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肴にも流行は有る 24時間働けました

 麻竹、麻竹、麻竹、これはただの育ちすぎたタケノコ…

 朝早くから麻竹を大量に収穫、ちゃんと区切ってあるのにたまに違う種類が生えてくるのは何なんだろうねぇ…

 収穫が終わったら掘り返して隔離し直さないと駄目かなぁ…

 麻竹ではなくタケノコが生えていた所には旗を立てて目印にしておく。

 麻竹を刈り取り、近くに生えていたタケノコも全部掘り返して収穫、タケノコの有った所に旗を立ててを繰り返し、収穫が終わる頃には旗でほぼ一直線の線が引かれていた。

 まだ育っていないだけかもしれないので少し広めに掘り返してみないと駄目だが…

 1人では時間がかかるので旗をそのままに引き替えし、収穫したばかりの麻竹やタケノコの皮を剥き、麻竹は細かく切り1時間ほど茹で、タケノコは灰汁抜き。

 茹で上がった麻竹は籠に詰め、以前埋めていた物を掘り返し、今日収穫した物を土に埋める。

 発酵させた麻竹を天日干し、カラカラになるまで乾かせば乾燥メンマの出来上がり。

 戻すのに手間と時間はかかるが、それは塩漬けも同じ、乾燥の方が時間はかかるが…

 干している間に農場組を呼び、旗を立てた周囲を掘り返し、浸食してきている竹を全て除去。

 念のためにさらに広範囲掘り返してみたが、旗を立てていた場所以外には生えておらず、これ以上の浸食は無いとして調査は終了。

 竹をある程度除去し、掘り返した土を元に戻して解散。

 次のメンマを仕込むだけだったというのに、思わぬ重労働が追加されてしまった。

 ま…竹だし、仕方がないか。


 竹を除去している間に冷えたタケノコを切り分け、一部は煮物、一部は細かく刻みメンマのように天日干しで乾燥。

 輪切りにして濃いめの味付けにした物はそのまま食べても良し、天ぷらにしても良し。

 刻んだ物は炒め物や春巻き、饅頭などの具材にも。

 メンマも炒め物などに使えるが、タケノコもタケノコで美味しい、違いがあるとすれば…

「醤油、塩、味噌、鶏ガラで」

「メンマの塩味と醤油味ー、大盛りで」

「豚骨と鶏がらメンマ」

「味噌豆板醤漬けメンマ」

「海苔塩、コンソメ、わさび醤油、バター醤油…後カレー」

 メンマは一度味付けさえしてしまえばもうそのまま食べれるので酒飲み達に大人気。

 たまに変わった味付けを要求されるけど…

 それは芋じゃないのかと問い返したくなるが、メンマで、らしい。

「塩メンマと醤油メンマ、ネギニンニク入りラー油漬け」

「かつお出汁であっさり、醤油と塩で」

 メイド達の注文通りの味付けにし、つぼに入れて渡していく。

 ラー油もそろそろなくなりそうだなぁ、また今度作っておかないと。


 各種メンマを作った後は次のメンマの準備、乾燥メンマを3時間茹で、水を入れ替え4時間茹で、また水を変え15時間から漬けてメンマを戻す。

 塩漬けであれば塩抜きするくらいでいいのだが、塩漬けにすると塩が大量に必要になるのはまだ良い。

 塩漬けだと表面の塩を落としただけで食べるメイド達も出てくるからなぁ…

 食べれなくはないし、どれだけ食べようとメイド達は身体を壊したりすることも無いけど、塩辛い分少量でもお酒が進む、お酒が進めばメンマの消費量も増える。

 そうなると悪循環が続くので手間と時間がかかっても乾燥の方が良い。

 塩漬けも少量作っているが乾燥に比べれば本当にほんの僅か。

 こちらは我慢のできなくなったメイド達に渡して間を持たせる用、1人辺り麻竹1本分あれば5日くらいは我慢してくれるのでいいのだが、お酒の消費量も5倍以上に増えるので余りだしたくはない。

 塩辛さに慣れきってしまって味覚を元に戻すのにも少し苦労するというのもあるが…

 メンマを水に漬けておくだけの状態まで戻したら次はラー油と無くなりかけている調味料の補充。

 今回のメンマの流行は何時くらいに収まるかなぁ…

 乾物だったりお刺身だったり、煮物や揚物、焼き物と、酒飲み達の嗜好はコロコロ変わるが、流行した時は少し長いんだよねぇ…

 ありったけ持って行かれたし、ラーメンや春巻きとかに使う分も作っておかないとなぁ…


 メンマの流行は4ヶ月ほど続き、次の流行の肴に合わせて段々と消費量が減ってくる。

 流行と言う事で少しだけ嗜むメイド、流行以前から好んで食べているメイドも居るので消費量は減れど、メンマ作りを止める事は無い。

「かつお出汁、醤油で少し濃い目」

「塩のラー油漬け、揚げにんにく入りで」

「はいはい、このつぼとこのつぼね」

 以前から肴として常食しているメイド2人にメンマを入れたつぼを渡し、次の流行の肴も作っていく。

 茹でたじゃが芋の皮を剥き、適度に塊が残る程度に潰し、炒めた玉ねぎ、ひき肉、それと少しのさつまいもを混ぜコロッケに。

「次はコロッケですか?」

「だねぇ、今の所は単純に玉ねぎとひき肉だけの奴」

「では牛筋や豚軟骨、茹で卵入りのコロッケを明日辺りからお願いします」

「はいはい、おでんにしなくてもいいの?」

「おでんはまた今度で」

「私はコンビーフコロッケでー、後ベーコンとコーン入りも良いかなぁ…

おでんの時はトロトロになったのと少しゴリゴリする歯ごたえのある牛筋の2種類で」

「はいはい、コロッケ今日は材料が無いから明日ね。

おでんは今日の夜から仕込むから…明後日にはできるかな?」

「やたっ、ご主人様大好き!」

 コロッケの形を整えている所で抱きつかれたので危うく落としそうになったが…

 今日明日はコロッケ、明後日がおでんと、今はコロッケが流行中なのでおでんのタネにじゃが芋は抜いて、代わりに里芋…かな?

 里芋、里芋…里芋でコロッケも良いかなぁ…

 そう考えながら夕食と肴用のコロッケを作って行った。


 翌日はリクエスト通りに朝から牛筋と豚軟骨がトロトロになるまで煮込み、コロッケの具材に、茹で卵も荒く刻み、じゃが芋と混ぜ形を整える。

 形は同じなので混ざらないように牛筋、軟骨、卵、カレー、野菜、通常と印をつけ分けて置く。

 おでんも出汁は昆布だけで取り、筋は筋、軟骨は軟骨で別々にじっくり煮込み、灰汁や脂を取り除き、ダイコン、卵、里芋、糸こんにゃく、はんぺん、厚揚げ、油麩を筋と軟骨を煮込んでいるお鍋に入れる。

 牛筋と豚軟骨の2種類のおでんに加え、リクエストが有ったように少しゴリゴリした歯ごたえの筋のおでんも作り、1日寝かせて大根の芯まで味を染み込ませる。

 寝かせている間にうどんを打ち、こちらも寝かせておく。

 出汁は薄くあっさり、締めにうどんを入れて食べれるように、ご飯や溶き卵を入れて雑炊も作れる、どちらを選ぶかはメイド達の好みによるが、そばを選ぶメイドも居るのでそばは当日に。

 最後に出汁の味見をし、こければ少し昆布だしを足して薄め、薄ければ調味料を足し、明日沸騰しない程度に温めれば良い様にしておく。

 今日の夕食と明日の夕食の仕込みの一部を終え、少し遅めの昼食を食べる。

 量もさることながら、麻からじっくりコトコト筋や軟骨を炊いていたのですっかり昼食時は過ぎている、が、それでもお茶の時間にはまだ少し早い。

 うどんを打った粉が少々、昆布出汁も少々、端材は無し…団子汁かな…

 小麦粉に水と少量の牛乳をいれ、緩めに練り、調味料を足した出汁の中に入れ、団子が茹で上がれば火から下して団子だけの汁が出来上がり。

 侘しい気もするが、牛乳を少し足しているので団子は仄かに甘く、出汁もあっさりしているので少し遅い昼食にはちょうどいい。

 団子汁を食べた後はお茶やお茶菓子の用意をして狐さんの部屋へ。

 さて、夕食の時間まで少し休憩だなぁ。


 狐さんにカレンにリッカ、少し前に連れて帰ったアザミとボタンも交え、暫しの間お茶を飲み、稲荷やお煎餅を食べて休憩。

 部屋の中には宝石で出来たキツネノボタンだけではなく、今ではキツネノアザミ、リュウキンカ、カレープラントも飾られている。

 狐さんの納得がいくまで何度も宝石にしていたので、ティアやニールが暫く活動不能になるという事態も発生したが…

 手加減なしの全力でやらせるものだから、当然期待通りの物になる前に崩れ落ちる物もあれば、形は留めていても花や茎、葉の色が一致していない物もある。

 そう言った物をすべて除外し、色や形が一致、かつ美しい物を選び抜き、クリスタルで覆い完成。

 以前はキツネノボタンのみであったが、ボタン達を連れ帰った時にボタンだけなのも可哀想だと言う事で、この際だからとカレンやリッカの分も含めて意図的に作らせることに。

 偶然の産物であった物を意図的に生み出すには聴くも涙語るも涙のティアとニールの頑張りが有ったのだ…

 主に鳴いたり鳴かせたりしたのは私だが…うん、ティアとニールのご褒美がちょっとね…活動不能になった原因も花を宝石化させたからではなく…うん…

 ルビー達に甲斐甲斐しくお世話をされている2人は幸せそうではあったが…

 まあそれは置いておいて、のんびりとお茶の時間を過ごし、少し早めに切り上げて退室。

 さて…夕食より早めに飲み始めるメイド達もいる事だし、そろそろコロッケを揚げないとねぇ。


 コロッケは既に火が通っているので衣が揚がれば出来上がりー、チーズを入れてある物は少し長めに。

 ホワイトソースも作り、要望があれば揚げたてのコロッケにホワイトソースを掛ける。

 ホワイトソースをかけてからも少し表面を焦がして香ばしくしたりなどの注文も受ける。

 牛筋や軟骨、ベーコンにコーンのコロッケは昨日リクエストしてきたメイド達がササッと持って行き、それを見たメイドが追加注文、多めに用意してあるので1人辺り各種10個ずつ持って行ってもまだ余る。

 食べ方は色々あるので出来るだけ多く用意はしたが…この感じだと追加で作らないと駄目かなぁ…

「ベーコンコーンホワイトソース掛けのサンドイッチ」

「筋と軟骨のコロッケ丼」

「チーズのホワイトソース掛け、表面を軽く焦がしてパセリを散らして」

 出していたコロッケは既になく、追加で揚がるのを待ってもらっている状態になり、筋と軟骨はおでんから拝借して使うまでになってしまった…

 うーん…今日は眠れないな…

 皆の夕食が終わった後、お風呂にも入らず1人農場へ。

 筋と軟骨を使った分だけ補充するために大豆を収穫、加工場に行き変換ボックスに投入し、お目当ての牛筋と豚軟骨に、使い終わったら掃除と後片付け。

 調理場に戻り今から8時間、筋と軟骨がトロトロになるまでじっくりと炊き続ける。

 でもその前に汚れを落とすためにお風呂へ、長い夜になりそうだし、汚れはしっかり落とさないとね。

 お風呂から出た後は牛筋と軟骨の仕込み直し、肉だけでも量も5倍以上に増やしたし、他の具材も増やさないとね。

 朝仕込んだ時と同じく昆布から出汁を取り、筋や軟骨とは別にダイコンなどの具材を炊き、最後に筋と軟骨それぞれの鍋に入れて1日寝かせる。

 今の時刻は22時…6時か7時には仕込み終わるな…それまでは頑張ろう。


 翌朝7時に筋と軟骨はトロトロになったので仕込みは終わり、さて、今日も1日頑張ろう。

 まずは昨日大急ぎで収穫した所の手直しからだな、うん。

 そう考え農場に向けて歩きはじめた所でアザミとボタンに捕まり、寝室まで強制連行された。

「今日はもう何もせずお昼まで寝る事」

「放っておいたら何をしでかすか分からないので、眠りにつくまで私達がお相手致しますので」

「…ふむ?」

 2人が相手と言う事であれば手加減は必要なし、ならば先手必勝と2人を相手に先手を取り、2人が根を上げるまで戦い続けた。

 しかし何時だって有利なのは数が多い方、苦戦を強いられながらも隙を見つけては反撃を試み、伏兵や増援にも負けず、三日三晩休むことなく戦い続け…そして勝利を納めた…

 最終的にはリッカやカレン、アウラにサファイアにダイヤにと…総勢20名近くを相手にしていた気もするが…勝ったことには間違いはない…

 さぁ、今こそ睡眠と言う勝利の美酒を味わおう…

 で、何でメイド達と戦う事になったんだっけ…?

 まあいいか、もう何も考えたくないや…


 目が覚めた後は狐さんに色々と搾られた。

 それはもうこってりと1日中、ルシフと2人がかりで…やっぱりちゃんと睡眠はとらないと駄目だね…

 それに今はもう、どれだけ搾っても呻き声位しか出てこないので休ませてください、お願いします…まだ体力が戻ってないの…

乾燥メンマ

戻すのにほぼ丸1日かかる

ご主人様の屋敷でメンマと言えばこれ


コロッケ

じゃが芋にひき肉玉ねぎ、それと少しのさつまいもを入れて甘みを足すのがポイント

カレー粉を一つまみだけ入れるのも良い、好み次第

丼にしても良いしサンドイッチにしても良い、うどんやそばと言う選択肢もある


おでん

ちゃんと翌日の夜には夕食として出された

1番人気は油麩、ついで牛筋と軟骨、ダイコンと続く、でも結局食べるメイド次第で順位は違う


お相手

寝るまで会話するだけのつもりが戦闘に発展した

寝ていないご主人様は何をするか分からない


搾る

搾った、搾りカスになっても搾った

廊下で24時間正座してた

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