冗談で言ってはいけない商店街 国籍ごちゃまぜ
えーと、今日はパン屋さんでバゲットとパンの耳を、お肉屋さんで生ソーセージと適当に目に付いたお肉をいくつか、八百屋さんで玉ねぎとキャベツに卵屋さんで1ケースずつの魚屋さんでいつもの牡蠣20キロ、氷屋さんでいつもの氷が50キロの酒屋さんでビールとその他ジュースもケースの…豆腐屋さんで豆乳を10リットル…くらいかな?
他に気になる物があったら買う程度にしておいてお買い物に行きましょうかね、でー…時間が時間だからお昼は食べて帰るとして…久々にお寿司屋さんに行こうかな?ついでにお土産でいくらか包んでもらって、帰りに買った物を引き取ればよし。
さて、買う物を書いたメモ帳にお財布はちゃんと持った、買った物を積むためのリヤカーも整備はばっちり、酒屋さんに引き取って貰う空のビールタンクやらサルサビアに瓶コーラの空き瓶にケースもいつもの場所に纏めてある…うん、忘れ物は無し、それじゃあ行きましょうかね。
「生ソーセージ10キロくーださーいな、それと…この豚コマも5キロ」
「今日はこれだけでいいのかね?」
「今のところは、帰りに引き取りに来るからいつも通りで」
「はいよ、帰りにドカンと買って行ってくれるのを期待しておくさね」
「でー…商店街の入り口に見慣れない車が停まってたけど」
「アレの持ち主なら今は酒屋にいるんじゃないかい?なんかの記念だとか言ってうちにも来たけど結局何も買わずに出て行ってたさね」
「もって事は魚屋さんとか八百屋さんの方にも?」
「パン屋とか卵屋、氷屋の方でも結局何も買わず出て行ったみたいさね」
「ただの冷やかしかなぁ?」
「さてね、面倒くさそうな集団だったから鉢合わせないように気を付けな、気を付けてても買い物をしてたらどこかですれ違うだろうがね」
「ここそれほど広くないもんねぇ…」
「大型でもなく昔ながらの自宅を兼ねた商店街はこういうもんさね」
「買いたかったらまず身分証をだしな、それからこの売買契約書にサイン、それが守れなきゃ一番高い酒は売らんぞ」
「まいどー、お取込み中みたいだけどいつものビールとサルサビアとコーラの配達お願いしまーす、それとついでに氷屋さんでいつもの氷を受け取ってそれも一緒にー」
「おう、このバカどもが帰ったらすぐに配達しておくよ、空きタンクと空き瓶はいつものところだな?」
「いつものところー、で、何を揉めてるの?」
「なーに、こいつらが記念だなんだとかで店の酒全部を要求してきたからよ、身分証と契約書にサインをしないと売らねぇつってるだけだよ」
「あー…全部かぁ…」
「そう、全部」
「そりゃ身分証も必要なら契約書にもサインは必要だよねぇ…数千からするやつもあるし…」
「おうよ、全部合わせりゃ軽く億は行くから踏み倒されないようにな?わかったらさっさと身分証を出してこの契約書にサインをしな、こっちは遊びで言ってるんじゃねぇんだ、買う気がないなら商売の邪魔だからさっさと出ていけ、肉屋のところでも一番高い肉つって結局何も買わずに出てきたのはわかってんだよ」
「お肉屋さんで一番高いのを頼んだのかー…チャレンジャーだなぁ…うちでもそんな贅沢は滅多にしないよ…」
「アレを買える時点で大概だけどな、端材は1000円以下とかなり安く売られてるが」
「お肉屋さんで一番高いってなると1頭買いになるし、直売になるから多少安くはなるけど時価の上に最低でも5000万は付くからねぇ…」
「で?どうすんだ?買うのか買わねぇのかはっきりしろ、こっちはお前らみたいに暇じゃないんだよ」
「んーむ…ま、私は他にもよるところがあるからこれで、氷屋さんにも氷を出してもらっておくから、配達可能になったらお願いねー」
「おう」
「とまあ商店街はそんな感じでちょっと騒がしかったねぇ、これお土産のお寿司」
「あの商店街で一番高い物とか全部買おうとするとはチャレンジャーですねぇ、いくら用意していったのかは知りませんけど、何も知らず一番高いのって言ったら間違いなく目が飛び出ますよね」
「魚屋さんもポンっと500キロクラスのクロマグロを出してきたりするしねぇ、カメラを持ってる人もいてさらに複数人だったから動画の撮影でもしてたんだろうけど、何の記念だったかはわからずじまい」
「動画を撮影してたなら動画投稿者でしょうし、目標を達成したとか登録者数が切りのいい数字になってその企画とかですかねぇ?ただその企画にーって選んだ場所が悪すぎですけど」
「酒屋さんも身分証の提示を求めて売買契約書を持ち出してたからねぇ、遊び感覚でお店のお酒を全部買うとか言っちゃダメだよね」
「本当に買うなら酒屋さんも喜んで出すでしょうけど、どちらにせよ契約書なんかにサインは必須ですよね、物が物ですし」
「1本数千万からするお酒もあるし、むしろ契約書無しで売る方が後で面倒ではある、燻製用のチップどこに仕舞ったっけ?」
「物置に無いなら使い切ったんじゃないですか?チーズとかベーコンとか結構燻してましたし」
「また山に行ってチップ用の木を取ってこないとだぁねぇ、ヒノキとかサクラとかの枝が落ちてるはずだし、リンゴとかオレンジはちょっと買いにいかないとだけど」
「香りを気にしないならその辺に落ちてる枝でいいんですけどね、ここは幸い山の中で木に囲まれた土地ですし、チップにするだけなら取り放題ですからね、適当に拾ってチップにしちゃうとたまに臭いのが混じりますけど」
「枯れると木の枝に見えるけど焼くと凄い臭いを出すのがあるよね、折った時に綿みたいなのが詰まってるから折ってみればすぐわかるけど。
んー…でもそうかぁ…チップがないとソーセージと牡蠣を燻製に出来ないし、ちょっと山に行って拾ってくるか」
「行ってらっしゃーい、私は牡蠣の殻をひたすら剥いておきますよ、ディジーももう少ししたら戻ってくるでしょうし、チップを作ってる間にある程度は済ませておきますね」
「はいはい、それじゃお任せー」
んー…チップに出来そうな枝は多数あれどサクラの枝は落ちてないか…ナラとかクヌギは沢山落ちてるんだけどなぁ…まあいいか、サクラじゃなくても燻製は作れるし、香りがちょっと変わってくるけど合わなくはないし、枝を折るわけにはいかないから妥協しておきましょ。
リンゴとかオレンジの木もあればいいけど自生はしてないからこれは買い一択で、今回はサクラの枝も取れなかったからまた今度買う物リストに追加の…ピートとかバーボン、ウイスキーオークは酒屋さんに頼んで…確かまだ酒屋さんは配達に来てなかったはずだし、いつ来てもいいようにパパっと戻って注文の準備をしておくか。
「配達に来て貰って早々だけどちょっとお願い」
「おう、なんだ?」
「ピートとバーボンオークにウイスキーオークが有ったら頂戴ー、スモーク用のチップを全部切らしちゃってて」
「ピートとオークか、オークは酒蔵に聞いて回ればすぐ集まるがピートはちょっと難しいな、モルトウイスキーを作った後の物であれば同じく蔵を回れば出てくるだろうが、今ちょっとピートが取り合いみたいになっててなぁ」
「ありゃ、貴重というわけでもないよね?」
「貴重というわけではないんだが、モルトウイスキーブームでいろんな蔵がピートに手を出してなぁ…おかげでピート自体が値上がりしてモルトウイスキーも量はあれど値段が少々上がり気味ってやつだな。
オークの方はピートに押されてちょっと生産量が減ってるが、チップにするなら生産量は関係なし、昔から熟成させてるやつの中身を出荷して空になった樽を買うだけだからな」
「じゃあバーボンとウイスキーを付けたオーク樽を1つずつお願い」
「はいよ、樽を仕入れる事が出来たら連絡をするよ」
「よろしくー」
「ついでにこっちの追加注文いいっすかー?」
「おう、なんだ?」
「コーラとソーダ、リンゴとピーチジュースのシロップを1リットルずつお願いします」
「シロップが1リットル…メーカーはどこのがいいんだ?」
「全部レッドキャップで、メーカーを1つに纏めておいた方が後々楽なので」
「何か作るのか?」
「ちょっとオリジナルのクラフトコーラとかソーダを作ってやろうかと、もうすでに有る物を混ぜるだけの簡単クラフトですけど、権力とコネがあるからこそ作れる物をね?」
「売りにでも出すのか?売りに出すってのならこっちも本気で飲料水メーカーを集めるし、普通は出来ない他メーカーの原液から混ぜ合わせるってのも出来るが?」
「ある意味御法度でもありある意味夢でもあるレッドキャップとナインスターの混ぜ物クラフトコーラやっちゃいます?メーカー名伏せてダミー会社から作らないとえらい事になりますけど」
「そこはうちの工場で製造すれば製造元はうちの工場名になるから大丈夫だな、原液を仕入れて工場で配合、後は原材料名だけ書いとけばわかりゃしねぇよ。
まあ問題は美味い物が出来るか不味い物が出来るかだな、それ1つで完成している美味いに美味いを足しても本当に美味しくなるかどうかはわからん、それこそグラム単位での調整が必要になるな」
「作りたいのは果物フレーバーのコーラなんですよね、リンゴとかピーチ、パインなんかのしっかりと果物の味と香りも楽しめるやつを、よくあるじゃないですか、コーラに10%とか20%を少量入れて割るとどちらも楽しめるフルーツ系のコーラになるってやつ、それを本気で作って売ってみようかなーって?」
「フルーツ系のコーラか、ま、原液を一通り卸して貰ってからだな、これも集まり次第連絡でいいな」
「それでお願いしまーす、まあ売りに出すにしても値段とかどれをどれだけ使っているかでまた揉めるんでしょうけどね」
「どこのメーカーも普通はうちの商品が一番、そもそも混ぜるんじゃねぇと思ってるだろうが…そこは権力でだまらせりゃいいな」
「他メーカーの物を混ぜるってのを家でやるか工場でやるかだけの違いなんですけどね」
「よっと…これで注文分は全部だな、それじゃオーク樽と原液が揃ったら連絡するよ」
「お願いしまーす」
まずは買ってきたソーセージを低温で茹でて温度を上げまして、芯温が65度になったら短時間のスモーク、最初からスモークだけで火を通してもいいけど香りは少々付ける程度でいいので短時間だけ、牡蠣も予め蒸しておいてからスモーク、そしてオイルの中へ。
スモークした牡蠣のオイル漬けも美味しいのよねぇ、味というより香りを楽しむ物だけど、素材そのままの味に香りを足してオイルで閉じ込めるだけで普通に食べるのとは違ったまた別の美味しさがねぇ…他にも醤油で煮込んで味を付けた物もスモークしてオイル漬けと。
で、次はキャベツを千切りにしてざるに入れておいて、玉ねぎを粗みじん冷蔵庫に残ってたトマトとピクルスも粗みじんにして酢とタバスコを少々、塩で味を調えたら簡単サルサソースの出来上がり、コショウを足してもいいけどスモークして香りをつけているのでコショウは不要。
後は今日買ってきたバゲットを薄く切ってパリっと焼きまして、見た目も何も気にせず籠の中に入れて山盛りに、ソーセージも軽く表面を焼いたら大皿に、オイル漬けは日を置いた方がいいといえばいいけど漬けた直後でも十分美味しいので一部は夕食に。
スープは酸味と香りを抑えたトムヤンクンでサルサソースに合わせたちょっとピリ辛な物を用意いたしまして…
「これ店で出てきたら何料理屋だよってなりますね、燻製ソーセージに牡蠣のオイル漬けに薄く切ったバゲット、さらにキャベツにトムヤンクンってもうわけわかりませんよ」
「家で食べる食事ってそんな物だよね、ステーキに白米とみそ汁がついてくるように、和洋折衷どころじゃない国籍が入り乱れた状態になるのが普通だし」
「まあ、そうなんですけどね、ソースはサルサのみですか?」
「ケチャップとマヨネーズもマスタードあるよー?サルサソースみたいに作る必要がないから出してないだけで」
「器に入れても洗い物が増えるだけですからねぇ…見た目はよくなりますけど、そういうのはお店でやる事ですね」
「たまにお店ごっこというか屋台ごっこでがっつりやっちゃうけどそれはそれこれはこれ、これこそ普段の食事って感じだよね」
「ケチャップもマヨネーズもマスタードもチューブのままどーんと、見た目を気にするならディスペンサーに入れた方が…ですけど、あれもずーっと使える物でもないですし、だったらもう最初からチューブのまま移し替えず…ですよねー」
「さてと、ディジーが戻ってきたら運んで夕食にしましょうかね」
「それじゃあそれまで調理器具だなんだを洗いつつ待ちますか」
商店街
ご主人様やディジーが普段から利用している商店街、無い物もあるのでそういう時は車に乗ってちょっと遠いスーパーへ
一番高い物をと頼むと野菜や果物でも一玉で万する物が出てくるし、酒屋や肉屋だと数千万からはする馬鹿げた物が出てくるので買う気も無いのに一番高い物をと頼んではいけない




