ペット…? ほどほどが一番
「ほれほえー、ここかー?ここがいいのかー?うりうりうりー」
「ぴっぴぴょー」
「小さいのにこのもちもちとしたお腹と触り心地のいい羽毛は癖になるねー…」
「ひよこだからこその柔らかさってのもあるからねー、元の姿に戻ったひよこちゃんの羽毛の触り心地が悪いとは言わないけど、羽軸が発達して固くなっちゃうからひよこの姿と比べるとどうしてもというのがある。
まあ、全部毟って選別したのが布団に使われてる羽毛なんだけどね、布団なんかに使う羽毛はひよこ状態より元の姿になった時の羽毛が一番」
「ぴぴょ」
「凄いでしょと言わんばかりのドヤ顔を決めてるような感じだけど、それでいいのかいひよこちゃん?ペットの羽毛を毟って布団にするほうもするほうだけど」
「ひよこちゃんとぽっぽちゃんはちょこちょこ事故死というか自滅というか、そんな感じで死体が山のように出来る事もあるから、ただ埋めたり火葬したりするよりは無駄にしないように再利用をね?後うちのペットって大体そんなものよ?全部が全部ひよこちゃんとかぽっぽちゃんみたいに死ぬわけじゃないけど、毛を刈ったり抜け殻を再利用したりはしてるしね」
「抜け殻…そういえばお兄さんってどのくらいペットを飼ってるの?ひよこちゃんは割とこっちに遊びに来たりしてるけど」
「んー…まずひよこちゃんとぽっぽちゃんでしょー?駄犬とめぇめぇとちょろすけとにょろぞー、それと滅多に屋敷に帰ってこないにゃんぷーやらいろいろ居るよー?屋敷に住み着いてるのはにょろぞーまでの6匹ね、にゃんぷーやら他のは年単位で帰ってこない事の方が多い、なんならにゃんぷーはもう10年くらい顔を見てない」
「それ飼ってるって言えるの…?帰ってくるという事はまあペットと言えなくもないんだろうけど」
「猫は気紛れだからねぇ、普通の飼い猫なら家に居つくし行動範囲も家の周辺くらいとかなり狭くなるけど、にゃんぷーやら屋敷に滅多に帰ってこないペットの場合行動範囲が普通に星を跨ぐからどうしてもね?」
「星を跨いで活動する猫って一体なんなんだろうね?そもそも見た目からして普通の猫なのかどうなのか」
「見た目は普通の猫よ?世間一般でいう猫その物、野良猫の中に紛れ込んでても気が付かないくらい見た目は普通、大きさも雑種の成猫と同じだから初めて見たら毛並と毛の色が綺麗なただの野良猫と間違えるんじゃないかなぁ?実際温泉街でその辺の野良猫に混ざって生ごみ漁ってた事もあるし」
「それはそれでどうなのよ…」
「にゃんぷーは気紛れだからねぇ、ふらふらその辺を出歩いてはどこかのお宅で飼い猫になってたり、野良猫の下っ端に混ざってたり逆に群れの主になってたり、居心地がいいとしばらく滞在して悪くなるとふらっと居なくなる、そういうやつなんだよねー」
「見てみたい気もするけど捕まらないんだろうなぁ」
「最後に見たのが10年位前の温泉街だからねぇ、今はどこにいるのかさっぱり、見かけたら捕まえておくけど撫でさせてくれるかどうかはわからないよ?飼い猫ではあるから人には慣れてるけど気に入らないってなった人には絶対触らせないし」
「猫ってそんな物だよね、しかしお兄さんのネーミングセンスよ、ひよこちゃんとかぽっぽちゃんは見た目がそのままひよこと鳩から来てるんだろうし、駄犬は何となくバカっぽいからわからなくもないけど…めぇめぇとかちょろすけとかにょろぞーって…」
「わかりやすくていいでしょ?にゃんぷーは撫で回してるとすかしっぺをするからにゃんぷー、お尻をこっちに向けてもっと撫でろって撫で回せって催促しておいてぷすーっと出してくるんだよね、気持ち良くて弛んでってのもあるんだろうけど、臭ってなるくらいには臭い」
「顔に向けてすかしっぺをしてくるのかー、ひよこちゃんはそんな事しないよねー?」
「ぴひょー…」
「お腹をつんつん突かれて昇天したみたいだね」
「ありゃー…突きすぎたか」
「そういえば次に釣りに行くところって決まってる?」
「特に決めてないかなぁ?リオはどこか行きたいところがあるの?」
「ここに行きたいっていう場所はないけど、行くなら美味しい魚がいるところがいいなーって」
「そうねぇ、魚の何を食べたいかによるかな?刺身焼き物煮物に蒸し魚、それによって堤防か浜か船かが変わってくるね」
「今を逃すとしばらくダメになる魚って何がいたっけ?」
「鮭とマグロかな?鮭が来月頭から、クロマグロが4月頭から11月まで禁漁期間に入るから、その2種は釣りに行くなら今のうち、マグロは来月も行けるけど12月1月の物と比べると脂も抜け落ちて次の餌を求めて移動開始って状態だから味は落ちるかな?」
「マグロはちょーっときついかなぁ?」
「のんびりしてるとサメに食われちゃうしね、してなくても運が悪いと一噛みで頭だけになるし、となると鮭かなぁ?車に乗って北の大地までいかないとだけど」
「鮭はトラウトがいつでもって状態だからなんか微妙だね」
「養殖もしてるし湖でも釣れるし、汽水域にキングサーモンもいればリゾートの方に行けば海水のサーモンもいるしねぇ」
「それに北の大地に行くってなると日帰りは厳しいし、次の仕事の事を考えると近場じゃないと何とも」
「年がら年中空いてまーすってのでもない限り遠征は厳しいよねぇ、恵里香さんと国内1週に近いのをやった時も前倒しで片付けて、かつキャンピングカーの中でも仕事は出来るからちょこちょこーっとやってたし」
「私の場合は撮影のためにスタジオやら街中やらいろんな場所に行かないとダメだからねぇ、1日で終わるから1ヶ月のうち半分以上は休みみたいな物だけど、撮影前には食事制限やらなんやらもあるから迂闊に釣りにも行けないし」
「モデルさんは大変ねぇ」
「以前と比べてかなりじゃないくらい楽にはなってるけど、それでも筋肉を付けすぎないようにとか、体重はこれ以上これ未満を保てとかあるからねぇ、制限が緩くなって以前より筋力は付いたけどまだまだ」
「スパッと辞めてしまえばいくらでも鍛えれるとは思うけど、何年って契約で働いてるからそれは無理か」
「いつでも好きな時にとは言われてるけど契約している以上はきっちりとね」
「リオが自慢出来るような魚拓をとれるのはその後かねぇ?デジタルはノリのいい魚拓屋さんに頼んでるから割となんでも魚拓にしてくれるけど」
「カップ麺の魚拓とか作ってるのお兄さんだけじゃないかなぁ?容器の高さに幅に内容量、成分表から何まで記載されてるし」
「文字数が多いから地味に高いんだよねあの魚拓、とはいっても7メーターのブルーマーリンの7分の1の値段とかだけど」
「横7メーターを超える魚拓を作れるってのも凄いよね、しかも船の上に引き上げたわけじゃないんでしょあれ?」
「そう、海面まで浮かせて船まで寄せてきたところの映像から解析して大きさを割り出し、ちょっと画像を加工して色をはっきり出して姿もはっきりくっきり見えるようにして、そこからさらに見え易いように背景となる海面やらなんやらを弄って作られた実物大のデジタル魚拓。
マグロはキャッチして港に戻って計量と計測、写真も沢山撮ったから解析なんかをするまでもなく正しい数字を記載出来てるけどね」
「最近の映像解析は優秀というか、99.7%くらいまでは重さも正確に出せるくらいだからそう遠くずれた数字にはなってないんじゃない?」
「誤差100グラム出るかどうかくらいだろうね、大きさも誤差が出てミリ単位のはず、ま、それは置いといて何を釣りに行くかだねぇ、クロソイが50前後でほどほどに楽しくてシーズン真っただ中だから、店長さんに船を出して貰うのもあり、ショアからでも釣れなくはないけど船からのほうが確実かな?」
「クロソイかぁ、そういえばクロソイは動画になってないね」
「なってないのよね、釣るだけならいつでも釣れるけどクロソイのみに絞ってってのはまだやってない、というよりメインに釣ってる動画を上げている人がほぼ皆無、外道でなんか釣れましたってのがほとんど、美味しい魚なんだけどね」
「じゃあシーズンが終わる前にそれ行こうよ、何を使って釣るのかは知らないけど」
「ルアーでも餌でも、カサゴとかメバルの仲間だから日中でも夜でも釣れる、メバルに近いから夜の方が活発ではあるけどね」
「簡単に釣れる?」
「びっくりするくらい簡単に、グラブでもいいしシャッドテールでもいいしリアルシリーズでもいいし、メタルジグでもアジの泳がせでも、お手軽なのはリアルシリーズにボトム用専用ヘッド、重たい目のジグヘッドとソフトの組み合わせ。
誘い方は居るところまで沈めてストップアンドゴーの巻いては止めて巻いては止めてだけで釣れる、そんな簡単なのにシーズンに入ると長さはないけど3キロとか4キロのやつが釣れるんだよね」
「それはなかなか楽しそう、食べ方としては何がいいのかな?」
「何にしても美味しいよー?刺身は勿論の事、炙りに昆布締め、醤油漬けに味噌漬け酢漬け、煮物揚げ物鍋物、皮だけをパリっと焼いたり、他の魚でもよくある湯引きにして食べたり、アラは出汁が取れるし肝も胃袋も魚卵も余すところがほぼない感じ」
「鍋物かー、いいねー、まだまだ雪が降る日の方が多いし、鍋物が美味しい魚は大歓迎」
「じゃあ後で店長さんにクロソイいこーって電話を入れておかないとね」
「で、さっきからずーっと揚げてるそれは?」
「豚の背脂、鶏皮と同じでラードもこうやってひたすら揚げて脂を絞り出して作るのよー?そして鶏皮と同じで揚げ終わった後のこの背脂も食べれる、南の島だとアンダカシーって名前で売られてるよー?」
「見た目は美味しそうだよね、カリカリしてそうで」
「カリッとしてるのは表面だけかな?カリカリに焼いたトントロと同じ、ある程度は絞り出されてるけど噛んだら残ってる脂が出てくる感じ、アンダカシーとして売られてるのはもっと絞り出されてるからちょっと違うけどね。
これはこれで刻んでチャーハンに入れたり、ちょっと甘辛く煮たり、薄くスライスしてこれでジューシーを作るのもありだし、ラーメンの具材にしてもいい、おやつにするならもっと搾り出してカリカリにーかな?」
「という事は今日のお昼はそれを使った何か?」
「そうだね、チャーハンと混ぜそばになるかな?ラーメンでもいいけど背脂をダイレクトに味わうなら混ぜそばよね、調味料控えめ薬味と脂と麺の美味しさだけで食べる薄味の混ぜそば、これがまたびっくりとまではいかないけど意外と美味しいのよ、味の濃い物ばかり食べてると物足りないどころか味が感じられずなんだこれってなるけどね」
「素材そのものの味が感じられないと美味しく食べられないとかある意味嫌がらせだよね」
「よほどな食生活を送ってない限りは普通に美味しくいただけるよ、はい、これが鍋の底にあったカリッカリになった背脂、塩でもわさび醤油でもお好きな調味料でどうぞ」
「んー…まずは塩から…」
「ま、脂をとり終わった後の揚げカスとはいえカロリーは相当なものだから食べすぎは厳禁だけどね」
「そこよねー、こんなに美味しいのにあまり食べられないとか…んむ、わさび醤油もなかなか」
「それと脂である事には変わりないから食べ過ぎると胸焼けする、その為の余分な脂は全て分解しちゃうお茶、お湯を沸かすところから始めないとだけど」
「でもそのお茶も限界はあるんだよね」
「あるね、分解させるならそれ相応の量を飲まないといけないし、脂が分解されても水分は吸収されて水分でお腹がタプタプになる、何事もほどほどにってやつだね」
「摘まむ量はほどほどにしておいてお昼に期待するか、それにしてもひよこちゃん復活しないね」
「気持ちよく昇天してぐっすりお休みだからお昼までは突いても起きないんじゃないかな?」
「それじゃあひよこちゃんを寝床に戻したらクロソイ釣りの準備でもしようかな、どういうのがおすすめなの?」
「LとかMLのバスタックルにPEの0.8か1、もしくはナイロンの2号とか3号で十分よ、リールは自分の扱いやすい大きさでベイトでもスピニングでも、後はさっき言ったリアルシリーズと沈める用の専用ヘッド、20から28グラムくらいのジグヘッドにソフトルアーをいくつか、フォールでも食ってくるからテンヤも同じ重さか少し軽いのを持っていくといいかな?」
「ソフトは選択肢が多くて悩むなぁ…リアルシリーズは海用のイワシとかアジを適当に放り込んでいけばいけそうだけど」
「リアルシリーズ含め5インチから7インチくらいでいいかと、大きくなると60超えてくるけど釣れるのは大体40から50だから、夢を追いかけない限りはその辺りかな?追いかけるならリアルアジの10インチも忍ばせとくといいかな?」
「はいはーい、それじゃまた後でー」
「お昼が出来たら呼ぶねー」
にゃんぷー
飼っているのか野良なのかよその猫なのかよくわからないやつ、でも一応はひよこちゃんと同じくご主人様のところのペットではある
よそ様のお宅で飼われてる時の名前は不明、1日2日で見切りをつけて出ていくこともあれば10年住みつくこともあるし星々を転々とする野良猫になってたりいろいろと自由なやつ




