改造と分解整備は非推奨 注文があれば作る
「あー、カヤックもう売れたんだ?」
「傷があるとはいえ表面の浅い傷くらいだし、エンジンも結構使ってるとはいえ整備もしてたから普通に使える、フロートとか座椅子とかのオプションも付いてたからバンに乗ってきた人が即決でね?」
「一応お買い得といえばお買い得だしね、元が本体3万のエンジン15万、フロートやらボルトで固定した折り畳みのいい椅子も使ってるし、新品で揃えると22万くらいの物が7万なら欲しくてすぐに持って帰れる人なら即決するか」
「ロッドをハイエンドに買い替えるかどうか悩んでて、レジ前に来てカヤック中古売ってますの写真を見て、ちょっと見せてくださーいってなってこれーって見せたら即決だったよ」
「ロッドは買い替えなくて大丈夫なんだろうか?」
「奮発してハイエンドにってだけで元々使ってたのは20年前とかそこいらのエントリーだから、それより良くて丈夫で長持ち、感度もよくてマキシマとかワールドのミドル並みの性能の安いやつがあるよーってRシリーズを進めたらそれを買っていったよ。
長さもそれほど求めてないし、カヤックに乗って使う事も想定してトラウトR180ULとバスR180MLの2本、リールも同じくらい古いのを使ってたからトラウトR1000とバスRC3000に買い替えかな?」
「20年くらい前の物となると…」
「まあ、悪くはないけどRシリーズに比べたら脆いし粘りもないし重いし、カヤックだと取り回しも大事だから少しでも軽く扱いやすくて何にでも使えるやつをね?
トラウトRならアジメバルカマスアオリ、それとライトなタイラバも出来るし、バスRもエギングが出来るしライトジギングにちょっと重めのタイラバ、使い回しを考えて選ぶと大体これになる」
「エギRが出たらそっちも選択肢に入るんだろうけどまだ出てないからねぇ」
「出たらLからMLの240から260が並んでさらに選択肢が増えていいんだけど、アオリのシーズン突入少し前だから来月まで待たないとねぇ」
「すいませーん、夜釣りをするならロッドはどれがいいんですかね?」
「一言に夜釣りといってもいろいろあるから対象魚を聞かないことには何とも?」
「あー…アジとかメバルです、仕事帰りなんかにちょこっとやって簡単に釣れそうなやつをと」
「はいはい、メーカーとかに拘りはある?後予算」
「出来ればネレイドで、予算は4万ほどです」
「4万でネレイドのアジメバルで夜釣り…ならこれかな?リコリアスUL220とリールも同じリコリアスで2000番、これならロッドとリール合わせて24000円くらい、さらに夜釣りをする人には嬉しいスレッドが蛍光で夜間も見えやすい」
「見えやすさって結構大事ですか?」
「かなり大事、たとえば大体のメーカーのブランクスって真っ黒じゃない?昔は赤とか青とかいろいろ出てたけど、今は真っ黒9割色つき1割って感じで黒ばかり」
「そうですね…マキシマやワールドなんかは色がついてましたけど、それでもエントリーは黒、それ以外のメーカーはエントリーからハイエンドに至るまで黒しかなかった気がしますね?」
「で、黒色の問題って日中釣りをするならそれなりに目立っていいんだけど、夜釣りをする人の場合闇夜に紛れて見失うのよ、特に置き竿をしてると当たってるかどうかすらもわからない、場所によっては近所迷惑で鈴とかセンサーの取り付け禁止ってのがあるし。
置き竿をしなくても複数本持ち込んでるとロッドホルダーに立てかけたりするじゃない?その時に電灯の下なんかだと別に何の問題もないんだけど、そうじゃないところ、真っ暗なところだと完全に見えなくなるのよ。
そういうところでやる場合は大体ヘッドライトとか持ち込んでると思うけど、照らす先は視線の先でタックルボックスとかロッドではない、それは周りの人も同じで、ちょっと何かあった時に同化して見えなくなってるタックルをひっかけるとかよくあるんだよね、そういう時に蛍光かつ蓄光でここにありますよーってよく見えるになっているとそういうトラブルがほぼなくなる。
日中は日中で金のガイドと銀のスレッド、白のブランクスに黒金のブリッジシートとグラデーションが入ったカーボンモノコックで普通に格好いい、リールも金銀を基調に黒を差し込んでこれまた格好いいと、使っててなにあのタックルかっけぇーってなるのもいいところだね」
「ちょっと派手な気がしますけど…夜間でも光って見えるならいいんですかねぇ?」
「使ってみて初めてわかるっていうタイプのやつよ、えー…カタログカタログ…リリリ…リコリアス…あった、左が蛍光無しのスレッドで右が蛍光有のスレッド、こんな感じで夜間でもどこにあるかわかりやすく、魚がかかっているとスレッドが曲線を描くから隣の人がファイト中迂闊に寄ってくるのを防ぎやすい。
ファイト中のトラブルはいきなり抜けてはじけたロッドがベシィって当たったり、飛んできたルアーが直撃したりとかあるんだけど、夜間だとファイトしててもライトでしっかり照らさないと見えないわけよ、でもこれがあればやり取り中ってのが見えるから近づいてくる人は減る」
「なるほど、見えやすいだけでなくトラブル防止と考えたら結構いいですね、それじゃあこれください」
「はいはいー、ラインはどうするー?」
「あ、ついでにお願いします、出来ればアジングメバリング用の小物も」
「はいはい、それを含めて4万以内ね」
「んー…しかし、マキシマも一部技術が使えなくなったとはいえ地力があるからじわじわ追い上げてきてるけど、割とやりたい放題のネレイドはいいものを出してくるよねー、さっきのリコリアスとかメーカーがメーカーならロッドだけでも3万はするし、リールも3万とか4万はしてもおかしくないでしょ」
「だねぇ、技術はそれほど進歩せず値段だけが馬鹿みたいに上がり続けてた時代と違って今は技術がこれでもかと上がって値段が下がってる時代というのもあるけど、小規模中規模メーカーの物を買うのが馬鹿らしくなるくらいの値段と性能はしてるね」
「これがミドル手前のワンランク上のエントリーですって出されてもハイエンド一歩手前のミドルだろって言って信じない人の方が多いのは確かだろうねぇ」
「フラグシップみたいに技術モリモリというわけでもなし、ミドルみたいに3つ4つ積んでるわけでもなし、エントリーらしくそれをやるのに最適な技術を1つ搭載してるだけなんだけど、1つ1つの完成度が純粋に高いんだよね。
だから組み立てた時にがたつきは出ないしシャリシャリ鳴る事も無い、巻き感もいいしXGでも軽く回せる、特に何か搭載しなくても普通にミドルクラスで売っていいような感じなのよね、欠点がないわけではないけど」
「あのー、話を聞いてたんですけど今手に持って回してるリール何か問題があるんですか?」
「あぁ、これね?欠点は完成度が高すぎる事、完成度が高すぎて全てのパーツが綺麗にかみ合って動作してる状態なんだけど、だからこそどこかのパーツが破損したり、分解整備でパーツを別の物に変えたりするとすんごいがたつくようになる。
最近のパーツは頑丈だから塩が噛んだり砂が噛んでも傷一つつかないから破損は早々ないけど、パーツを別の物に変える事が出来ない、つまりカスタマイズ製がほぼ無いってことだね、ハンドルとかノブを交換するくらいなら出来るけど。
まあ、そんな感じで分解整備や改造をを自分でやる人ほどこの欠点に引っかかって、リールの性能をガタ落ちにする事が多いのがネレイド製リール全てが抱える問題、純正パーツを取り寄せて交換して使う分には整備する人の腕次第だけどね。
でも逆に言えばカスタマイズしない人、整備も洗ってスプールを外してオイルを刺す程度の人なら性能は経年劣化による低下のみで済むから、完成度が高すぎるが故の欠点は何のデメリットにもならない、心配ならメーカーに送って整備して貰うのがいいね、慣れてない店とかこっちの方が整備費用が安く済むからと他社のパーツを使ってくるようなところはダメ」
「そもそも大手メーカーのリールは基本的にどれもこれも個人での分解整備とか、他社のベアリングに交換とか追加は非推奨だけどね、追加するなら同メーカーの純正品」
「ベイトリールだとよくあるんだけど、どこそこのダブルボールベアリングに交換したらよく回る、飛距離アップとかやってる動画あるじゃん?あれはマキシマワールドレッドウルフネレイドの4社のリールでやっちゃダメよ?」
「逆に飛ばなくなるとか回らなくなるとかですか?」
「そう、その4社に関しては飛距離が3割からは落ちるし、回転も初速だけで持続力がなくなる、初速だけで馬鹿みたいに上がるからブレーキをがっちり締めないとバックラッシュする、ベアリングだけ交換して同じ条件で投げてるのが公式のサポートページに有るから見るといいよ。
パーツを交換したら飛距離が出なくなりましたっていうよくある質問のところに回答として比較動画を載せてあるから、それだけでも交換するのはデメリットでしかないってのがわかるよー?」
「そもそも他社製品の部品を取り付けた時点で保証外になるし、飛ばなくなったとか苦情を入れられても困るんだけどね、一番バランスがよくバックラッシュもせず飛距離も出るように設計、組み立てをして出荷してるわけだし」
「じゃあ動画の真似をしてベアリング交換とかそういうのはしない方がよさそうですね」
「そこはまあメーカーによるとしか、うちで取り扱ってないやつ、たとえばラハブとかJ&M、後同じ国外メーカーのグラヴィナクイーン、あの辺りは力で投げるのを基本として設計されているからベアリングはあまりよくないし、ブレーキが強めてバックラッシュはほぼないぶんあまり飛ばない、そういうリールならダブルボールとかそういうのに交換するのはありなのよ。
逆に回りすぎるのを抑えるために強めのマグネットにしてあるってリールもあるから、何でもかんでもダブルボールに変えればいいってわけじゃないけどね」
「国外メーカーの方がいいとか大手メーカーは好きじゃないってのでもない限りはマキシマとかワールド、ネレイドにレッドウルフなんかのオイルを刺したり洗ったりするだけでいいリールにしておくのがいいよ」
「今度リールを買う時の参考にします、とりあえずこれお願いします」
「はいはい、12グラムスプーンにカツオとサバとイカで…1680円でーす」
「ロッドとリールもポツポツだけど、今日はスプーンとサバがよく売れるねぇ」
「ハイブリッドがまたブームになってきてるみたいなのよね、この辺りだとアイナメとかソイも釣れるし、昔一部ではやったハイブリッド釣法を今やるとどうなるの?って動画が20万再生行くくらいには受けてるみたい、だからちょっとスプーンの棚を広げて在庫を引っ張り出して、カツオとかサバもちょっと多めに出してきてある」
「ハイブリッドか、根魚を釣るのにはいいよね、ライトタックルで結構楽しめるし、ブラクリと違って根掛かりはそれほどしないし」
「釣れるけどやる人って少ないんだよね、ルアーはルアーで釣る物であって餌を付ける物ではないって感じで、ハゼクラとかもソフトルアーを付けて餌は付けないみたいな」
「ハゼは居るところならゴカイとかホタテを付けたらすぐ釣れるし、マイクロクランクを使う意味もなくなっちゃうからまあ…」
「でもアマダイ用の短ハリスは売れないんだよなぁ…そんな事しなくてもタイラバにエビ付けときゃ簡単に釣れるくらい居るってのもあるけど、そっちのスレッド取って、白色のやつ…さんきゅ」
「そっちのばらばらになってるバット頂戴ー」
「はいよ」
「んー…もうちょい太いやつ」
「じゃあこれで」
「うん、これならぴったり、後は破断したところを削って整えて、亀裂が入らないように先に接着剤で保護してドライヤーで速乾させまして…よし、こんなものかな?」
「接着剤余ってる分こっちにくれー」
「はいどうぞ、それにしてもハイカラ用のロッドの注文とか珍しいね?」
「しっかりとしたガイドを取り付けたりと近代化してはいるけど、伝統的な和竿として残ってるからねぇ、自分で作ってみたいけどどうにもうまくいかない、丁度いい竹が手に入らないって人もいるし、極稀に注文が入るね」
「焼き入れとか真っ直ぐにしたりとか節を削ったりとかいろいろあるし、時間も掛かるしで注文出来るならその方が楽か」
「高いブランクスを使うわけでもなく、その辺に生えてる竹を引っこ抜いてきて加工するだけだからね、費用自体はガイドとかそういうのにしかかからないから割とお安い、特にこの辺りは河川にもちょこちょこ生えてるし、勝手に採るのはあれだけど許可を貰えば普通に採取出来るし、これは実家経由で貰ってきた黒竹だけど」
「それで気になるお値段は?」
「まあそうねぇ、竹は捨てるほどあるからタダでもらえるし、乾燥とかそういう手間はあるけどそんなもん放っておけば終わるし、一番お金が掛かる部分はガイドだし、今作ってるガイド8個のハイカラなら1本9000円くらいかな?」
「あらまお安い、和竿専門店が泣いてやめてくださいって言いそうなくらいには」
「そんなもん知らんとしか言えないけど、こっちは別に専門店じゃないし、近所の人からタダで貰った竹ってのもあるし、専門店みたいに規格を統一してるわけじゃないから安くなるのは当然だね、後花井ちゃんのコレクションにあるような竹の継竿を作れるような技術はないし、できてこういうハイカラ竿までよ」
「なるほど、よし、スレッドと巻いて折れた部分を隠しつつ補強も出来たし、後はドライヤーで気泡を飛ばして乾かせばめでたく訳あり中古行きかな?」
「乾かした後に曲げてみない事にはまだわからんけどね、見えないだけで内部では折れたところから裂けるような亀裂が入ってるかもしれないし、亀裂が広がらないように接着剤でしっかり固めてもそれより先まで入ってたらどうにもなんないし」
「それはもうどうしようもないね、さて…後7本頑張って訳あり中古送りにするかー」
「がんばれー、駆け込みのガイドのおかげでこういうやつの処理がなかなか進まないのよね」
「接着剤を1回つけたらもうバシっと位置を決めて差し込んで固めないといけないのもあるし、途中で放り出せないもんね」
「そう、レジとか在庫を出しながらやるような作業ではないのよねー…よし、ガイドの取り付けは終わり、次の作業はエポキシがある程度乾いてからだからまた明日、それじゃ在庫を取りに倉庫の方に行ってるからしばらくレジなんかもよろしくー」
「はいはい、あまり手を止める事が出来ない作業だから早めにねー?」




