小さなラーメン丼 蒸し料理にも使える
砂山の一部を取り出し、机の上に乗せてコネコネ。
色が混ざっていて何とも言えない色合いだが、捏ねて一纏めにしている間に色やら属性やらを抜いて無色透明まで持って行く。
次に焼き物で使う土を取り出し、色と属性を抜いた宝石を練り込み、形を整えつつ温度が変化しにくいように加工。
焼いた後に中々熱が取れなかったり、温かい飲み物を飲む時は事前にカップを温めておかないと駄目、と言う手間は有るが、お気に入りのカップは迷子になっていた時に全部割られしまったので作っておかなければならない。
ついでにカップとおそろいの新しいポットも作ってしまおう、古いのは砕いて粘土に混ぜちゃえ。
古いポットを取り出し、粉末になるまで砕き粘土に混ぜ、新しいティーカップとポットの形にしていく。
以前のシンプルで飾り気のない物も良かったが、たまには模様を少しつけてみようかなぁ…何が良いだろか?
形が出来上がったカップとポットを素焼き、終わるまでは暇なのでカップとポットに入れる模様を考える事に。
花柄は鉄板、候補に入れて置いて何の花にするかは花柄にした時に考えよう。
次は適当な模様、何とも言えないような模様を取りあえず付けてみるだけ、直線だったり流線だったり、何も考えずにただ模様っぽくしてみるだけ。
可愛く、もしくは格好よく動物柄、これは何を元にするかで大きく変わる。
猫、犬、狐、狸当たりは可愛く、虎や獅子、龍となると格好よく、中間を取ろうとするとこれではないという感じがしてくるので動物柄は2択。
信仰されてるミネルヴァやディアナの絵を入れたカップ…を作ると多分皆のカップを作る事になるので無し、落として割れた時の予備として3個は欲しいけど、人数分作ると呼びを含めて300個を軽く超えるので…人物は無しだな、うん。
素焼きが終わるまではまだ時間があるし、もう少しじっくり考えよう。
暫く悩み、カップとポットに入れる模様を決め、素焼きが終わったカップやポットに模様を入れていく。
金縁にカップに巻き付くように描かれたコウが龍になった時の姿、下地の色は赤色、内側に少し直線的な資格模様…うん、これだね。
取っ手の無いカップになったがまあこれはこれで、ポットも見栄えを良くするためカップと同じ様に巻きついているような絵柄に、でもこちらは白磁のままで特に弄らない、コウを描くだけ。
描き終われば仕上げをして…よし、新しいカップとポットが出来た、早速何かお茶を淹れて飲みたい所ではあるが、まずは適当に水を入れ、注いだ時に空気を含んでいないか、水の切れはいいかを確かめる。
注ぎ始めてある程度の高さまで持ち上げ、波紋もそれほど広がらず、小さな水泡すらできなかったので問題は無いようだ。
ただ空気を含ませて淹れるお茶には不向き、そっちはそっちでまた今度別に作っておこう。
小分けにした物を何度も沸騰させて一つのカップに入れる飲み物もあるし、拘り始めるときりがないけど…
あれもこれもと揃えたら茶器だけで棚が一杯になりそうだし、湯呑みでも紅茶を飲むことが有るのでお気に入りのカップとポットが有れば十分。
さて、水切れも試したし、早速何かお茶を淹れようかな。
緑茶ほうじ茶…それともこの前行ったお店で買ったウーロンやプーアルの方が良いかな…?
新しい茶器で買ってきたばかりの新しいお茶を飲んでホッと一息。
うむ、特に味や香りは変わらんね、ただ少し美味しくなった気はする、気がするだけで多分何も変わらないかもしれない、気持ちの問題。
ただウーロン茶を飲んでいるとアレだね、焼売やら餃子をつつきたくなってくる、餃子も焼きではなく蒸している方を。
具材も臭いのきつい物ではなく、少しの豚バラにエビとこの前作った少量の塩漬けメンマを刻んで入れただけの物を…
よし、お茶をもっと美味しく頂くためにも摘まめるものは必要、作っちゃうか。
今淹れてあるお茶は飲み干し、調理場へ行き調理開始。
豚バラ1に対しエビは多めに3、塩漬けメンマは表面の塩だけ落としてエビや豚バラよりさらに細かく刻んで調味料の代わりに、使うメンマも2つ程度で。
何かに使うかもと買っておいた餃子の皮に具を少量包み、蒸籠の中にくっつかないよう少量ずつ並べる。
余った具と皮は収納して置いてまた今度使おう。
蒸籠に入れた餃子をしっかり蒸し、皮が少し透き通ってくれば出来上がり、包んでいる具は少なくワンタンに近いが。
出来たばかりの蒸しエビ餃子を蒸籠ごとお皿に乗せ、お昼のテレビを見ながらお茶を飲み餃子をつつく。
テレビの内容もドラマだったり、ちょっとしたドキュメンタリーだったり、バラエティーだったり、チャンネルを回してみるが中々しっくりくるものが見つからない、ニュースも遠くの事なので関係は無く、近辺の情報が出ても何所の誰が事故にあったとか、地元で誰の所にお邪魔しましたとか、特に意味のある情報は出てこない。
バラエティーも情報と謳ってはいるが特に何の役にも立たない、あーそう言うのが有るんだねぇ、でもそれ何の意味もないしやるだけ無駄じゃない?ってのが多い、海外は海外はこうやってこうやると言っても、自分たちの住んでいる所でそれをどう活かせばいいのかの答えは出さない、ただひたすらに海外はこうだからいいだとしか言わない、自分が住んでいるはずの場所は何故かけなす、不思議な物だねぇ…
何度かチャンネルを変え、釣り番組をやっていたので観賞、船で沖に出て深海魚釣りかぁ…
私の所だと深海は人魚族の領域だから事前に話しを通して範囲を決めておかないと駄目なんだよねぇ、そういうのを気にせず出来るのはちょっといいかも。
電動リールでやっているので釣りと言うよりただの作業にしか見えないが…
ただ上がってくる魚は基本的には食べる事ができ、市場には流通しない、またはし難い物ばかり、バラムツも釣れてるなぁ、美味しいとは聞くので食べてみたい気はするが、市場に流れてこない魚なので食べるには自分で釣るしかない。
今度釣りに行ってみようかな、以前サメを捕った所で似た様なのがいた気がするし、船釣り用の船も有ったような無かったような…行って見ればわかるか。
ウーロン茶を飲み、蒸したばかりの餃子をつつき、上がってくる魚を眺める。
市場や周辺のスーパーなどに卸される高級とされる物、ほぼ流通せず個人で食べる程度の物、なぜかサメに固執し続ける人などが映し出される。
見えている魚なら兎も角、深海など特定の仕掛けしか使えず、同じ餌でも釣れる物は全く違う、狙った物が狙ったとおりに釣れるかは分からない、サメだけに固執してるのは何で何だろうかねぇ…?
そう言えば釣りをしてたから何となく見てるけどタイトルを見てないや、番組のタイトルは何だろ…
番組表を開き、番組名を確かめると、幻の巨大鮫を追え!ついに出た、7メートル級の巨大鮫!とある。
ふむ…そんなに大きなのが釣れたのかな?最後まで見てみよう。
画面を元に戻し、魚を釣り続けている様子を眺め、餃子が無くなったので蒸籠は片づけ、お茶だけを飲みながら番組を見続ける。
20分見続けた所で釣れたサメは大きくて1メーター位、7メートル所か2メートルの物すら釣れていない、そのまま釣りは終わり、以前捕まえたサメの前で記念撮影した写真とサメの歯が映し出され、今回は釣れなかったが次回はきっと釣れるだろうと纏められて終了した。
確かに最後に記念撮影した時のサメは7メーターは超えていたし、写真ではあるけど巨大鮫は出ているし、確かにタイトル通りに7メートルは超えている、でも何か違う気がする…
テレビを見終え、お茶も飲み切ったので収納しておいた蒸籠を取り出し、調理場で洗い物。
カップとポットも洗い、乾くまで置いておく、水気を拭き取ってすぐに収納しても良いがそう慌てる事も無いので自然乾燥。
時間的には少し早いけど夕食の仕込み、お摘みに作った餃子の具が残っているのでそれを使うとして、あまり包み込むと塩辛いので包む量は少な目…お茶を飲んでいた時より包む量は少なく、ワンタンにしてスープが良いかな?
小麦粉を捏ねて生地を作り寝かせておく、スープの出汁はエビから取り喧嘩をしないように、他にも野菜を入れ甘みを出し、味付けは塩のみで。
仕込みは終わったので後は恵里香さんに丸投げ、包む量は少なめでワンタンスープとだけ伝え、他に作る物はお任せ、スープに合わせて炒飯や回鍋肉などが出てくると思われるが、恵里香さん次第だね。
恵里香さんにお任せした後はロザリアと葵さんの所へ行き、仕事が終わりぐったりしている2人の身体を解し、明日明後日辺りちょっと釣りに行ってくると伝える。
二つ返事で許可を貰い、マッサージの終わった2人の汗を拭き取り、着替えさせたら夕食ができるまではテレビを見ながらのんびり。
夕食時に近い事も有り、テレビの内容も何処かの料理屋の料理を紹介したり、食材の紹介をしてから産地ではこうやって食べたりもする、と言った物が流れている。
ただ食材を紹介している番組はそもそも産地でしか取り扱っていない、または直接買いに行かないと手に入らない物、こういう物があると紹介しているだけで一部の人のみしか買えない物だったりで、明日にでも買いに行って作ってみようと思ってもまず作れない、こういうのがあるという無駄知識を増やすための番組…でいいのかな?
代替品で作れるように見えて代替品の代わりにそれを使って作っているようにも見えるし、もはやどっちが代替品なのか分からない状態に、あれに比べてこれがすごいと言われても手に入らない以上何もわからない。
代替品として使っている物は何所のスーパーでも取り扱っていて安い、紹介されている物は直接契約するか、産地の市場かスーパーに直接行かないと買えない、店頭に並ぶ前のお値段も10倍以上、店頭に並べばさらに値段は上がるので…
高い物だからとありがたがって食べる人以外はまず手は出さないだろうなぁ…
隣にいる葵さんもなんだか微妙な顔をしてみていた、たまに高い物は食べるけど普段は近くのスーパーで買ってくる特売とかだもんね。
テレビを見終え、食堂で夕食の前にお茶を一杯と思ったが、そういや自然乾燥させたままだったと思い出し、調理場まで行き茶器を探すがポットも無ければカップもない。
はて…?気づかないうちに収納に入れたっけ?
収納を漁るがカップもポットも無く、恵里香さんの姿も見えないので何所に行ったか分からず。
蒸籠の中で何かが蒸されているのは分かるが、開けるわけにもいかないので後で聴けばいいやと調理場を後にした。
「出来ましたよー、なんかよさげな器が有ったのでそれを使って見ました」
恵里香さんが蒸籠を食堂に運び入れ、各自の前に一つずつ並べ、蒸籠の蓋を開けると…
「これ私の茶飲み用のカップ…」
「え?これお茶用だったんですか?てっきりスープなどを入れるための器かと、模様などもそれっぽいですし」
中にはワンタンと少しのスープが少し入り、蒸し上げられたカップが入っていた…
「じゃあこれも…?」
「うん」
少し大きめの蒸籠の中からは蒸されたティーポットも出てきた。
「まあ、後で洗えば大丈夫ですよね?」
「そう…だね、洗えば問題はないね」
ポットの中には様々な具材が入っており、美味しそうな匂いを出している。
「後は少しの炒め物と揚物、ポットに入っているスープはこちらの麺にかけてお召し上がりください、中に入れてある具材も一緒にどうぞ」
麺も茹でではなく蒸し、蒸された麺も新しく作ったカップの中に入っており、恵里香さんが見本にポットからスープを注いでいる。
茶器だったんだけど…なんだかなぁ…と、そう思いつつ恵里香さんの作った夕食を頂いた。
「麺とスープを入れると完全にあれですよね、昔よくあったラーメンの丼のイメージそのままですよね、丼と呼ぶにはかなり小さいですけど」
夕食が終わり、ポットとカップを再び洗い自然乾燥、今度は間違いが起こりませんように…
そう願い調理場を後にし、明日から少し釣りに行くので道具一式の確認と準備。
狙うはバラムツだけど…釣れるかどうかはお魚さんの気分次第、釣れるといいなぁ…
新しいカップとポット
カップは赤字に金縁、龍の模様に四角い模様…大きくすれば昔のラーメンどんぶりのイメージそのまま、でもご主人様はそんなこと知らない
ポットもどちらかと言えば急須に近いようなティーポット
お茶の飲み方色々
抹茶の様に泡立てるのも有れば、注ぐときに水泡一つでないような水の切れがいい急須を使うものもある
熱した砂の中に少量入れた金属製のカップを突っ込み、吹き零れる前に別のカップに移し、そのカップが一杯になるまで繰り返して入れる物もある
蒸しエビ餃子
豚バラ1エビ3に対しメンマ2個、バラはミンチにせず叩いて細かく、エビは少し大きめ、メンマは表面の塩だけ落として出来るだけ細かく、包む量もティースプーン半分程度と少な目
少量の具と皮をお茶と一緒に楽しむ
バラムツ
良く美味しいと言われる深海魚、ただし脂が垂れ流しになる
個人で食べる分には問題なし、売っちゃダメ
ついに出た!
写真と歯の映像だけではあるけど番組の中では登場した、タイトル一本釣り
本当にそんなのが掛かったら糸が切られるのでまず釣れない、サメが気まぐれで上がって来たとしても船の方がやばい
蒸し料理
予備も含めて洗って干しておいたので全部使われた
見た目小さなラーメン丼だったのが悪い、後冷め難いので食べ終わるまで温かい




