意外と何でも揃ってる 悩んだら尽くし
えーと、自動販売機の品目に具無しの沖そばを追加の三枚肉やらてびちやらソーキやらを単品で追加の、ジューシーとその他名物っぽい物をポンポンポンっと追加していきまして、沖島といえば安くて量が多いお寿司みたいな所もあるので種類は兎も角として30貫60貫盛りのお寿司もドカンと追加…
うん、これで沖島フェアっぽい自動販売機の追加が完了しまして、次が北の大地フェアっぽい自動販売機の追加で…とはいっても海鮮丼はどこで作ってどこで食べても大差無いみたいなところがあるし、海鮮丼自体は他の自動販売機にあるから追加する必要がない気がするけど…
うーん…それっぽい気がする桶の器にして、小中大特大の4種にカニやらウニやライクらやらなんやらで種類をマシマシにして全部で50種くらいの丼を作って追加しまして、それっぽい雰囲気を出すために各種海鮮丼のパネルもずらーっと並べて貼り付けて…免罪符みたいな感じで隅の方にじゃがバターと味噌ラーメンを数種類追加して…
よし、こんな物でいいかな?海鮮丼の中身は以前から販売してる物と完全に被ってるものもあるけど、丼か桶かという違いはあるし…北の大地フェア風海鮮丼の方が豪華だし…これで良しとしておきましょ。
でー、他に追加する物…とは言っても普通の白米から味噌汁、浅漬けに海苔に卵焼きに焼き魚といった普通の物から、洋食のフルコースになんちゃってではない本気の満漢全席まで色々あるし、作って食べてみて美味しかった国外の地方料理も取り扱ってるし…
今回の追加はこのくらいにしておくか、定番以外は場所を取りすぎるという理由で日替わりにして7割くらいは元厨房に収納されてるけど、あって困る物でもなし、珍しい物が売っているかもしれないというちょっとしたわくわく感も楽しめるし、また気が向いたら追加しましょ。
「この自販機便利だよなー、余ってるなら何台かくれ」
「ダメ、便利ではあるけど対価も無しに出てくるってわけじゃないし、錬金術というか変換術というか、そういうのを使って星と交渉して交換して貰って…って結構面倒な事をやってるのよ?」
「錬金術で作ってるのかよ…」
「人の考える錬金術の様に基本は等価交換だけど、その価値は人が決める物ではなくそれらを生み出している大元、つまり星だったり銀河系その物だったり、そういうところに語りかけてこれを上げるからこれと交換してくれない?って感じで物々交換をしてるのね?」
「あー…まあ何となく理解出来なくはないな、星その物とか銀河系その物に語りかけるってのはよくわからんが」
「商売でいうと星は小売りで銀河系は問屋みたいな感じ、だからこれを上げるからこれ頂戴って自動販売機という名の注文書で小売りである星に注文して、対価と引き換えにここに登録されている物を貰う感じ、やってることはまあただのお買い物ではあるね」
「んー…?でも星が調理した状態で出してくるのか?」
「星が送ってくれるのは原料、それを構成している物質だけを送ってくる感じ、だから魚も肉もミンチというか、生きてはないけどそれらを構成している物質の塊、水分が含まれていればペースト状で、含まれてなければ粉末や個体で送られてくるのよ。
で、例えば今日追加したこの海鮮丼、これが食べたくても送られてきたのはあくまでも構成している物質であってまだその物ではない、そこで必要になってくるのが変換機、この変換機にいろいろと構成している物質を入力して、指定した物に変換させて目当ての物を出すと。
入力するまでがそれなりに面倒で手間だけど、1回設定しちゃったらもう後は100円玉を1枚入れて起動して、欲しい物をぽちっと押せば瞬時に出来立ての海鮮丼が出てきますよと」
「なんか今一よくわかんねぇな…」
「そうねぇ、今この海鮮丼に乗ってる大トロ、変換される前はこんなペースト、この状態で食べても味は変わらないけど分子とか原子とかそういう状態まで分解されてる状態でのペーストだから、物でいえば細かすぎるネギトロ」
「確かに、マグロの味そのものだな、ほぼ完全に溶けてなくなるから食べごたえは全くないが」
「このペーストを変換するとこうなる」
「ブロックだな」
「そこは柵と言ってほしい、でもこのままだとこの柵の状態で出てきちゃうからひと手間、変換する時の形状と大きさを指定、そうするとこんな感じで刺身になった状態で出てくる」
「なるほど、よくわからん」
「ま、簡単に言えば自動販売機で注文したら業者が材料を送ってきてくれて、中に入っている変換機という名の調理器具で調理して出してくれるって考えておけばいいよ」
「深く考えずに使えって事だな、とりあえず特大の全種盛りとシンプル味噌ラーメンでも頼むか」
「私も追加で具なし沖そばを買おうっと」
「あー…こういう時人間じゃなくてよかったと思えるなぁ…食べるにしても限界はなくいくらでも食えるし、人間だったらここに来る事もなかっただろうし…」
「特大海鮮丼1杯で人間じゃなくてよかったっていう感想が出てくるってのもシュールだねぇ」
「事実だからいいんだよ、そういえばさっき言ってた変換術って大まかに何が出来るんだ?ただ物質を再構築するだけなら変換とか言わねぇだろうし」
「あー、そうね、変換術は人が考える錬金術に最も近い物かな?ただ普通の人間がやると脳が焼切れて死ぬ」
「わお」
「例えば今竹製のちょっといい割り箸を持ってるじゃない?」
「ちょっといいかどうかは知らんけど持ってるな」
「叩いてもかんかんと金属音ではなく竹とか木材のそれ、この竹の割り箸を構築している物質をすべて理解して1つ1つすべて別の物質に置き換えて金属に変えたりするのが変換術、化学式で表せないものも全部理解しないとダメだから、普通の人間の脳や神経じゃキャパオーバーで文字通り焼き切れる、神経とか脳が本当に燃える」
「俺がやったらどうなる?」
「んー…目耳鼻口から漫画みたいに煙を吹くくらいで済むかな?」
「面白いけど怖いわ」
「うちのメイド達でも出来るのは狐さんとルシフ、それとユノーの3人だけだし、それくらい難しいのよ、理解だけなら出来るメイドも居るけど、別の物質に書き換えて置き換えるってのを出来るのは本当に少ない、第二世代は纏め役の1人しかできないし。
まあ、第一世代っていう例外中の例外は皆出来るんだけどね、アレは私のちょっと劣化複製体みたいな感じだし、私が出来る事は大体全部出来るから変換術も呼吸をするのと同じ感覚で出来る」
「第一第二って俺とかニャルはどれになるんだ?」
「第二でそこそこ古い生命体かな?第一が私の複製体で人口は1億くらいしかいなくて、第二がその次にいろいろ調整して生まれて各地に散っていった生命体で人口が一番多い、第三世代は一番新しくて人口2000万いるかいないかくらい」
「ほーん、第一は複製体だから例外として、第二と第三って何が違うんだ?」
「第二も第三も私が管理している星で自然に誕生した生命体っていう共通点はあるんだけど、第三は突然変異が生まれる確率が結構高くなるように調整されてて、第二は突然変異がない生命体、進化云々での変異はあるけど、第二の祖は今でいう普通の人、剣と魔法のファンタジーっていう世界も第二世代に入るんだけど…
ファンタジーでお馴染みのエルフとか、ハーフリングとか、ドラゴンニュートなんかの亜人とかの種族、アレも大元を辿ればただの人なのよ、進化の過程で分岐してその特徴を得ていったってだけで。
で、第三世代も見た目は同じなれど祖とする物が違う、簡単に言えば進化の可能性をかなり広げた世代、狐さんはそのまま狐が祖だし、ルシフは狼が祖、エリスとタニアとイデアは木や植物を祖とする人なのよね、エリス達は正確にいえば植物が人型になったというよりは植物が人を作り出したっていうやつだけど、そんな感じでサル以外からも人に進化したのが第三世代。
ハスターちゃんとかニャルちゃんに関しては第二世代が面白半分で遺伝子やらなんやらを弄って誕生した生命体、オリジナルは制御しきれず弄ってたやつらを皆殺しにして宇宙船やらステーションやら星を制圧、度々他の星にちょっかいをかけては生命体すべてを玩具にして…って感じかな?
それを他の第二世代が確認して伝わって行って、自分の手に負えないのに同じような存在を生み出して、いろんな個体が増えて、なんとか扱えるようにいろいろ抑えた状態で複製されて多数の星に存在するようになって、今ここにいるハスターちゃんとニャルちゃんはその劣化してる複製、仕事部屋で仕事をしている1号コピーは完全再現したオリジナルを合成して誕生した電子生命体」
「ますますわからん、まあ聞いといてなんだが世代の話は置いといて、変換術って極めたら何が出来るんだ?」
「そうねぇ、錬金術の夢というか、人が良く連想する土や砂を金に変えるってのは普通に出来るし面白みもないし、極めたらとなると…んー…その辺の石ころで絶滅した植物の種とか作れるよ?その植物の種を知っていればだけど」
「凄いのか凄くないのかよくわかんねぇ…」
「そお?その辺の埃とかゴミとか生ゴミを貴金属とか食糧に作り替える事が出来るよ?処理しきれるならその辺のごみが大量投棄された池や川から星1つ丸々浄化作業も出来ちゃう、手に持ってる物目に見えてる物の方が理解しやすいし干渉しやすいし変換しやすいんだけど、すべてを理解出来るならどこからでも何にでも干渉できて変換する事が可能、だから今ハスターちゃんが食べている海鮮丼もこの通り、お箸で掴んでいたマグロの赤身がタイに早変わり、ついでに味噌ラーメンが醤油ラーメンになりました」
「何その嫌がらせ、俺のマグロ返せよ、ラーメンは別にいいけどよ」
「はい追加のマグロ、こんな感じで極めればどこからでも何にでも干渉して変換する事ができる、ただ…物によっては質量とかかわってくるし、そこをちゃんと間違えないよう丁寧に置き換えないと…」
「竹の箸が微妙に曲がったな、食いづれぇ」
「それはまあすぐ戻すからいいとして、今はお箸の一部分を竹とは質量が違うものと置き換えたんだけど、その結果変えた部分が縮んで、くっついてる竹が引っ張られて曲がったって感じだね、この逆だと破裂する恐れもある」
「なるほどねー、便利だとは思ったが扱えそうにないな、何より顔の穴という穴から煙が出るのはいただけん、マジで醤油ラーメンになってるな、出汁まで変わってるぞこれ」
「スープを構成している物すべてを変換して魚介味噌から鶏ガラ醤油に変えてみました、魚介醤油も美味しいけど、濃い魚介出汁のスープを口に含むと舌がちょっと麻痺して海鮮の味を感じにくくなっちゃうからね」
「変なところで気を使ってくるな、まあ美味いからいいんだが」
「余程の事がない限りはこういう食べ物関係に使うくらいよ、これ以外だと家具とか古びた金属とかのリサイクル?アンティーク家具がダメになった時とか一回分解して元通りとか出来るし、サビだらけの金属もサビの原因となるものと金属を構成しているものに分解して分けて錆びてない金属に戻したり、使い終わった竹の割り箸も新品に戻す事も出来る」
「いや割り箸は捨てて新しいのに変えろよ、今使ってるのが実は使用済みだったとかさすがにどうかと思うわ」
「大丈夫大丈夫、使用済みの割り箸はちゃんと完全に分解して肥料に、ご自由にお取りくださいのお箸はそれ用に育てた竹を原料に変換して作ってるからちゃんと未使用の新品よ」
「ならよし、次はどの特大を食べようかなー…全種盛りは一つ一つの具材が少なくてちょっと物足りん」
「食べたい物を3つか4つに絞れば割と満足するよー?単品もあるからサーモンのみとかタイのみとかもできる」
「そうだなー…あ、この鉄火丼とマグロ丼って何が違うんだ?」
「鉄火は酢飯で赤身または漬けにした赤身、マグロ丼は部位を問わずマグロを乗せた丼で酢飯でも白飯でも、ここの海鮮丼はすべて酢飯だね」
「あー、だからマグロ丼赤身とかマグロ丼中トロって感じで別れてんのか」
「そそ、マグロって結構部位が多いからねぇ、ほほ肉にカマにカマトロ、脳天目玉といった頭部、中トロも腹と背中で変わって背中も細かく分けると3ヶ所に分かれて、腹の部分も2種、大トロも2種、赤身も赤身と中落ちで2種あって、テールもあって…って感じで物凄く多いのね?
だからマグロ丼は基本部位問わずとりあえずマグロを乗せたものってなるんだけど、それだとどの部位を食べてるかわからない、ってなるから細かく書いて分けてある、気になったら通い詰めてコンプリートすればいいんじゃないかな?」
「おすすめはどれなんだ?」
「目玉とカマトロ、でもどの部位でも美味しいのは確かだし、ネギトロも旨味たっぷりの中落ちと筋を使用してるから、美味しさだけならネギトロかなぁ?」
「じゃあネギトロにするか、とりあえず美味いのが食いたい」
「マグロ尽くし丼っていう全部位とその漬け、ネギトロが付いてくるのもあるよー?」
「ぐっ…でも今はネギトロ丼…いや全部の尽くしか…」
「好みがわからない場合は尽くしで一度全部食べているのがいいよ?そうすると自分は何が好きかはっきりわかるからね、どれがどの部位っていう札もついてるからわかりやすいし、尽くしもおすすめよ?」
「じゃあ尽くしにしよっと」
「私はお出かけするのでごゆっくりー」
「はいよー」




