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意外と売れた 取り分は大事

「お兄さーん、倉庫からエギングRの在庫あるだけ全部持ってきてー」

「はいはーい」

「ロッドだけじゃなくてエギの方も全部ねー?」

「はーい」

「すみませーん、エギRの210ML青ありますかー?」

「今倉庫から在庫を引っ張り出すところだからちょっと待ってねー」

「エギR3.5号のピンクとライトグリーン」

「それも今取りに行って貰ってるからちょっと待ってくれー」


「いやー…昨日も大概だったけど、エギングR追加で入荷しましたって宣伝したから客入りが凄いわ…もう問屋さんが抱えてるやつ全部卸して貰って正解だったかもしれない、他店にはちょっと恨まれるだろうけど」

「ロッドはもう210MLが青緑合わせて3本、Mが1本、240ML2のMが売り切れ、リールも240台全部売り切れ、エギも全部売り切れでオリジナルエギも1号から5号まで全て売り切れ、他のメーカー品は在庫多数かな?」

「はいありがと、オリジナルエギがこれだけ売れるとなるともうとっととどこかのメーカーに持って行った方がよさそうだねぇ、うちじゃ生産力が全然足りんわ、シーズン前から販売はしてたけど突入したら一気に広まってもう…」

「根掛かりの確立を少しでも減らすために重りはヘッド内に収納、さらに石や岩を滑る形状のヘッドなので頭が刺さらない、それに伴いアイの位置も少し変更、ダート性能を調整するためにフィンを取り付け、全体的に軽く浮力は強めに仕上げてあるからカンナが地面に当たる事無く跳ね上がるので石に刺さらない、ハイフラッシュ加工プラスケイムラで朝昼夜どの時間帯でもアピール力はばっちりで放っておくだけでもイカが寄ってくる。

重りがヘッド内部に収納されてるから布の巻き替えは簡単だし、カンナも普通の物と違って80度くらいの熱湯にしばらく浸けるだけでポロっと外れて簡単交換、その後どの接着剤を使うかでお湯か直接火で炙って溶かすかってなってくるけど」

「まあ、手入れ云々が決め手って人は少ないだろうけどね、根掛かりしづらくてよく釣れるってところで売れてる感じだし、実際通販の方の評価だとテトラの際に投げてしゃくったり、岩場をずる引きしても根掛かりしないってコメントが付いてるしね、珊瑚と藻場に直撃させて根掛かりした…ってコメントはしらんけど」

「藻場はまあ強いラインを使えば回収できるけど珊瑚はねぇ…もう直撃したら自分で回収しに行くか諦めてラインカットしかないね」

「すみませーん、オリジナルエギはもう売り切れですか?」

「売り切れー、エギRシリーズも今並んでるロッドが売れたら全部売り切れー、次回入荷は来月でーす」

「ありゃー…遅かったか…」

「エギRは問屋が在庫で持ってたのを全部卸してもらってるからこれ以上の追加はもう無理、オリジナルエギは単純に生産が追い付かない。

エギRのエギを買うだけなら個人店から大型店舗まで梯子して探すのがおすすめかな?」

「エギRは大丈夫です、もう7つほど他の店で買ったので、ただ周りで釣りまくっている人のエギを聞いたらここでしか売ってないオリジナルエギと聞いて買いに来たんですが…無いなら諦めるしかないですね」

「ごめんねー、フル稼働させようにも工場で働くおばちゃんは土日休みだし、就業時間も決まってるし作ってるのはエギだけじゃないから月に多くて400から500しか作れんのよ、それに全国から予約も入るから店に並ぶのは余った十数個だけ。

今もまだ予約が次々と来てるから店頭に並ぶのは再来月とかかなぁ?一応今月からブルーオーシャンとアナライズの2社と交渉して作って貰える様に頼み込む予定ではあるけど、今月中に引き受けてくれるのが決まれば月産400くらいから万まで一気に増えるから、品薄にはなっても全く買えなくなるって事は無くなるはず、どうしてもというのであれば通販の方で予約してね?」

「わかりました、どうしてもというわけではないのでまた次に来た時に見かけたら買う事にします」

「はいはーい」

「アナライズとブルーオーシャン…ダメだったらどこに持ち込もうね?」

「マキシマは無理でワールドもちょっと怪しい、となるとレッドウルフなんだけど…んー…ま、どこが受けてくれても仕上がりは変わらないし、アナライズから順番に問い合わせかな?」

「エギングR今ならんでるので終わりですか?」

「今ならんでるので終わりー、リールもエギも売り切れー、急ぎで欲しいなら車で40分からのところにある大型店舗に行っとくれー、今月はもう問屋も1つも持ってない状態になってるから追加発注も無理ー」

「そうですか…」

「リールが240台売れたのが意外だったね、ダブルハンドルになったくらいで他のRシリーズと変わんないし、持ってる人は使いまわしも出来るし」

「皆が皆リールを複数台持っているわけじゃないし、その場合ラインを巻き替える必要があったりもするし、だったらリールとロッド合わせて1万しないからセットで買っていこうって人が結構いたのよね、それでなんだかんだリールも追加発注して合計240台売り切れと」

「1万しないなら2つ合わせて買う人も多いか」

「もう持ってる人でもロッドは買っていくし、いいリールを使ってると予備スプール1つでRシリーズのリールが1台ぽんと買えちゃうし、その場合はリールも触ってみてこれなら次いでにーって」

「予備スプール地味に高いもんね、Dスプールじゃない汎用でも4000から8000、大型になると万、Dスプールになると5万、それなら追加でもう1台…ってなるよね」

「最初から対象を絞ってるなら1本1台でいいけど、余裕があるなら2本持っていく方が幅が広がっていいしね、エギングRセット1つにトラウトR180ULセットを1つ持っていけばライトショアジギングにエギング、アジメバルカマスロックフィッシュのスーパーライトゲームも出来るし、釣ったアジとカマスをエギングRでちょっと泳がせてヒラメとかスズキとか青物とか、大分幅は増えるよね」

「泳がせをやるならせめてショアRが欲しい気がするけど…ヒラメとスズキなら大丈夫か、青物もこれぞブリっていう大きさじゃない限りは問題ないだろうし、短い分バットまで曲がるからそういうのに対しては表記以上のパワーを発揮して寄せやすいだろうし、そもそも折れないし」

「ラインが細いくらいで運用には何の問題もないね、えー…とりあえずアナライズから問い合わせしてみるか、生産数が全く追いついてないのがつらい」

「一般的な3.5号だけにしておく方がよかったかねぇ?」

「ヒイカ狙いの人もいるし、1号とか1.5号もあったほうがいいっちゃいいよ、南の島だとクアイカもいるし」

「さすがにヒイカとクアイカは3号とか3.5号じゃ釣れないからねぇ…4号から5号も南の島だと5キロからのクブシミを狙うなら必須だし、たまに浮いてきてるアカイカを釣るのにも必須だし、なんだかんだで要らない号数がないってのがまた」

「とりあえず電話だ電話、月産1万からはないと間に合わん!」

「はいはい、それじゃしばらくレジはお任せをー」

「花井ちゃんが帰ってくるまでよろしくー」


「すいませーん」

「はいはいなんでございましょう?」

「エギの号数って何が違うんですか?数字が大きい方が重いってのはなんとなくわかるんですけど」

「エギの号数は重さではなく大きさだね、1号1寸で3.5号なら10.5センチ、4号なら12センチって感じで長くなる、重くなるのはエギ自体が大きくなるのと、沈めるために重りが大きく重くなるからだね。

で、気を付けないといけないのはメーカーによって浮力が違う、同じ3.5号で重さも同じ20グラムだったとしても沈下速度に結構違いが出てくる、例えばアナライズの売れ筋のエギだと3.5号で1メーター沈むのに10秒とかなり浮力が強い、ブルーオーシャンだと3秒とこれもちょっと通常より浮力が強め、マキシマの新しいダブルフラッシュだと1.8秒、ワールドのエギが2秒で1メーターって感じでメーカーによって物凄い違いがある」

「沈下速度って結構大事なんですか?」

「んー、実のところそんなには?素早く落ちてもゆっくり落ちてもイカは反応するし、根掛かりが怖いから浅いところを攻めたいなーっていう時はアナライズの浮力が強い物、ボトムを攻めたいなーって時は沈下速度が速めの物を選ぶってくらい」

「浮力はメーカーによって違うと…初めてやるならどのエギがいいですかね?」

「反応がいいのはマキシマが新しく出したフラッシュとハイフラッシュ2つを組み合わせたダブルフラッシュエギ、それとアナライズのサーチエギ、この2つは低活性高活性関係なく釣れる。

ダブルフラッシュはボトムまで沈めて放っておくだけでもゆらゆら揺れている時にガンガンアピールしてくれるから、投げてから20秒30秒待ってるとイカがもう抱いてたってのがよくある。

アナライズのサーチエギも似たような物だけど、こっちはシャロー、浅い所にいるイカをサイトで釣るのによく使うエギ、沈む速度が非常にゆっくり、沈んでいる間も波でゆらゆら揺れて、ハイフラッシュ加工によりキラキラピカピカ輝くからイカの目にはアジとかイワシ、カマスがゆっくり泳いでるように見えてスーッと寄ってきて抱きついてくる。

で、なんで初めてでこの2つがおすすめなのかというと、この2種はエギングの基本とも言える連続のしゃくりが必要ない、1回でも3回でも大差はないんだけど、ダブルフラッシュならリフトアンドフォールを1回、サーチエギならトゥウィッチで1回軽くちょんっと、それだけで釣れちゃう。

激しくダートさせるのって要はイカにアピールして抱かせるための1つの方法で、エギ自体が放っておいてもアピールをしてくれるならダートさせる必要はあまりないのよ、しゃくってダートさせればさせるほど手前によって来る、それを防ぐためにドラグをゆるゆるにして寄って来ないようにダートさせるってのもあるけど、ダブルフラッシュはボトムで放置しておくだけでもイカが放っておかないアピール力、サーチエギは沈む速度がかなり遅くて波に揺られてキラキラとアピールするから、こっちから仕掛けて誘う必要がなく、ドラグをゆるゆるにしてその場に留めようとする必要もなく、ベールアームを起こしてゆっくりラインを送り出しつつ待つだけ。

大体のエギのは何十回と投げる事になるけど、この2つはこちらからは誘わずエギ自体のアピール力を活かして待ちの釣りになるから投げる回数を10分の1からそれ以下に抑えれるから疲れにくい、何度も連続でしゃくって誘う必要もないからさらに疲れない。

イカが見えない時はダブルフラッシュを底まで沈めて、見えてる時はサーチエギでって使い分けるといいよー?しゃくりに慣れないうちは手や手首が痛くなるし疲れるし、初めては疲れ難いというよりほぼ疲れないこの2つのエギがいいよー?高いけどそれだけの価値はある」

「なるほど、じゃあその2つでおすすめのカラーはあります?」

「陽が昇ってる朝から昼ならイワシとかアジっぽいブルーホワイトかイエローホワイト、薄暗かったり陽が落ちてる早朝と夜間ならライトグリーンとライトピンクの蛍光カラー、一応全部ケイムラだからどの色でも夜間に使えるけど、蛍光カラーの方が反応はいいかな?」

「一番いいのは色は絞らず5色6色とずらーっと揃える事だけどね、皆が同じ色を使うとちょっと警戒するし、そういう時は奇抜な色が良かったりもする」

「とりあえずお試しなのでブルーとイエローの2色にしてみます」

「はいはーい、エギはエギングコーナーにずらっと並んでるからねー」

「持ち込みの問い合わせ終わった?」

「終わった、アナライズはサーチエギの売れ筋があるから生産ラインを削ってまで作る意味はないって感じでダメ、ブルーオーシャンもマキシマも売れ筋があるからダメ、ワールドも当然ダメ、ネレイドは現状作ってるルアーがGBXだけでルアーの生産ラインはかなり余裕があるから月に2万でも3万でも可能って言ってきて、レッドウルフも月5万くらいは余裕って言ってきたからレッドウルフに投げた。

なので明日明後日にはレッドウルフの人が金型と設計図を取りに来て来週にはもう生産ラインにのるぞー?ネレイドは生産数と価格競争に負けたのでもう少し頑張りましょうねって」

「いくら位になったの?」

「ネレイドが販売価格1号700円から5号1200円でこっちの取り分が8%、レッドウルフが一律900円で15%、生産数と取り分で見るとレッドウルフになるよね」

「ネレイドはGBXだけでルアーの生産ラインは余裕はあるけどレッドウルフみたいに大きくはないし、生産力もレッドウルフが圧倒的だからねぇ」

「しかしネレイドがバスやトラウト用のルアーだけだと思われるのもGBXの設計開発者としてはなんとも…ここはお姉ちゃんねるオリジナルエギに対抗してGBエギでも作るか?動きはどこの誰がどう作っても変わらんけど」

「基本は変わらないもんね、うちのはヘッドの形状とバランスを考えて根掛かりしにくくハイフラッシュも取り入れて…ってのを売りにしたけど」

「一昔前に入ったごりごりに根掛かりしまくるヘッドジョイントのジョイントエギでも作ってやろうか?ジョイントだから頭はちょこちょこ動かせるけどカンナは底を擦ってるからちょこちょこやっている間に石に引っかかるっていう」

「欠陥品じゃない…」

「欠陥品だよ?祭典でドヤーって出したはいい物の、ヘッドがジョイントになってるからダートが弱くて、底でエビが歩くみたいにちょこちょこ動かすのを前提に作ってるから浮力がなくてカンナが底にベターっとついてて、しゃくった時に底を擦ってくるからガツっと行って2100円が海の底でごみになるっていう」

「それを再び世に出すと…」

「まあ冗談だけどね、そんな産廃を作ったらGBの名に傷がつくわ、作るなら普通のエギにするよ、浮力は調整してカンナはヘッドより上で45度になるようにして根掛かりの確率は下げて、しゃくってもカンナが底を擦る事はないようにして、ハイフラッシュもビッカビカに効かせてサイトのシャローエディションとボトムのディープエディションでほっといても釣れるようなのを作りたいね」

「それのどこが普通なのか…」

「サーチとダブルフラッシュに比べれば普通でしょ、あっちの方がもっとえぐいし」

「そのうちサーチもシャローサーチディープサーチって2タイプになりそうな気がするし、ダブルフラッシュもシャロー対応が出る気もするし、やるならお早めにだね」

「でも作る時間がないんだよなぁ…図面だけ引いてネレイドに投げておくか、アイナちゃんならきっとわかってくれるはず!」

「んー…まあ、ルアーはGBしかないし、設計図と試作品がテスト用にいくつか、軽くテストしてよさそうならラインナップに入るんじゃないかなぁ?」

「ま、そうすぐに作れる物でもないし、ダブルフラッシュとサーチがディープとシャローの2強になってるし、難しいところではあるね」

「これください」

「はいはい、ダブルフラッシュとサーチが2点で2800円になります」

「さて、私はまた倉庫に引っこんでエギの追加を取ってきましょうかね」

「はいよろしくー、200円のお返しです、またどうぞー」

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