳

「記憶にないんだよねぇ…本当にそんなもの作ったの?」

 少し遅めの昼食で納豆焼きそばを食べつつ狐さん達に聞き返すが…

「作ってましたよ、いくらとフグの親子丼炭火焼き酢醤油風味白みそ仕立てを」

 いくらとフグは母娘じゃないし、炭火焼にした物を丼にしたのか、丼を炭火焼にしたのか…それと酢醤油風味の白みそ仕立てってなんだ…

「ご主人様は終始笑顔でこちらを見ていましたよ」

「何も覚えていないんだよなぁ…調理した後も残ってないし…ストックしてた調味料は確かにちょっと減ってるけど」

 砂糖、塩、酢、醤油、味噌、味醂、酒…他にも香辛料各種がちょっとずつ減っている、何に使ったんだろうか…思い出せん…

 納豆と焼きそばを混ぜ、麺に納豆を絡めて焼きそばを食べる、うむ、これはこれで美味しい。

 梅とおかかのおにぎりにネギのお味噌汁付き、ちょっと贅沢な気分、これにお浸しや胡麻和えがあればもうちょっと色合いも良かっただろうけど、無くなっていた物は仕方がない。

 狐さんとルシフ2人のお小言を聞き流しつつ昼食をお腹の中に納めていく、ルシフも少し丁寧な言葉遣いになっているし、何処か悪いのかな…時折顔をしかめているし、やたらと水を飲んでいる。

 狐さんも表情こそすら変わらないが、何かを上書きするか忘れるために稲荷やお茶を口に運んでいる。

 一体昨日何が有ったというのだろうか、食材もやたらと減っているし、いったん屋敷に戻って野菜を採ってこないとなぁ、特にネギの消費が激しい、味噌汁に散らしているので最後、既に刻んでるのが収納に入っていたし、何かを作ったにしては端材などが一切ない、不思議だねぇ…

「聞いてますかご主人様?」

「考え事してたからさっぱり」


 自分なりに不思議な事があった物だと考えながら食事をとっていただけなのに、狐さんとルシフの手により強制的に正座の体勢にされ、後ろ手に縄で縛られ、洗濯板の上に乗せられ、膝に石を乗せられるというお仕置きをされてしまった…

 石を大量に積み上げる物だから、洗濯板が壊れてしまった、また新しいのを作らないとなぁ…

 解放された後、真っ二つに割れた洗濯板を片付け、新しい洗濯板を木材から選び抜き、でこぼこをつけ、丁寧に磨き上げささくれ一つ残さない、端の方は少し丸みを持たせ、手が滑ったりした時に引っかからないように少し細工、仕上げに木屑を洗い流し、乾燥させれば出来上がり。

 新しい洗濯板が出来たので一度屋敷に戻り、野菜をいくらか収穫、消耗の激しかったネギを多めに…そうか、ネギと言えばフグを食べるのにも良く使うかなぁ…

 よし、今日はフグにしよう、せっかく養殖に成功したんだし、フグ刺し、てっちり、から揚げ食べ放題で、ご飯やうどんも出汁の出たお鍋に入れてもいいよねぇ…ついでにうどんを打って行くか、打つだけ打って寝かせている間にフグを取ってくればいいね、2匹も捕れば十分…大きさ次第では1匹でも大丈夫、フグの状態次第かな?

 手早くうどんの生地を打ち、踏みこんだら生地を寝かせ、その間に海へ繰り出しフグの成長度合いを確認、ふむ…目測で…10メーター?これなら1匹で十分だね。

 一番美味しそうなフグを選び、その場で急所を切り開き、紐で引っ張りながら加工場まで歩いて持って行く。

 養殖が成功したとはいえ、まだそれほど出していないし、食べ放題とか狐さん達も驚くぞー…何か意味不明な物を出されたとか言って機嫌が悪かったし、美味しい物を出せば機嫌は直る、はず…

 周囲も確認したし、船も出さず歩いて行ったし、見つかっていないはずだし、夕食の時に食べ放題と言えばびっくりすると同時に喜びも有る、有るといいな…狐さんとルシフの言っていた謎料理にフグが絡んでいたし、何かフグに関する嫌な夢でも見たのかもしれないし、拒絶される可能性も無くはない…

 念のためにお肉も用意しておく方が良いかなぁ…てっちりの材料を流用して鶏鍋も悪く無し、豚とキャベツや白菜の鍋でも良し、うどんはもう切って茹でるだけ、ご飯もある、フグがもしダメだった場合は豚や鶏のお鍋にしよう、フグは1人で食べればいいや。

 フグを捌き、加工場を掃除したら海の家の方の調理場へ行き、から揚げの仕込み、フグ刺し用のネギを切り、小口切りのネギはポン酢に漬けて馴染ませておく。

 白子も茹でた物をポン酢に漬け、白子焼きと天ぷら用は塩で下味、ソテーなんかもいいけどお鍋やフグ刺しに合わせたいので今回は見送り、かなりの量が有るので急に注文されても対応は可能、余ったら余ったで一人でこっそりいろいろ作って食べちゃおう。

 フグやお肉、お鍋に入れる野菜の準備は終わったのでうどんを茹で、水で洗いぬめりを取りざるに上げ、豆腐にしらたきもうどんと同じざるに乗せて置く。

 伸びていないうどんもいいけど、伸びたうどんもお鍋に中々合うので少し放置、伸びていないのも一応用意、伸びていないうどんは鍋に入れず、お碗に入れて鍋から出汁を取り、醤油を足してなんちゃってかけうどん、締めに出汁で煮こんだのもいいけど、出汁をかけただけの物もこれはこれで美味しい。

 醤油も出汁の中に追加するだけでいいようにしておくために酒、味醂と合わせ軽く火にかけて冷まし、ちょっとばかし時間を飛ばして返しを作るのにかかる時間を短縮、少し舐めてかどが取れていたら醤油さしに入れて準備完了。

 夕食までは…まだまだ時間がある、生牡蠣も追加しちゃおうかな、旨味たっぷり、煮て良し焼いて良し生でも良し…おっと尻尾が…

 品数が増えて豪華になっていく夕食に尻尾がパタパタ動くのを抑えられない…まだ食べれるかどうかは分からないけど…食材がどれだけ余るかだよねぇ…

 小さくなった代わりに旨味が更に凝縮された20センチくらいの牡蠣を50個ほど捕り、殻を剥いて海水で洗い、一つだけ摘み食い。

 んー…旨味たっぷり、ぷりぷりとした食感もしっかりとあり…もう一つと手が伸びそうになるが我慢、摘み食いした分を補充してから宿泊施設の調理場へ行き、生牡蠣を氷の上に乗せ、一応レモンを添えて置く、鉄分の吸収率を上げる…とはいってもここにいる皆は関係ないし、ポン酢で食べるかレモンで食べるか、それとも何もつけずそのままの味を楽しむか、多めに用意してあるので一通りは試す事ができる、生に飽きたら焼いたりお鍋に入れたり…

 時間も程よく夕食時、さて、部屋に運び込むか。


「一昨日もフグを食べませんでしたっけ?」

「うん?一昨日は恵里香さんの要望でマグロ尽くしじゃなかったっけ?」

「それは4日前ですね」

 んー…?なんだろう、何か噛み合わない…

「ちょいちょい」

「何でしょうか?」

「ご主人様今ちょーっと丸1日と少しの記憶が飛んでるからスルーしちゃって」

「なるほど…またフグが食べれるので悪い事ともいえませんけど、何か前回より色々増えてますし」

「生牡蠣に出汁に足す醤油に締め用の少し伸びたうどん、伸びてないうどん、フグに飽きたら牡蠣鍋でも良いし、豚や鶏で肉鍋でもいいね、醤油は味を少し変えたいときにどうぞ」

 生牡蠣やフグ刺し、白子ポン酢を並べ、お鍋に昆布を入れて軽く出汁を取り夕食開始、さて、変わった注文は何が来るかな…?


「白子焼きと焼き牡蠣」

「焼き鳥と豚串、それとネギ単品の串焼き」

「牡蠣のムニエル、ソースはにんにくバター醤油で」

「白子と牡蠣のフライ、タルタルソース」

「鶏と豚のから揚げ、ネギ塩たれで」

「フグ刺しと昆布出汁、ネギポン酢の追加」

「うどん10玉、5玉は伸びた奴で5玉は伸びてないやつ、それと…鶏天とかき揚げ、かき揚げは紅ショウガ入りで、ついでに揚げてる時に出た天かす全部」

「白子の煮つけとフグの煮付け」

「はいはい、焼き物はもう少し、揚物はそれより後、フグ刺しと出汁はもう出来てる、天かすはそこのざるの中、うどんはこっちが伸びてるやつ、こっちが茹でぬめりを取ってすぐ収納したやつ、煮付けはまだまだ時間がかかるー」

 このほかにも注文は飛んでくるが似たり寄ったり、ルシフはやたらとうどんを食べてる、フグに豚に鶏、牡蠣の水炊きのお鍋を抱え、各お鍋の出しで食べ比べをしている、天かすや天ぷらは醤油さしに入れてある醤油だけの素うどんに乗せている、伸びた素うどんも美味しいよねぇ…余ったら私も醤油だけの素うどん食べよっと。

 焼き物揚げ物、たまに煮物、刺身は程々、ネギはうどんでも消費されていくので追加で刻み中。

 こちはフグ刺しで巻く用、こっちはポン酢やうどんに散らす用…お鍋に入れる白菜多めに…

 そして隠し玉、椎茸、えのき、しめじ、なめこ、エリンギ、マイタケ、ヒラタケ、マッシュルームを取り出して並べる、茸鍋でも良し、茸の串焼きでも良し、天ぷらでもフライでも肉詰めでもどんと来い!


 文字通りどーんと当たられ、飛び散る出汁、舞い散る食材、弾ける火元…なんて事は無かったが、出汁が良く出たお鍋で炊き込みご飯を作る事になってしまった。

 締めがうどんでも雑炊でもなく、炊き込みご飯と言うのも珍し…くもないか、よくある事だ、そのまま醤油をさして炊くだけでも美味しいのに、更に茸を追加なんてもう…

 炊き上がったらそのまま食べるなり、さらに上から出汁をかけてサラサラっと頂くなり、食べ方は各自自由、おにぎりにしてうどんと一緒に食べている狐さんやルシフもいれば、残っているお鍋の出汁にフグ刺しを入れ、醤油を少しいれてお澄ましっぽくして炊き込みご飯と一緒に食べているアザミとボタンもいる、何時もながら自由な食事風景だことで…

 なんにせよこれで夕食はお終い、食材も茸やお肉は無くなったがフグは残っている、ネギも大量に追加したので余裕はまだまだ…今日は1人遅めの夕食でフグが食べれそうだ。

 狐さん達がお風呂に行っている間にお片付け、片づけが終われば海の家の調理場で遅めの夕食、フグ刺し、てっちり、白子も沢山…ポン酢に焼きに煮付けに天ぷらに…フライも作っちゃえ、それとムニエルも…

 普段は端材すらほぼ残らない事の方が多いが、今日は珍しく潤沢に残っているのでいろいろ作れる、作れるだけ作って収納しておき、煮詰まって減って来たら足すためのお鍋用の昆布出汁も多めに。

 よし、準備も出来たし、お茶をちびちび飲みながら少しずつ食べよう、お鍋を火にかけて炊いている間にフグ刺しでネギを巻き、ネギポン酢を漬けて食べる。

 んー…幸せ…

 フグ刺しを少し食べ、お茶を飲み、白子ポン酢を少し食べ、またお茶を少し飲みフグ刺しと…お鍋が炊き上がるまで少しずつ楽しみ、お鍋が炊き上がればお鍋を少しずつ…

 実に贅沢…この後から揚げや天ぷらなどが控えていると思うともう…たまりませんな!


 夕食を食べ始めて少し、宿泊施設の方から歩いてくる影4つ、狐さんとルシフに…アザミとボタンか、リッカとカレンはロザリアと遊んでる…のかな?

 まだ夕食終わってないんだけどなぁ…

 狐さん達は正面に座り、何所からともなくお箸を取り出し、食べかけだったフグ刺しや白子ポン酢を食べ始めた…あれだけ食べてまだ足りなかったのか…

 狐さんとルシフは何かぼそぼそと喋り、何かを話し合っている、アザミとボタンは食べるのに集中、こちらは追加の調理に集中…私の夕食何所…


 朝目覚めるとそこは海の家ではなく、宿泊施設の一室、周りには空の酒瓶と何も纏っていない狐さんにルシフにアザミにボタン…はて…?

 昨日は海の家でフグを食べるぞーと意気込んで調理はした物の、その後どうしたんだっけ…?

 お腹の具合からすると食べていないという事は無さそうだが、果たしてフグは食べたのだろうか…それとなぜ狐さん達は何も着ていないのか…謎だねぇ…何かをした形跡は無くただ素っ裸、いやほんとなんなんだろね…

 まあいいや、朝食を作りに行こう…


「で、何で裸だったの?」

「ふとしたことでやきう拳と言う物を知りまして、酔った勢いでそれの試験運用を少し…」

「やきうと素っ裸になるのに何の因果関係が…」

「さぁ…?そういう物らしいです。

負ければ1枚服を脱ぎ、裸になれば負け、一度始めればどちらかが一糸まとわぬ姿になるまで止める事を許されないとか」

「ふむ、それで結果は?」

「ご主人様の全戦全勝ですね、1枚も脱がすことなく終わりました」

「なるほどね、それで、昨日の私の夕食は?」

「私達4人が美味しく頂かれました」

「そですか…」

納豆焼きそば

具と麺を炒めて食べる時に納豆を乗せて食べる、具材は豚肉とキャベツでも良いし、肉の代わりに油揚げでも良い

納豆に合わせてソースの代わりに麺つゆや白出汁で味付けをしても良い


昨日何が有った

昨日の出来事に思えるが一昨日の出来事、丸1日の記憶がぶっ飛んでる

葵さん達の食事はダイヤが用意したので何の問題も無かった


炊き込みご飯

普通締めに作って食べる様な物ではない

ある意味自由な食卓の象徴、お鍋一杯の茶碗蒸しならぬ土鍋蒸しを作っても良い


やきう拳

負ければ1枚脱ぎ、一糸まとわぬ姿になれば負け、一度始めると決着が付くまで止められない

着用していい枚数は決められており最大10枚まで可能、両手の手袋と両足の靴下などは二つで1枚

挑まれた人は10枚着用、挑む人は1枚から10枚まで選べる、少ない枚数で勝てば少し良い事が有るらしい

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