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奇行?奇祭? お酒はおやつに入りますか?

「四月馬鹿って知ってます?」

「なにそれ?」

 朝食をとっていると葵さんから何やら話題を振られる。

「ちょっとした冗談、嘘をついても良い、なんてことにされている日ですね。

程度は人に寄りますが、軽い物から冗談で済まない物まで、ありとあらゆる嘘が何所かで出ていますね」

「ふーん…」

「まあ、世界中に広まってるとは言え、笑って済ませられるような物でないと駄目ですけどね」

「それで、その日が今日って事?」

「いえ、4月1日なのでとっくに過ぎていますが」

「なら何で聴いたのさ…」

「こちらでは世界中である軽いお祭りのような物…お祭りでは済まない事も有りますが。

そちらのお祭りや行事は何があるのかと興味が湧きまして、ここだと神輿を担いで練り歩いたりするくらいで、全国規模だと年末や年始、それと特定の日なんかですね」

「ふぅむ…お祭りや行事ねぇ…」

 街全体でやる奇行をお祭りと言っていいのお祭りになるのかね…?

 国全体となると東でミネルヴァを呼び出した日が祝日なんかになってはいるが。

「奇行をお祭りと呼んでいいのならお祭りかもしれないね」

「奇行ですか…お祭りとは得てして大体その奇行が形になって行ったものでは?」

「じゃあ、あれもお祭りになるのかな?」

 窓の外で奇行に走っている狐さんを指さしてあれもお祭り…?と聞き返してみる。

 何時しか屋敷でやっていたように稲荷の石像を庭に設置して祈っており、狐人族のメイド達も一緒に祈っている。

「そちらのお祭りを知らないので何とも言えませんが、小さくてもお祭りと言えばお祭りになるのでは?」

 あの奇行がお祭り…ねぇ…?

「庭を使いたいと言うので一応許可は出しましたが、稲荷寿司の石像に祈るなんて珍しいですね」

「あれ何年か前に狐さんが屋敷で流行らせようとして失敗した奇行だよ、あそこにいる狐さんとメイド達以外は誰もやってないよ」

 屋敷で流行らせようと失敗したので今度はこちらで流行らせる心算なのだろうか…それともこっちでやる意味が何か有ったのか…

 どちらにせよ後で撤去しないとなぁ、あの奇行をお祭りと言うのは何か違う気がする…


 朝食後に狐さん達を解散させ、巨大稲荷寿司の石像を撤去、以前もそうだったけど何で石から稲荷寿司の匂いがしているのか…変な所に力を入れるんだから…

 祭りの形は地域によってそれぞれだし、色んな物があるのは分かっているのだが、祭りを通り越して神事にしようと企んでいるのは最早ただの奇行としか言えない。

 また暫くは何もしなくなるとは思うけど、逆に言えば暫くすればまたやる、と言う事でもある。

 稲荷寿司は食べ物であって、お供えする事は有っても祀り上げるのは狐さんくらいだろう、多分…

 扉一つで行き来自由とは言え別居中のような物なので色々鬱憤でもたまっているのかねぇ?

 また近いうちに一時的に屋敷の方に戻った方が良いか、その時に葵さんやロザリアを連れて行っても良いかもしれない、お祭りに興味があるようだし、お祭りをやっている所に行くのも有だね。

 しかしこの時期だと何が有っただろうか…廃れてなくなった物もあれば今も変わらず続いている物も有り、新しく始まったお祭りなんかもある。

 葵さんやロザリアの好みに合わせたお祭りを巡るか、それともその日その日でやっているお祭りを片っ端から巡るか、1日だけのお祭りも有れば長期間続くお祭りもあるし…お祭り巡りをするならするで1年…いや2年は欲しいか…?

 でもあまり長い間拘束するとロザリアとの1周旅行が遠のくし…狐さんを元に戻すのに2ヶ月は欲しいし…

 うぅむ…葵さん達の仕事を2ヶ月空けさせるのはあまり良くないし、葵さんとロザリアだけというわけにもいかないから、恵里香さん達も屋敷に連れて行かないとで…屋敷に戻っている間に此方の家の管理をどうするか、はメイド達に任せればいいか、問題は仕事よね、これはメイド達に変わって貰うのは無理、これはもうルシフに頼んでどうにかして貰うとして、葵さんはどの程度まで休みを取っても大丈夫なのか、あちらに連れていくとしても色々と段取りをしなければなるまい。

 どんなお祭りが良いかも聞いて何所に行くかも決めないといけないし、そもそも今の時期のお祭りは何が有るのかも調べないとだし、日にちも調べておかないといけないし…やること多いねぇ…


「どんなお祭りが良いかですか?」

「大勢が集まる賑やかなお祭りか、大勢だけど静かなお祭りか、もしくは少ないかその地域だけの物か、探せば色々あると思うけど、どんなのが良いかなと」

「そうですね、賑やかな物でも静かな物でもどちらでも良いですけど、皆で楽しめる様なお祭りが良いですね、食べ歩いたりお祭りの内容を眺めたり」

「皆で楽しめて食べ歩き、もしくはお祭りを眺めれる所…」

 葵さんの要望は食べ歩き、もしくはお祭りの様子が見れれば良しと…

「ロザリアは?」

「そもそもお祭りがどういう物かが今一つ…

勉強はしているのですが参加したことはまだありませんので」

「ロザリアはお祭りの雰囲気を掴むのと、どんなものがお祭りあるのかを学ぶ…と」

 ロザリアは出来るだけ多く、短期と長期のお祭りを巡ってお勉強、見聞を広めるのが目的。

「恵里香さん…はお酒が飲めればどっちでもよさそうね」

「失礼な、私達だってお祭りを純粋に楽しみますよ!」

「お酒は?」

「出されているのなら頂くのもやぶさかではありません」

「串焼きや串揚げは?」

「もちろん頂きます」

「一緒に出ていたら?」

「それはもう沢山確保して…」

「お酒が飲めれば何でも良しと…」

 祭りでお酒が出ていなくとも持参して飲みながら見る事は出来る、持って行かなくても食べ歩きができればこちらも問題なしと…

 ふむ、お祭りの規模は大小関係なし、ほぼ共通しているのは食べ歩き、となればできるだけ多くの食べ物が取り扱われるお祭り、少し大きめで人が集まり、屋台や飲食店で色々な物が出される所…何所か良い所有ったかなぁ…


 一時屋敷へ帰宅し、狐さんのご機嫌を取りつつ、近いうちに開催されるお祭りなどの日程を調べ、葵さんの仕事も長期休暇を取るために調整、代理などはルシフに言えば直ぐに用意してくれたので引継ぎが終われば直ぐにでも此方に来ることは可能、家の方も管理してくれる人を用意してくれたので毎日帰ってくる必要も無し、何日かに分けて行われるお祭りで現地に泊まる事も出来る。

 大きなお祭りは前もって宿を予約しておく必要が有るので、大きなものは後回し、2日程度で終わる短期の、それでもそこそこに賑わう中規模程度のお祭りを週に1回、ただ騒ぐだけのお祭りと何かを祭る神事としてのお祭りを半々で1ヶ月ほど、1週間近く行われる大規模なお祭りも半々で月1回で2ヶ月、合計で3ヶ月ほどの長期休暇を取って貰う必要があるなぁ…日替わりで毎日行けば1ヶ月で各地の小規模大規模と回れるが、それだとお祭りを楽しむ前に飽きが来てしまう。

 各地のお祭りを回ってどんなものがあるかを見るのも今回の目的なので、合間合間に休憩を挟みつつ長期で、休憩中に行きたい所ができれば予定を変更してそちらに行っても良い。

 長期間行われる大規模なお祭りは北と南を予定しているが…葵さん達が要望するのであれば変更しても良いだろう、北は…うん…あれもお祭りと言えばお祭りだし、話しを通しておけば泊まる所も用意してもらえるだろう。

 南は記念日を元に始まった物だし、比較的新しい物ではあるがかなり大規模なので一見の価値あり、ロザリアだけでも連れていきたい所だねぇ。

 北のアレは再来月半ば、南はその翌月末、北は押しかけても大丈夫なので連絡は後回し、南は少し早めに予約を入れておかないと満室で入れなく…

「何を悩んでるんご主人様?」

「いやー、お祭りを回るとして、大規模なのは北と南に行くとして、2日程度の小規模は何所を回るか、それはそれとして南は早いうちに宿泊の予約を入れないと駄目だなーとか」

 小規模な物はそれこそ毎日どこかでひっそりと行われている、地域密着の神様を祀り上げる物だったり、誰かの誕生日や出産祝いなど、不定期なようで定期的なその地域限定のお祭りだったりと、とにかく多種多様、何所に行けばいいのものか…

「南なら1番の出資者だし、一声かければすぐに部屋を空けてくれると思うけど?」

「あー、そういや昔に資金提供したねぇ」

 南を綺麗に掃除して再建するときに結構提供した様な…

「それに小規模なお祭りならうちでも毎日行われてるじゃん」

 ルシフが庭の方を指すので見てみると、エリス達が梨の木に祈りを捧げている、タニアやエリスも木の周りでなんやかんやと祈ったり踊ったり…あれも祭りと言えば祭りか、毎日やってるからエリス達の日課と言う意識の方が強いが…あれも神事と言えば神事、祭りには違いが無いか…

「まあ、ほぼ共通している要望が食べ歩きできるお祭り。

食べ物が豊富に出てくるお祭りが好ましいね」

「食べ歩きできるお祭りではないからねぇあれは、梨が2.3個食べられるくらいだし」

「何所か良い所探さないとねぇ、北と南のお祭りまでには間に合わせたいから…出来るなら今月の半ばまでに1ヶ所、今月中に最低でも3ヶ所は回りたいね」

「それなら東の端にある島でやってるお祭りもいいんじゃない?

再来週くらいに3日位かけたそこそこの規模のお祭りが有るし、並行して釣り大会もあるし、出てくる料理も海産物がメインの料理になるけど、遊ぶ目的なら悪くないんじゃない?」

「あー、そうね、なら1ヶ所はそこで…ロザリアのお勉強も目的だから静かなのも1ヶ所…はうちのアレでいいか、あまり型っ苦しくなくて神事らしい神事、食べ物もすぐに出せると言えば出せるし」

 静かなお祭りは庭でやっているアレ、遊べるのは東、後1ヶ所何所か良い所有るかねぇ…

「エリス達のは毎日だから箸休め程度で見れるよね、並行して行われる釣り大会は飛び入り参加もできるから当日でも大丈夫、港町だから宿泊施設も多数、行くなら予約を入れておくよ」

「じゃあ東のお祭りは決定で、後1ヶ所行きたいけど、釣り大会に参加したら疲れるかもしれないから出来れば程度で、北と南は間違いなく疲れるだろうし、休みは長めに欲しいしね」

「はいはい、じゃあもう東だけでいいね、北は早めに行って観光と交流、南も少し早めに行ってこっちも観光してみるのが良いかな、せっかく出資したのにまだ一回も遊びに行って無いし」

「そう言えば一回も行って無いねぇ…ベリスとシュリエルは頻繁に見に行ってるし、どんな様子なのかは伝わっているけど」

 大規模な遊園地ができたのは知っているし、開発途中の試験運用に一度飛ばされたくらいでそれ以降は近寄ってすらいない。

 ちょうどいい機会だし、お祭りだけでなく普段どういった物かを見て置くのも良いかもしれない。

 賑わっているとは聞くけど、実際に見るのは違うしなぁ、試験運用の時にやった体感型のあれもお祭り中だとできないだろうし、やって貰うのも有り…かな?

 色々と端折った結果、色々と捏造された物が流れた記憶も有るけど…もう大丈夫だよね…?


「と言うわけで何所に行くかを決めてきました、一番近いお祭りでも再来週だね。

着替えも全部用意してるから手ぶらでも大丈夫だよ」

「せんせー、おさけは何円まで大丈夫ですか?」

「最初に行くお祭りはお酒が出されるのは夕方から、お酒は1杯銅貨1枚、飲みすぎると多分お店の人から止められる、持参するなら好きなだけ」

「お小遣いは幾ら貰えますか?」

「お小遣いはルシフと相談してください、私は基本お金持ってません、緊急用に金貨1枚隠し持ってるくらいです」

「質問、金貨1枚でお酒何杯行けますか?」

「1万位かな?お祭りで少々大目に出てくるだろうから1日銅貨10枚も有れば朝昼晩は大丈夫だね。

他には?」

「後は楽しみに取って置きます」

「はいはい、じゃあいったん屋敷に戻ってルシフにこっちの方の用意をして貰うから、葵さんは引き継ぎとかの準備お願いねー、仕事から家の管理まで代理でやってくれる人を送ってくれるみたいだから」

「わかりました」

 再び屋敷に戻り、ルシフを呼び出して引継ぎやらなにやらは全て丸投げ。

 こっちもこっちで北に連絡を入れておこうかな、押しかけても問題はないだろうけど、そこそこの人数でお邪魔する事になるしね。

 さぁて、再来週から合間合間に休みを挟みつつお祭り巡り、狐さん達は絶対に連れていくとして、メイド達も何人か付いてくるだろうし、余裕持って準備をしておかないとねぇ…

稲荷寿司祭り

狐さんが広めよう、流行らせようとしている奇行

稲荷寿司の匂いがする石像を使うのがポイント


お祭り色々

ちょっとした神様を祭る神事的な物から騒ぐだけのもの駄目

地域によってさまざま、同じ物を祭っていて原型は同じでも地域によって少しずつ変わる


おさけ

おやつじゃないし節度さえ守ればいくらでも

お祭りなので銅貨1枚でも大ジョッキ位は出てくる

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