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古い物より新しい物 便利だけど面倒

「んー…」

「ハスターが悩むとか珍しい、明日は戦車砲でも飛んでくるんですかね?」

「飛んでくるわけねぇし俺だってたまには悩むわ」

「それで、何を悩んでるんですか?」

「いやー、ここの自動販売機便利だろ?これを持っていくのはダメって言われたがこれじゃない食べ物用の自動販売機はあるって聞いたし、それも輸入できねぇかなって、ドリンクサーバーは一旦帰った時に休憩所の数だけ、まあ大体20は注文したんだが、軽食は外に出て屋台で買ってくるか作って貰うかしないとないからなぁ」

「ずいぶんとお優しい事で」

「そりゃ信者には優しくするよ、それだけで身の回りの世話全部やってくれるし、寄付金も各国から届くからお金にも困る事はないしな。

なめた真似をしてくれやがったら信者であろうが相応の報いは受けてもらうが」

「で、その食べ物を取り扱う自動販売機も誰かが補充しないと使えませんし、中身を作る人も必要になりますがそれはどうするんですか?」

「その辺は屋台を出してるやつに作らせるか、もしくは工場で作らせて納品させるかのどっちかだな、一番いいのは前者だが数を揃えるなら後者なんだが…」

「工場でいいんじゃないですか?」

「いやなー、アレはもう完成品がポンっと出てくるわけだが、それ用の自動販売機って種類が決まってて、基本的には中で加熱して仕上げて出してくるらしいんだよ、常時加熱してる状態だと悪くなるし、基本的には冷却してあって買ったら加熱してついでに仕上げって感じで。

でーだな、ホットサンドとバーガーとポテトは世界共通なところがあるからいいんだが、ドーサとかケバブとか春巻き風包み揚げとか、その辺りに対応してる自動販売機があるかどうかが問題なんだよなー…」

「あるんじゃないですか?私の住んでいる国にも食品販売機はありますし、レトロと呼ばれる物と最新の物で扱える種類が違いますし、あちらの端の方に並んでいるホットサンドにバーガー、それとうどんやそばはレトロと呼ばれるそれしか取り扱えない物、パネルが沢山並んでいる物は最新式で中の機構が違うので9種類から12種類の取り扱いが可能になってますし、最新の物を輸入すればいいんじゃないですか?」

「あー、中身が違うのか」

「こちらにある最新の物は側だけで中身は完全に違うので動作は全然違いますが、スープを使用している麺類以外は大体行けると思いますよ?」

「なるほどなー…じゃあちょいと調べてそれも輸入するか」

「問題は部材調達が出来なくなって生産終了、修理出来ないので回収されていってるって事ですね、新品を買うというのはほぼ無理です、倉庫に眠ってる可能性もありますけど」

「修理出来ないのは特に問題ないな、それは作ったやつが予備の部品がないから出来ないって言ってるだけだろ?こっちは魔改造のエキスパート揃いで無い物は似たような物で代用する、もしくは同じ物に改造して使う、規格が合わないなら規格に合うように大元を改造する、そのくらいはお手の物だな。

まあたまに完全に沈黙して動かなくなるが、その時はその時で完全にばらしてダメなところをまた別の物に交換して再度組み立てってやってるから物持ちは凄くいいぞ、冷蔵ショーケースとか30年前の物だがまだ現役だしな」

「それはさすがに買い換えた方がいいですよ?古い物は電力を消費する割には冷却力が今一ですし、修理と改造で誤魔化しても限界はありますし」

「電力とか気にした事ねぇや、そんなに変わる?」

「かなり、私はなんだかんだでちゃんと電気代とか払ってますし、古い物と新しい物だと電気代が万単位で変わってきますからね」

「まじで?」

「本当ですよ?本当に古いエアコンだと冷却力は今一つで月10万超えますが、最新だと同じ時間稼働させて温度設定が同じ24度でも数千円で済みます、そのくらい差があります」

「まじかー…でも俺のところのエアコンは一般家庭用じゃないしなぁ…これも帰ったら聞いておくか…まあそれは一旦置いといて販売機だな、こっちにあるのとは当然違うとして、まず1台どういう物かを確かめて、ドーサとか包み揚げを扱えるなら20台、予備も含めて60台輸入して…電気に関しては変圧器等をかますから問題なくて…

こりゃまた帰ったらやることが地味に多いなぁ…基本的には指示を飛ばして総とっかえさせたり輸入したりするだけだが」

「新しい電化製品に変えようという進言をする信者はいないんですか?」

「信者は基本教祖や神と同じ環境で暮らそうとするし、アイドルの信者が同じ環境を作って暮らそうとする同じ心理じゃねぇか?災害があった時に何人派遣するかを聞いてくるくらいだな」

「ある意味狂信的ですね、私達の信者は狂信者じゃない方が珍しいですが」

「組織を運用する分にはスムーズに行っていいんだけどな、一々口を挟んでくるやつはいないし、内部から荒らされるって事はなくなるし、でも善し悪しだな、電化製品くらいは最新の物に交換するくらいは勝手にやってほしかったわ…でも言ったところで結局俺と同じにするから俺が自主的にやらんとダメなんだろうな…」

「買うだけ買って工事は全部丸投げでいいと思いますけどね、それくらい出来る信者はいるでしょう?私はすべて自分で出来ますが」

「お前は基本遊びには全力だしな、それに必要な事は全部出来るようになるか」

「暇潰しに遊びに使えそうな資格はすべて取りましたからね、建築に配線工事も出来ますし危険物も取り扱えますし、重機も扱えますよ?」

「一体何を目指したらそうなるんだろうな?」

「結構楽しいですよ?ゲームやアニメや漫画でしかありえないような仕掛け満載の館が作れますし、地下に隠し通路に隠し部屋も当然作れるので脱出ゲームを催したりもできますしね」

「生還率ゼロの脱出ゲームなんだろうな…」

「そんな事はないですよ?私が招待していない飛込み、招待された人が勝手に誘ってきた無関係の人であれば生還できますよ?トラップをすべて解除して脱出できればですが」

「トラップがある時点で生かして返す気はねぇよな…」


「すいませーん、店長こっちに来てませんかー?ってどなたです?」

「おーう、初めましてだな、探している店長とやらはこっちには来てないぞ、朝出かけてからまだ帰ってきてないからその辺をブラブラしてるんじゃないか?」

「朝出かけて…となると動画撮影ですかねぇ?それだと夕方までは帰ってこないでしょうし…」

「何か悩み事か?」

「あー…初めましての人に話しても…うーん…」

「大体の事なら解決できるぞー?これでも結構大きい組織を運営してるからな、それに相談するだけならタダだ」

「んー…まあそれもそうですね、それほど難しい事でもないんですが、コンビーフ入りカレー再販の要望が結構来てまして、それをどうしたらいいものかと」

「要望がそれなりに来てるなら作ればいいんじゃねぇの?勝手に作っても怒りはしないだろ」

「それはそうなんですが問題がありまして、カレーに使う牛肉は前日に焼肉屋で売れ残った余り物、毎日多少前後はするんですけど大体カレーで使い切りますし、余った物は焼肉屋の店員さん達の賄いに回ったり、挽肉にしてパスタ屋さんとかパン屋さんに回しているので…」

「それ用に肉を確保しなきゃならんって事ね、それ用に仕入れたらいいんじゃねぇか?」

「牧場に言えばコンビーフ用の脂の無い赤身ブロックも持ってきてくれるとは思うんですが、それだと値段もぐっと上がってしまうので…」

「そもそもコンビーフってなんだ?名前から牛肉ってのはわかるんだが」

「牛肉に味をつけて圧力をかけながら蒸して繊維1本1本ばらばらになるまで解したものの事ですよ、あなたの場合は住んでる地域が地域なので馴染みが無いと思いますが」

「まあ、牛肉自体滅多に食わねぇしな、宗教が違うから別に食べたところで何てことはないが、そもそも流通してねぇし、国教が国教だから輸入禁止品に入ってるから国外からの取り寄せも出来ねぇし、お隣さんと仲良くやるには相手にも合わせてこっちもその国では基本的に食べない物は食べない、じゃなきゃ過激なやつらが武装して襲撃してくるからな」

「あー、宗教上食べれないところの人でしたか」

「俺は別の宗教だから食えるけど、本拠がその国にあるからどうしてもな、昔そっちに移ったばかりの時に暴れて突進してきた牛を払いのけたらすんげぇ剣幕で怒られたんだよ、叩くな避けろ神の使いだから道を開けろって」

「牛を払いのけるとか襲撃されてもおかしくはないですね、何も知らない人もいるので牛が怪我をしたりしなければ注意されるくらいで済むとは思いますが」

「だから牛豚はほぼ食った事ねぇんだよな」

「そうですねぇ…多分ここの自動販売機なら売ってると思うんですけど…えー…向うだと瓶詰だけどこっちは缶詰とかだから…あったあった、私も食べたいから2つ…3人だから3つかな?」

「私は食べた事がありますし、どういうものかは知ってますがここで売ってる物は気になりますね」

「店長が作った物を云々なのでお店で売ってる物よりは塩分が少ないと思いますよ?保存目的ではないので」

「常に出来立てが出てくるって言ってたしな、んー…結構細かくて割とパラパラしてるな、それと薄いけど味はしっかりしてる、これはどうやって食べるんだ?」

「そのままでもいいですし、炒め物にでもスープにでも、マヨネーズを塗ったパンに挟んでもいいですよ?カレーに入れるのもそのスープに入れる延長ですね、小麦粉を使わないさらっとしたスープ状のカレーなので」

「んー…確かにこれを入れたら美味くはなるだろうな、何カレーかによるが」

「カレー自体は玉ねぎとスパイスのみ、それに前日の焼肉屋の肉の残りですね、玉ねぎは完全に溶けるまでスパイスと一緒に煮込んで漉して、仕上げに肉を入れたら少し熱して余熱で肉に火を入れたら冷蔵庫で1日冷却、というカレーですね。

売れ残りが出ないように調整しているので売れ残る事は無いので大丈夫なんですが…問題は値段ですね、間違いなく値段が倍近くまで上がります、1日に作るカレーの量は決まっているので売れ残ることはないと思うんですが…」

「値段なー…」

「いくらで売ってるんですか?」

「今は確か…量り売りに移行したので100グラム50円でしたかね?コンビーフ入りになると単純に一番高い肉の消費量が倍近くになりますし、コンビーフを作る手間にコンビーフの調味料にスパイスに…とあるので100円から150円になるんじゃないですかねぇ…?」

「最大3倍か」

「大体一家族平均1キロ購入らしいので、倍になった時点で要望してきた人以外はまず買わないだろうなーというのもあるんですよねー…」

「売れなかったら損失も大きいとなると独断でやるよりは指示が出てからの方がいいですね、問題はいつ帰ってくるのかがわからないという事ですが」

「釣り動画の撮影に行ってると夕方まで帰ってこないですし、今日のところは一旦保留でまた明日ですね、それじゃ私はこれで失礼します、まだカレー作りの途中ですし、終わっても片付けと掃除がありますので」

「はいよー、帰ってきたら適当に伝えとくわ」


「んー…ここでこうやって食品販売機のカタログを読んでみてるのはいいのだが、これと同じ物があるかどうかが問題だよな」

「邪心崇拝がほぼなかったし実物がいないだけで文化は全く同じですし、名前が違うだけで同じ物を取り扱ってると思いますよ?一時帰国した時にメーカー名と商品名は違えどドリンクサーバーは発注出来たのでしょう?」

「出来たよー?」

「なら普通に取り扱っているはずですよ、国の形状や大小の違いはあれど文化は変わらずですし、人種もほぼ同じですし」

「とりあえずまた帰国した時にでもそういうのを取り扱ってる信者にでも聞くか、それでよさそうな物があれば60台注文だな。

しかし…メーカー多すぎねぇかこれ?同じ物に見えても作ってるのは10社でそれぞれ違うとか」

「規格は決まっていても物が違うとかありますからね、加熱が早い遅い、冷却中や加熱中の温度や消費電力、容量、扱える種類、それぞれメーカーによって違いますし、冷凍食品メーカーが作っていたり常温で扱える食品メーカーが作っていたり、フランチャイズで全国展開しているような飲食店の本社が持ち帰り用として作っていたりしますよ?」

「容量は必須だよなぁ…1日の利用者が数千とかになるはずだし、少ないとあっという間に売り切れるし」

「その利用人数だと100から200は仕入れないとダメかと、ドリンクサーバーみたいにすぐ補充できるならいいんでしょうけど」

「補充の手間を考えるとここみたいに大量に並べないとダメか…」

「さらに、冷凍のまま販売する物と加熱して売る物も計上も見た目もすべて同じだから間違えて買わないようにしないといけませんよ?」

「地味にメンドイなー…でも快適な暮らしのためには避けては通れぬ道…とりあえずメモしとこ…」

「私はそろそろゲームの方に行ってますね、オリジナルを怒らせると怖いですし」

「おーう、俺もメモを取り終わったら行くよ」

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