査定してみよう たまにあるえげつない魔改造
「やっほー、皆元気かなー?今日もイチゴちゃんのゲームチャンネルはーじまーるぞー?なお今日の前半戦は出張版なのでゲームはしません、じゃあ何をやるのかというと…これ、昨日主様がマグネットフィッシングで釣り上げてきた装飾品や貴金属、これらを古物商やら宝飾店に持ち込んでどこの店が一番高く買い取ってくれるかを確認してみたいと思います。
一応最低限の洗浄は済ませて特に価値のない普通の金属も予め弾いてあるから、まあちょっとはスムーズにいくんじゃないかなぁ…?」
「この世界の海ってこんなのが大量に沈んでるのか?」
「そうだね、魔物とかそういうのがいるから現実よりサルベージするのは大変だけど、逆に言えば危険なところに行けばいくほどこういうお宝が沢山ある、近海の安全なところは金策でサルベージをしに行く人が多いから大体取り尽くされてるけど、このゲームってプレイヤーは死んだらその場にアイテムを全ロストに加えて預けずにそのまま所持してるゲーム内マネー、それも何割かその場に落としていくから、海賊をやって日銭を稼いでるやつもいる」
「逆に海賊が貯めこんだところを逆に襲撃して稼ぐやつも出てきそうだなぁ」
「実際そういうやつは結構いるね、だから近海は常にプレイヤーがロストしたアイテムとか落としたお金が沈んでるから、上手く立ち回れば割と稼げちゃうんだよね、魔物も普通に襲撃してくるし船に穴を空けてくるから生還出来ればだけど。
で、主様がサルベージという名のマグネットフィッシングをしていたのが…地図だと大体この辺り、気になった人は行ってみるといいよー?サーペントやらなんやらが生息している海域だから見つかったら間違いなく船が沈むけどね。
それじゃぼちぼち鑑定してもらいに行ってきまーす、皆もいくらになるか予想してみよう、正解した人にはエテメナンキをバグなしクリアしろという命令をくれてやろう」
「なんだそれ?」
「どこでもセーブ出来るけどセーブする時の座標が1でもずれたらバグが発生するゲーム」
「よくそんな状態で発売出来たな」
「昔のゲームはそんな物だよ、それとその時に提出されたゲームをチェックする人の匙加減次第ってのもある、普通ならこれ絶対に通らないだろ、出回るとしてもアングラだろってのが通っちゃって一般販売されてるのもある、そのくらい当時のチェックは割と適当」
「後で何か問題が発生してそうな気もするがどうなんだろうな?」
「してもそれは開発したところに言えっていうスタンスだから最終チェックしてるゲーム機本体のメーカーはノーダメージよ、だから進行不能バグが必ず発生するゲームが普通に販売されてたりもするし、これ18禁だろってゲームも全年齢で販売されてたりもする、そのくらい昔になるとそもそも年齢制限なんてなかったんだけど」
「なるほどねー、まあいいや、とりあえず店はどっちから行くんだ?」
「最初に紹介なしでも入れるプレイヤー御用達の古物商からかな?この街だと全部で5つあるからそこを回って内訳も全部メモして、それから一般人は紹介がないとは入れない貴族御用達の装飾店かな?ボク達はカトレアちゃんとゴージャスなネコ科の紹介状があるから利用出来るけどね」
「こういう時に貴族出身というか現役貴族の使用人がいると便利なのかねぇ?」
「雇うとしても超がつくほど高いから善し悪しだね、一応雇用費は各人の能力次第で変動だから、蝶よ花よと育てられて何も出来ない使用人だと貴族でも月12万程度で雇えるみたいだけどね、それじゃ1件目突撃するぞー」
「数はそれほどないけどいくらになるのやら」
「えー、ざっとお店を回って鑑定して貰った結果、まず指輪、一番高いお店で320万ほど、首飾りが550万の腕輪110万、ブローチが670万でイヤリングが80万とまあなかなかのお値段だったね、イヤリングはもう片方が見つかってたら200万になってたみたいだけど」
「古いから価値が出るってわけでもねぇんだなぁ、歴史的価値云々とかありそうな気がするが」
「歴史的価値が出るほど古くはないのと、洗浄したとはいえ取り切れない汚れなんかがあるのと、小傷まみれだったという事を考えれば十分高値だね、ってなわけで当たった人はいるかなー?当たったからなんだって話ではあるけど」
「とりあえずこれからどうするよ?売って自由に使っていいとは言われてるが」
「そうだねぇ、特に買いたい物もないし、売ってガチャ資金としてストックしておくかー」
「ガチャに使うのもどうかと思うが、買いたい物が無いならそうなるか、俺も特にないけど」
「ゲームを買うにはリアルマネーが必要だし、装備を整えて冒険だなんだってやってる人達なら兎も角、たまに食べ歩きをしたりずーっと家でゲームをやってるとまず使わないんだよね、主様の場合養殖だのなんだので結構出費してるし、使用人達の仕事道具になんだで使ってるけど、ボクの場合はねぇ?」
「必要なのはリアルマネーと食費くらいだよな、露店で売ってる銃火器とか必要ないのは分かりきってるし、というより露店で野菜とか果物を売る感覚で弾とか本体を売ってるのは違和感が凄いな、9ミリが一山いくらって」
「始めたばかりのプレイヤーは大体現代兵器無双を夢見て稼いだお金を銃火器につぎ込むからねー、そのプレイヤーからお金を搾り取ろうとこういう感じで価格競争がね?プレイヤーによっては型落ちとはいえ兵器工場を持ってるし、型落ちでも1世代とか2世代前ってだけで普通に使えるし、実際始めた直後の銃火器は頼りになるからね。
問題は自分自身の肉体を酷使するわけじゃないからすぐ頭打ちになる事、出来て海賊や山賊といった初心者狩りくらいな事、人間を辞めたプレイヤーにはほぼ通用しない事、とまあ色々あるね」
「最終的には原始的な武器の方が強くなるのか」
「銃のいいところは誰が使っても威力が一定で変わらない事、裏を返せば通用しない敵には絶対通用しない、弾頭を鉛なんかからアダマンタイトとかそういうのに変えても発射する時の火薬とかそういうのをどうにかしないと威力なんて上がんないし。
強くなればなるほどああいう希少な金属の刃物とか、ナックルガードとか、金属の塊と言える様な鈍器の方が重要になってくる、それをも超えてくると素手で十分ってなるけど」
「そこまで行き着くのにどれだけかかることやら…お、これなんか土産にどうだ?」
「屋台料理かー、当たり外れがあるけど有りといえば有り、串焼きが無難といえば無難かな?外れでも味が薄いか肉が硬いかってくらいで済むね、主様の露店が出てればそこで買うのが一番だけど、売れ残りが出たら持って帰ってくるから何ともだね」
「今日はPV撮影の準備だなんだと言っていろいろやってたから来るのはよるだろうな、ドーサあんじゃん、ちょっと食ってみるか」
「一応世界中にプレイヤーがいるわけだし、国内だけじゃまず食べられないであろう屋台が普通にあったりするのが嬉しい所だよね、衛生管理まで完全再現でびっくりするけど」
「鉄板とか鍋なんてくず野菜を焼いて汚れをふき取ればいいんだよ、どうせ加熱されて雑菌は死ぬ、洗う水も使い回したりするが洗剤は使わんし、鍋から煙が出るくらい加熱するから意外と綺麗だぞ」
「本場というか現地だとカスを地面に捨てるのはどうかと思うけどね、ここだと罰金が来るからちゃんとごみ箱に捨ててるけど」
「片づけの時間になったら掃除するし、1回1回ゴミ箱に捨てて纏めるか最後に店先の埃と一緒に掃き取って纏めるかの違いだな、パッと見汚くは見えるが閉店したらちゃんと綺麗になってるんだぞ?それまでは犬猫が寄ってきて食べることもあるけどな」
「国が国なら一発営業停止物だね、ドーサ2つ頂戴ー」
「俺はチーズで頼む」
「んむ、ちゃんとした普通のドーサだな」
「普通のドーサじゃないドーサってなんなのさ?」
「魔改造じゃなく似たような他の料理と混同するってのがあるだろ?だからドーサも国が変わるとなぜかクレープになってたりブリトーになってたりするんだよ、滅多に国外へ行かないからたまに地元の料理があんじゃーんって頼むとがっかりする、そもそも店のオーナーとか作ってるのが全然違う人種だしよー…
多額の寄付金をもらった時とか災害が発生した時の話し合いで連合国とかに行った事があるんだが、その時にチーズドーサを売ってる店を見つけて注文して出てきたのがクレープ生地にスライスチーズを挟んだだけ、まあこのチーズドーサも上からチーズソースをかけただけだからその部分には目を瞑るが、ドーサはクレープ生地じゃねぇし10ドルもするような食い物でもねぇよ」
「このドーサも具無しで20Pくらいだしね、チーズドーサでも35Pとかなり安い、キャベツなんか入ってる物でも50するかしないかだし」
「価値がわからんからいくら相当になるかはわからんが、少なくとも俺の国だと円に換算しても60円くらいだな、それが10ドルとかふざけてるにもほどがあるだろ」
「世の中形を変えただけの大判焼きが5倍から10倍の値段になったりもするし、それらを取り扱ってる人種に共通点はあったりするけど、大体一過性のものですぐ飽きられて赤字で終わるんだよね、本場で販売した場合はだけど」
「違う国でやってたら本物を知ってるやつの方が少ないし、簡単に騙されてこういう物かと金をどんどん落としていくからぼろ儲けになる事が多いんだけどな、でも魔改造でも何でもなく別物を本物と偽って売るのは性質が悪すぎるわ、俺が食いたいのはスライスチーズを挟んだだけのクレープじゃねぇ、丸く包んで四等分に切って立てて上からチーズソースを掛けたドーサなんだよ、人種とか国籍まで偽って本物を名乗るとかマジでもう意味が分かんねぇ」
「ま、お金稼ぎの方法としてはよくある事だね、さて、次は何を注文しようかねぇ」
「ドーサは軽食とかおやつで食べるような物だし、生地も薄いからこれだけじゃ足りんからなぁ」
「本場だと1メーターくらいあるドーサもあるんでしょ?」
「あるにはあるが、あれは見た目だけで生地は薄いままだから見た目に反してかなり軽いぞ、後単純に食べにくい」
「だよねー、んー…何かいい屋台はー…」
「あれはどうだ?」
「焼きそばか、国によって味が違うから出てくるまでわからないっていう楽しみはあるね」
「ソースを曲解してチョコソースをぶっかけたりしてなきゃ大体食えるからな、ドーサと同じで昔ソース焼きそばを注文したらチョコソースがかかってるのが出てきてびっくりしたわ」
「見た目的というか仕上がりの色的にはまあ近いものはあるんだけど、炒め物にチョコソースを使ってることに疑問を抱かないのが凄いわ、和風レストランの焼うどんでお好み焼きとかウスターとか中濃の代わりにチリソースとかバジルソースを使うとかも無くはないけど、なぜチョコを選んだっていう」
「チリとかバジルとかバターソースは意外と美味いんだけどな、本場の味と違うだけで食べれる魔改造ではあるし、でもチョコは何か違うだろ…チョコソースをかけるならせめて冷やしてデザートらしく仕上げてくれ、キャベツとか肉もチョコの香りがしてえげつねぇんだよ…甘さも砂糖大量で甘すぎるしよー…なんでキッチンにいる誰も疑問に思わねぇんだよアレ…嗅覚と味覚と脳がイカレてんのか?」
「料理のりの字も知らないのがキッチンで料理人として働いてる事が多々ある国だとどうしてもね、でー、ここの焼そばは…海鮮ガーリックバター醤油だってさ、順当に美味しいやつだね」
「ふむ、なら15人前くれ、持って帰って昼飯として皆で食うから」
「じゃあボクはその間に向こうの屋台で炒飯を注文してくるかー、何炒飯かはメニューを見るまでわかんないけど」
「変な物だったら買うのはやめろよ?」
「普通に注文してその場で食べてる人もいるから大丈夫でしょ」
「というわけで今日のお昼は屋台料理尽くしだー!売った装飾品と貴金属の一部がこれになりました!」
「ガーリックバター醤油の海鮮焼きそばにピラフをもう一回炒めた卵ピラフチャーハン、後は普通にエビチリとか定番のから揚げなんかだな」
「春巻きやら揚げ餃子やらもあったけど、中身がわからないから買うのは止めておいたよ、食べた人が2つ目には手が伸びてなかったから単純に美味しくなかったのか、何か変な物が入っていたのか、はたまた激辛だったのかは分かんないけどね」
「ま、最終的には安定してる物を選んだって事だな」
「とりあえずこれを食べたらお昼からはいつも通りゲーム配信の予定でーす、それじゃお昼休憩に入るので前半はここまで、皆もちゃんと飯は食えよー?」
「で、今日は何のゲームをするんだ?」
「時間がかかるから大体触りだけしかやらないけどRPGでもやるかー、あれもここはこうだろいやいやこうだろと複数人でやっても盛り上がるしね」
「新しいやつ古いやつ?」
「最新のやつ、まあ普通に面白いから楽しみにしとけー?」
「あまり期待しないでおくわ」




