盤外戦術も有り 緩いけど締めるところは締める
「さぁ今年も始まりましたメーカー対抗バス釣り大会!まあ堅苦しい物ではなく新年の挨拶を兼ねつつライバルにジャブやらドストレートをぶちかますほんわかほのぼのとした大会でございます、賞金も賞品もないので本気になる人はまあ多分居ないでしょう、居たら居たでプロならもっと余裕を持てって感じですね、勝てばメーカーのお偉いさん方から金一封が出る可能性があるので肩肘張るのもわからないでもないですけども。
あ、レッドウルフに関しては勝ったところで大した物は出ませんよ?記念品として特別仕様のRシリーズが送られてくるだけです、性能はRシリーズそのままで装飾とデザインに拘って推定5000円に値上がりしたやつが送られてくるだけです、使うなら普通のRシリーズでいいのでガレージに飾るくらいしか使い道がないですね。
今年の参加メーカーはほぼ例年通り、去年との違いがあるとすればネレイド、ラハブ、J&Mの3社が参戦したという事ですかね?ラハブとJ&Mは国内に社長やら契約しているプロアングラーは居ないので代わりに支部のスタッフが参戦、ネレイドも契約してるプロアングラーが居ない状態ですので、プロの代わりにいずれプロになるであろう2人が参戦します。
まあ…毎度おなじみたまに出てるゲスト1号2号ですね、一応この大会に参加するということは各メーカーのお偉いさん方との顔繋ぎ、メーカーを代表するプロ達との顔繋ぎ、非公式の緩い大会ではありますけど、錚々たる面々が揃っているので参加するだけでも実績としては十分、ある意味就職活動みたいな物ですね。
さて、それでは本大会のルール説明、ロッドの長さは210までのパワーがLまで、リールの番数に制限は有りませんがラインは4lbまででPEは禁止、、ルアーサイズは特に制限なしでフックは全てバーブレスである事、ランディングは必ずネットでぶっこ抜きやハンドランディングは禁止、持って帰って食べるつもりなら有り、各メーカー社長と副社長、無理な場合は代理を含む代表4人で参加、勝敗は3匹の合計重量で決める。
タバコやお酒を飲みながら釣るのは有りだがポイ捨ては即退場、飲食物の購入は社長と副社長に奢って貰うか自腹で買う事、バーブレスを忘れた場合表の店で買う事、道具の貸し借りは自由、途中でお店に買いに行くのも有り。
開始が午前5時終了が15時の10時間、持ち込んで計量して確定させた後は自由、時間内に戻ってくれば川に行って釣りをするもよし海で釣りをするもよし、入れ替える事は出来ませんがバスを釣り続けるもよし、ヤジを飛ばすのもあり、まあ自由ですね、お堅い大会ではないので。
現在時刻は4時50分、参加者の皆さんは挨拶も準備も終えて開始を待つばかり、一体今年はどこのメーカーが勝つんでしょうねぇ?例年通りならレッドウルフですが、勝負は終わってみるまで分かりませんからね、今年はネレイドとラハブ、J&Mも参戦してきましたし、ひょっとしたらレッドウルフの不敗神話が崩れるかもしれませんね。
あ、そうそう、ラハブとJ&Mのブランドアンバサダーであるジュリアさんは選手としては参加しません、ラハブ代表として参加するとJ&Mが、J&M代表として参加するとラハブが…と角が立ってしまいますので、解説兼ヤジ飛ばし担当として参加します。
そして!去年はゲスト1号と2号がレッドウルフ代表として参加していましたが、今年はネレイドに持っていかれたので…なんと!店長さんと妹ちゃんが代表として参戦でーす!でも妹ちゃんは屋台もやってるので空いてる時にちょこっと釣るくらいしか出来ませんし、店長さんも店長さんで花井ちゃんと発注やら配置換えをやってるのであまり出てこないと思います」
「主催が店の方に行って出てこないってどうなんだよ、というより参加選手に屋台の営業をやらせるなよ」
「いいんですよ、記念すべき第一回を除き毎年社長と副社長の釣果だけで優勝してますし、丁度良いハンデですよ」
「あの2人そんなに上手いの?」
「上手いというか、その日その時その場にいる大物だけに刺さるパターンを見つけるのがやたらと早いんですよ、数を釣る時は大きく時間のかかる余計な時間をかけない、兎に角数を釣るためだけのパターンをすぐ見つけますし、駆け引きも上手ですし、経験なんかはプロに負けますけどプロより上手いのは確かですね」
「まあ、プロとかになってないだけでプロ並みってのはその辺に居たりするからなぁ、あくまで趣味であってプロになって忙しく大会に出るのは嫌だからなってないってのとか、大会その物が好きじゃないからならないとか、そうやって埋もれてるのは結構居るな」
「あの2人に関してはまあ…趣味じゃないですかね?社長とか副社長やってるのに縛られるのが好きじゃないみたいですし、割と仕事を放り出して逃げたりしてますからね」
「逃げて大丈夫なのかそれ?」
「何とかなってるから大丈夫なんじゃないですか?最後まで放置して逃げたままって事はあまりないようですし」
「たまにはあるのか…よく社長を続けていられるなぁ…」
「絶対出なきゃいけない総会とかは出てますし、そうじゃない契約を切られてもいいような物からしか逃げませんからね。
さーそれはそれとして開始時刻になり参加者はゆるーく散って行きました、壮絶な場所取り争いとかそういうのはないです、管理釣り場ですし、究極的に言えばどこで釣ろうが結果は変わりません、放流してある大きいバスを寄せてきて釣れるかどうかってだけです。
まあ、場所によってはパッと見何も無い水面だったり、杭が出ていたり立ち木があったり、木の迫り出しがあったりアシが生えていたりしますが、ラインが4lbまでというのもありますし、あまり攻めた釣りをしすぎても巻かれてすぐにラインブレイクしますので、そういう場所を取れたとしても有利に働くとは限りません。
この管理釣り場ではいかに魚をコントロール出来るか、ストラクチャーなどからどれだけ引きずり出して食わせる事が出来るかが結構大事ですね、他にはどれだけ完璧なタイミングでフッキングを決めれるか、食い気を出しすぎず、かといって出させすぎずでルアーを丸呑みさせない状態に持っていけるかも結構大事」
「食い気を出させすぎたら確かめるための口を使う前に丸呑みにしてくるからなぁ、その時点でもうラインブレイクが確定するとかかなりいやらしいぞこの管理釣り場、普通のバスより歯が発達してザラザラを通り越してちょっと鋭利まで行ってるし、普通にやったら25lb30lbでも簡単に歯で切れるようなやつを4lbで釣れとか言ってるし」
「大会ではない一般だと6lbまでと緩和されてはいるんですけどね」
「焼け石に水だろ」
「ですが1キロの差は大きいですよー?」
「まあ、そうだな、1キロ変わればドラグの強さも変わるし、多少なりとも強引に寄せてくる事が出来るようになるし、やり取りは大分楽になるな」
「一応この場にいるのは曲がりなりにもプロだったり、釣るための道具を作ってるメーカーのお偉いさん方、なら4lbでも楽勝で釣れるよね?って感じで大会は4lb制限です。
とりあえず始まったばかりでですし、動きがあるまではここで待機ですね、やる気がないのか余裕をぶっこいているのかわからないレッドウルフの社長と副社長と同じ様に屋台で何か買って食べるとしましょう」
「社長と副社長がさぼりだとレッドウルフチーム実質全員欠場じゃねぇか」
「多分朝が早かったので朝食を抜いてきたんでしょうね、それに他のメーカーの社長や副社長ものんびり屋台で注文してますし、あまり気にしても仕方ないです、こういう緩い大会ですので」
「いろいろと気の抜ける大会ですこと」
「へーい、昼飯ついでに様子を見に来たけど我がレッドウルフチームはどんなもんかね?」
「今のところ最下位だな」
「えぇ…まじでぇ?」
「マジで、だって一匹も釣ってねぇもん、社長と副社長は屋台で朝飯食った後もいろいろ買い込んであそこでヤジを飛ばしてるだけだし、妹ちゃんはごらんの通り、注文があそこの休憩所から飛んできて屋台から離れられない状態、だからだーれも釣りをしてない」
「おーぅ…まあ…問題ないといえば何の問題もなかったりはするけど…ボウズで終了はちょっとねぇ…」
「社長と副社長が釣りをする気がないなら妹ちゃんを屋台に縛り付けておけば不戦敗を狙えるんじゃないか?という各メーカーの社長副社長による盤外戦術ですね、釣りはプロ達に任せて自分達は胃袋で戦うっていう」
「だんだん注文するサイズが小さくなってきて量も減っていってるもんな、最初は普通にラージサイズとか頼んでたけど今は全員Sサイズだぞ」
「そうまでして勝ちたいのかレッドウルフ以外のメーカーは!なんて言ってる場合ではなく、これは真剣にまずいなぁ…妹ちゃんは動けない、社長と副社長は動き気が全くない、残り時間は後2時間で…」
「もう殆どのメーカーは入れ替えをやめて計量して確定させてるから、それを超える重量を釣ればまだ勝ち目はあるぞ、ちなみに現在の1位は3匹で18キロな」
「うぉぉ…地味につれぇわぁ…最低でも7キロ1匹と6キロを2匹釣らないとダメなのか…ここはオーナー特権で10キロクラス…隠し玉の15キロをドッカン放流するか…?」
「主催も主催で盤外戦術に出てどうするんですか、しかもそれほぼ禁じ手じゃないですか」
「くっくっく…勝つためなら何でもやるさ!とまあ冗談は置いといて…残り2時間かー…とりあえず花井ちゃんにお昼ご飯を届けに一回戻って、食べ終わって戻ってくるのに30分として…ちょっと本気を出せば何とかなるか…?」
「1時間くらいでどうにかなんのか?」
「多分ねー、とりあえず飯食ってくらぁ、その間に社長と副社長が釣っておいてくれれば言う事なしなんだけどねぇ」
「あの調子じゃ無理じゃないですかね?道具だけは準備してますけどほとんど飾りと化してますよ」
「去年一昨年と社長と副社長のみで勝ってる部分もあるし、今年は私と妹ちゃんが参加って事で参加しなくていいと思っている可能性もなくはなし…こっちはこっちで店の模様替えやらなんやら、妹ちゃんは屋台でなんやらと…」
「模様替えはもうハナイだけに任せて1匹でも釣らないとレッドウルフだけボウズで終わりだな」
「それだけは避けたいところだなぁ…まあ飯食ってくるわ」
「おう、もういっその事このまま終了までのんびり飯食ってていいぞ」
「試合放棄する主催と一昨年と前年の優勝者ってどうなんよ…」
「何のために参加してんだこいつらってなるのは確かだな、あ、妹ちゃーん、一口フィッシュ南蛮のおかわり頂戴ー」
「地味に足止めに協力してんじゃねぇよ」
「はい、というわけで大会初日お疲れ様でした、今回はバスとトラウトの2ヶ所でやるので結果を発表したら緩やかーに移動を開始するわけですが…まあ結果発表からですね、今年は我らがレッドウルフの社長と副社長がサボりにサボって動かねぇわ、妹ちゃんは屋台に掛かりっきりで参加出来ないわ、店長さんは店長さんでお店の模様替えで終了間際まで参加出来てないわとまあいろいろ滅茶苦茶でしたが…
妹ちゃんと店長さんがほぼ参加出来てない以外はある意味フェアだったとは言えるんじゃないですかね?社長と副社長が全く動かなかったので他のメーカーの社長と副社長も参加せずヤジを飛ばしてましたし、フルメンバーで挑んでいたのは社長と副社長がいない、プロもいないので代理できたラハブとJ&Mのスタッフくらいですね。
スタッフに関しては初参加なのでハンディキャップとしては丁度良かったんじゃないでしょうか?」
「そうだな、実際何度もラインブレイクしてたし、他のメーカーは2人、ラハブとJ&Mは4人の手数でってのが丁度良い感じだったな、それでも下から数えた方が早いってのはお叱り案件になるだろうが」
「厳しいですねー、一応ここにいる参加者全員記念すべき第一回目はどんぐりの背比べでしたよ、同じように食い込ませすぎたりコントロールミスで巻かれたりでラインブレイク多発、参加してるプロモ社長も副社長も初見というのもあり、ハンディキャップとして店長さんも妹ちゃんまたはお兄さんも参加しない、代理でこれまた初見のメイドさん2人を立てたわけですが…
まあ…うちの社長と副社長はアレですし、メイドさんはメイドさんでプロがびっくりするくらい場数を踏んでるのでハンディキャップも何もない状態でしたけどね…
で、今年はもう大丈夫だろうと代理を立てずに参加と相成ったわけですが…結局いろいろあってハンディキャップマッチになった感じですね」
「普通なら試合放棄と見なしていいくらいだよな」
「でーすーがー…そこはもうオーナーでいろいろ知り尽くしている店長さん、午後の微妙な時間とはいえ1時間もあればまあ釣りますよね」
「妹ちゃんも閉店の札を下げて30分ほど参加、参加出来た時間が時間だったから結果を確定させるための計量はギリギリの時間だったが…まあこの結果を見るとお前らもう大会に出るんじゃねぇって言いたくはなるよな」
「というわけで結果発表行くぞー!今年のメーカー対抗管理釣り場バス釣り大会の優勝はー…なんと!何の面白みもなくレッドウルフです!もう出禁でいいぞお前ら!7時間粘って2位が18キロなのに対して1時間と30分しか参加してない2人で24キロも釣ってんじゃないよ!」
「タカムラお前本当に隠し玉の10キロクラスをドッカン放流したのか?そういう手段を取ってくるのはさすがにどうかと思うぞ?」
「してねぇよ!つーか見えないところで放流出来るわけないだろ!前日に大会用の5キロクラスから10キロクラスまでは放流してるけどさぁ!」
「ま、冗談はさておき、2位のメーカーはまあ相手が悪かったなとしか言えんな、あの2人が参加する前は4キロという大差をつけて独走状態ではあったし、最後までそれは変わらなかったが…知り尽くしているタカムラと底が知れない妹ちゃん相手じゃあどうにもならんよな。
周りが計量して次々と確定させていってたとしても時間ギリギリまで粘って100グラムでも多くなるように釣り続けるべきだったな、勝ちに行くなら7時間で計量に来るのはちと早すぎだ、周りが3匹で10キロ前後、計量に来た時のトップでも12キロだったのを考えると18キロいってりゃまあ安泰と思うかもしれんし、7時間粘って18キロだから残り3時間で参加してきたとしても勝てると思ったのかもしれんが…最後まで何があるかわからんのが釣りだ、そんなんじゃグローリーリバーで勝つ事は出来んぞー?」
「グローリーリバーは妹ちゃんのせいで大幅にルール改定がされちゃったっていうね、以前は4メーター5メーターを超えるデカいピラルクやらピライーバを1匹釣るより、キーパーギリギリのピーッコックを10匹釣る方がポイントが高くなるっていうルールだったからねぇ。
それで4メーターのピライーバやら6メーターのピラルクという化け物を釣っても2匹合わせて200ポイントしか入らんのはどうなんよと、世界中の雑誌社から突っつかれまくってルールが大幅改定されましたよと。
まあ今年声がかかってる人がこの中に何人かいると思うけど、緩い大会だからと余裕ぶっこいて早々に計量してるようじゃあ勝てないぞ?」
「と、ジュリアさんやら店長さんからの忠告があったところで大会初日は終了でーす、この後は明日の舞台であるトラウトの管理釣り場まで移動になりますので、トラウト用のルアーを忘れたという人は改装中のお店で買うか、管理釣り場のロッジで購入してください。
まあバス釣りより更に緩く、大会というよりはもう釣って楽しんだりバーベキューをしながら今年の大会に向けて英気を養うとかそんな趣旨の物ですので気楽にどうぞ、ロッジの宿泊代から現地での飲食代は全て主宰である店長さんの奢りとなります」
「養殖だけとイトウやらサーモントラウト、ブラウントラウトの刺身やらいくらやら親子丼やらが食べ放題だぞー?肉もいいものを用意してるから夕食を楽しみにしておけよー?それじゃ一旦解散ー、出発は16時だからそれまでにトイレやらなんやら全部済ませておけよー?」
「というわけで初日の配信はここで終わりでーす、明日はもう大会というほどの物ではないけど一応配信はしていきたいと思います、それではー」
フィッシュ南蛮
チキン南蛮のチキンを魚に変えただけの物、南蛮漬けではない
厚めの衣で上げた唐揚げ、または天ぷらにした後とろみのある甘酢に絡めてタルタルとレモン汁を少々、甘酢の代わりに甘辛タレでも美味しい




