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似てるからモドキ 使い方次第で美味しくなる

「んー…マグロモドキもそうなんだがこのシイラモドキも結構変わってんな、通常なら緑金で死んだら青白く色が変わっていくが、こいつの場合生きてる時は赤金で死んだらカツオみたいに縦縞が出てくるし、中身もほぼカツオだし…というかシイラと同じ薄い形状でバカみたいに走るとかやべぇだろ…」

「普通のシイラでも割と泳ぐのに特化したような状態だけど、こっちのモドキはさらに走るからね、全身赤身でマグロやカツオと同じくスタミナも多いし走り始めたらもう止まんない、背ビレも通常のシイラより長いからバショウカジキみたいな急旋回も可能。

大きさ自体は通常のシイラと変わらないけど、筋肉の密度が凄いから体重が倍とはいかずとも40キロ近くまで増えるし、スポーツフィッシングにはいい魚よね」

「そのうち全身赤だったり赤白いい所取りのヒラアジモドキも発見されそうだなぁ…っと、ほんとバカみたいに走るなこいつ、微妙なタックルだとすぐ壊されるぞこれ、こういうのを相手に微妙なのを持ち出すなって話でもあるが」

「最近はリールもロッドも安くて性能がいいからついついやっちゃいがちだよねー、メーカーによって変わってくるから安いのがダメって事はないけど、そういう例外と一緒くたにするとあっという間に壊れるよねー、お兄さんはずしてー」

「なかなかいい大きさのサバだね、これはタタキにでもしようか」

「サバは生で食うと中るっていうけど、ここにいたら中るってのが間違いなんじゃないかって錯覚しそうになるよな、生で食う地域もあるにはあるが」

「この海は寄生虫とかシガテラとかテトロドトキシンとか、そういう原因になる物は全部弾いてるからね、堤防で地味に人気のクサフグも余すところなく食べれちゃう」

「普通クサフグを天日干しして干物にしてるのを見たらまず正気を疑われるだろうな、身だけになってるから現物だけを見ても判断はつかんが」

「あれ結構美味しいよね、塩水もいいけど味醂干しにしたのを焼いても美味しいし、片栗粉をつけて唐揚げにしても美味しいし」

「フグである事には変わりないからね、可食部が少ないってだけで量を作れるならおかずとしてもお摘みとしてどっちでも行ける。

まあ、量を食べるなら素直にトラフグを捌いて食べろって話ではあるんだけど、小さいからこそ短時間でいい感じに干せるってのもあるのよねぇ、シロサバフグとかシマフグだとちょっと大きいし、小さいカワハギを干物にするのと同じで小さいからこそ出来る事もある」

「大きいやつを切り身にして干すわけにはいかんのか?美味いけど骨があるというのが残念なんだよなぁ…」

「骨を残す事によって焼いたり揚げたりと火を通してる時に骨から旨味が滲み出てきて、それが身に移るから骨は大事なのよね、身離れはいいから身に骨がくっ付いてくるって事はないと思うけど」

「少量ずつ食べる物であって一口で豪快にいく物ではないからジュリアにはちょっと合わないかもね」

「トラフグとかシロサバとかその辺りは骨がなくて食いやすいんだけどなぁ…しかしこいつまったく止まらねー…似たような姿に進化しても中身は全く別物だな…」

「誕生した環境が似てて同じような進化を辿ったとしても、完全に同じじゃない限りはどこかしら違いは出てくるね、マグロモドキも見た目は似てても永久凍土周辺の凍りついた海の下に住んでる魚だし、それもあってか全身に脂を蓄えて凍結を防ぎつつ食べられない様に瞬発力と持続力も兼ね備えた進化…というか変化させた様な感じだし」

「その変化のおかげで美味しい魚が食べれるのはよき、脂はしつこくなくさらっとしつつも甘味を感じられるし、身は筋肉が凄いから基本薄切りだけどコリッコリで噛めば噛むほど味が出てきて…熟成させたらさせたでさらに旨味がねー…」

「塩焼きや照り焼きにしたらしたで身がほろほろと柔らかく崩れてまたいいんだよね、あの硬さはどこに行ったのかってくらい柔らかくなるのもいいところ」

「昨日の照り焼きは美味しかったねぇ…」

「それにしても…モドキモドキとは言ってるが正式名称とかはねぇのか?」

「ないね、何せ人に該当する生物が存在してないし、そうなると名前を付ける人も居ないからわかりやすくいうと何々モドキってなる、実際見た目自体はそっくりでしょ?シシャモにせよワカサギにせよ、マグロに今釣ってるシイラに、外見は色と模様が違うだけでほぼそっくりなわけだし」

「なるほどねー、名前が付いてないやつならまあ似たような魚ってことでモドキとかそう呼んだ方が早いか」

「敷いて言うなら体色的にシロマグロとかギンマグロ?シイラモドキはアカシマシイラとかそんな感じになる…かなぁ?」

「見た目だけならそうなるよな、縞は死ななきゃ出てこないが」

「アカマンボウもマンボウじゃないけど赤いし見た目がそれっぽいからってアカマンボウって付いてるしねぇ」

「ヒラメも平たいからフラットフィッシュとか付いてるし、名付けってそういうところがあるよな、逆にどうしてそんな名前になったってのもいるが」

「キタマクラは食べた人をキタマクラにしてきたからそう名前がついたパターン、ハリセンボンはトゲが沢山付いてるからついたパターンのハコフブはハコっぽいからハコフグ、この辺りはわかるとして、タナカゲンゲとかもうわけわかんないよね、発見した人の名前を付けるっていうパターンではあるんだけど、聞いても想像できないというか、実物を見てもナニコレとしかならないっていうか」

「私もそれは知らん」

「別名でキツネダラっていう呼び方もあるんだけど、学者の名前で登録されちゃったからタナカゲンゲという種になっちゃったパターン、学者の人は著書の中でキツネダラって言ってたんだけど…多分インパクトかなぁ…?

鍋物とか唐揚げとかが美味しい魚ではあるし、海の中にいる間はそうでもないんだけど…水揚げされた後の見た目が見た目だからババアとか呼ばれたりもする」

「何ともだなぁ…おー…まだ走りよる…いつになったら止まるんだこいつ…小さいのはすっと上がってきたが、これ本当に同じ魚か?」

「ひょっとしたらまた別のかもしれないね、何せいろいろ放流してるから何が釣れるかわからない状態だし、釣り方である程度は絞り込めるけど」

「釣り上げてからのお楽しみか」

「お兄さーん、外してー」

「はいはい」


「さーてと…釣りたいだけ釣って満足したし、撮り溜めしておいたタカムラスペシャルでも見ながら飲むか」

「そういえばそんなのもあったねぇ」

「出演した側が忘れてるってのもどうなんだろうな?」

「よくある事よ、見たところでそういえばこんなのを釣りに行ったなーくらいにしかならないのもあるけど」

「初めての時はドキドキしながらどうなってるのかーって見るけど、回数が増えるとだんだん反応が淡白になって行って、そのうち気が向いた時にしか見なくなるんだよね、私も雑誌に載ったばかりの時とか上のステージに上がった時とかは事務所の社長と喜びながら見てたけど、当たり前のようになってくるといちいち買ってこないというか、何かあったら買ってきて読むってくらいになるんだよね」

「私もテレビの出演回数がぼちぼち…ぼちぼちかなぁ?店長さんのおまけ程度ではあるけど、最初は皆で見たりとかしてたけど今じゃもうまったく、一応録画はしてあるんだけど、見るかどうかはまた別問題というか」

「まあ…出演者からすれば第三者視点で自分のやってた事を見るだけだしなぁ…一緒に見るにしても合間に裏話をするくらいだよな」

「そうなのよねー、でも今回の裏話はカットされてなかったらどこぞで使われてるはずよ?なんでスペシャルになったのかとか、どうしてそこで釣りをしてるのかとか、ジュリアさんが旅に出てなかったらついでに拉致してタダで使おうみたいな話もあったとか」

「私を無料で使おうとは酷い奴らだ」

「出演料は出ないけど最終的にはルシエラカンパニー系列のホテルを無料で利用とか、氷で閉ざされた港に砕氷船を持ってきて砕いて船を貸し切ってマグロを釣りに行くとか、結構やりたい放題やってたよ?」

「あー、マグロの回はもう見たわ、スタンディングで500キロクラスとかようやるわ」

「四捨五入で500というだけで500キロも無いんだけどね、450キロは超えてたけど」

「それでも十分おかしいわ」

「エビ釣りの餌どこだっけ?」

「冷蔵庫の中にない?」

「なっしーん」

「ありゃー…」

「そういやエビ釣りの餌って何を餌にしてるんだ?」

「基本的には練り餌よ?レッドウルフから出てる練り餌作用いもグルテンっていうやつに魚粉をちょっと混ぜてるだけの物、育てるのに使ってる飼料もいもグルテンに魚粉を混ぜてる物だからよく釣れる。

他には魚の切り身を与えてるからそっちでもよく釣れるかな?虫餌を使う場合は養殖してるゴカイを塩漬けにして水分を抜いた物を使うと餌餅がいいんだけど…まあ、練餌が一番かな?一番それが食べ慣れてる餌になるし、作るのも簡単針に付けるのも簡単」

「ま、私は部屋に戻ってお昼までのんびりするよ、さすがに疲れたし」

「はいはい、お昼が出来たら呼ぶねー」

「頑張って釣ったシイラモドキとマグロモドキは刺身で頼むわ」

「お刺身ね、はいはい、それじゃあリオはちょーっと待っててねー?ディジーにモドキ2種を渡してくるから」

「はーい、出来るだけ早く帰って来てねー?」

「渡したら後はもう処理やらなんやら任せるだけだから早い…とは思うよ?」

「そう言ってたまに1時間くらい帰ってこない事があるから困る」

「いやー…ねぇ…?調理場に山のように食材が積まれてたらそっちの処理を優先しないとダメじゃない?そうなるとどうしても…ねぇ?」

「それはわからんでもないが、まあ連絡くらいは入れてやれってやつだな」

「今日は大量に処理しないといけないものはないから大丈夫…なはず?」

「お兄さんが居ないと釣りが出来ないんだからちゃんと帰ってきてよー?」

「善処します」

「善処じゃなくて確約してやれよ」


「しかし、この練り餌結構水に溶けにくいよね、だからこそ飼料にも出来ればじーっと待つエビ釣りの餌にも出来るんだろうけど」

「グルテンは性質上水に溶けにくいからね、エビの餌に使ってるのは魚粉以外混ぜ物なしのグルテンだし、かなり持ちがいいよー?」

「マッシュポテトにグルテンを混ぜた練り餌はよくあるけど、芋100%のグルテンってどうなってるんだろうね?」

「そこはいろいろな特許技術を持つレッドウルフ、小麦でなくとも芋からグルテンを精製するという事も出来ちゃう、当然小麦成分はゼロで食物繊維もたっぷり、小麦アレルギーの人でも米粉じゃない美味しいパンが食べれる、けど名目上は釣り餌」

「釣り餌でパンを作るってのもどうなんだろうね?」

「昔流行ったのよ?全てのお店から消えて出荷待ちになるくらいには、うちのチャンネルでも料理動画の方にいもグルテンを使った料理を紹介したしね」

「それもそれでどうなのよ…ちょっと興味はあるけど」

「パンだけじゃなくピザとか麺類とかいろいろ作ったけど、サツマイモ特有の甘味があって結構美味しかったよ、菓子パンとかスイートパイとかそういうのに向いてる感じ、麺はちょっと微妙だったけど工夫すれば多分どうにかなる、食感とか芋自体の甘味は良かったから、砂糖を足してもうちょっと甘くして、補足してパリッと揚げて生クリームとか餡子とかカスタードクリームとかそういうデザート系にすると多分化ける。

他にはチョコレートとかヨーグルトでソースを作ってつけ麺風のデザートがいいかもしれない」

「あー…動画の企画的にはいいかもしれないね、裏ごしした芋とか栗を追加して練りこんで中華麺風に仕立てて、バナナとかピーチとかマンゴーのスライスを麺に乗せて、上からソースをたらーっとまわしかけて…そしたら視聴者の脳がバグるよ」

「見た目は普通に黄色の中華麺になるからねっ…と、これは何エビかなー…」

「動画を見た時はオニテナガだけだったけど今は結構増えてるよね、クルマエビにマエビ、ロブスターにイセエビと、ちょーっと混沌としすぎじゃないかな?」

「でもそのおかげで美味しいエビを食べる事も出来れば本来は出来ないイセエビ釣りを楽しむ事も出来る、天然物は釣っちゃダメだけど自宅で養殖してるのを釣る分には何のお咎めもなし、そして釣ったばかりのイセエビを頭をおもむろにバキッと折りまして、頭と胴にスプーンを突っ込んで味噌と身をお皿の上に掻き出す、ちょっと残ってるとか勿体無いとかは気にせずグリグリーっと。

掻き出し終わったら備え付けの刺身醤油を垂らして混ぜれば釣りたてイセエビの濃厚味噌醤油和えの出来上がりと、これが美味しいんだよね」

「私にもくれー」

「はいどうぞ、切ってるわけじゃないから齧り付いて噛み切る感じになるけどね」

「んー…このブリンブリンで甘い身に濃厚な味噌とちょっと多すぎるくらいの醤油が堪らないね、下品だなんだ勿体無いだのなんだ言われるかもしれないけど、こうやって食べるからこそ得られる物ってあるよね」

「切り分けて綺麗に盛らず、豪快に掻き出して1匹丸ごと齧り付いて食べれるのは自宅で養殖してる人の特権、というより半分に割って焼くのとやってる事はほぼ変わらないんだけどね、半分に割ってから焼いて身を取り出して齧り付くか、割らずに丸々取り出して生で齧り付くかの違いだけだし」

「んむ…見た目の問題なんじゃないかな?実際店で切ってない取り出しただけの生の身をドンッと出されても困る、焼きはそうでもないけど」

「間違いなく美味しいけど店で出てきたら困惑はするよね、っと、リオが釣りを放棄して食べている間にもう1匹と、次はなんでしょなー?」

「イセエビを希望、次は焼きで食べたい」

「希望されても今かかってる物がイセエビとは限らないしイセエビに化けるって事もないんだよ」

「そこを化けさせるのがお兄さん、イセエビを釣ったらご褒美を上げちゃう」

「具体的には?」

「私に焼きイセエビを献上する権利」

「それはご褒美というのかなぁ…」

「ファンにとってはご褒美かな?」

いもグルテン料理

釣り餌として販売されているのだが…普通に食べれるので一時釣り餌を料理してみたという動画が流行って店から消えた

サツマイモ特有の甘みがあるので菓子パンやスイートパイに向いてる、使い方次第では麺料理も…ただし見ている側の脳はバグる、出された人の脳もバグる

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