多分もうやらない お得感がある
「いやー、休み明け早々手伝わせちゃって悪いねぇ」
「PV用の動画撮影も後2つ3つで終わるし、パネル用はもう全部取り終わってるから大分余裕もあるし、そこそこ暇になってきたから何の問題もなし」
「まあ、手伝いとはいってもいつも通り棚に追加したり適当にメンテナンス、それとエギの改造をするだけなんだけどね」
「メンテナンスはわからないでもないけどなぜにエギの改造?」
「自分じゃ出来ないって人もやっぱり一定数いるし、出来てもごみは出るしって事で、1個50円から内容によりけりで受けるようにしたらドサーっとね?それとエギは午前5時くらいから取りに来始めると思うからエギの改造をよろしくー。
あ、一応時間がかかる布の補修ついでの再塗装は乾燥含めて3日かかるって言ってあるから、それは後回しにしてカンナと重りの交換とか改造を優先ねー」
「ほむ、それじゃあカンナと重りの交換から始めましょうかね、カンナを半傘にするだけなら取りに来てからでも間に合うし、ちょっと乾燥させる必要があるやつを先に…かな?」
「交換するカンナと重りは業務用のやつを用意してあるから、そこから指定通りのサイズのやつに変えてねー?」
「はいはい、えーと…重りの号数を0.5から1号下げるって指定が多いね」
「そんなにかっ飛ばして使うわけじゃないし、最近のこの近辺のイカはフォール中に来る事が多いし、ゆっくりアピールしながら沈んでいく方が反応がいいから、エギのサイズはそのままに重りを軽くしてフォール速度を調整って感じだね。
でもそれなら最初からシャローエディションを買えよ!って突っ込みたくなるけど、数釣ってみるまではわからないって部分もあるし、ボトムにいるやつを狙うならノーマルかちょいヘビーがいいし、全部揃えてたらお金がいくらあっても足りないからねぇ」
「本体は同じで重りの重さが違うだけだし、交換する方が安く上がっていいのは確かだよね、ボトムを狙いたいって時に軽くて…って問題が出てくるけど」
「それはもう素直に新しいのを買ってくださいとしか言えないなぁ、釣り場で交換するわけにもいかないし、チューニングシンカーも善し悪しがあるし物によっては使い捨てだったり根掛かりを増やすだけだったりするし、数を揃えておくのが無難よね」
「オリジナルエギを作ったばかりだけど簡単に重りが交換出来るエギも作ってみようかなぁ?」
「例えばどういうタイプ?」
「一番簡単なのはネジ式だよね、ただネジ穴の強度を考えるとそこは金属にしたほうがいいし、でも錆びたり塩が噛んだりすると取り外しが困難になるから除外して、やるとすればスライドか十字のロック?
スライドなら上から下に向かって押せばはまって逆なら外れて、十字は本体内部に凹凸を作ってカチッとなるまで回して止めるって感じで…
ネジの次に簡単なのはスライド式かなぁ?本体の方もそれ用の溝を作るだけで重りの形状もさほど変わらない、十字は本体と重りの型がちょっと面倒になるけどしっかりロック出来て外れにくい、値段と量産のしやすさを考えると…スライド式?
摩擦で止めてるだけだから緩すぎると抜けちゃうけど、ちょっと押し込むだけでしっかりロックされて普通に使ってる限りは早々外れなくなるし、ちょっと硬くはまったとしても接着剤で固めてない限りは下から叩いて上げれば抜けるし、悪くないとは思うんだよね」
「問題はメーカーはそれを作りたがらないってところだね、簡単に交換が出来るって事は重りが離脱したりした時に新しいのを買わなくてもいいって事だし、そうなると売り上げがねー、やるとしたら個人工場で作って細々とってくらいだね」
「ルアーは消耗品だし、物持ちがよくなってそれが売れなくなると困るのは作ってるメーカーだし、まあ個人でやるくらいになるよねぇ」
「カンナも360度の方が作りやすいのはあるけど、根掛かりしやすい方が数売れるし、半傘を作って売るところなんてまずないよね、タコエギは2つ3つまとめてつけてかつ重りをさらに追加して沈めてずる引きして根掛かりさせてくださいみたいな使い方を推奨だし」
「まあ、売れないと潰れちゃうから仕方のない部分ではあるね、重りの交換はこんな物で熱風にあてて速乾の、カンナも炙って取り外して指定の物に取り換えて速乾と」
「ちゃんと何番のエギが合計何個でいくらかってのはメモしておいてねー?大丈夫だとは思うけど」
「その辺はぬかりなく」
「すみませーん、交換を頼んでおいたエギを取りに来たんですけどー」
「はいはい、それじゃあ番号札を出してねー」
「えーと…どうぞ」
「11番…エギ7個のカンナを交換だから工賃込みで800円ねー」
「自分で買ってやるより大分安いですね、安いカンナでも4本入り240円とかしますし」
「そりゃ小分けにして売ってるのと100とか200入ってる業務用だと後者の方が安くつくからね、でも個人で買うと使い切るのが大変だから業務用を買うのはお勧めしない」
「ですよねー、1000円で」
「1000円お預かりの200円のお返し、一応不備がないか確かめてねー?」
「えー…大丈夫ですね、針も太軸になってますし、これなら伸ばされずに済みそうです」
「その分根掛かりした時に針が伸びず回収できない可能性というのも出てくるからちゃんと対策はするようにねー?」
「回収機があるので大丈夫です、それじゃさっそくいってきます」
「はいはい、頑張ってねー」
「こちらも頼んでおいたエギを取りに来ましたー、これ番号札です」
「3番…カット無しの半傘が15個ね、1個50円の工賃込みで850円ー」
「800…50…」
「はいちょうどねー、一応ここにテスト用のスポンジがあるから、この上を滑らせて引っかかるかどうかのテストをしてみるといいよー、まあ、曲げて内側を向いてるだけで針自体はそのままだから、海藻やらなんやらが入り込むとどうしても引っかかっちゃうけど、石に刺さるって事はなくなるよ、むしろ曲げて丸くなってるところがバネみたいになって石をコーンと叩いて弾く」
「んー…大丈夫そうですね」
「こっちもお願いします15番です」
「はいはいー」
「いやー、夜明け直前に駆け込んできてあっという間に居なくなったね」
「まだ取りに来てない人は仕事帰りかまた後日かな?しかし…手間がかかるだけで大して儲からんね!ちょっと安くしすぎたわ!」
「業務用のカンナが1個13円として、芯と接着剤と工賃で1エギ1個100円はねぇ、儲けは一応出てるからそこだけ見ればプラスではあるけど…」
「無料で働いてくれる人が1日数百個毎日絶やさずやらんとダメだね、一応お試し期間だし、今週で止めるか料金を上げるかのどちらかにするか」
「スパっと止めるのがいいんじゃない?それほど時間のかかる作業ではないけど数が数だし、補修に再塗装にってなるとこれは渇き待ちで時間がかかるし、補修と再塗装は1個当たり600円、カンナと重りの交換も手間賃込みで1個300円は貰わないと割に合わないよね」
「んー…今週で止めるか、需要はあるけど作業する手が足りないし、お試し期間終了の再開は未定って感じで」
「難しい物でもないし専門的な知識も要らないし、お店でやる事でもないよね」
「リールのメンテナンスとロッドの補修くらいに止めておくかー、よし、最後のエギの補修完了、ここまでボロボロとか絶対拾ったやつでしょ」
「砂浜なんかを散歩してると結構漂着してるもんね、布がボロボロだったり全部剥がれて塗装も剥がれて、カンナも錆びてたり場所が場所なら海藻が根を張って育ってたりするけど」
「ボロボロではあるけど釣れる時は釣れるんだよね、布が完全に剥がれて塗装も剥げていても抱きついてくるときは抱き着いてくるっていう、結局はイカの機嫌次第だけど」
「なんでこれがってのは魚もイカも同じだよね、あ、これガイドに亀裂が入ってる、注文はグリップの補修だけどどうしよ?」
「亀裂が入ってるガイドに目印をつけておいてガイドをどうするかは電話して聞いてみないとだね、同じ径のガイドに交換するだけならそこに突っ込んでる折れたロッドから拝借すればいいだけだし、500円くらいで出来るしね」
「とりあえず目印をつけてグリップの補修を再開と、でもこれコルクだから高くつくねぇ」
「古いけど思い入れのあるロッドみたいだし、高くつくよーとは言ってるから大丈夫よ」
「はいはい、じゃあちょっと目印を付けてシートからエンドまでの古いストレートコルクを全部削り取りまして、軽くやすり掛けをして汚れをふき取ってー、フォアグリップのコルクも削り取って新しいのに付け替えて…シートからエンドまでのコルクはちょっと長めに取って穴をまっすぐ空けましてーの、ちょっと差し込んで確認しましてーの…」
「んーむ、しかしアレだね」
「どしたの?」
「うちで扱ってるコルクって白さはもちろん隙間がないしっかり目の詰まったやつだから、補修でコルクを全部交換したらしたで元のコルクよりいいやつに置きかわるなーって」
「あー…そうねぇ、とりあえずコルクにしましたって感じの安いコルクを使ったグリップだし、値段が倍以上違うコルクだからパッと見は高級ロッドになるね、コーティングは傷だらけだけど」
「とりあえずはフォアからエンドグリップまでのコルクを交換補修って注文だから、そこが気になるならまた補修依頼をしてねーとしか」
「補修箇所が増えれば増えるほどお金もかかるしね、しかしこれ何年前のロッドだろ?」
「んー…そうねぇ、GBが出た少し後で出たエントリーだから、30年くらい前のやつかな?今はもう消えてなくなってるけど、15年くらいはちょこちょこ更新されて売りに出てたはず、消えて無くなったのはオープンプライスの海水淡水両用ルアーロッドが出来たからだったかなぁ?価格帯がその1つ上のエントリーはまだ残ってるし」
「それだけ古いと思い入れもあるか、さて、へばりついてるコルクをやすりで削り落としつつコーティングも少し削りまして、速乾性のコーティング剤を塗って乾かしまして、コルクを交換したフォアグリップを入れて、次はコルクの穴とエンドまでしっかり塗って、コルクを回しながらゆっくり押し込んで…シートに密着させてはみ出てきたエポキシは丁寧に取り除いて…後は乾燥待ちと」
「フォアグリップの交換だけならガイド1個外せば簡単に外せるんだけど、ストレートコルクを交換ってなると地味に大仕事よね、がっつりくっついてるし接着剤を融かす方法がないから削り取るしかないし」
「今の接着剤みたいに80度で融けてくれれば簡単なんだけどなぁ…」
「それ用の剥離剤はあるけど、そもそもどうやって中に浸透させて剥離させるのよっていうね」
「ガイドだけなら簡単なのになぁ…さて、フォアグリップを取り出すために外しておいたガイドも付け直したし、次は何をしましょうかね?」
「ロッドの補修はそれだけだし、リールのメンテナンスもその前にやった1台だけだし、今日はもうとくにやる事はないね、強いて言うなら少し減った棚の品出しくらい」
「忙しかったのってエギの引き渡しの時くらいだったしね、今は買うかどうか悩んだりただ見ているだけのお客さんしかいないし」
「釣りが好きな人なら釣具屋で釣具を眺めてるだけで相当時間が潰せるしね、ホームセンターをぶらぶらするのと同じかそれ以上に」
「ホームセンターも不思議な魅力があるからねぇ」
「ある意味男版ウィンドウショッピングみたいなものだね、んー…」
「どしたの?」
「いや、今日のお昼はどうしようかなーって、まだ大分早いけどお兄さんに来て貰ったのが早朝だし、お弁当とか持ってきてないし、何を作ろうかなって」
「あー、まあ悩むよね、何かを買ってくるか余り物で何か作るか」
「昨日は昼から恵里香ちゃんの家で夜まで飲み食いしてたから余り物もないんだよねー、うぅむ…」
「近所の食堂にお弁当か出前を頼むのが何も考えなくて済むね、夕食は買いにいかないとだろうけど」
「そうだねー、出前でも頼むかー、お兄さんは何にする?」
「かに玉酢豚天津飯にしようかな、あれちょっとお得感あるし」
「天津飯の卵がかに玉で餡が酢豚はお得だよね、私は油淋鶏南蛮丼にしようかな、花井ちゃんは何にするー?」
「エビチリマヨ丼揚げねぎ付きで」
「はいはい、それじゃちょっと注文してくるからそれまでレジをよろしくー」
「はーい、いってらっしゃーい」




