準備期間 意外と万能なオモック
えー…カットウ釣りは普段する事が無いのでカットウ針の在庫は当然無し、中通し重りにソフト用の大きめのストレートフックがあるので寄せるための仕掛け自体は代用可能の、餌の赤貝やらエビは養殖場からいくらでも確保可能で…餌持ちがよくないとダメだから赤貝はハード加工の集魚剤に漬け込んで、エビも現地で殻をむいて使うからエビもついでに漬け込んで…
ふむ、買いに行くのはカットウ針だけでいいかな?店長さんのお店に行けばカットウ仕掛けその物が置いてあるけど、針さえあれば後はガレージにあるもので代用出来るので…んー…1つ2つくらいは買うか、自作とメーカー品だと快適さや出来が違うし、ジュリアさんは来るかどうかわからないけど一緒に行くリオは初めてだし、確実かつ快適なメーカー品がある方がいいっちゃいいか。
さて、必要な物を買いに行きましょうかね、それとついでに時化で流れたクロソイも次はいついけるか聞いておきましょ。
「あーはいはい、昨日恵里香ちゃんが言ってたカットウ釣り用の針と仕掛けね、仕掛けはトリトンとデイライト両方から出てるけどどっちにする?安いのはデイライトだけどその分仕掛けはドシンプル、トリトンはちょっと高いけどアイを付けて集魚効果をちょっとアップさせたりって感じ。
まあ基本的にはどっちも変わらないけど、トリトンの方が魚は寄ってくるかな?問題はフグ以外も寄ってくるから餌を付けるテンヤ針に別の魚が掛かる事がちょこちょこある、フグだけを狙うってのであればデイライトのドシンプルなカットウ仕掛けかな?」
「んー…ドシンプルなのは買う物買ったら自作で作るし、トリトンの方を2つで、それとカットウ針が4つかな?」
「はいはいまいどー、トリトンのカットウ仕掛けが1つ1800円のフグ用カットウ針バラが1本150円で4200円ねー」
「いつものカードで、それとクロソイは次いつくらいに行けそう?クロソイじゃなくてもアイナメでもいいけど出来れば鍋物にして美味しいやつで」
「んー…そうねぇ…ルアーで簡単に釣れて引きもそこそこで60くらいのとなると…ジギングは疲れるからなしだよね?」
「リオにはちょーっと厳しいかな?前より筋肉をつけてもよくなってトレーニングはしてるけど、仕事柄まだタラとかその辺りのジギングはストップが掛かるね、アザミとボタンが管理して体型をほぼ変えないように少しずつだから、仕事を続ける限りはどうしてもねー」
「となるとまあクロソイ一択として…カットウ釣りがクロソイみたいな予報大外れの急な天候変化による時化でお流れにならないならこの日で、ここからここまでガイドの予約が入ってて…カットウ釣りを優先するならクロソイは三月くらいかな?」
「結構予約がびっしりねぇ、いつもはそれなりにスカスカですぐ行けるくらいなのに」
「あー、今年というか去年末から寒ブリが大当たり状態でキャスティングの予約が続いてるのもあるけど、寒ヒラメもそれなりに入ってるんだよね、この辺りは水温が低いから南の方に比べるとちょっと長く続くけど、もうぼちぼち終わりに入ってくる頃じゃない?」
「だねぇ、長くても三月半ばで寒ブリと呼べるほど脂を蓄えたのはもうほぼほぼ居なくなるし」
「で、今のうち今のうちって話を聞いた人がワーっとね?ブリも釣れたら2キロとか3キロとかそんなのじゃなくて10キロクラスがドカンと来るから、例年に比べると駆け込み予約が止まんないって状態」
「なるほどねー」
「今日堤防に居る人も浜に居る人も全員寒ブリ狙いよ」
「時化てた日は言わずもがな、昨日はまだまだ落ち着いてジュリアさんでも割とボロボロ、今日は落ち着いて釣りやすく活性も上がってるとなると…まあ押し寄せてくるか」
「明日明後日は世間一般は休みだからもっと増えるだろうけどね、でもまあそのおかげで閑古鳥が鳴かなくて済むわ、キャスティング用のトップからショアジギング用のジグが飛ぶように売れてるし、花井ちゃんが帰ってきたら倉庫から在庫をひっぱり出してきて並べないとね」
「お店的にはうれしい悲鳴ってやつだね、さて、買う物は買ったし帰りましょうかね」
「はいはい、またねー」
「と、言うわけで、必要な物を買ってきたので今から仕掛けを自作していきます、根掛かりしてもどうとでもなるのでカットウ針は必要最小限しか買っていません、こっちがメーカーから出ているやつでこれと似たような感じで作れば大丈夫だけど…まあ、メーカー品とは違うタイプにしようと思います」
「メーカーのはジグヘッドっぽい感じだね、その下にちょっとごついトレブルみたいなのがついてるけど」
「そのちょっとごつい返しの付いてないトレブルがカットウ針、4本タイプもあるけど釣果には特に影響がないし、3本タイプの方が安いので今回はこちら。
でー、今回自作するのは超手抜きで簡単に作れるやつ、まず用意するのがこちら、オモックでおなじみのナツメ型と割とどこでも使える丸型の重りの2種、これらはあらかじめ蛍光塗料での着色とコーティングを済ませてあります、レッドグリーンブルーイエローのアイを用意してあるのでカスタムする場合はご自由に、メーカー品にもついてるようにちょっと集魚効果があります」
「メーカー品はジグヘッドのカラーと合わせたアイの色にしてるけどなんでもいいの?」
「何でもいいよー?どの色にしても海中でうすぼんやり光るタイプだから完全に好み、なくても重り自体も集魚効果がある色を付けてるから無くても大丈夫。
次にバス用のストレートフック、これは餌をつけるための針なので魚の口の大きさに合わせる必要はありません、あわよくばを狙うならクロダイ用とかのフグに折られない太軸の針を使いましょう、餌持ちはあまりよくないけどそっちの針で掛かる事もあるので悪くないといえば悪くはないです。
で、廃棄予定の使い古したPEまたはナイロンやフロロのリーダーとガイド補修なんかに使う接着剤も用意しまして、どのラインでもいいからストレートフックの胴に軽く巻きつけて結んで固定します、1ヶ所でもいいけど赤貝は2個3個と付けるのでズレ防止のためにこの辺りかなー?というところに2つ3つラインでズレ防止の団子を作って接着剤で固める」
「このくらい?」
「もうちょっと大きめの団子で、赤貝は縫い刺しにするとはいえフグを掛けるために頻繁にしゃくりあげるから、その時に抜けないようにするためにちょっと気持ち大きめで。
接着剤をつけたら余計な物とくっつかないようにスポンジに刺して温風で速乾、乾いたらここに並べている物をどんどん組み合わせていくだけ、順番はまあ適当でいいけどまずは15号のハリスをカットウ針に結んで30から40センチくらいでカット。
最近のカットウ針は大丈夫だけど、針を溶接してくっつけている部分、ここがちょっとささくれ立ったいる場合があるから、そういう時は蛍光テープか何かでぐるぐる巻きにしてしまいましょう、今回はライトグリーンの蛍光テープを巻いてこれにもちょっと集魚効果をつけます。
次、カットウ針を結んでるハリスの反対側、ここに先ほど作ったストレートフックを結びます、結び終わったらハリスをループさせて蛍光玉を通して、ハリスを重りに通したらその上にも蛍光球を通す、通し終わったら次はスイベルをエイトノットみたいに通して固定、まあ余ったラインにスナップを付ければいいだけだからなくてもいいけど、手抜きでやるならこうやってラインを縛って、ストレートフックをおもりにちょっと密着するように引っ張りつつ、カットウ針の方を伸ばしていってスナップを付けれるだけの輪を残してギュっと。
もっと手抜きでやるならストレートフックは結ばない、滑り止めの浮止めと蛍光玉、クッションビーズ、ストレートフック、ビーズ蛍光玉、重り、クッションに蛍光玉かビーズと通していきまして、あとはもうスイベルに結んで余分を切るだけ、これが超手抜きの超簡単カットウ仕掛け。
普通はテンヤ針を使うけど、形がちょっと違うだけでほぼほぼ似たようなものだし、こっちは結ぶ必要がないからハリスに通すだけで大丈夫っていうね、それにこの針にかけるわけじゃないから多少ずれたところで何の問題もなし」
「なるほど、手抜きの方だと準備をするのも簡単そうだね、糸を通していくだけで作れるし」
「問題はこの手抜き2種は根掛かりをした時に全ロストって事かな?今回はもう寝掛かりしない、してもどうせ外せるからって事でこれにしてあるけど、根掛かりの原因であるカットウ針以外は回収したい、という時はこちら」
「オモックだね?」
「オモックだね、これの下側にもアイが付いてあるタイプを使いまして、まずカットウ針、これはハリスを結ぶところまでは同じ、でも使用するラインよりちょっと強度が弱い物かつ結んだ時に70%くらいで切れるノットで結びます。
次にこちら、自作仕掛けには割と欠かせないダブルスリーブと、ベーシックスナップ、これに通してスナップ付きカットウを作ります、好みでからみ止め防止パイプやビーズ、蛍光玉を付けてもいいです。
ストレートフックは上下開閉できるタイプのスナップの上の部分に通して閉じる、すると後は餌針を楽々交換可能、角度的な問題がまあちょっとばかしでなくもないけど…餌を付けて寄せるための針で掛けるための針じゃないので気にしなくて大丈夫、こんな感じでオモックの拡張パーツ的な感じにする方法もある」
「これならメタルジグでもよさそうな感じがするね」
「実際メタルジグでも大丈夫、ってな感じで自作のカットウ仕掛けはこんな物かな?お勧めはダブルスリーブを使って針を交換するだけでいい拡張パーツ的なやつ、これなら交換も楽々で失うのは針くらい、交換出来るので色んな釣りに対応可能、何ならそのままオモックで釣りをしてもいいと、オモックは下側にもアイを作るだけで大体何でも出来るようになるのよね」
「どこでも使えてこれ自体をルアーにしたりただの重りとして使ったり、万能だよねぇ」
「自作なら1号でマイクロジグ風から4号から12号でライトから普通のショアジギ風の物にしたり、割とやりたい放題できるね、ホロシートをつけたり蛍光カラーにしたりでさらにルアーに近づく、無着色鉛そのままの色でもいいけど、色を付けるだけでもう効果が出るのがいいところね」
「で、メーカー品の方は針2本ついてるけどこれ1本でも行けるの?」
「1本でも大丈夫、長め短めの2本あるほうがちょっと掛かりやすくなりますよってだけだし、なんだったら今作ったダブルスリーブとスナップの交換できるタイプ、それのハリスの長さを30と20か15で2種類作って2つ付ければいいのよ、1本しかつけちゃダメっていう決まりはないしね」
「なるほど、でも今回はメーカー品があるから大丈夫か」
「だね、鉛くらいならカセットコンロとフライパンがあれば溶かせるから、メーカー品みたいに針と重りとが一体になっている奴がほしいならカットウ仕掛け用重りの型を作って、針とアイにするワイヤーをセットして流し込んで作るって手もなくはない、そうまでして作るようなものでもないけど」
「そうまでして作るくらいならオモックを作ってそれにつける針の一つ…って感じで作る方が大分楽だね」
「まあ、うちは鉛を溶かしてメタルジグとか自作してるし、テンヤ針と一体型のカットウ仕掛け用重りも簡単に作れるけどね」
「そう言えば鉛とかアルミとかその他金属を溶かすための小さい溶鉱炉があったね」
「3Dプリンターでメタルジグの型を作っても流し込む金属がないとどうしようもないからね、フライパンなんかで溶かすわけにもいかないし、鉛だけじゃなく鉄に真鍮にタングステンにといろいろ溶かすならまあ溶鉱炉があったほうがいいよねって事で」
「世界中のルアービルダーが泣いて欲しがりそうな設備ではあるよね、特に3Dプリンターとか従来の物と全然違うからその気になれば1日で10も20もポンポンポーンと新しいのが作れそうだし」
「ざっと設計図を描いてPCに入力してマウスとキーボードで…っていうのが省けるからね、どこにラトルを入れてどこに浮力調整用の重りを入れてってのがあるから設計図があるに越した事はないけど、形を作るだけなら間違いなくこれが一番早くて楽じゃないかな?
とりあえずそれは置いといて、次が一番大事な餌の加工、下準備として昨日のうちに殻をむいて水分も軽く飛ばすために干してあるから、干してある貝とエビを取りに行こうね、回収したらイカやらキビナゴやらを漬け込むのに使ってるケースに放り込んで集魚剤をひたひたになるまで入れて3日くらいかな?」
「結構がっつり漬け込むねー」
「身を少し硬くしつつ集魚剤をしっかり吸わせるためにね、それが終わったら午前中の準備はもう終わりです、ロッドとかリールはお昼からだね」
「はーい、それじゃちゃちゃっとやっちゃうかー」
「ちなみにお昼は余分にとって干しておいたクルマエビの一夜干しです、お昼用のは殻をむいてないから間違えて付け込まないでね?」
「さすがに間違えたりは…ないんじゃないかな?」
オモック
毎度おなじみ重りにワイヤーを通して針をつけただけのやつ
針を外せばアイが付いているだけの重りなので淡水でも使えるしチョイ投げ用オモリとしても使える、今回は自作カットウ仕掛け用の重りとして転用した




