バレなきゃいいんです オ…オイル漬けぇ…
「新しい服を仕立てて、下着も上下何セットか揃えて、履物も幾つか…」
「戸籍はどうします?」
「あぁー…それも有りましたねぇ…」
ロザリアが起きてきた翌日、部屋でどうするかの話し合い中。
今の状態でここで暮らしていくなら必要な物があるらしい。
「そういや私そんなの持ってたっけ?」
「有りませんよ、何所からきたかもわからない、証明する物も無い。
簡単に言えば不法入国の不法滞在中ですね。
まあ、悪いことしなければ捕まる事は有りませんし、普段行っている所でそういった情報の開示などは必要ありません。
後は…髪の色などで国外の人に見えなくもないので、何かを聞かれたらハーフかクォーターとでも言っておけばいいです」
「裁判の時は結構無茶しましたけどね」
「バレなければいいんです、見た目が綺麗な人より喋る熊の方が話題になります、なので調べようとする人はいないでしょう」
「ほーん…で、戸籍とやらはどうすれば取れるの?」
「この国であれば、生まれた時に出生届などの手続きなどをして取得、その後は死ぬまでずーっと所持していることになります」
「ならロザリアは出生届を出せば当てはまるんじゃないの?」
「これは人にしか適応されません、たとえ人より発達した動物が現れても変わらないでしょう」
「頭硬いねぇ」
「まあ…今話題と注目を集めていますし、熊のままであれば可能性は無くはないですが…」
「どうしました?」
「これですからね…」
頭部には丸いお耳、尻尾は必要が無くなったのか生えて無い。
人とは違い成長が早かったのか、比べてみると恵里香さんくらいの大きさになっている。
「どうせ私は背も胸も小さいですよ」
「とにかく、耳は帽子でごまかせますが、ここで暮らしていくならどうにか戸籍と手に入れないとまずいです。
ばれたら徹底的に突かれます、仕事なんかそっちのけで1年は突かれます、そして無駄な出費も…」
「熊から人になったって教えたら?」
「それはそれで全世界から怪しい人が来ますよ、間違いなく誘拐を企んでいる状態で。
見世物、解剖、軍事利用、クローン、他にもありますが、確実に解剖はされますね、その後クローン技術を使って複製からの軍事利用…
今でも喋る熊として狙っている人達は居るんですけどね、熊には違いないので、見世物としてテレビ出演位でしょうが」
「人型でなければまだ何とかなると」
「ですねぇ…ペットとしての届け出は出していますので、テレビ出演の依頼がくるくらいでしょうか。
誘拐と言ったことはないと思いますよ、絶対にないとは言い切れませんが、この近辺は国外の人は住んでいませんので、まあそう言った盗難事件は有りませんね」
「ペットとか盗む人いるんだねぇ…」
「居ますよ、国が違えば文化も違いますし、盗んで売ったり食べたり、人の物でもお構いなしです。
あと自分の国じゃないから奪っても良い、という考えの人が多いですね、真面目に学びに来ている同じ国の人の迷惑も考えないのでたちが悪いです」
「普通に首を飛ばせばいいんじゃないの?」
「出来たら苦労は無いんですけどねぇ、国際問題になりますし…
捕まえても最終的には国元に送り返してその国で裁判、国によっては無罪で即釈放、また繰り返します」
「それはただの盗賊団では…?」
「口の悪い言い方ですがそうですね、国一つ丸々ほぼ全てが盗賊で構成されています、ですが国と言う体を成しているので攻め込んで滅ぼすわけにもいかないのです…」
「ふーん…まあ…多分大丈夫じゃない?」
「まあこの近辺は大丈夫ですね、周囲一帯は監視カメラも有りますし、24時間監視体制を敷いています、解像度も荒い物ではなく、はっきりと映し出される物を使っています、カメラの精度が上がる度に付け替えていますので、検挙率は上がってますね。
ですのでここ数年のこの近辺では減少し続けていますね」
「そか」
「お嬢様、それよりロザリアちゃんの戸籍などをどうするか…」
「あぁ…話がそれて忘れていました、どうしましょうかね…」
暫く悩めど解決策は出てこず、程よい時間になったので先にお買物を済ませる事に。
「最近は良くこちらにいらっしゃいますね」
「まあ色々とね」
「採寸しますので此方へどうぞ」
「それにしても連れてくる人みんな美形です」
「狙ったわけではないのだけどね、成り行き…と言えば成り行きね」
「そう言えば以前連れてきていた男性は…」
「家でお仕事中ね、彼に何か?」
「いえ、付き合っている方がいないのであれば立候補しようかと」
「止めておきなさい、今はまだ滞在しているけど、何時居なくなるともわからない人よ」
まあ、狐さんが迎えに来るまでは居るけどね。
お話しつつ、ロザリアの採寸、服のデザインを決め、何度目かになる服屋での用事を済ませ、次は下着選び。
上はスポーツブラ、下もロザリアの好みで適当に選ぶ。
その次は靴と、以前と同じ店に行き買う物を買ったら帰宅。
少しの間は体格の近い恵里香さんの服で過ごすとして、再び今後どうするかの話し合い。
「見た目も耳さえ隠せば人と同じ、何か事件などが起こったり、巻き込まれなければ問題はないとして…」
「現住所は此処でいいとしまして、出身は…まあ生まれた所で」
何やら書類に色々かき込んでいる葵さんと恵里香さん。
「ロザリアちゃんって苗字有りましたっけ?」
「どうですか?親から何か聞いていませんか?」
「親熊の名前しか聞いてないねぇ、多分無いんじゃない?」
「なら適当に…山中…と」
「凄い名前負けしてますね、もう少し何とかならない?」
「ならば…ノーデンベルクで、外国生まれにしちゃいましょう」
「では外国から来て国籍を変更…」
次から次へと書類を用意しては色々かき込み、積み上げていく。
「どうするかの話し合いは何所へ?」
「どうするかを決めた結果です、最終手段とも言います」
「早い話が文章偽造ですね、ばれたら大変危険なので真似はしないでくださいねー?」
「ばれる様な事は無いと思いますけどね」
そう言いつつ書類に色々記入していく2人。
2時間ほど立ってもまだ終わらないので昼食を作るために退席。
お昼は簡単に卵やハム、レタスなどのサンドからカツ等のずっしりした物を用意。
何やら忙しそうなので手早く食べられるものでいいだろう。
「しかし、言ってることとやってることがチグハグだねぇ」
「抜けれる穴があるなら抜けて、使える物は使えばいいんです、これが通ればロザリア正式に国民になり、色々保障から何まで受けれるようになります」
「ま、こちらの書類やらは偽造ではなく正式な物ですし、一度紛れ込んでしまえばもう早々見つかる事は無いですねー」
「よくそんなもの用意できたね」
「色々とあるんですよ、色々と」
記入の終わったしょるに不備が無いかを確認し、確認が終わった後は証明するための写真を撮影。
耳をうまく隠し、問題が無いとわかれば写真を印刷、書類に張り付けて終わり。
「これでいいでしょう、出来るだけ早く終わらせるので、服ができる頃には、ロザリアの戸籍から何まで、パスポートも手に入るので国外旅行に行くことだってできる様になりますよ。」
「では出来上がった書類を全部持って行きますねー」
「お願いしますね恵里香」
恵里香さんは書類を持ち、その後軽トラックではないほうの車に乗ってお出かけ、帰ってきたのは夕食前だった。
ロザリアは夕食はまだスプーンやフォークを使用、人と同じになったがお箸はまだ扱えない。
なのでパスタなどのお箸を使わなくても食べれる物がメイン。
それと最近やたらと食卓に並ぶようになったオイル漬け…
確かに作るのは簡単だけどさぁ…
なんでもかんでもオイルに漬けるのは流石にどうかと思う…蒸したアサリ、小さいホタテはまだわかる。
いくら物は試しだからって、漬物をさらにオイルで漬けたりするのはどうなんだろうね…
たとえ失敗でも作った人に責任を持って食べてもらうが。
酒飲み達は兎も角として、夕食は普通に終わり、片づけは失敗作を食べきって倒れている恵里香さんにお任せ。
葵さん、ロザリアと一緒に御風呂へ。
「耳の近くは余り力を入れずに、後お湯が中に入らない様に少しずつお湯を流して。
流し終わったら耳周りを手早く拭いて流れ込まないようにする。
慣れないうちはハンカチか何かを軽く詰めておくといいね」
「なるほど」
「内側は濡らした布で優しく拭いて、石鹸などを使うとしても薄めて軽く、その後に濡らした布でちゃんと拭き取ること」
「耳かきなどは使わないんですね?」
「だね、痒がったり、ちょっと垢がたまりすぎた時に軽く掻く程度で、基本は布で拭くくらい」
ロザリアで実演しつつ手入れ方法を見せる。
「少しくらいなら奥まで入れても大丈夫だからこう…くいっと」
ロザリアがびくんっっと震えるが気にせずグリグリーっと…
「すると垢が取れる、けどあまりこれでやりすぎる遠くに垢を詰め込んでしまうので、そう言う時はこちら」
「これは?」
「熊耳用耳かき、軽く入れて這わせるようになぞってやると余分な垢だけを取ってくれる。
奥に落ちていく事も無いので大丈夫」
片耳が終わったので後は葵さんに練習がてらにやらせる。
「湿らせた布で軽く拭いて、少しくらいまで奥なら大丈夫…」
指を耳の奥に少し入れてグリグリ拭いて行く葵さん。
「あっ…あっ…うっ…やぁ…」
「もうちょっと奥まで…こう…」
葵さんの手を取ってもう少し奥に突っ込む。
「ふにゃぁ…」
さらにビックンビックン体を震わせるロザリア。
「かなりビクビクしてまずがこれ大丈夫ですか?」
「大丈夫大丈夫、痛いわけじゃなく気持ちいいだけだから、奥まで入れすぎると痛いけどね」
「なるほどー」
さらにグリグリと刺激する葵さん、そして更に小刻みに震え始めるロザリア
「んー…」
ロザリアが反応しているのが面白いのか、さらに刺激を続けた結果…
「ふっ…あぁ…」
「あー…」
「あら、ロザリアどうしました?」
「失神しちゃったね」
刺激を送られ続けた結果、ロザリアは失神してしまった…
「あられもない表情だけでなく、涎も凄いですね…失神しても時折跳ねてますし」
「敏感で感じやすい所だからねぇ、もうちょっと優しくしないと、まあこれも勉強だね」
涎どころか鼻水に涙に、穴と言う穴から液体が流れ出ている…
お湯で体を流して綺麗にした後、2人で体を支えて入浴。
程よく温まった所でお風呂から上がり、着替えさせた後は葵さんにお任せ。
葵さんと別れた後は食堂に戻り様子を確認、余程微妙だったのかまだ倒れている…
だから白菜の浅漬けをにんにくとオリーブオイルに漬けるのは止めようと…
片づけは全く進んでいなかったので代わりにお片付け。
洗い物が終わったらまだ倒れている3人を担いでお風呂場へ。
服を剥ぎ取ったら湯船に放り込んでお仕事完了、後は放っておけば正気に戻るだろう。
その間に部屋から適当に着替えを拝借して脱衣場に置いておけば良し。
さ、部屋に戻ってさっさと寝よう…
「来ました、来ましたよー」
「なにが?」
「待ち望んでいた展開です!」
「そう、それで今度こそ確かなの?」
「ご主人様にお風呂で弄られた結果、失神した娘がいるのは確かです。
2対1のようでしたが」
「そう、それで最後まで行ったの?」
「失神した後は介抱して終わったようですね、最後までは…いってないですね、ですが時間の問題かと」
「そう、まあ準備だけはしておこうかね」
耳を弄られた結果、あられもない姿になった熊はいた。
が、弄っていたのはご主人様ではなかった…
やはり当てにならないポンコツセンサーであった…
背も胸も小さい
単にタッパの有る人に囲まれてるので小さく見えるだけ
周りが175~180の中一人だけ165、小さく見えるのも致し方なし
苗字
直訳すると北山さん、北国の山生まれ
書類
バレなきゃ犯罪じゃないんですよ…
ばれたとしても実は問題ない、どうとでもできる
オイル漬け
西野家に住んでる酒飲みの人にプチブーム
最初の牡蠣から始まり燻製チーズ、豆腐なども漬け、なぜか白菜の浅漬けもオイルに漬けた、酔っぱらいの凶行ともいう
お手入れ
耳の位置が人とは違うので、人と同じように洗うとお湯が耳の中に入り放題
弄りすぎ注意、穴と言う穴から液体が出る




