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海だ魚だ切り身で干物 手間暇かけた結果

「今日も快晴、良い天気ー、干物を付くのに持って来いだね」

 今日は海で干物作り、何となく干物にしてみたくなった物を干物にして行く。

 鉄板中の鉄板、アジにホッケ、金目鯛にサバと言った物から、エビ、イカ、タコも美味しいので干物に。

 鮭も鮭とばを作る序でに幾つか違った干物にしてみる。

 まずは基本の塩水。

 昆布を育てている所から汲み上げてきた海水に塩を少し足して濃度を少し上げる。

 その海水に下して切り身にしたばかりの魚を種類ごとに別けて漬けこんでいく。

 漬けこみが終わったら塩水の他に、みりんと醤油などに漬けた物も作っていく。

 海水につけた物は少々長めに40分、みりん干しは更に長くしっかり2時間、醤油だけで漬けた物は30分ほど。

 漬かった物からどんどん干して行き、12から16時間ほど干しておけば出来上がり。

 んー…完成が楽しみだねぇ…


 魚干している間に今度は貝類、アサリにハマグリ、ホタテに牡蠣、トコブシなどを捕って行く。

 トコブシは特に加工はしないが…小腹がすいたので浜辺で焼きながら他の物をどんどん仕込んでいく。

 アサリとハマグリとホタテは身を取り出し、半分に切り開き、魚のように海水に漬けて干物に。

 時間は少々短く5分ほどで。

 牡蠣はにんにく、玉ねぎ、醤油、砂糖、お酒で煮込む。

 砂糖少な目にして蜂蜜を足しておく。

 煮詰まってきたらミキサーに入れてしっかりと混ぜ合わせればオイスターソースの出来上がり。

 出来上がったばかりのソースに牡蠣を漬けこみ、使った物を燻製にして行く。

 そうこうしている内に火にかけていたトコブシはすっかり忘れていたので、思い出した時には干物作りを手伝って貰っていたメイド達に食べられていた。

 …後でまた捕って来よう。


 今日仕込む物は全部仕込んだので、また岩場まで歩いて行きトコブシを採取。

 浜辺に戻り沈みかけている日を目の前にトコブシを焼き、醤油を垂らして切り分けて食べる。

 手間をかけて食べるのもいいけど、海で浜辺と言えばこれだよね。

 手伝ってくれたメイド達と一緒に魚を切り分けた時の端材、カマやお頭などの使わなかった部分をその場で調理して食べてしまう。

 目玉や唇は茹でて魚醤をかけて頂く、カマは塩焼、頬肉はステーキにと、1匹あたりからはそれほど取れない希少な部位を海に来ているメイド達だけで味わいつくした。


 燻製は持ち帰り、干物は明日回収。

 屋敷に帰ればすぐ夕食の用意、燻製にした牡蠣をパスタと合わせ、彩はパセリではなく、青のりを使用。

 他にも燻製牡蠣のパエリア、夕食用にと取って置いた鯛でアクアパッツァを作れば夕食の用意は完了。

 牡蠣がメインで鯛が添え物になってしまったが…まあいいか。

 オイスターソースに付けて燻製にしただけあって、牡蠣の味がかなり濃くなっているし、香りも良くなっているのでパスタにもパエリアにもよく合う。

 ただ、味見は出来れどほぼ全てメイド達のお腹の中に収まるので…

 燻製にした牡蠣…全滅、鯛のアクアパッツァ…壊滅。

 今日の賄はこっそり取って置いたトコブシのステーキだな。

 白ご飯と卵は有るし、ご飯はネギと卵のオイスターソース焼き飯でいいか。

 お汁に焼いたトコブシから出たエキスを少々拝借して潮汁風にすれば賄いの出来上がり。

 まあ、これはこれでいいもんだね。


 翌朝、海へ行き昨日干しておいた干物を全て回収。

 回収が終われば次はイワシにカツオ、トビウオを多めに捕り、出汁用に加工していく。

 煮たり茹でたり焼いたりを任せている間に昆布を採りに行き、イワシやトビウオと一緒に干しておく。

 鰹節は発酵するまで時間がかかるので蔵に入れておく。

 時短で時間を素っ飛ばしてもいいけど鰹節はまだまだ余裕が有るので大丈夫、でも油断は禁物。

 回収した干物の一部は天ぷらや刺身用の魚介類と共に温泉街の食堂へお届け、煮干しと鰹節と焼き干しはまだ余裕あったっけ…?

 無いなら無いでメイド達が持って行ってるか。

 作業を進めている間にチーズや回収したばかりの干物を取り出し、チーズは燻製機へ、干物は全種2枚ずつ燻製機、七輪でも2枚ずつ焼いていく。

 焼いたり燻製にしている横では白ご飯を炊き、アサリの味噌汁も作っている。

 今日のお昼ご飯は出来たばかりの干物で焼き魚定食、作っているメイド達だけの特権だねぇ…

 1枚そのままではなく、半身を4分の1にして別ける、種類が多いので量的には十分。

 物によっては塩分を少し濃くしてあるので少量でも御飯が進む。

 ご飯は多めに炊いてあるのでおかわり自由、1人当たりどんぶり飯大盛り10杯でも大丈夫、

 焼きあがった干物を並べ、燻製にした物も最後に表面を軽く炙って香ばしくすれば昼食の準備は出来上がり。

 作業を切りの良い所で止めさせ、海の家で皆で昼食。

 はぁ…出来立て焼き立ての干物が美味しい…


 お昼も干物作りは続け、帰る前にエビとイカ、タコを捕ってくる。

 手早く絞めて捌き、今日の夕食に使う。

 屋敷に戻り、小麦粉をこね、ピザの生地を作る。

 寝かせている間にトマトやピーマン、じゃが芋などを収穫、途中で加工場に寄りピザに向いているチーズも持って行く。

 野菜を洗い、ピーマンは輪切り、トマトはくし切り、じゃが芋は茹でてマッシュ、乾物お置いて有る所から干し肉を持ちだし、薄く切って水で戻しておく。

 寝かせ終わったピザ生地を伸ばし、ソースを塗り、チーズや収穫してきた野菜を乗せ、水で戻しておいた干し肉を乗せて焼く。

 他にもエビやイカやタコを使ったピザ、一夜干しにしておいたエビとイカとタコをチーズだけで焼き、上から焼き海苔を振りかけ、海鮮海苔チーズピザ。

 燻製にしたチーズも使い燻製チーズだけのピザから海鮮などを合わせた物まで、多くの種類と量を作っていく。

 第一弾が焼きあがる頃にメイド達が食堂に勢揃い、各々好きなピザを好きな組み合わせて持って行く。

 第一弾が焼き終わった後は注文を受けつつピザを焼いて行き、狐さん用に甘辛く煮た油揚げを適度な太さに刻み、チーズをふりかけ、焼きあがったら刻み海苔を散らして特製狐ピザの出来上がり。

 ピザに合わせて揚げの食感、味の調整もしてあるので満足してくれるだろう。

 今日の夕食も好評、生地は使い切り、チーズと魚介が少々残っただけだった。

 チーズはあれど生地無しご飯無し、何を作ろうかなーと考えた所で、皆でつつくならこれだろうと、チーズフォンデュに決定。

 うむ、何だかんだで今日の賄もいい感じ。


「と言うのがうちの日常だね」

「話だけを聞くと、魚市場を持っていて、魚介を下したり加工したり、昼食を作ったり夕食を作ったり…使用人としか思えませんね…」

「そお?いつもこんな物だからねぇ」

 出来上がった干物や燻製のお裾分けに葵さんの家にお邪魔中。

「後干物ってこんなでしたっけ?全部切り身になっていますけど」

「1匹を開いてそのまま干すわけにはいかないからねぇ、時間がかかるのも有るけど、ムラなく焼くのが凄く難しくなる」

「開いた時に凹凸ができるのは普通ですし、干物と言えばやはり1匹そのまま使ってる方が見た目もいいんじゃないですかねー」

「じゃあまた今度一匹丸々干したの持って来ようか?」

「どんな物を干物にしてるか見てみたいのでぜひ」

「程よい感じになるまで2.3日かかるから…漬け込む時間を考えると5日後位かな?」

「結構長い間漬けるんですね、普通は30分くらいですが」

「何回かに分けて漬けるからね、中まではこの濃度、外側はこの濃度って感じで」

「手間がかかってますねー、そんな工程こっちだと個人でもやる人は居ませんね」

「ほーん、まあまた今度持って来た時にでも感想聴かせてよ、それじゃ私は屋敷に戻るねー」

「はい、ではまた今度」

「他にも何か良い物が有ったらお願いしますー」

「一応この家の人ならだれでも通れるようにしてあるから、気軽に遊びに来てもいいんだよ?」

「それは何というか…」

「まだ決心がつかないと言いますか…」

「そお?まあ、1週間以内には届けに来るよー」

 扉を抜けて屋敷に戻り、そのまま海に移動、1匹丸々使った干物が良いらしいから作らないとねぇ。


 やはりここは特に珍しい物でもないアジを使用。

 血抜きをして頭まで切り開いておく。

 最初に海水を薄め塩分の濃度を1%未満でたっぷり24時間、次に1%で10時間、3%で5時間、最後に塩を足して5%で30分。

 濃度を変えつつ中までバランス良く染み込んだら、今度は風の吹いている所で24時間天日干し。

 日が暮れ始めたら収納して時間を止める、良く朝日が昇ったら取り出してまた干す。

 約64時間、5日かけてアジ一匹丸々使った干物の出来上がり。

 んー、実に美味しそうだ、程よく渇き、中はうまみが凝縮されている。

 早速お届けしに行こう、今から行けばちょうど夕食時だろう。


「干物できたから持ってきたよー」

「本当に5日掛かりましたね、一体どんな干物が出来たので?」

「ただのアジの干物だよー、じゃあ庭に行こうか」

「なぜ庭に?」

「ここじゃ狭くて出せないし焼けないから」

「アジの干物ですよね?」

「アジだね」

 庭に向けて歩きはじめるとついてきたのでそのまま庭に出る。

 玄関を抜けて広い所に特製の七輪をだし、炭も万遍なく敷き詰め、その後火の弱い所強い所を作る。

 網を乗せ火を点けたら網が温まるのを待つ。

「…随分と大きな七輪ですね…」

「これ位は無いと焼けないからねー、火加減も調整してじっくり中に火を入れないと駄目だから、焼きあがるのも時間がかかるし。

あ、でもおいしいのは保証するよ、ミアとかミウとか猫人族とそれに連なる種族は皆飛びついてくるからねー」

「そう…ですか…」

「そろそろ網が温まったかな」

 網を触って温度を確認、干物を焼くのにちょうど良い状態になったので干物を取り出し網にのせる。

「…これ、アジ?」

「アジ」

「アジと言う名の別の大型魚ですよね?」

「いやー?これがうちの海で捕れる普通のアジだね」

 身からじっくり焼いて行き、火加減に気をつけつつ、火から遠ざけたり、近づけたり、中までしっかり火を通しつつ焦げないように気を付ける。

「干物ってこんなに焼く手間がかかるんですねー」

「だねぇ、そのまま載せたまま焼くと表面だけ焦げて中まで火が通らないし」

 結構大変なんだよね、1品で良いなら1匹丸々の干物だけでもいいんだけどねぇ。

「恵里香、地味に逃避して無いで現実を見なさい」

「お嬢様、そうは言ってもこんな大きなアジ見たこと有りませんよ…

1匹丸々使った干物を頼んだらこんなのが出てくるなんて…一体誰が予想できるんですか…

少なくとも私は精々40センチくらいの大物を使った物だと思ってましたよ…」

「此処に食材を持ちこんできていた時にあなたも料理に参加していたはずでは?」

「あの時は全部切り身で来てましたよ、エビもイカもタコも、エビは大きさから高級なやつかと思ってましたが…」

「焼きあがるまでまだまだ時間かかるから、家の中でのんびり待ってても良いよー。

それと誰か屋敷まで行ってメイド達呼んで来てくれない?

多分食べきれないだろうから今日は此処で夕食だねー」

「ええ、これを食べきるのは無理ですね…恵里香、行ってきなさい。

一匹丸々注文したあなたの責任です」

「うえぇ…」

 恵里香さんはうめき声を上げながら葵さんに引きずられていった。

 あ、白ご飯炊かないとなぁ…


 恵里香さんは何かげっそりしながら戻ってきたが、ちゃんとメイド達を呼んで来てくれたようだ。

 途中からご飯を炊き始め、お味噌汁も作り始めたのでそろそろ夕食が出来る。

 最後に身の表面と皮をパリッとさせれば焼き上がり。

 身の表面はパリパリ、中はふわふわの焼き立てのアジの干物、既に何人かは我慢が出来そうになくなっているので白ご飯を渡す。

 すると干物に飛びかかり、少量の干物でどんぶり飯をかきこんでいる。

 一番美味しい所は葵さん達の為に取って置く。

 後はお皿に乗せ、お味噌汁と白ご飯を御盆にのせ、少し離れた位置にいる葵さん達に持って行く。

「はい、焼き立ての干物とご飯とお味噌汁」

「有難う御座います」

「いやー…まさかあれ程まで大きい物だったとは…世界一大きい干物で申請すれば世界記録取れましたかねぇ…」

「止めておきなさい、信じる人いませんし、食べ物の無駄だとか言う人であふれかえります」

「んー?別に無駄にはなってないけどねぇ?」

 アジの干物は既に3分の1ほど減っている、やっぱり一匹丸々干したのは美味しいよねぇ。

「少なくともここであの大きさの物を出されたら、面白半分で買う人以外は手を出さないでしょう。

料理をするのも大変ですね、あの大きさの物を焼く設備が有りません。

一番の問題が毒性の確認ですね、検査などに回され、どうしてここまで大きくなったかたらいまわしで研究され、最終的には食べる前に腐ってそのまま廃棄。

この世の中には出さない方が良い物の1つともいえますね」

「めんどいねぇ、ただの干物1枚で何を調べるんだか」

 焼き立ての干物を味わい、白ご飯をかきこみ、お味噌汁で流す。

 んー…たまらない…

「まあ、そうでなくともこちらでは、育ちすぎるとシガテラ中毒の危険性が有りますからね。

食の安全だとかなんだとかで警戒心もいろいろ有ったりするのですよ」

「ほーん、まあ冷めないうちに食べなー、一番美味しい所取って来てあるから」

「そうですね、では頂きます」

 葵さんや恵里香さん達も食べ始め、2回ほど白ご飯をお代わりしていた。


 一匹丸々使った干物は食べきれないので今回で最後、切り身にしたのはたまに欲しいと言ってたので、欲しい時は屋敷まで来るように言って置いた。

 扉で直通にしてあるので何時でも来れるしね。

 さぁて、明日は煮干しや焼き干しの仕上げに鰹節の途中経過の確認、それが終わったら干し肉や生ハム作りだなぁ。

トコブシ

煮ても焼いても美味い

狐さんの海で捕れるのは他の貝類などと同じく一時4メーターとかまで育った、今は50-60センチくらいで落ち着いてる

味付けはシンプルに醤油のみ


希少な部位

1匹から1つ2つしか取れない

いくら大きいとはいえ量は取れないので、メイド全員分用意するとなると干物が10倍くらいに増える

手伝ったメイド達限定のご褒美みたいなもの


1匹そのまま使った干物

鯵で5メートル、鯖で7メートル、鮭で15メートルほど、魚達の成長は止まらない…

生息している魚達全て毒性も寄生虫も一切ないので生で美味しく頂ける、フグの胆だって生で食べれちゃう、ただし狐さんの海限定、そこ以外は間違いなく当たる、ご主人様やメイド達は当たった所で別に死にはしないし苦しみもしないけど

居候している時に持ち込んだのは全て加工済みだったので実物はみていなかった


世界記録

その前にまず真偽が問われる、そして検査やら研究に回される

最終的に世界記録なんてすっ飛んで行って無かった事にされる


げっそり

ご主人様のメイド達は皆誰もが振り返る美人または美少女、気後れしていたので精神的な疲労を受けた

たぶんすぐ慣れる、最終的には気軽に調味料を借りに行くくらいの感覚になる

葵さんはルシフ経由で慣れるし、ロザリアは熊人族に近いのでそれ経由、恵里香さんやその他使用人2人も似た様なメイド達経由で慣れていく、ゲームだったりお酒だったりで

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