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抗えない暴力 注文した物は残さず食べましょう

 北のお祭りが終わり早1週間、あまりにも騒がしく長いお祭りだったせいか、葵さん達の疲れは抜けきってない御様子。

 お土産用のハリセン作りは疲れが抜けきってから、工房はお祭りに来た記念やらお土産やらを求める人達でまだ溢れているので急ぐこともないだろう。

 今は次のお祭りに向けて体力を回復させることに専念、三食昼寝おやつマッサージ付き娯楽も完備。

 葵さんとロザリアは兎も角として、恵里香さんはだらけにだらけきっている、疲れているというよりはもうここから動きたくないだけにも見えるが…

 動きたくないというのであればそれも良し、ここには誰も咎める人はいない、葵さんも流石に休暇中の恵里香さんにあれやこれやと言う事は無いらしい、休暇が終わっても変わらない様であれば口を出すとは思うけど。

 建て直してまだそれほど時間がたってない海の宿泊施設をほぼ貸切状態、一番良い部屋…と言っても良いかどうかは分からないが、1フロア丸々全部ぶち抜いたお部屋で宿泊中、海で泳ぐということ以外であれば大体の事は出来る、何時の頃かメイド達のやっていた草やきうなどは無理だが…あれはそもそも屋外でやるものであって室内でやるものではない…

 こちらでも遊べるように改造したゲーム機やテレビも持ちこんで設置してあるので、恵里香さん達はこれでもかとクッションを敷き詰めた床に寝そべり、適当に選んだゲームをピコピコと遊び、葵さんはロザリアと普通のリバーシやあちらから持ち込んできた将棋やチェスなどで遊んでいる。

 共通しているのは海に来てから一度も泳がず、室内で出来る遊びのみをしているという事か…一度くらいは誘って海に繰り出してみるか。


 遊びに集中している葵さん達をその場に残し、調理場でお菓子作り。

 とはいえそれほど凝った物でもなく、ただ混ぜるだけの簡単な物、クリームチーズにレモン汁を混ぜ、更にホイップクリームと混ぜ合わせて出来上がり。

 ゼラチンを入れて冷やし固めるのも良いし、このまま器に入れスプーンですくって食べるも良し、クッキーやビスケットを砕いて散らしたり、ミントを乗せればちょっとおしゃれに。

 今回はゼラチンを混ぜて冷やし固めた物と、ゼラチン無しの2種類を用意。

 冷やし固めた物は型で抜き、クラッカーの上に乗せ、スライスしてゼラチンで固めたイチゴも乗せてミントを添える、他にもキウイやフィンガーライム、レモンのジュレなんかも乗せて種類を増やす。

 固めていないほうは器に入れてミントの葉を添えるだけ、ただし量はたっぷり、いくらでもおかわりできるように、飽きたら固めた物と同じ様にジュレを追加しても良い。

 ホイップクリームと混ぜてあるのでフワフワしているが味は濃厚、酸味のある果物と合わせて爽やかに、飲み物もレモンの香りを少しつけただけの冷やした水で。

 おやつの用意ができたので部屋に運び込みおやつの時間。

 葵さんとロザリアは少しだけ食べ、それから少々考え全種1つずつ、器に入れてある物にはライムのジュレ、恵里香さんは何も考えず食べれるだけ、他に2人は悩んだ後2つずつとレモンのジュレを付けて。

 ふむ…恵里香さん以外は何かを察して程々に、恵里香さんの前にはボウル一杯のクリームと各種ジュレ、口の中もさっぱりさせるために水もピッチャーで…

 夕食まではまだ時間があるけど、大丈夫かな…?


 ボウル一杯に入っていたクリームは空っぽ、レモンとライムのジュレは少々残っている、キウイやイチゴはすっからかん、レモンのジュレは夕食で使いきってしまおう。

 レモンは醤油とあわせ、ライムはシンプルに炭酸と混ぜて飲み物に、あまり手を加えても仕方がないのでシンプルに、醤油とあわせたレモンジュレは暫し置いて味をなじませ、ライムのジュレには蜂蜜を、ライムの方はお風呂上がりに、だね。

 さぁて、夕食の食材を捕りに行こうかね、ジュレに合わせてお刺身の盛り合わせを作らないとね。

 魚もタイ、スズキ、ヒラメ…オコゼなんかも良いな、身は刺身、皮はから揚げにすればいい、他には何を捕って来ようかなぁ…フグも有りか?

 海に任せたままにしたら例にもれず他の魚と同じ様にすくすく育ち、かなり巨大化してしまったが、無毒のままなので気軽に調理できるのが嬉しい所、その辺のフグを毒抜きせずに出した所で誰も死にはしないが…

 フグは薄造りに鍋、白子の湯引き、天ぷらに焼きとフグだけでもいろいろ作れるが…恵里香さんは刺身を出すとマグロを所望するのでマグロも追加で…ロザリアはサケか、ついでにいくらと紅葉漬けも作ろうかな、ちょっと前に食べ尽されたし、ロザリアの好物なので多めに確保しておこう。

 そうと決まれば船を出して貰い、お目当ての魚を加工場に運び込み下し、仕込んだ物や切り身は宿泊施設の調理場に運び込み夕食の調理を開始、こちらで食事をするのは葵さん達と狐さん達を含めても20人にも満たない、が、狐さん達は良く食べるので余裕を持って半身、もう半身も念のためにストックしておく。

 お刺身の盛り合わせに薄造り、てっちり鍋の準備に白子の湯引きなども作り、タイもフグと同じ様に一部を薄造りにし、小鉢に入れて醤油とあわせたジュレを乗せれば出来上がり、出す直前まで載せないけども。

 から揚げや天ぷらはその場で揚げて食べて貰うのでまだ作らない、コンロなどを持ち込み、てっちり鍋を火にかけ、少し離れた所に油を張った鍋とコンロを設置して油を熱し、皆が集まった所で夕食開始。

 てっちり鍋が出来上がるのを待っている間にから揚げや天ぷらを作り、上がるのを待っている間に薄造りなどを出す、ご飯はてっちりの締めに出すので主食は最後、まだ出さない、出汁が出たお鍋に入れて雑炊にして食べる、それを理解しているのか、それともお鍋やお刺身だけで十分なのか、誰も白ご飯の要求はしてこない。

 誰も要求してこない場合は…皆の夕食が終わった後に1人で雑炊にして食べよう…

 お鍋の具材の追加やお刺身の追加の注文は来るんだけどねぇ、今のペースだと誰も雑炊を要求してこなさそうだねこれは…まあいいか。


 雑炊は葵さんと狐さん、それとルシフが注文して食べて行ったので結局お鍋は空っぽになった、多めに食べるだろうと一応多めに確保しておいたので切り身はまだまだ残っている、なのでそこそこ豪勢な夕食が食べれそうだ、ジュレは残らなかったが…

 タイを薄造りよりは厚く、刺身よりは薄く切り、すりごまと醤油に漬けて置き、海苔を炙って細かく砕いておく。

 鯛茶漬けの用意ができたら夕食に出したのと同じ、薄造りに刺身の盛り合わせを作り、1人海の家でのんびり遅めの夕食、ここなら誰にも邪魔をされずゆっくりと食事をとる事ができるし、お風呂上がり用の飲み物も用意してあるので暫くはゆっくりできそうだ。

 フグは養殖した物の、全部メイド達のお腹の中に収まって食べれてなかったのでちょっと楽しみ。

 早速食べよう、そう思った所で宿泊施設の方から歩いてくる影が二つ、まだ一品も手を付けてないんだけど…感じ的にお酒を用意したほうが良さそうね…それも結構良いやつを…夕食でも同じ物を食べているはずなんだけどなぁ、ちょっと楽しみだった鯛茶漬けも持って行かれそうだ…


 1人でのんびり食べるはずだった遅めの夕食の予定は崩れ、狐さんとルシフの御酌をしたり、2人の注文の品を作るために調理場と御座席を行ったり来たり、夕食にと作ったお刺身や薄造りは既になく、全て狐さんのルシフのお腹の中に納まっている、追加の料理もフグの薄造りの注文が多め、今まで海には居なかったからなぁ…

 まだ安定していないのか大きさがコロコロ変わるのであまり捕れないのもあるが、フグ自体が東のごく一部でしか流通していないのも有り、余程の事が無い限りは仕入れなかったからなぁ、食べ放題に近い状態になった今、まだ余っているなら食べれるだけ食べておこう、という考えなのかもしれない。

 2枚や3枚重ねて食べる、なんて事はしないが…お箸は止まらず、食べるペースがとにかく早い、お皿に綺麗に盛り付ける暇もない、仕方がないのでもう薄く切ってお皿に乗せるだけ、ネギはボウルに山盛り、ポン酢も一升瓶2本ドンっと、巻いて食べるネギもポン酢に少し入れるネギも少なくなったポン酢も自分でどうにかして貰う、そしてこちらはフグを薄く切り続ける。

 切り続けてるので包丁も切れ味が鈍る、切れ味の悪い包丁で切ると押し潰す形になってしまうので時折包丁を研ぎつつ、たまに飛んでくるから揚げとてっちりも作り、飽きが来ないようにするためかマグロの各種刺身だったり、ブリの背の部分の刺身だったり、腹の部分の刺身だったり、イクラを散らしたサケの刺身だったり、合間合間にフグ刺しは倍以上…

 追加でフグを捕りに行ったり、アジを捕ったり、徐々に品数も増えている、そしてお箸はまだ止まらない、一体いつになれば終わるのか、そして夕食にありつけるのは何時か…そろそろ夜が空けそうなんだけどなぁ…


 夜が明けても2人の酒宴は終わらず、一時その場を離れて朝食を作りに宿泊施設へ、朝食を渡した後は海の家に戻り酒宴の続き、お酒の消費は意外と少なく、一升瓶1本しか空いていない、相当ちびちび飲みつつ、水割りにしたりもしているのでお酒はまだまだ余裕あり、余裕がないのは…心か…夕食兼夜食兼朝食を食べれるのは何時になるのか…

 調理場を行ったり来たりするのがめんどいのでもう御座席で洗い物と調理と…端材も何時もならバットなどに纏めておくが全て収納に放り込み、一つ一つこなしていく度心も段々すり減り、すさんでいくのが感じ取れる…早く…終わってくれ…そろそろ夕食兼夜食兼朝食兼昼食になってしまう…

 刺身や薄造りを作っては空いたお皿を洗い、直ぐ乾かし、包丁を研ぎ、魚を切り、乾いたばかりのお皿に乗せ、空になったお皿を…時たま天ぷらや唐揚げを紙を敷いた籠に入れ…サケの親子丼ご飯抜きを丼に大盛り、海鮮丼ご飯抜き、天丼天ぷら抜き、てっちり鍋抜き…なんか楽しくなってきた。

 次の注文は何だ?いくらの天ぷらの活け造りとフグ刺しのから揚げの串焼き?よーし、作るぞー。


「壊れたね」

「壊れましたね」

「じゃあ私は一足先にベッドに戻るから…」

「待ちなさい、あなた一人で逃げようったってそうはいきませんよ」

「あれ相手にするの怖い…」

「壊した以上は直す責任があります、私も加担した様な物なのでちゃんと手伝いますから」

「あの謎の料理食べきれる自信ある?」

「最悪味覚を殺せば何とか…」

 よーしよし、次はポン酢のお吸い物ネギだく、それとお酒の白子湯引き丼ネギソース、マグロのタタキの酒蒸しをから揚げに…

「一緒に地獄に落ちましょう?」

「やだよ!私はベッドで寝るんだ!三姉妹達が屋敷で待ってるんだ!」

 そうかそうか、そんなに早く食べたいのか、たんとお食べ。

 出来上がったばかりの料理をルシフの前に並べ、狐さんの注文の品も並べていく。

 2人は美味しそうに食べているし、どんどん作らないとなぁ、端材も使い切らないと駄目かもしれないなぁ。

「やめっ!口にねじ込もうとするなきつねぇぇぇぇぇ!!!」

「さぁ、どんどん食べなさい!私も後を追いますから!」

 うんうん、2人も笑顔で食べさせ合っているし、実に仲のいいことだ。


 2人ともお腹いっぱいになって満足したのか、2人で抱き合ったまま眠っている、2人とも幸せそうな寝顔をしているが、ちゃんとベッドまで連れて行かないとなぁ。

 ベッドに寝かせたら私も食事をとって寝よう、2人が美味しそうに食べていたネギトロのフグ刺し合え親子丼の串焼きにんにく醤油漬けいくらの天ぷら饅頭の茶碗蒸し揚げも作ったし、早速食べよう、頂きまーす。

混ぜるだけ

クリームチーズ、砂糖、レモン汁とホイップクリームを混ぜるだけ

ゼラチンを入れて固めればムースっぽく、上にイチゴのゼリーを乗せるなり、レモンやライムで香りや酸味をさらに足すなり

そのままスプーンですくって食べても美味しい、カロリーの暴力


レモンジュレの醤油漬け

レモンジュレに醤油と少量の沸かしたお酒を入れただけ

刺身などに乗せてさっぱりと


フグ

海に丸投げにして無毒のまま養殖成功、育ちに育ち、10メーターと言う立派な大きさに

でもまだ大きさは安定していない、1メーターの時もあれば最大10メーターにもなる、個体数も20かと思えば500位居たり、500居たかと思えば10匹に減ってたりする

今は皆珍しがって捕る時は漁を欲しがるので色々と安定しない


お刺身の部位

お腹の部分は油が多め、背の部分は腹に比べるとかなり少なめ

ブリやカンパチ等も脂がぎっしり、背に比べると量が半分以下なのでちょっと貴重、でもどっちが好みかは人次第


〇〇抜き

限界を超えた、もう何もかもが楽しくなってくる

そんな注文は誰もしていない、幻聴ともいう


味覚を殺す

狐さんも尻尾の毛を逆立てる狂気の料理、休憩なしご飯抜きで不眠のまま料理を作らせ続けると謎料理を作り始める

中には一応ちゃんと美味しく頂けるものもたまに混じっている、ただ大抵の場合色々と味がごっちゃごちゃ、これはいけると思ったら後から味覚の土砂崩れが発生する

過去の最高傑作は稲荷寿司煮付け巻き寿司海苔の佃煮風味トマトソース和え、逃げようとしたら直ぐに捕まり注文した物はちゃんと食べなさいと口の中にねじ込まれた

幻聴で注文を受けて作り続けるので食材が無くなるまで続く、ついでに幻視もする


幸せそうな寝顔

味覚が崩壊して気絶した、味覚を殺したくても殺せない、死にたくても死ねない、最後は強烈な味の津波で意識をふっ飛ばされた

白目をむいてるし身体はビックンビックンしてるし、身体の穴と言う穴からいろんな液体が出てきている


頂きます

お腹がとても空いていたので一気に流し込んだ

前のめりに倒れて気絶した、寝顔は多分とても安らか

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