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そのまま流しちゃダメ 真実は何割?

「いやー、ここ一年近くいろんなことがありましたねぇ…」

「そうだねぇ、ご主人様を中心にそれはもういろんな事が次から次へと矢継ぎ早に」

「毎年恒例の釣り具新作発表にゲーム実況、イベントのテストプレイに始まりちーちゃんとさーちゃんの学校卒業祝い、ほぼ出来る限り最速でプロになったのでそのお祝いもありまして、さらには生贄に選ばれた王女様を追いかけて火山の火口に飛び込んだ話とか、元凶を断つべく魔王城に単身殴り込みをかけた話とか、またある時には宇宙海賊と宇宙の存亡をかけて戦い、その戦いの最中に各星々でお兄さんを中心とした愛憎劇なんかは涙なしには…」

「ふぅー…ん-…お茶を飲みながらなんだけど実際に有った事と無かった事を知れーっと混ぜて思い出話にするのはどうなんだろね?」

「大体本当の事じゃないですか、なんかイベントの後の情報が公開されてちょっと忙しい時期にふらーっと1ヶ月くらい外に出たまま帰ってこないと思ったら、ちょっと住み込みで働かせてあげてーって見知らぬ人を連れ帰ってきましたし、出来ることを聞くついでに話を聞くとどこそこの国の元王女でお兄さんに助けられてかつ拾われてーとか」

「あー、うん、そうね、アンジュは確かに火山で拾ったねぇ、でも飛び込んだんじゃなく採掘作業中に上から落ちてきたのを受け止めただけよ?」

「そこは女の子特有の思い出を美化して変換して人に話すというアレだね、アンジュちゃんからしたらその時のご主人様は救いの神様か白馬に乗った王子様か、世界観的には身を挺して助けに来た勇者様か何かかな?」

「真上からじゃなきゃそのまま放っておいた可能性もなくはないんだけどなぁ…反対側からだったらなんか落ちてるなーくらいだっただろうし…」

「その辺りは運が相当よかったって事ですよね、生贄に選ばれて一見不幸な身の上かと思ったらお兄さんが丁度その真下にいる時に突き落とされて生き延びたりしてるわけですし、場所が場所なので髪が焼けたり火傷は負ったみたいですけど」

「後別に魔王城に殴りこんだりはしてない…はず?ちょっと話し合いには行ったけど」

「そこもまあ美化されてということで、王女様からしたら自分の意思関係なく吊るして問答無用で生贄にしようとした親は魔王にも見えるだろうし、賛同してた全国民もその手下に見えるだろうし、その後不幸な事故があって国が滅んだとしてもそれは関係のないことではあるよねー」

「何で生贄が必要なんでしたっけ?」

「異界から勇者を召喚する儀式云々だった…かなぁ?召喚には王家の血が必要云々で単に死にたくなかった王様王妃その他第一から第八王子と王女が一番若くて大人しくて抵抗もしなさそうなアンジュを選んだってだけ。

そのまま落ちてたら落ちてたで儀式が完遂されて召喚の儀式は成功してたんじゃない?どういう人物が勇者としてくるかは知らないけどそういう世界だし」

「召喚の儀式も色々あるんですねぇ、魔法陣でパパパーっとやっちゃうのもあれば生贄を多数必要としたり一人でよかったりと」

「その辺はその世界の理を設定してる管理者の気分次第かなぁ?」

「ところでアンジュちゃんは今何をしてるの?」

「あぶく銭を使って競馬で遊んでるんじゃないですか?ほぼ何もできないタイプの人種ですけどピンポイントでお兄さんの真上に落ちるくらいには運がいいですし、お小遣いとして100円渡したら1万円に増やしてきますし」

「王侯貴族にちょこちょこいるタイプではあるね」

「主様ー、お風呂貸してー」

「屋敷の方のお風呂ならご自由に、この家のお風呂は恵里香さんに聞いて」

「お風呂は洗ったばかりなので湯はまだ張ってませんよー、シャワーくらいなら使えますけど」

「シャワーだけでいいから借りるねエリカー」

「はいはいどうぞどうぞ、しかし毛という毛がすべてガビガビになってますね」

「オパールとオニキスがねー…やたらと甘えてきてベロベロ舐める物だから…こういう時に限ってお風呂が故障してて使えなくなってるしで…」

「お風呂故障って何かあったの?」

「オパールとオニキスの毛が排水溝に詰まってその除去作業でちょっとねー、配管が壊れたり排水がなんだのでしばらく使えなくなっちゃったんだよね」

「あー、生え変わりでごっそり抜けたのが詰まったのね」

「そう、新人がやってそのまま流しちゃったものだからガッツリ詰まっちゃって、だからしばらくお風呂は借りに来るねー」

「はーい」


「あーさっぱりした、それにしてもさー」

「どしたの?」

「アンジュって結構変なやつだよね、髪が長いのはそれが好きだからってのはわかるけど、髪を引っ張られて喜ぶってのはちょっとよくわかんない」

「あー…そうだねぇ…アンジュちゃんはちょっとMっ気があるのは確かだねぇ…部屋から出てくるときにドアに小指をぶつけて痛がるどころかちょっと喜んでたりしてましたし…お兄さんと出会う前からああだったんですか?」

「さぁ?少なくとも落ちてきた時は軽いとはいえ火傷で苦しんでたけど、何がどうしてああなったかはわかんない、けど本人が喜んでるならそれでいいんじゃないかな?」

「もう一般人だからいいんだろうけどさぁ、仮にも元王女がアレなのは自由にやってるボクでもどうかと思うね、普通に呼ぶと残念そうな顔をして髪を引っ張ったりおしりを叩いてからて呼び止めると喜んでるのを見るとなんかもうね…」

「アレはもう治らないでしょうねぇ、一種の不治の病ですよ、若くして何かに目覚めて拗らせてる上に矯正はほぼ不可、軽度であるというのが救いといったところですね」

「ご主人様も変なのを拾ってきたよねぇ、扱いは少々悪かったけど筋金入りの王女様だったわけだし、それがああなるってもう笑うしかないよね」

「ほんとなんでああなったんだろうね?焼け焦げた髪のカットとやけどの治療くらいしかしてないはずなんだけど…」

「初めての痛みが快楽に変わったとかそんなのでしょうね、痛みと快楽は表裏一体ともいいますし、そうして痛みから精神を守ったとも考えられますね」

「放っておいても1週間ほどで治る火傷から精神を守るって…なくはないか…生まれて初めての怪我だったみたいだし、軽いとはいえむき出しになっていた肌の部分はほぼ火傷してたわけだし、辛いといえば十分辛いか」

「とまあ一つ謎が解けたところで次の話題に行きましょう、どの道あれはもう不治の病に侵されているので処置無しです、全部お兄さんに丸投げしておけばいいんです」

「それもそうだね、拾ってきた主様が最後まで面倒を見るべきだよね、それにあそこまで何もできないとなると焼肉屋とかで働かせるのも無理だし」

「運だけはいいんですけどねー…馬が走ってるのを見るのが楽しいからと競馬に熱を上げてますけど絶対にマイナスにはなりませんし…」

「運がいいだけでは焼き肉屋もカレー屋もやっていけないからねぇ…食い扶持は自分で稼いでくれているから良しという事で」

「でー、宇宙海賊との一悶着についてなんですけど、それは何が原因だったんですかね?」

「何が原因というかなんというか、大体の海賊って客船やらなんやらを襲って物品を巻き上げるのがお仕事じゃない?」

「そうですね、海軍と手を組んで領海を守っていた半自警団的な海賊も歴史上には存在してますが大体は略奪者ですね」

「スペースシップに乗って軽い旅行中その場に居合わせて、特に抵抗はせずなすがままって感じで捕まったけど結果的に海賊に赤っ恥をかかせたから…かなぁ?」

「赤っ恥ってなにをやらかしたんです?」

「捕まった後脱走して逆に船を乗っ取ってお気楽旅行と洒落込んでた、ついでに海賊が奪った金品も換金してちょっと豪遊したりしてた、そしたら海賊組合みたいなのに賞金首をかけられちゃってねぇ…あの星この星あっちこっち行ったり来たり。

そうしてるうちに普段は各星に散ってる海賊もワラワラ集まってくるし、フリーの賞金稼ぎも狙ってくるしで…ねぇ?」

「下っ端の船ならそこまで大層な事にはならないと思うんですけど、本当にそれだけですか?」

「ん-…乗っ取った船が組合のちょっと偉い人の船だったからか、それとも途中で船を分解売却したからか、金品全部換金したからか、後から知ったことだけど裏で組合が経営してるカジノで大勝ちしたからか…心当たりがちょっと多すぎて…」

「金品2割大勝1割恨み2割メンツ5割ってところでしょうねぇ、幹部の船を乗っ取られた上に分解されて売られたとか恥なんてものじゃないですし」

「これは主様が悪いね」

「ご主人様が悪いね」

「えぇー、やられたからやり返しただけなのに」

「やり返すなら証拠を残さないようにならないと、証拠を残すから賞金なんてかけられるのよ、ご主人様の怠慢だね」

「むぅ…」

「それで、結局どういう落ちを迎えたんです?」

「そうねぇ、面倒になったから全部ほったらかして帰ってきた、居場所が分かったとしてもあの技術力の船だとここに到着する前に数千年はかかるし、秘宝がどうだの古代遺跡がどうだのとか興味ないし…そもそもただのプチ宇宙旅行だし…」

「途中まで関わった人はいきなり放り出され、さらに海賊組合は消えた相手をしばらく探し続ける羽目になり…誰も得してませんねこれ、ただただお兄さんが好きに遊んで来たってだけで巻き込まれた側が…」

「巻き込まれた側なんだけどねぇ、最後まで面倒を見る必要はないなって思ったから放置してきただけだし、組合が絡んでたら巻き込んで申し訳ないなーってなって安全が確保されるまでは付き合っただろうけど別にそうじゃないし、むしろ旅行先でちょっと頭がアレが研究者に拉致されて秘宝の探求古代遺跡の発掘と突き合わされた被害者だよ?」

「それならまあ…セーフ…ですかねぇ?若干怪しい部分もありますが」

「怪しい部分あった?」

「そりゃあるでしょ、ご主人様がそれだけやらかしておいて女の話が一つもないわけないし、絶対何かやってきてるでしょー?」

「えー…」

「そうだねー、主様なら何かあってもおかしくないよね、最初の失踪の時だけでもアンジュを拾ってきてるし」

「本当に何もなかったんだけどなぁ…海賊から助けたわけでもなし、研究者が女性だったわけでもなし、チンピラから助けたわけでもなし…ん-…」

「ま、ご主人様の事だし何かしら関りを持ってたら屋敷なりここなり焼き肉屋なりに連れて来てるか」

「あまり自分で増やしすぎるとエステルが嫉妬するからほどほどにねー?エステルはエステルで各方面から色々集めてるし」

「それはそれでどうなんだろうね…」


「もういい時間ですねぇ、そろそろ夕食の準備をしないと…ですけど今日は焼肉でも食べに行きますか」

「そうだねー、毛が生え変わってる途中のオパールとオニキスの様子も見ておきたいし、今日は皆で焼肉屋に行こうか」

「ボクは一足先に戻ってオパールとオニキスを連れて行っておくねー」

「はーいまた後でー、それじゃあ私達もお嬢様達に声をかけて準備しましょうかね」

「私はいつも通り屋敷の方で食べるからまた夜にー」

「はいはい、それじゃあ私も一足先に焼き肉屋に行って準備しておきましょうかね」

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