見えないだけで必ずどこかには付いてる お店じゃ出来ない方式
「いやー…働かずに食う飯は美味いですなぁ…実際働こうが働くまいが疲労というスパイスが抜け落ちるだけで食べ物の味は何も変わらないんだけど」
「疲れて何かしら不足しているとそれをより多く摂取させようと美味しく感じさせるとかはあるね、摂取しすぎると余った分が脂肪に変わったりもするけど」
「うっ…でっ…でも大丈夫だし?休みに入ってからグータラしてるけどお腹とかがポコッと出てきてるわけでもないし?」
「お腹は出ていなくとも体重は増えてくよー?、腕周りとか足回りとかちょっとお肉がついてきてるんじゃない?」
「ぐふっ…」
「どこから脂肪がついていくかは人それぞれ、気付き難いところからじわじわついていくとかもあるね、まあそれはそれとして沢山お食べ、次は醤油ダレと味噌ダレ漬けの脂たっぷりホルモン2種、漬ける前に火は通してあるから軽く表面が焦げ付き始めたところでどうぞ」
「くそー…この店長私を太らせて食べる気だな?」
「食べません、そしてホルモンに合わせるのが生でも食べれるタレ漬けハラミ、ハラミもホルモンというツッコミはなしで」
「ランプにしてもタンにしてもシマチョウにしても全部生で食べれる時点でぶっ飛んでるよね、何をどうしたら名前食べれるホルモンとか作れるの?って」
「育てた牛を解体しているわけではなく、大豆を変換して牛肉にしてるから雑菌とかが一切ついてないからね、だから正確にはランプとかタン風に変換、加工された物になるね、だからやろうと思えばこれぞステーキというイメージがついてる形のタンステーキも作れるよー?」
「それはちょっと興味がありますなー…でも今は目の前のタレ漬けホルモンー…あぁー…このくにゅくにゅとした食感に噛めば噛むほど溢れ出てくる脂がたまらんのぅ…」
「ビールが置いてあったらジョッキで飲みそうな感じがするね」
「さすがに飲みませんよ、でも免罪符代わりの余分な脂肪を分解してくれるウーロン茶は大ジョッキで飲む」
「余分な脂肪を分解とはいってもウーロン茶は中性洗剤じゃないから限界というものがあるからね?」
「完全に分解するウーロン茶とか作ったら結構稼げそうな気がしますねー…んー…んまーい…思わず白ご飯にのせて食べたくなる美味しさ…でも白ご飯を食べると肉を詰め込むスペースが…」
「焼肉でよくあるやつだね、白ご飯に絶対に合う、でも食べるとその分胃袋のスペースを埋めてしまうので食べる量が減ってしまうという考えに至るっていう、冷麺もそうだけど」
「そうなんだよねー…絶対合うのはわかってるんだけど肉を食べたいから物凄く悩むっていう…好きなだけ食べれる胃袋がほしいぜ…」
「好きなだけ食べれる様にするにはまずそれ相応の体作りを始めるところからだね、種族的にいくらでも食べれる娘も居るには居るけど、うちにいるメイド達は大体後天的、訓練の結果いくらでも食べれるような体になったって感じだね」
「肉を5キロくらい食べてもびくともしないからだと胃袋がほしいぜ…あ、そういえばジュリアさんでしたっけ?」
「ジュリアさんがどうかしたの?」
「いやー、あの人ってここでちょこちょこテンポンドステーキってのを焼いてるじゃないですか?」
「そうだね、毎日というわけではないけどちょこちょこ焼いてるね」
「あれって一人で食べてるんですか?」
「あれはさすがに一人で食べる物ではないね、どちらかといえばパーティー料理、文字通り4.5キロあるから切り分けて皆で食べるのよ?メイド達ならまあ一人で全部食べちゃうけど。
ジュリアさんのテンポンドステーキ地味に人気があるのよね、仕込とかも含めて時間がかかるから頻繁にではなくちょこちょこって感じだけど」
「焼くのに時間がかかるのは重さ的にわかりますけど、下味を付ける以外にやる事があるんです?」
「無い、けどその下味を付けるのが大変、本格的なローストビーフを作る時も香りや下味を付けるのに2日から3日かけてじっくりワインとかそういう香りを中まで入れるんだけど、それと同じで中までじーっくり香りと下味を浸透させるの。
下味自体は豚の背油とか牛脂に香りや味付けしてそれを肉に打ち込んで外と内側からじっくり浸透させて、表面は表面で軽く塩を振ってブランデーとかワインを塗って香り漬け、そして2日間内と外から香りと味とゆっくりと浸透させる。
そうやってした味と香りをつけたら次は焼き、焼きも焼きで結構大変で、ただ肉だけを焼くわけじゃなく、さらに旨味を追加するために玉ねぎを追加、肉の表面を焼いている間に鉄板の方で玉ねぎをバターで炒めて、肉の表面が焼けたら肉を鉄板に移動、玉ねぎを肉の表面に塗りつけて旨みを追加、そしたら炭を移動させて火力調整して焦げないようされど表面は香ばしくなるように、後は蓋をして中まで火をじっくり。
難しいのが蓋をした後は焼き上がりまで蓋を開けちゃダメってところ、蓋を開けると熱が一気に逃げて内部温度が下がっちゃうからね、1ポンドとかそういうまだ薄い物なら短時間で焼けるけど、テンポンドとなると分厚く大きな塊になるから炭で焼くというのはかなり難しい、量を間違えると中まで火が通らないか表面が焦げる、確認しようにも途中で開けると中まで火が入りきらない、火の通りが中途半端になると結構難しいのよー?」
「こういう薄い肉だと誰でも焼けるんですけどねー、時間もかかりませんし」
「分厚く巨大な塊だからこそ作り出せる美味しさってのもあるからね、見た目とは裏腹に食感も柔らかくかなり食べやすいし、肉に旨味を足すために塗りたくっていた玉ねぎもソースとして再利用されるからそれをつけて食べるとまた違った美味しさがね」
「むむぅ…食べてみたい気がしますが…今は焼き肉ですね、このハラミの表面だけを強火で香ばしく焼いて中は生のたたき状で食べるのが美味しいのなんの…」
「変換ボックスで大豆を変換して作った食中毒の原因となる物が一切ついてない物だからこそ出来る事だね」
「んぐ…でー、なんで魚はそこの海で養殖してて肉だけはそのボックスで作ってるんですかね?焼肉屋で使ってるものは普通に牧場で飼育してますけど」
「それは単純に屋敷で育ててた牛が不死になって、生きたまま肉をそぎ落としてとかやるわけにもいかないからどうするかなーってなって、じゃあ変換術を使って別の物に変えればいいじゃないってなって、それを組み込んだ箱を作って大量生産出来るようにしたって感じ。
変換とはいってもレートは毎日変わるから安定して作るためには常に大豆を沢山作らないとダメなんだけどね」
「なぜに大豆…」
「一番安定してて大量生産出来るからかな?その気になれば雑草でもその辺の土でもいいんだけど、大豆が一番変換率がいいのよ、お肉に変換する場合はね、たまにレートがぶっ壊れる事もあるけど」
「不思議ですねぇ、大豆は畑のお肉とはよく言いますけど」
「それ繋がりで変換率がいいってわけじゃないけどね、基本的には大豆なら別の大豆製品に変換する方が変換率は良いし、大豆1キロで豆腐が2キロできるくらいには」
「それ狂ってませんか?なんで倍になってんですか…」
「ほとんど水分で構成されてるからかな?黄粉だと900グラムくらいに減ったりするけど、別のものを添加して作ったりするものだとそれの価値も考えて変換されるから増えたり減ったりする。
まあ、結局は変換して作り変えてくれる星の気分次第なんだけどね、簡単に言えば交易とか為替とかそんな感じ、日々価値が変動してるので安定はしてませんよってやつ、交易とか為替じゃないから損失が出るわけじゃないんだけどね」
「よくわかりませんけど、美味しい物が食べれるならそれでいいですね、次の肉プリーズ」
「はいはい、次はちょっと箸休め的な感じで薄切りの牛ロース、片面だけ軽く焼いてレモンでどうぞ」
「薄切りを焼肉で出してくると貧乏臭い感じがするけど、食べてみるとなるほど、これはこれでありって思わせてくれるよねー」
「薄くても歯ごたえはしっかりと、今回は箸休めだから面積もとってないし赤身で脂は少ないけど、面積を広くとればそれ1枚でメインになれるくらいには美味しいね、噛めば噛むほど脂が出てきて歯応えもそれなりのバラでもいいし、サシが入ってて口の中に入れたら全体から染み出てきて口一杯に広がるのもいいよね」
「あぁー…程よい柔らかな歯ごたえにレモンの酸味で浄化されていくぅ…たまにはこういうカウンター席の1対1で向かい合うタイプの焼き肉もいいねー…注文しなくてもお勧めの順番で次から次に出てくるし…」
「焼肉屋でもこのタイプをやってみたいといえばやってみたいんだけど、問題は大人数を捌く事が出来ない、結局はあれをもっと食べたいからコレ頂戴アレ頂戴ってなるのと、自分で好きな物を好きなように焼いて食べるってのが出来なくなるから結局はテーブル席に落ち着くんだよねぇ、カウンター席と違って広く取れるから沢山置けるってのもあるし」
「飲食は回転率も大事ですけど、店長の焼肉屋は回転率そんなに気にしてないですよね、2時間でも3時間でも居座って良しみたいな」
「その2時間3時間で結構な数の注文が飛んでくるからね、種族によって食べる量が違うってのもあるけど、回転率とかそういうのは気にしない世界だからあれでいいのよ。
箸休めの次がこちら、牛脂、程よく焼いて表面がカリッとしたところでどうぞ」
「うわぁ…なにこの凶器…」
「牛肉は赤身が一番、サシの入った肉とか脂なんか美味しくないという人に真っ向からケンカを売る物だね、確かに赤身も美味しいけど、脂からしか得られない旨味という物もあるわけで、ステーキなんかにしても脂身が付いてたらついつい最後まで残して最後に食べる…なんて人もいるし、じゃあその脂身だけを焼いて食べようねっていう感じ。
ホルモンとはまた違ったカリップリッとした食感で噛めば噛むほど脂がどんどん溢れ出てくる、噛み続けると筋だけが残るからほどほどのところでね」
「やべぇ…これやべぇってことがしか出てこないくらいやべぇ…脂身単体だけを焼くってここまで破壊力があるのか…ポタポタと炭の上に落ちては燃え上がり…そして燃え上がる火で直接炙られ表面がカリッと…
一体なんなのだこの凶器は…こんなの食べたら絶対後戻り出来なくなる…でも美味しいというのがもう本能でわかってるから満遍なく直火で炙るのを止められない…」
「焼いて脂が落ちる事により脂身もキューっと縮んで締まっていくし、それにより表面がカリッと、中はプリッと、そして噛めばジュワーッと脂が染み出てくる物に仕上がるんだよね、食べ頃になったらお好きなタレで」
「どのくらい待てばいいんですかねこれ?食べ頃の判断がつかないんですけど」
「満遍なく焼いて全体がややきつね色でカリッとしたくらいで、もうちょっと脂を落としたいならもうちょっと色が濃くなるまで」
「じゃあもうこのくらいで…んー…うぁー…レモンでさっぱりした後の口の中にこれはやばいってぇ…タレがなくても脂だけの旨味で食べれる…いつまででも噛み続けていられる…」
「結構いいでしょー?普通なら切って落として捨てちゃう部分だけど、実は物凄く美味しい部位ではあるんだよね、身にサシという名の脂がたっぷり入ったのは認める、でもその周りの脂は見向きもせず、ただ焼く時の脂として使ったり捨てるだけだったり、同じ脂なのに不思議だよねー」
「これ店長の店でも取り扱ってるんですか?」
「メニュー表にはない、でも裏メニューとしてある、そして当然ながら安い、特上でも一皿小銀貨2枚って所、焼いてる間にかなり縮むから過食部分自体はかなり少ないしね」
「今度頼んでみよーっと、んー最高…」
「そしてこれまた脂だらけのミスジ、これはお刺身だからわさび醤油でどうぞ、タレでもいいし表面を軽く炙って温めると口の中でとろけるよー?」
「焼肉なのに焼かないというまた別方向での贅沢…最初はわさび醤油で…おぉぉぉ…これもさっきの脂身と違ってまた強烈に…生だからこその旨味と食感が…そして表面を軽く炙って温めたのはもう口の中で溶けてなくなる…」
「冷やして脂を溶けないようにしてる状態だからね、温めて上げると一気に溶けて溢れ出す、焼きすぎると脂が抜けきるとはいかなくてもかなり落ちて旨味が半減どころじゃないから注意ね」
「いつまででも食べ続けれそうな気がしてくる美味しさ…でもお腹がすでにちょっと怪しい…」
「なんだかんだで結構食べてるしね、ミスジで一旦終わりにして休憩を挟もうか、その間に消化を助けるマッサージやらなんやらで次に備えると」
「ついでに強力な胃薬もください、胃の中を空にして挑みたいので」
「胃薬はそういう薬ではないんだけどねぇ…とりあえずきつめのマッサージをするから、胃薬は軽めのやつね」
「はーい」
きつめのマッサージ
消化吸収を助け促進るものから疲労を抜くもの、筋肉痛を短時間で治すものから集中力を上げるものまで、ご主人様はいろんなマッサージができる
短時間で解消する分物凄く痛い、でも終わった後はすっきりとして気持ちがいい、ただし消化吸収のマッサージは体重の増加もマッハ




