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カードが電子か現金か する時はする

 んー、餌用に向いたエビの頭と殻が中々にいい乾きっぷり、この時期外に放置したら夜になると完全に凍りつくのもあるけど、日中には解凍されてかつ空気も乾燥しているので殻は兎も角として、頭に残った水分もほぼ全て飛んでいるので…もうこれくらいなら十分かな?

 干していた頭に殻にと全部回収しまして、残った完全に水分を飛ばすためにお鍋でカラッカラになるまで煎りまして、完全に乾ききったらフードプロセッサーに放り込んで完全に粉末にしまして、完全に粉末状になったらコマセ用エビ殻のケースに放り込んで古いのと新しいのをざっくり混ぜて加工は一旦終了。

 次はざっと洗って干しておいた貝殻をがっつり焼きまして、これも粉末にしたら今度は肥料用のケースに入れてーの…やる事はこのくらいか、お買い物はディジーが行ってるし、今日やる事はもうほぼない…かな?ジュリアさんを追いかけて釣りに行くのもいいけど…んー…どうしようねぇ…?

 ただ今日は間違いなく堤防は釣り客でごった返してるだろうし、今から行ってももう場所も空いてないだろうし、それを考えると今から追いかけて行ってもなーというのもあるし、ジュリアさんが何本か持って帰ってくるだろうしで…ふむぅ…

 まあいいや、堤防が埋まって入れなかったらその時はその時、漁協の人と交渉して船着き場や市場近辺の関係者以外立ち入り禁止のところでやらせてもらいましょ、関係者以外立ち入り禁止なだけで釣り禁止ではないってのがポイントよね。

 でー、最近はルアーとかそういうのが多かったし、青物はジュリアさんが持って帰るだろうから…うん、グレとクロダイ狙いのフカセにするか、そうと決まればちゃちゃっと道具の準備をして、グレクロダイ用のコマセを半袋ずつコマセ用バッカンに入れて、まだ使いきれてないガンガゼ粉末にちょこちょこ作ってはストックしているエビ殻粉末、このままだと混ぜ物で纏まりがあまりよろしくなくなるので小麦粉を少々に余ってる糠も混ぜたらコマセの準備はほぼ完了。

 混ぜ物と刺し餌のアミエビとオキアミは店長さんのお店で買って…解凍にちょっと時間がかかるからすぐに使える練餌もちょっと用意しましてーの、青物を狙うわけではないけど掛かった魚によっては追い食いもあり得るので網だけじゃなく一応ギャフも用意して、狙い通りの物が釣れるかどうかは謎なので小物を釣る用の針と細いハリスも用意して…こんな物かな?

 出来れば脂が乗った寒グレを釣りたいところだけど、他の魚に追い出されたりどこかへ行って居ない場合は釣れないから幅広く対応出来るようにしておかないとね、港近辺なんかの封鎖されてるに近いところにいるのは大体コッパだし、コッパ程度の大きさだと捕食対象でしかないし、今の時期はサワラにブリにとそのくらいなら一口で食べちゃうのが結構入ってきてるので…

 よし、準備も出来たし、夕食のおかずを一品増やす日帰りの旅に出るとしましょうかね。


「堤防と浜の方凄い事になってるね、車も停める所がなくて路駐が凄い事になってるし」

「海沿いは車通りもそれほどないし、路駐してても青切符を切られる事はないから何の問題もないけど、まあ見ての通り入れる場所はないよね、あまりにもごった返してるからジュリアは私の船をパクって海に出て行ったよ」

「なるほどねー、堤防にせよ浜にせよみんな思い思いに色々やってるし、県外ナンバーも多いからトラブルもボチボチありそうだし、船で沖に逃げるのは正解だよね」

「誰もやってないあいてるところがあるぞーって漁港とか市場に入ろうとして怒られた人も結構いるしね、はいオキアミとアミエビ、まったく解凍できてないからコマセ用に刻むのもちょっと大変よ?」

「急に思い立っての飛び入りだからまあそこはしょうがないよね、最初はアミエビオキアミ無しのコマセを適当に投げつつ練餌で時間を潰すからとりあえずは大丈夫、来る途中で漁港とか市場の人に許可も貰ったから、誰も居ないところでのんびり回答しつつ寒グレ狙いだぁね」

「そしてお兄さんが釣りのしているのを見た何も知らない人が入ってきてまた市場の人達に怒られると」

「関係者以外立ち入り禁止の看板があるし、怒られもせず中で釣りをしているのを見て察してほしい気がしないでもないなぁ…」

「何も考えず入る人もいれば他にやっている人がいるから自分も大丈夫って勘違いする人もいるから、看板にでっかく書いててもダメな時はダメだね、門が閉まってても開けたり外に停めて入ってきたりするし」

「アレなんなんだろうねぇ?」

「どこにでもいるちょっと面倒な人といえばそれまでだね、他に何か要るものある?大体は準備してきてるだろうけど」

「そうねぇ、針はグレだけじゃなくイワシとか狙える小さいのも持ってきてるし、コマセはもう配合してきたから現地で海水を入れて混ぜるだけ、忘れ物はないし気分転換用のSULと片軸も持ってきてるし、それ用の餌はいつも通り現地調達でいいし…ないかな?」

「はいはい、それじゃあオキアミとアミエビが半ブロックずつで350円になりまーす」

「じゃあいつものカードで」

「上限額なしのカードで買うのが半ブロックってのもちょっと笑えるよね、カードで買うのがそれかよ!って」

「少額なら現金でなくでも電子決算があるし、そっちを多用している人もいるから冗談抜きの上限無しブラックで350円の買い物はちょっと笑えるよね、カードはポイントカードを除くとこれしか持ってないとも言うけど、後現金は万札だからそれで払うのもなーって」

「カードとか何枚も持ち歩くようなものじゃないし少額を万札で払うってのもね、店側としてはあまり気にしないけど、それじゃ何か釣れたら報告よろしくー、まあ場所が場所だから一般人は入れないけど」

「最悪イワシだけで終わる可能性もなくはないね」

「忘れ物はないって言ってたけどサビキも買ってく?」

「100とか200とか釣るわけじゃないし、のんびり楽しむからいいかな?」


 んーむ、さすがに関係者以外立ち入り禁止でほぼ誰も釣りをしていないだけあって魚影が地味に濃い、ちょっとコマセを撒いただけで小イワシに中程度のアジ、さらには小イワシを追ってきたのか大き目のアジが深いところにぽつぽつと。

 ここまでベイトとなる魚が多いとサワラにブリ、さらにはカンパチヒラマサスズキヒラメと入ってきててもよさそうではあるのだが…今日の狙いは寒グレとクロダイ狙いなのでその辺りは狙わずのんびり餌の解凍を待ちつつまずは練餌でグレ狙い。

 あまり活性を上げすぎると大量のイワシやアジが青物を引き寄せるかもしれないのでコマセは程々にして、イワシとアジが餌取りのごとく群がっているので素早く沈めるのでガン玉をつけましてーの、まずは中層くらいから初めて少しずつ下げて行って、ダメそうならイワシとアジ狙いに変えましょ、この時期の魚は何でも美味しいしね。

 それじゃあまずは適当にぽいっと投げて様子を見まして、特に何もなければ棚を少し変えてまた投げて、それでもダメならコマセを団子にしてちょっと押し固めてあまり広がらず拡散しないようにしつつコマセを底まで沈めて寄せて…

 なんだろう…これでもなんかダメだなーというのがなんとなくわかるような感覚…練餌が悪い悪くない云々以前になんとなく釣れる気がしない…居ないってわけではないんだろうけど、イワシとアジが狂喜乱舞して餌を食べてるのに対して本命は沈黙を保っているというか、美味しい餌があるにもかかわらず遠くから様子を見ているというか…

 あれかなぁ…イワシとアジがここまで大漁に寄ってきているという事はそれを捕食する魚、サワラなりブリなりがいつ押し寄せてきてもおかしくないというわけで、今は何もないけど押し寄せてきているのを感じ取ってそこに隠れたままという可能性もなくはなし。

 もう少し様子を見てダメそうなら針の大きさを落としてアジとかイワシ狙いに変えるか、釣れない魚を狙い続けるよりは目の前の簡単に釣れそうな魚を釣っておかずを一品増やす方がいいしね。

 さて、それじゃあオキアミとアミエビがある程度溶けるまでは練餌で様子見を続けましょ、それで釣れたら続行、釣れなかったら即切り替えで。


「ただいまー、大漁だから片付けを済ませたらちょっと台所にこもるねー」

「はーい、それはまあいいんですけど、お兄さんにお客さんが来てますよ?」

「どなたが?というより何時くらいから?」

「大体10時くらいですね、つまり7時間ほど待たせてます」

「えぇ…電話してくれたらよかったのに…」

「相手方が呼ばなくてもいいと言っていたので、応接室でずーっと待たせるのはなんなのである程度は自由にして貰っていますけど…人妻感溢れるというかどこからどう見ても間違いなくこれは人妻!って断定できそうな見た目の人とどこで知り合ったんです?」

「んー…?誰だろう?会ってみないとわかんない」

「お兄さんが人妻と不倫をするのはまあ自由ですけど、釣りチャンネルや他の人を巻き込まないでくださいね?示談金だの和解無しで裁判だのってなってもルシエラカンパニーが潰すでしょうけど」

「さすがに余程の事がないと人妻と不倫したりはしない…よ?」

「そこは絶対に無いと言うのが正解だと思いますが…する時はするんですね」

「余程の事があればね?結果として世間一般からすれば不倫してるのと変わらない状態になる、そのうち離婚成立で不倫でも何でもなくなるけど」

「なるほど?それでどこのどなたと不倫中なので?」

「んー…わかんない、会ってみないと本当にわかんない、今不倫中だったかどうかもわかんない」

「とりあえず家のどこかに入るはずなのでお早目に」

「まあ、着替えてシャワーを浴びて魚と餌の臭いを落としてからだね、本来なら全部捌いてから入る予定だったけど…ディジーにクーラーボックスを渡したらお風呂に入ってくるか」

「で、今日は何を釣ってきたんです?」

「本命はかすりもせずだったから大量にいたイワシとアジ、アジは尺大目だから梅しそとか大葉巻きでフライか天ぷらに、イワシはつみれにしてお鍋…と行きたいところだけどここはあえてつくねみたいに焼きで」

「いいですねー、それじゃあまあまた後で、話も後でじっくり聞かせてくださいね?」

「大して面白い話にはならないと思うけどなぁ…」


 シャワーも浴びた、生臭い臭いに餌の臭いも完全に消えて石鹸のいい香りしかしない、髪もしっかり乾かして服装もばっちり、人に会う準備が出来たので会いに行きましょうかね。

 問題はどこにいるかだけど…んー…自由にして貰っているとの事なので応接室に行けば会えるというわけでもなし、ここは手当たり次第ドアを開けていくしかないか。

 知らない人の部屋には案内されないだろうし入らないだろうから各個人の私室じゃない部屋、そこに絞ればおのずと…会えるんじゃないかなーと思いつつ他の人の私室以外、図書室に趣味で作られたバーにと色々回りまして…

 10分ほど探し回った結果、うん、まあ…いいんだけどね、私の客という事であれば私の部屋に居る事も十分予想は出来る事ではあったし、最初に来ていればこの惨状は…んー…7時間待たせた上での10分くらいなら誤差か。

「ふごー!ふごぉー!」

「何してんの?」

「突然お邪魔して申し訳ありません、事前に連絡する事も可能だったのですが…サプライズというやつです」

「人妻感溢れる客と聞いてたから1人かなーと思ってたけど2人だったかぁ」

「来た時は私一人でしたよ?後から表の門を通さず直接この部屋に乗り込んできたので増えただけです」

「で、もう一人はなぜに口枷をしたり亀甲縛りをして吊るしてるの?」

「ふごー!」

「単なる罰ゲームです、待っている間暇ですし、ゲームで負けた方が罰ゲームという事で私が勝ったので罰ゲームとして吊るして遊んでました」

「ふごごごぉー!」

「まあ…何を言ってるかわからないからハスターちゃんを解放してあげて…後ニャルちゃんも来る時はあまり誤解を招かないような見た目とか雰囲気にして貰えると…」

「今住んでいる館ではいかにも簡単に口説き落とせそうな、不倫に持ち込めそうな、襲えそうな人妻という設定でやっていますので、今の私の姿はこれです」

「ふはぁー…あー…ちょっと顎が痛い…こいつ趣味悪いよなー、館に迷い込んだ集団を見た目と雰囲気だけでその気にさせて、幻覚や幻聴でそういう関係に持ち込んだと錯覚させて、上げに上げて絶頂期に至ったところで一気に落として発狂させて遊んでるんだぜ?」

「私は相手が望むままに望む夢を見させて上げているわけですし、それ以外私は何もしていませんし、自らの意思で堕ちて行って発狂して彼らの実験材料になっているだけですよ?」

「あの甲殻類共の実験のために獲物や隠れ家を用意してやってる時点で酔狂だと思うけどな、ところで土産は渡さなくていいのか?それが一番の目的だろ?」

「ああ、そうでしたね、どうぞ、こちらをお納めください」

「これは…空けてみないとわかんないね、後大きすぎてここで空けてもいいものか」

「今朝絞めたばかりのシャンタク鳥のガラと可食部です、食用にと養鶏してみていますが、可食部はまだそれほど増えていないので要品種改良ですね」

「家畜ではあるけど食用として飼育するのは珍しいよな、そもそも食べなくても生きていけるし、贈り物にするために食用として品種改良してます、なんて他の支配者に知られたら笑われるんじゃないか?」

「カレーの染みで衣を黄色に染めたハスターほど笑われたりはしないので大丈夫ですよ、最近また黄色が濃くなったんじゃないですか?黄衣の王の名前が泣くくらいには黄を通り越して茶に近づいてますよ?」

「カレーの染みじゃねぇよ!ちゃんとした染料で染めたサリーだよ!これ生地に拘ってるし地味にたけぇんだぞ!?それによく見ろ!単色じゃなくてちゃんと模様やらなんやら色々入ってるだろ!?」

「確かに、ところどころにエルダーかっこ笑いかっことじなサインが入ってますね」

「それは…うん…信徒を許してあげて…別に私が考えたんじゃなくて信徒が必死こいて考え抜いて作ったやつだから…私の信徒ですよーってのをわかりやすくするためにシンプルかつこれだってやつをね…?」

「ま、カレーの神様は放っておきまして、まだ品種改良中の物ですがどうぞお納めください」

「そうねぇ、今日は魚メインの予定だったけど、シャンタク鳥のから揚げも作ろうかな?ニャルちゃんとハスターちゃんはどうする?」

「当然食べてく、罰ゲームで負けて部屋で放置されて昼食ってねぇんだよ、ニャル一人だけ御呼ばれして食いやがって…」

「あなたは客人として入ってきていないいわば不法侵入状態ですし、そもそも用意すらされていませんでしたよ」

「ぐぬぅ…まあいいや、がっつり食べるから私の分もよろしく」

「はいはい、まあ夕食までまだ時間があるし、もうしばらくはゲームで遊ぶなりして過ごしててね?私は今から釣ってきたアジとイワシを全部処理しないとだから、夕食が終わるまでちょっと相手をして上げる事は出来ない」

「大丈夫です、待つのは慣れていますので」

「1ヶ月2ヶ月どころか年単位かけて獲物を釣って遊ぶもんなーお前は」

「時間をかけて釣り上げた相手を持ち上げて落ちるところまで落とすのが楽しいんじゃないですか」

「さいでっか…私は信徒とワイワイやってる方が楽しいわ、たまに碌でもない事やらかすのが居るからメッてやって威厳を示さないとダメだけど」

「その姿で威厳はあるんですかね?」

「普段は威厳のある体格とか顔つきにしてるからいいの、それより今度は罰ゲームなしで対戦するぞ」

「それでは連敗記録を伸ばしてあげましょうかね」

「ヒートアップしてコントローラーを投げないでね?」

「そこまで短気じゃないし人の物を投げたりはしないよ、やらかした信徒の物は投げるけど」

「まあ…ほどほどにね?」

どこからどう見ても人妻

少々野暮ったく纏められた髪に艶黒子、ちらりと見えるうなじにこれ見よがしに薬指につけられた指輪、そしてそれっぽい雰囲気を纏えば…

恵里香さんも会った事はあるけど見た目が完全に別人なので気が付かず、夕食の席でネタばらしされてあーなんだ…となる

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