ちょこちょこ居るタイプ 探すのも楽しみ
「んー…今日も来てますねー…」
「どしたの?」
「いえ、ここ最近表門の外から家を撮っていく人がいるじゃないですか?何を目的として写真を撮っているのかは知りませんけど、それが今日もまた来てるなーと。
一昨日は検問みたいなのをルシフさんが張っていたので来てませんでしたが、ここより先私有地という看板だけではこういう人は防げないんですよねぇ…」
「ふーんむ、目的がわからない事にはどうしようもないね」
「一応ここに住んでるのはお兄さんを除くと全員女性ですし、昨日またわーっと仕事に出かけて行ったので今残ってるのはリオだけですけど誰かのストーカーという線も捨てきれませんし、ちょっと警察に電話して山から下りて行ったところをちょっと捕まえて貰いましょうかね?
時間はまちまちですけどここ1週間ほぼ毎日来てるわけですし、門の前でずーっとカメラを構えて2時間何かを待ってるとかありますし、職質くらいはちょっと受けてもらいませんとね」
「でも意外と鉢合わせないものだねぇ」
「まあ、玄関から表門までそれなりに距離もありますし、すぐに逃げていくというのもありますからねぇ…まだ実害は出てませんけどいつ何があるかわかりませんし、釘を刺しておいてもらいませんと、あまり効果はないでしょうけど」
「言葉が通じないタイプだとどうにもなんないしね、念のために今日はお買い物なしで自動販売機とか養殖場の魚介で済ませるのが無難だね」
「ですねー、ディジーがどうこうされるという事はまず無いと思いますけど、なにもされないほうがいいのは確かですからね、とりあえず私は警察の方に連日怪しいやつが敷地内に侵入って通報してきますので、ディジーには買い物に行かないように伝えておいてくださいねー」
「はいはい」
「そんなに怪しいやつが居るのか、俺は外に出ないからわからんがディジーは何か知らないのか?」
「玄関から外に出たり庭に人がいるのを視認した時点で逃げていくので怪しい人という以外の情報はないですね、何の目的もなく毎日ここまで来てカメラを構えてーってのはまずないですし、目的がわかるか来なくなるまでは要注意ですね」
「ボクの方でも何か調べようか?どうせ書類チェックと作成の手伝いくらいしかやる事ないし、何か目的があって毎日来てるのなら今の時代どこかしらに情報が埋まってるはずだし、怪しいやつの人相がわかればすぐに掘り出せるぞ?」
「じゃあ一応監視カメラの映像を後で持ってくるのでその時に、多分今頃職質を受けていると思いますし、それでもう来なくなればいいんですけど…多分効果はないでしょうし、何か被害が出てからでは遅いですし、出来る事はやっておかないとですねぇ」
「目的がわからないのが一番怖いよな、対処しようにも出来ねぇし」
「ま、今すぐどうにかなるって事もないだろうし、今は仕事だな、怪しいやつがいようがいまいが送られてくる書類は止まらないし、送る書類の枚数も減る事はないしな」
「だなー、怪しいやつがいるだけで1日で送られてくる書類が100枚程度になるってのならいてもらって結構だが、もうすでに300枚をとっくに超えててぼちぼち400枚に届くんじゃないかってくらいファックスも印刷機もフル稼働だし」
「うちはグループでここが一番上ですからね、一応これでも結構減らしたほうなんですよ?以前は本宅に住み着いていたダニが嫌がらせのように1日1000枚からは糞みたいな書類を送ってきてましたし、その頃に比べれば半分以下ですからね」
「逆にその糞みたいな書類を読んでみたい気はするね」
「勝手に住み着いておいて家具も調度品も勝手に買い換えてその代金を経費で落とすだの落とさないだの、血の繋がってない赤の他人の学費をうちの会社から出せだの、食費を出せだのティッシュの使用許可だのと言った物から財産放棄して全部こいつに渡しますといった同意書とか、そんななのが送られてきてたんですよ。
今は本宅から全員追い出してかつ遠い血筋の親戚だろうが足を引っ張る無能は要らん、って感じで会社からも追い出しましたけどね」
「あー、まあたまにいるよな、どこそこの血筋だから俺も同等の身分があるからもてなせとかそういうやつ、もっと性質が悪いのになると遠い血縁の赤の他人に等しいやつが家系図でここから繋がってるから俺らも貴族の仲間入りとかわけのわからんことを言い出したりとかあったし」
「その辺りはこの世界もヒルダの世界も同じって事ですね、ただこちらの場合は正当な理由がないと云々で追い出すのとか結構難しかったりしますけど、そこはまあ長年少しずつ積み上げて行ってドカンと叩きつけたので、追い出し自体は簡単に終わりましたね。
不当解雇だの住居から追い出されただのと喚いたりもしてましたし、今まで出した本宅と会社の損害全部押し付けてやったら裁判だなんだのなりましたが、こちらはもうガッチガチに証拠を固めてますし、1人じゃなくて勝手に住み着いてたダニ総勢100匹少々に分散してやってるんだからまだやさしいだろ?って。
まあ、年齢問わずなので小学1年生で1000万越えの借金を背負ったりすることになりましたが、好き勝手やったお前の親兄弟を恨めよとしか言えないですかね?」
「1家族1000万じゃなく1人1000万?」
「1人1000万以上ですね、なので7人で住み着いていたところは7000万、4人なら4000万って感じです、子供のやった事だからと許せる限度を軽く超えてるので司法を脅して小学生だろうがなんだろうが借金を背負わせてやりましたよ」
「司法を脅して法を捻じ曲げるとか怖いなー、主様の周りはそんなのばっかかよ」
「根回しをして有利にするとかそういうのはありますけど、脅して捻じ曲げたのはその件くらいですよ?それに会社は全体で数十億からの被害が出てるのを全員合わせて10億くらいですませてやるって言ってるんだからやさしいでしょ?それに被害はミスで出たものではなく横領による被害ですよ?」
「あー、それならかなりやさしいな、全額耳揃えてきっちり払えってなると大変だが、1人1000万なら払えん事もないな、肩代わりするだのしないだので分裂しそうだが」
「するでしょうねー、少なくとも6つの家族が離散したという情報は入ってますよ、していなくても高額の生命保険に加入させて互いの命を狙うような状態になっていたりとか、普通に働いて返済しようってのは居ないですね」
「いろいろ終わってんなー…ほい、ダメな書類と大丈夫な書類は分け終わったぞ」
「はいはい、それじゃあ大丈夫な書類の最終チェックをしましょうかね」
「自動販売機で手作りの物が出てくると料理をする意味があるのかどうか悩んでしまいますよね」
「冷凍食品だと手作り風とかあるけど、この自動販売機から出てくるのは間違いなく手作りその物だからねぇ、気になるならこれぞ工場生産の冷凍食品って物にしようか?」
「いえ、さすがにそこまでは…」
「ま、一応この自動販売機のデメリットはここで食べるなら兎も角、食堂に運んでいる間に少なからず冷める、大皿料理も1人前で小分けされてるから用意するのが大変でやっぱり出してる間に冷める、麺類も大盛りに替え玉トッピングいろいろあるけど、もう湯で終わったのが出てくるから食堂で替え玉をする頃には伸びてるとかあるのよね、だから手作りそのものとはいっても善し悪しがね」
「確かに、ちょっと唐揚げを追加しようってなっても1人前を1つずつ出さないといけませんし、最低でも10人前からは用意しないとダメなのて結構手間ですし、その間に冷めますよね」
「あれもこれ持って出す時は特にね、ここで食べる分には何の問題もないし皆好きなのを買って食べてねってできるけど、食堂でーってなったらやっぱり台所で作ってーの方が温かいご飯も食べれていいのよ。
後ここに自動販売機をずらーっと並べてるのはがっつり食事というよりは、ゲームセンターで遊んでて小腹がすいた、遊びに出かけててラーメン屋中華料理やその他お店でーっていう雰囲気をちょっと味わうためかな?」
「お店という感じはしませんが…そこは仕方のない部分ですね」
「そうだね、料理人を呼び込むわけにはいかないし、自動販売機で代用してフードコーナーって感じだね」
「とりあえずお昼は何にしましょうか?ご飯はあるので炊いてますし、養殖場の方からアサリを取ってきてお味噌汁も作ってありますけど」
「ご飯を炊いててアサリのお味噌汁があるなら…出汁巻きと天ぷら盛り合わせを買っていこうか」
「わかりました」
「今日のお昼は天ぷらの盛り合わせですか」
「焼き魚でもよかったんだけど天ぷらと出汁巻き気分だった、夕食もその時の気分で自販機で買ってくるものが変わります」
「自販機あるあるですね、何でもあるのでその場の気分でころころ変わるっていう、そんなのはここだけですが」
「中身からして作りが違うからね、努力の結晶ともいうけど」
「最初は裏に調理場を作って材料を買って搬入してとかやってましたもんね、補給が追い付かなくなって今の物に落ち着きましたが」
「レトロなままの中身でもよかったんだけど、あれ多くても40人分入るかどうかだったからねぇ…常にだれかしらが補充出来るように裏で待機してないとダメってのを考えると…ねぇ?」
「私は今の物の方が好きですけどね、種類も増えましたし全部手作りですし、中の構造が変わっただけでレトロな安っぽいゆでうどん等を使ったものも健在ですし、選択肢が多いのはいいことですよ」
「今もちょこちょこ追加していってるから探すのが大変ってのもあるし、またどこかで整理しないとだけどね、ある程度は整理して分けてるから探しやすくはなってると思うけど」
「和食中華洋食と別れてますし、そこからさらにどこそこ…オーソドックス…ってわかれてますもんね」
「コンパクトに纏めるなら飲食店であるタッチパネル式の食券?あれみたいにジャンル分けしてピッピッピって呼び出してってやつがいいんだけど、ちょっと味気ない気がするのがねぇ」
「自販機の前を歩いて選ぶっていう楽しみはなくなりますね、食券で買うっていう気分が味わえるようにはなりますが…んー…」
「やるなら食券用自販機を作るかな?タッチパネルの方で欲しい物を買って、自販機にその食券を入れたら出てくるっていう」
「結局自動販売機で買う事には変わりないのがまた何とも…」
「お店じゃないからそこはどうしてもね、裏の厨房はもう潰して物置になっちゃってるし、食券だけその場で料理して出すってのもいろいろ大変だからねぇ」
「ですよねー、あ、そういえば不審人物の情報を1号ちゃんが発掘してきましたよ」
「特に害はない感じ?」
「有り有りの大有り、何が気に障ったのかSNSの方で突っかかってきてて、自動でコメント削除からのスリーアウトでブロック、それを逆恨みしてこの家とここに住んでる人と出入りしてる人の写真を撮って、自分のライフノートや匿名掲示板で写真を添えて誹謗中傷をばらまきつつ個人情報でスクラッチゲーム。
とはいっても住所は公開されてますし、名前も会社のホームページの方に乗っているので別にスクラッチゲームでのダメージは全くないんですけどね、掲示板でも公開されてる情報で何言ってんだお前?って突っ込まれてますし。
ただまあ、相当頭がおかしい人には変わりはないので、ささっと対処してここにはもう来れないようにしましょうねってやつですね」
「用もなく私有地に何度も侵入してる時点ですでにワンアウト、スクラッチゲームは公開されてる情報のみなのでセーフ、ただし写真に関しては公開されてるものではなく隠し撮りなのでツーアウト、誹謗中傷でスリーアウトの…」
「叩いたら一杯埃が出てくるので一発で実刑でしょうね、職質でボロを出してもう捕まってるかもしれませんが、1号ちゃんが掘り出した情報を見る限りでは匿名掲示板やSNSで自分の都合のいいように発言を切り抜いて弁護士に相談だのなんだのと言って示談金を迫るといった脅迫行為、詐病でカンパ詐欺にその詐病で親からも年間1500万くらい騙し取ってて…っていうやべぇやつですね。
まあ、そもそも接点がないので全くその情報が入ってきてませんでしたし、メールボム設けてたみたいですけど全部自動で処理されていたので目につくことすらなかったですし、それで勝手にどんどんヒートアップしていってたみたいですね、何もしてこない何も言ってこないという事は殴り放題のサンドバッグでがっぽり稼げるぞーみたいな感じで。
1号ちゃんがありとあらゆる手を使って情報を全部抜いて保存してますし、それを叩き付ければその場で決着ですね」
「んー…なんというか…そういう人はなかなか居なくならないものだねぇ?」
「居なくならないから司法ってものが存在してるんですけどね、さて、お昼を食べ終わったところで不審者はどうなったかを聞きに行きましょうかね、1号ちゃんが引っ張ってきた情報を全部持ってこんなのが出てきたんですけどー、弁護士も連れてきたのでーってかんじで」
「それなら明日からは来なくなるだろうし、明日からはいつも通りお買い物に行けそうね」
「片棒を担ぐどころか計画実行してますし、証拠があればもう一発で…ですしね、それじゃまずはノエルさんに電話して弁護士を用意して貰いますか、ってなわけでちょっと出かけてきまーす、3時前には帰ってくると思いますけど」
「はいはい、おやつを用意して待ってるねー」




