屋敷に響く絹を裂くような悲鳴 子狐さんは無罪です
今日はいつもより早く目が覚めたのでベッドから抜け出し着替える。
外で待機しているメイドに鍵を開けてもらい、まだ誰もいない屋敷の廊下を抜け玄関を出て外へ行く。
暫く外の空気を吸い、農場へと向かって行く。
農場に着いた後果物を作っている区間へ行き物色を始める。
「これ良さそうだなー、これも良い、これも貰って行っちゃえ。
後これとこれとこれも」
果物をどんどん収穫していき収納する、さらに卵もいくつか拝借するために養鶏の区画へ向かう。
卵を拝借し、次は牛乳を搾る為放牧をしている区画へ、搾った後は食肉を加工している所に行き加工済みの肉も幾つか拝借、屋敷へ戻る。
屋敷に戻り中に入るがまだメイド達が起きてくる気配はない。
調理場へ行き搾りたての牛乳や卵を下処理する、その後果物もさっと洗い皮を剥きカットしていく。
カットした果物を手早く冷蔵し一旦収納、牛乳を下処理し出来上がった生クリームに砂糖は控え目で加えホイップ、卵は黄身と白身を別け角が立つまで泡立てる。
その後黄身や挽き立ての小麦粉を入れ手早く混ぜる、果物とホイップクリームの甘味だけで十分なので砂糖は入れない。
生地を型にいれ焼き、型から外し冷ます、冷ました後は横にカットしホイップクリームを塗り、カットして置いた果物を乗せさらにクリームを塗る、それをもう一段繰り返す。
挟んだ後ホイップクリームを塗り果物でデコレートして出来上がり、これをざっと20ホール作る。
パフェは何時も材料が余らないと作らないが今回は100個ほどポンと。
他にも生クリームをこれでもかと使った物を作り冷蔵し収納。
後は証拠を残さないよう片づけ調理場を後にし、まだ薄暗い庭でお茶を飲んで時間を潰すことにした。
お茶を飲んでると珍しく早起きして三姉妹を抱えたルシフが歩いてきたのでちょっと海へ連れて行ってもらう。
生け簀の所まで船を出してもらい魚を何種類か捕る、その後海の家へ行き捌いて全て柵にする。
捌いているときに三姉妹が口を開けて待機していたので下したての刺身を口に入れてあげたら美味しそうに食べていた。
全て柵に加工し終わった後、拝借しておいた肉の下処理も済ませてしまう。
その後また屋敷へ戻り一息。
明るくなり始めメイド達が活動を開始しはじめたので部屋に戻り、ロリィタドレスに着替える。
何となく狐耳と尻尾もポンと生やし、さらふわに仕上げる。
最後に鏡の前に立ち姿を確認、うん、さすが私、可愛く仕上がっている。
程よい時間になりベッドからメイドが起き上がりこっちを視認、顔を赤くして悲鳴を上げながら突撃してくる。
そして抱きしめられ成すがまま、抱きかかえられたまま朝食へ向かうことになった。
食堂に入るとたちまち悲鳴が上がりメイド達に囲まれる。
奪い合いに発展しそうな感じではあるが、狐さんが現れ回収されていった。
「ご主人様今日はどういった風の吹き回しで?」
「なんとなく?箪笥に入ってたしたまにはいいかなーと」
「よくお似合いですよ」
狐さんに抱きかかえられ膝の上に座らせられる、朝食が食べづらい。
「はい、ご主人様どうぞ」
狐さんが朝食を差し出してくるので食べる、小さくなっているので少しづつもくもくと食べる。
再び食堂が悲鳴に包まれた。
食後に屋敷内をぶらぶらと歩いていると外から悲鳴が聞こえてきた。
聞こえて気悲鳴の出所は農場のようである、皆が何事かと農場に集まる。
果樹園の入り口でケレスがプルプルと震えており、クロノアはオロオロしている。
「ケレス、クロノア、どうしたの?」
「ご主人様、果樹園の果物の一番いい物が根こそぎやられました、心当たりは?」
あー、早朝持って行ったやつだなぁ…
「あー、すまん、早朝に収穫した」
「――!―――!」
声にならない悲鳴を上げ近づいて来て英素を掴みガクガク揺すってくる。
クロノアは止めたほうが良いのか止めないほうが良いのかわからずオロオロしたままだった。
その後肉を拝借したのもばれた、ケレスは怒りを通り越して笑い始めた。
「ふふふ、ご主人様…少しお話がありますので此方へ…
クロノア、後は任せます」
「はい、ケレス様」
ケレスに捕縛されお仕置きされることになった。
だが今の姿は小さくてか弱い子狐さん、髪も耳も尻尾もさらふわ!これなら無茶はできまい…
・・・無茶はされなかったがケレスの気が済むまで色々された。
酷い目にあったと思いつつケレスの部屋から出る、でもみんなのためにやったことなので反省はしない。
ロリィタドレスは剥ぎ取られ、スリングショットを身に付けさせられているので、尻尾をふりふり足音ペタペタと歩きながら着替えるために部屋に戻る。
ケレスは普段怒ったりはしないけど作物を勝手に持って行くと怒るんだよなぁ…少し甘えるとすごく甘やかしてくる位には優しいのだが…
部屋に戻る途中もメイド達のいる所を通るわけで、見つかるたびに悲鳴が上がり部屋に連れ込まれる。
飢えた肉食獣の群れの中に一匹だけ食べてくださいと言わんばかりに獲物が歩いていたらどうなるか…
部屋に戻るまで12回、きわどい水着を着た子狐さんの観賞会が行われた。
部屋に戻り少し荒れた髪の毛や尻尾を手入れし、再びさらふわにする。
着替えが補充されていたのでロリィタ風のメイド服を着る。
狐さんの今日の気分はロリィタらしい。
手早く着替え身だしなみをチェック、うん、私すごく可愛い。
そう思っていると狐さんが現れ部屋にお持ち帰りされた。
昼食時までもふられた後一緒に昼食へ、そして朝食の時とほぼ変わらない光景。
違っていたのは何か特等席が用意されていてそこに座らされたこと。
なぜか撮影機材が運び込まれていたことだった。
小さな口で必死にもくもく食べる姿が琴線に触れたらしい、だからって撮影しなくても…
その後撮影されながら食事をし、狐さんに抱きかかえられて食べさせられている姿も撮影された。
昼食が終わり暫しの食休みの後、調理場へ入り収穫後まだ使っていなかった果物をすりおろし、調味料と混ぜ熟成、タレを作る。
その他果物を使ったアルコール類も作っていく。
アルコール類は果物ごとに種類分けしよく冷やし収納、とにかく大量に作る。
早朝作っておいた柵は全て刺身にし器に盛りこちらも冷やしどんどん収納、果汁に漬け下処理した置いた肉もある程度は食べやすい大きさにカット。
一部は大きく厚く、また作ったタレにも漬け込んでいく。
準備が終わった頃に狐さんを呼んだ。
午後三時、皆がお茶菓子を取りに調理場へやってくる時間に狐さんにメイド達を海に送ってもらう。
宿泊施設の宴会場に作っておいたフルーツケーキやパフェ、果物を乾燥させ香りづけした紅茶も用意する。
メイド達を一人づつ椅子に座らせ、注文を聞き給仕をし、食べさせて欲しいというお願いも聞き一人づつ食べさせていく。
メイド達はキャーキャー悲鳴を上げながら順番を待っていた。
たっぷり時間をかけ給仕を終えた後、メイド達をマッサージする。
子狐さんの状態なので普段よりも力が弱いがメイド達は満足そうである。
何所を重点的にマッサージして欲しいかも聞きマッサージしていく。
メイド達は終わった後顔が蕩けていた。
日もくれ夕食時になった頃に皆で浜辺に出る。
仕込んでおいた肉や刺身、アルコール類を全て並べていく。
その間にルシフに海老と貝類を取ってきてもらい、暴れると危険なので海老は締める。
並べ終わった頃にみんな好きなものを取り食べていく。
海老は解体せず豪快に丸焼きにし、貝は軽く火にかけ一度出てきた水分を捨て再び焼きお酒や醤油を入れる。
巨大なため火がなかなか中心まで通らないので、表面に熱が入ったら熱を保持したまま収納、少し時間を飛ばして取り出すと中まで火が通っているので再び網の上に置く。
後は各々好きな様に切り取り持って行く、貝もエキスがたっぷり出てきておりエキスを味わいつつアルコールも飲む。
お菓子に肉に魚介にとそんな食べ放題なたまにあるメイド達へのご褒美の日だった。
翌日、屋敷に悲鳴が響き渡る。
朝の入浴を終えたメイド達が体重計に乗り少し増えた体重を見て叫んでいた。
変わらないメイドは無反応、この程度ならとほっとするメイド、明日から早朝ランニング!と決意するメイド、現実を受け止めきれないメイドもいた。
そして現実を受け止めきれないメイド達は…
「ご主人様は今どこに?」
「中庭で見かけたとの報告が」
「よし、今すぐ確保に行きますよ」
「この増えた体重の責任を取ってもらいませんと」
怒りをぶつけるために行動を開始していた。
今日も今日とて子狐さんで過ごしていた所、メイド達に襲撃される。
その後好き放題される子狐さん、満足した顔で去っていくメイド達。
その場に残された子狐さんは狐さんに回収されスンスン泣いていた。
メイド達の事を思って用意した甘味や食事、皆楽しく美味しく頂いていたはずなのにどうしてこうなったのか。
襲撃したメイド達は狐さんに食べすぎた自分たちが悪いとお説教され、体重を言う現実を突きつけられ絶望していた。
数ヶ月おきに行われるメイドへのご褒美の日、学習していないのは食べすぎるメイドか、それとも皆をひたすら甘やかす子狐さんか…
狐さんの判定では子狐さん無罪なので子狐さんは悪くないと思います。




