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悪役令嬢の婚約者【完全版】  作者: 水琴窟
起 シルビア
1/8

1.

 


「じゃあ、いってくるよ」


 そう言って颯爽と旅立ってゆくあの子を、私と父は耐えながら見送った。行かないでの言葉を飲み込んで。

 これは世界の予定調和。免れない運命。彼がこの家を出て名門学園に入学し、そこで出逢う仲間とヒロイン♂と共に数々のミッションを乗り越えて、やがて彼らのうちの誰かがこの国の王となる。場合によってはー世界破滅のバッドエンド。

 何でも良い。とにかくハッピーエンドになってくれ。そうなってくれるなら、あの子とこれが永遠の別れでも良いから。


 前世では全く縁のなかったロザリオを握り締めながら、もうあの子の姿が見えなくなった道の先を、父とずっと見つめていた。ーーもしよければ、そんな私と父の話をまずは聞いて欲しい。






 前世で我が家は父子家庭だった。しがない町に住むしがない工場のしがない従業員と、しがない公立学校のしがない女子高校生。別にそこまで珍しい境遇でもないだろう。

 片親と未成年ということでなかなか大変なこともあったが、首を吊るほど絶望的だったわけではなかったのは良かったと思う。月に二度くらい麺なし出汁なしモヤシ醤油ラーメン一食の日があったくらいだ。月に一度くらいショートケーキを二人でひとつ食べられたのだからプラマイゼロである。

 ただひとつだけ、高校卒業間際の某日早朝に竜巻に巻き込まれたのだけは未だに納得がいかない。清く正しく慎ましく細々と暮らしていたはずなのに一体どういう了見か。泣いて良いか。大して信心深くはないが是非小一時間ほど問い詰めたい。お陰で予想より遥かに早い転生なるものを体験するはめになった。


 今世でも我が家は父子家庭だった。しがなくない領地のしがなくない名家のしがなくない身分の当主と一人娘。目立つのが嫌いな私と父は軽く絶望した。泣きたい。

 ちなみに容姿もしがない前世からイメチェンして驚きの美男美女になっていた。この顔は未だに慣れない。出来れば黒髪黒目が良かったが、どうやらこの世界でその色彩は希少らしいので諦めた。

 前世を二人同時に思い出したのは市場でモヤシの安売り大セールスを見た時だ。モヤシはどの世界でも庶民の味方だ。流石に混乱したが、とりあえず今世もよろしくと落ち着いている。当時満三十八歳と満七歳。気分はもう父子というより同志だ。


 そんなある日に転機はやってきた。初の弟が出来た。父にとっては初の息子が。


 彼の名前はグレン。緋色の髪に真紅と金のオッドアイという、いっそ視界の暴力とも言える美少年である。

 そんな彼の色彩が私にひとつの記憶を呼び覚ました。『Rainbow knight〜虹色の幸せ〜』というパッケージ名のBLゲームである。


 前世の私には親友がいた。それこそ何故しがない公立学校にいるのか謎なお嬢様である。馴れ初めはさておく。

 結論を言えば親友は重度のゲーマーであり貴腐人であらせられた。つまりそのゲームは所謂BLだった。ヒロインが男の子の物語である。

 その親友の一番のお気に入り攻略対象キャラが、つまるところあの子だったのだ。「グレンさまぁぁあああああああhshs……!!!」と悶え叫んでいるところを何度見たことだろう。そんな親友の姿を私以外の誰かが見たことは一度もないと思うが。


 前世の私にゲームに勤しんでいる時間もお金もなかった。よって自ら興味の向く余裕もなかった。

 だから一方的に聞かされていただけだが、親友にとっては黙って聞いてくれる誰かは貴重だった。奨学金で通っていたので課題をバリバリこなす片手間、ハッスルをBGMに聞いていた。耳年増とはこういうことかと、興味がなかったはずの世界を着実に知っていった。

 親友は大層語り上手で、驚くほど「はぁ」「へぇ」しか言わない私に細かい世界観やキャラの魅力をこれでもかと語った。自作同人誌の解説もあった。荷物持ちに京都大阪まで休日出張したこともある。交通費全額支給で。

 まぁあそこまで嬉々と愛をハッスルしてくれるといっそ気持ち良いものがある。他のゲームについても日々色々語っていたが、やはり濃厚だったのは『Rainbow knight〜虹色の幸せ〜』のことで、あの子のことだった。


 ひと言で『グレン』の人生を表すと、実に凄惨だ。

 世界に名を轟かせる名門の嫡子。幼い頃からありとあらゆる分野の帝王学を叩き込まれ、なまじ生来的に優秀過ぎたからこそ期待通りに育った。

 ところが、周囲からの重圧に彼はいつしか二重人格となる。どんなに優秀でも幼い子供には酷だったのだ。そんな自分を守るためにもう一人の自分を生み出し、"俺“と"僕“となる。そうなる決定打が両親の不慮の事故だった。

 優秀な能力は二人分となり二倍どころか二乗になる。常識的には有り得ない幼さで彼は家の当主の座を継いだ。優秀だから出来てしまった。

 やがて学生生活との二足草鞋となってもそれは変わらず、むしろ加速する。表向きは人当たりの良い優等生、だが実のところ自分以外は決して信頼しない排他的な性格だった。

 大人子供に関わらず彼に向ける感情は畏怖や崇拝。勉学、スポーツ、何においても勝利しか知らない彼は完璧で彼の言動は絶対。それゆえ、やがて集う仲間からは魔王属性と囁かれる。

 そして肝心のヒロイン♂だが、初めはやはり恐れ慄きつつ、しかし数々のミッションやイベントを経て彼の心を開いてゆくというのが『グレン√』の基本ストーリーだ。


 ここで『Rainbow knight〜虹色の幸せ〜』の全体像を解説しよう。

 舞台は魔法が存在する世界の魔法学園。世界最大規模を誇る完全実力主義の学園の狭き門を潜り、そこで更に実力を磨き上げた者達は必ず偉業を成し遂げると言われている。

 学園は広い校舎と様々な付属施設、そして六つの寮を備えており、本屋やブティックなどがあるショッピング用の一角や専用の医療機関もあり、まるで縮小版の都市の様になっている。

 莫大な財政をもってこの学園は運営されていた。学園生活に不便は一切なく、最高の設備で最高の授業を受けられるここで、超一流の人間が育つのだ。

 よって生徒はみな、将来各部門で国や世界を支え、各分野の代表となるべき者達が勢揃いしている。大半は親世代が有名な貴族・武家・議員・弁護士・医師で、その跡を継ぐ子供達であり、あるいはスポーツ等で既に何らかの成果を上げている者だけが学園の門を潜ることができるのであった。ごく平凡な世界を生きていた私にとっては目眩のするような世界観だ。


 この学園のシンボルマークは、将来の王者となる人物を育てる学び舎という意味を込めて、花の王である薔薇が使われていた。生徒たちが入る寮にもよくある薔薇の色として赤・黄・緑・青・紫・桃が目印に用いられている。生徒たちは皆、その才能に従ってそれぞれに分類される。

 政界や弁護士などを目指す文系の天才や秀才は「レッド・ローズ」

 役者・ダンサーの類の芸能に精通する者は「イエロー・ローズ」

 医者やITに秀でた理系の天才や秀才は「グリーン・ローズ」

 スポーツや武道の成績優秀者は「ブルー・ローズ」

 音楽・絵画など芸術のセンスを持つ者は「バイオレット・ローズ」

 そして数少ない女子生徒は才能の種類に関わらず皆「ピンク・ローズ」

 寮の色に合わせて、制服のネクタイや胸元のピンなど小物の色が変わっており、どの生徒がどの寮かは外見で判断できるようになっているという、例えBLでなくても乙女心を擽るような設定だ。


 攻略対象キャラは、この六つの色彩を代表するイケメン六人(ネタバレするとピンク・ローズの攻略対象が心が男性の女の子設定である)。そしてこの学園に諸事情で転入して来るヒロイン♂を中心に繰り広げられる王道学園ラブロマンスが『Rainbow knight〜虹色の幸せ〜』である。


 さて、ここまで了解して貰ったところで話をあの子に戻したい。


 だいたいこの手のゲームには攻略対象ごとにENDのパターンがいくつか用意されている。

 夢見る乙女達は美しいスチル獲得のためにも全制覇を目指すのだ。例えその先に過酷な運命や死が待とうとも邁進する。どんなに辛くとも全制覇してこそ愛するキャラの全てを理解出来るのだと言う。隠し√なるものもあると言うのだからなかなか手が込んでいる。

 ただどのENDになるにしろ、攻略対象の秘密や過去の記憶などがストーリー全体のキーになるのは変わらない。

 親友曰く『グレン』は「王道の王子様キャラに見せかけた魔王属性の俺様キャラでヤンデレ色が濃い孤高の帝王」らしい。そういった性格や人柄の根底には、名家の嫡子ゆえの孤独があるという。一言一句違わずノンブレスで言い切った。


「いいこと?グレン様はね、本当はとっても寂しがり屋なんですのよ。父親は厳しかったけど母親はマリア様のように優しくて、彼の唯一の心の拠り所でしたの。でも二人が突然亡くなってしまって、グレン様は家を守るために孤高になることを選んだのですのよ、たったの七歳で……!!だって周りはグレン様に取り入って名家を我が物にしようとするクソ豚野郎どもばかりだったんですもの!!グレン様はハイエナのようなそいつらを蹴散らしましたわ。負けないように誰も信用しないで、自分だけが味方だって。いいこと?グレン様は確かに天才ですわ、でも自分に厳しい努力家でもあるんですのよ。遊ぶことも休むことも自分には必要ないって、あぁそんなストイックで孤独なグレン様を癒すことが出来るのはこのヒロイン♂だけですわ……!!グレン様がね、ヒロイン♂のことをアクアリウムのようだって例えるんですのよ。そばにいるだけで癒されて、透明感のある雰囲気が似ているって。ラブポイントがかなり貯まらないとこのセリフは聞けないんですの、もう、そこに辿り着くまでどれだけ苦労したか……!!本当にグレン様が一番手強かったですわね。だからこそ!ヤンデレモードになった時は逆にヒロイン♂への愛が感じられて堪らないですわ!!」


 前世の記憶を思い出してから約三年後。

 雪が降る中、馬車の中で私は父に『Rainbow knight〜虹色の幸せ〜』と『グレン』のことを打ち明けた。喪服で、これから葬儀の場に向かうところだった。

 手元の写真の美少年と、確かに聞いたことのある有名な学園の特徴が非常によく似ていること。もしかするとこの世界は……という私達の転生事情の可能性。

 荒唐無稽な話だ。違ったなら違ったでその方が良い。ただもし私の推測が当たっていた場合、絶対に回避しなければならないEND√があるからこそ打ち明けた。


『グレン』のBadENDは、なんと世界の破滅だった。世界規模のBadENDだった。

 他の攻略対象キャラのBadENDはヒロインの監禁や心中などあくまで個人レベルなのに、何故『グレン』は世界レベルなのか。泣くぞ。

 前世で話を聞いた時は設定パネェくらいの感想だったが、本気で巻き込まれるかもしれないなら話は別だ。親友が涙ながらに語ってくれたお陰で細部まで覚えている。

 経緯はこうだ。ヒロイン♂もヒロイン♂で類稀なる能力の持ち主だということが学園生活の中で少しずつわかってゆくのだが、そのせいでヒロイン♂が世界平和のためという大義名分の元に犠牲になる。その時にはヒロイン♂を愛するようになっていた『グレン』が世界を憎み、その優秀すぎる力を自ら暴走させて世界を破壊し自分も死ぬ。究極的なまでに誰も救われないパターンである。


 いやだ冗談ではない。

 というわけでまずは父に打ち明け相談した。我が家はどうやら『グレン』の実家と縁があったらしいと驚いている暇はない。「僕はゲームに詳しくないけど……」と私と二人きりの時だけに戻る前世の一人称で、少し戸惑いながらも父は聞いてくれた。

 おそらくこれから向かう葬儀は彼の両親のもので、そこに幼い『グレン』がいる。しかも一部は人目を盗んで暴力を振るい、力づくで言いなりにさせようとする虫ケラでもあるらしい。ゲーム中の説明ではさらっとした文章で済まされていたが、親友は自作同人誌でそこらへんを掘り下げて描いていた。


 そうこうしているうちに葬儀の場に到着した。見渡す限りの喪色。空は灰色の曇天。――すすり泣く声はない。慟哭の声もない。涙のひとしずくもない。二つの棺桶の前に立ち尽くすあの子を、クソ豚野郎どもが、ハイエナの目で、虫ケラのように下卑た顔で囲んでいた。


 僕が後見人になるよ

 うん


 ネグレクト絶許。その場での私と父のヒソヒソ会話はそれだけだった。


 結論を言うと、彼を引き取ることが出来た。

 幸いなことにどうやら我が家の立場はかなりのものらしく、「私がこの子の後見人となろう」と父が言うと周囲は恐れ慄き、何か言いたそうにしていた一部も父や私が一瞥すると真っ青になって沈黙した。

 それはそうだろう、何せ父と私は不本意なことに、非常に悪名高い顔つきをしている。美男美女であるが、何度鏡を見直しても映るのは悪役顔なのだ。毎朝生きた心地がしない。モブであった前世とは雲泥の差である。

 実際に悪の所業をしたことはないにも関わらず、この顔のせいで勘違いされることが多い。ちなみにゲーム中では実際に極悪役だった。この葬儀では幼い『グレン』が心ない言動でその孤独を深める一因であったし、何より将来的にはヒロイン♂を世界平和の為と唆すゲス令嬢なのだから笑えない。


 前世で父は結婚するまで天涯孤独の身の上だった。奇しくも『グレン』と同じように両親を不慮の事故で亡くし、その際に親戚によって遺された財産などを掠め盗られ、虐待もあったらしい。病死した母と出会うまで疑心暗鬼の日々で、だからゲーム云々関わらずあの子を放っておけなかったのだ。


 とりあえず私と父ならまずヒロイン♂を唆したりしない。既に最悪は回避出来たも同然。だが油断は出来ない。あの子の孤独が破滅を導くなら孤独でなくせば良い。あとはいたいけな少年達にちょっかい出すクソ豚野郎がいないか見張ることだ。

 あの子に遺された財産や資産、屋敷を守りながら私と父は全力であの子を可愛がった。前世から通算して初めて出来た弟である。息子である。可愛がらないでどうする。どうしようもない。


 あの子は可愛い。


 確かに世間一般的に見れば少しばかり難しい子だった。そこは生憎と庇えない。

 叩き込まれたのであろう帝王学のお陰で七歳とは思えないほど精神的に大人びていたし、他愛ない遊びに誘っても「それをすることによってどんな利益があるのですか?」「どんなことに必要となるスキルなのですか?」云々の議論に持ち込んでくる。白状すると何度がキレかけた。

 だがそこは年上の意地である。こちとら前世から通算して伊達に長生きしていない。どんなに大人びていようとこの子は大人ではないのだと自分に言い聞かせた。

 父も一緒だったことは大きかった。たぶん私だけでは攻略は無理だっただろう。大人の包容力まじリスペクトである。どんなに悪役顔だろうが、前世からの腐れ縁である私には父の菩薩のような心意気が手に取るようにわかった。どんなに似合わなかろうが、あの子を撫でる手つきはマリアだった。

 私でもそこまで優しくされたことはない。だからと言ってあの子に嫉妬する暇などない。世界の破滅を防ぐべくここぞとばかりに便乗した。指通りの良い髪を撫で回した。陶磁器のようなほっぺに頬擦りした。肌がカサついていると淡々と指摘された時は抓ってやった。モチモチだった。

 ところが最近になって、今だから笑い話ですがとメイドさん曰く、当初は悪役顔の私達がいたいけな美少年を誑かしているようにしか見えなかったと。なんだと。


 あの子は可愛い。


 愛でられて戸惑う瞳がなんとも言えない。途方に暮れた顔が庇護欲を掻き立てた。断じて変態ではない。私はショタコンだったのかと悩んだのも最初の頃だけだ。

 何の利益も必要もない、その時その場で楽しむだけの遊びにぎこちなく、それでも一生懸命ついてこようとする健気さに泣いた。本当に優秀だから直ぐにコツを覚えてしまうのには腹が立ったが。

「……ねぇさん」と躊躇いがちに呼ばれた時は飲みかけのジュースを口から溢した。「……とうさん」と呼ばれた父はワインを溢した。私達は家族だと事あるごとにさり気なく言ってきたが、強制したいわけではなかった。引き取って二周年の日の夜ご飯の時だった。叫んだ。


「「 ウチの子マジ天使……!! 」」

「……!?」


 あの子は可愛い。


 猫が好き。でも犬は苦手。好きな飲み物はマシュマロココア。可愛すぎて意味がわからない。この子を魔王とか言った人ちょっと出てきなさい。

 ゲーム中にはなかった情報が小出しにされるたびに私と父は萌え死んだ。今なら親友と共にハッスル出来るのに大変遺憾である。

 真正面からじっくり向き合ってみれば、あの子は実に素直で優しい子だった。そして寂しがり屋だった。親友の解釈は間違っていなかったようだ。

 ある時「面倒臭くないの」と尋ねられた。はてと聞き返すと「……二重人格だし」と言う。僅かに揺れる瞳は怯えていた。呆れた。今更である。

 あの葬儀の時点であの子は既に"俺“と"僕“で、ふと気づくと入れ替わったりしているのだが思ったほど支障はなかった。性格や口調が少しばかり違う気はするがガラッと違うわけでもない。ガラッと違ってもどうにかなっただろう。要は慣れの問題だ。

 むしろ私と父としては二人分可愛がれるから儲け物である。誕生日プレゼントは毎年二人分用意している。初年のケーキのスポンジ生地を焦がしたのは許して欲しいところだ。


 幸せだった。


 父は領主として忙しくも私達の面倒をよく見てくれたし、私も家庭教師に淑女教育を受けつつ父の仕事を手伝うようになっていた。あの子と読書をする静かな時間が大好きだった。世話を焼いているつもりで、年々立場が逆になりつつあるのはやっぱり腹だたしかったが。

 雰囲気や表情が少し柔らかくなったと領民との距離も少し縮まった。なるほど天使効果か。但し社交パーティーで馴れ馴れしくされるのだけは頂けないが。

 あの子はゲームのスチルのような冷たく美しい笑顔ではなく、年相応の柔らかい笑顔を見せてくれるようになった。社交パーティーで疲れた時の唯一の癒しだったし、一緒にいると不思議と誰も近づいてこなかった。なるほど天使効果か。


「学園に行こうと思うんだ」


 引き取って五周年の夜――ひと月前、そう宣言された私と父の動揺と落胆は凄まじかった。


 いつかこの日が来ると思っていた。わかっていた。ただ似ているだけと済ませるには学園の特徴はあまりに似通っていた。あの子も。

 それにゲーム云々を除いても、あの子の能力は本物だから各方面から声がかかるに違いない。いずれにしろこの一緒の暮らしは終わる時が来る。家族だが、血は繋がっていない。

 あの子にはあるべき場所がある。帰るべき家がある。私達は幼いあの子が決定的に潰れないよう、心を壊さないように介入した一時的な避難所に過ぎない。私達は最初から、あの子の人生の過去となるポジションだ。


「そこで、もっと力をつけたい。何にも負けないように。だから――ありがとう」


 こんなに悲しい「ありがとう」があるなんて知らなかった。

 私達に何が言えるだろう。学園に行くことはあの子の中でもう決定事項だ。むしろ普通に考えて行くべきだ。行かなくてもあの子はエリート街道まっしぐらだろうが、学園でしか得られないものもきっとある。

 それでも不安だった。一時的な避難所にはなれたとは思う。だが学園ではどうなるだろう。我が家での暮らしはどれほど効果があるだろう。

 あの子は孤独にならないだろうか。寂しくならないだろうか。もしかしたら我が家で暮らしたことが仇になる可能性だって否めない。

 あくまで下地がゲーム通りだとして、これから出会うだろう仲間達は、ヒロイン♂は、あの子にとって良い存在になってくれるだろうか。なにせ√によっては攻略対象キャラ同士で決闘などすることもあった。


 あの子は強い。だが万能ではない。チートだろうが能力極振りだろうが弱いところもある。

 願わくば、例えヒロイン♂でなくても誰でも良い、一人だけでもあの子のそばにいて癒してくれる誰かがいて欲しい。優しくて、寂しがり屋で、頑張り屋なあの子の。


 懸念事項はあの子個人のことだけではない。『Rainbow knight〜虹色の幸せ〜』には全攻略対象キャラ全√共通にして最大のイベントがある。物語のクライマックスとも言えるそれは『七色の覚醒』と呼ばれていた。


 ヒロイン♂と攻略対象キャラが親睦を深めヒロイン自身の秘密や能力が少しずつわかってきたところで、とある事件が発生する。学園の七不思議と言う伝承がある。生徒の一部が遊び半分でそれを暴こうとして封印していた悪魔が目覚めてしまうのだ。

 そこで学園中上位の実力を持つ攻略対象六人とヒロイン♂が協力して悪魔を倒す、あるいは封印し直すのだが、このイベントが鬼畜なのは所謂ノーマル√でなければ必ず誰かが死ぬのだ。『グレン√』のBadENDであれば言わずもがな。

 つまりヒロイン♂が良い具合にバランス良く全員と仲良くなって、尚且つ誰にも傾倒し過ぎないで大団円を目指してくれなければならない。そんなバカなことがあるか。ゲーム制作者に怨念を吐き出したくなった気持ちをわかって欲しい。花盛りの思春期のあの子達に恋をするなと、友愛で済ませろと言うのか。


 私と父に出来ることは限りなく少ない。

 いかな身分でもあの特殊な学園に介入することは簡単ではないし、そもそも介入するとして何をどう説明すると言うのか。未来視が出来るとでも言えば良いのか。高尚な魔術師でも簡単に出来るわけもない芸当である。

 それともいっそあの子に正直に全て話して引き止めれば良かったのだろうか。当初より親しくなったのだから、おそらくあの子は頭ごなしに否定はしないだろう。むしろ心根素直なあの子は信じてくれそうな気さえする。


 だが結局はロクに話せなかった。どう話せば良いのか、吉と出るか凶と出るか、わからなくて判断出来なくて、ここで初めて本気で怖いと思った。


 それまでどこか俯瞰していたのだ。そう、親友のハッスルを聞いていたように。

 だが実際にあの子と出会って接して一緒に暮らしてすっかり情が湧いてしまった。完全に自覚した。ここは現実世界で私達は当事者なのだと。前世から通算して初の酷い知恵熱を出してしまい、もうすぐ出発のあの子に盛大に心配をかけたことは最大の不覚である。

 暴こうとした犯人の生徒はモブだったから正確な名前もわからない。わかったら外側から圧力かけることもできたかもしれないのに腹だたしい。それとなく七不思議のことを話して、そういう伝承は侮ったらダメだ、悪戯しようとする生徒がいれば注意してと言うことしか出来なかった私はバカだ。

 誕生日にあの子から貰ったロザリオを胸に、この日は他に何をする気も起きずにベッドで丸くなった。




 ――それから、更に五年が経った。


 私と父は田舎で暮らしている。

 生活水準としては前世と同じくらいだろう。悪くはない。ちょうど小麦の収穫期で地元の人達と農作業に勤しみ、「ちょうど焼きたてだから持って行きな!」という厚意で有り難く受け取ったパンの袋を抱えて父のところへ帰る途中だ。


 半年前、曽祖父の代から何かと対立していた派閥から政治的な攻撃を受けた。我が家は領民を守る為に、信頼出来る伝手を頼り家名及び領地を国へ返上したのだ。

 今あの地は国直轄の領地になっているから、他所の派閥の介入は受けないだろう。領民の生活もこれまで通り保証される。

 家名返上はもちろんおいそれと許されることではない。無責任だという声もあるだろう。実際にこの悪役顔が噂を助長して悪役に仕立て上げられている部分もある。いたいけな少年達にちょっかい出そうとしたのをコテンパンにしてきた腹いせだろう。

 だが父と私は決断した。ギリギリまで対抗したし粘ったが、これ以上は領民が傷つくと判断したのだ。家同士の繋がりで成立している貴族社会でも縁は殆ど切れ、持ち上がっていた私の縁談ももちろん白紙。誹謗中傷はゴシップとなって社交界を賑わせていることだろう。


 これもまた信頼出来る伝手を頼ってこの田舎に移り住んだ。父の業績や功績を知る役場の人により好意的に受けいれられた。

 この悪役顔で最初はコミュニケーションに少し苦労したが、今ではツナギ姿も板についている。前世で身につけた自炊やDIYのスキルを大いに発揮して、なかなか有意義な暮らしをしていると思う。ただ、強いて不満を言うなら、田舎だから情報伝達が遅めという点だろうか。


 数日前に回覧板が回ってきた。学園に封印されていた悪魔を滅したという。


 心臓が握り潰されるかと思った。可能性はとっくの昔に予期していたのに驚くほど動転した頭で、父になんとか宥められながら上手く読めない文字をなんとか追った。

 重症人多数の文言。だが、死者についてはどこにも触れられていなかった。出なかったのか、敢えて記事にしなかったのか判断はつかない。

 回覧板の最後には学園に対する批判も載せられていた。

 なんとあの学園は、そもそも悪魔を封じるために創立者が建てたらしい。昔、悪魔と契約したが手に負えなくなった末にムリヤリ地下深く封じ込め、その封印を保つために強い魔力を有する実力のある者達を集める目的で。その秘密を知るのはごく一握りで、当然のことながら今や世界中から非難を浴びているらしい。

 前世では知らなかった情報だ。知っていれば権力をフル活用して学園ごと潰していたのに。あの子のことになると私も父も少々思考がバイオレンスになってしまう。


 そして昨日の回覧板で、悪魔事件の全容が記されていた。

 奇跡的に死者がいなかったこと。事件の収束に尽力したのが学園内でRainbow knightと称され注目されていた優秀な六人の男子生徒と、珍しい転入生の七人であること。悪魔を滅しただけでなく、学園が世間に隠していた事情を暴いたのも彼らであり、証拠を隠蔽しようとした学園側を国に堂々と突き出したこと。

 更に世間を沸かせているのは、次の一文だろう。今回の事件を受け、我が国は七人の功績を讃え将来的に国の中枢へ迎え入れることを検討しているーつまり、王宮勤めという安泰な未来がほぼ保証されたも同然である。


 実は攻略対象六人のうち一人が王族で、特に優秀な人材を自ら見出すために学園に生徒として入学したことはプレイヤーであれば知っていることだ。誰が次期国王であるかは√によって変わり、HappyENDであればもれなくその攻略対象キャラになる。

 貴腐人の方々にとって最大の醍醐味はここだろう。国王の選定はやはり世襲で、世継ぎをもうけなければならない。つまり流行りだったオメガバース設定でない限りヒロイン♂と攻略対象キャラが結ばれることは本来有り得ないことだが、そこでHappyendまで漕ぎ着いた相応の努力の過程が生きてくる。

 最終的にヒロイン♂と国王となった攻略対象キャラが結ばれる理由はそれぞれだが、周囲が二人の仲を認めて世継ぎもどうにかなってしまう。どうにか出来てしまうのがゲームクオリティ。だが、物語の筋道を知っていればそれなりに納得できる仕上がりになっていたからこそあのゲームは好評だったのだろう。


 良かった、あの子は無事だ。

 本当は実際にこの目で確かめたいが、流石に今すぐここから走って見に行くわけにもいかない。やる気だけで言えば十分だが、現実は世知辛い。彼の無事を知って父と泣いてしまった眦の赤みはもう引いただろうか。


 細いチェーンで首から下げていたロザリオを服の中から取り出す。中心には、あの子を象徴する赤い石が嵌められている。


 あの学園は基本的に六年制だ。飛び級で卒業試験さえ受かれば短縮も可能だが、あの子はどうやら順当に卒業するつもりらしい。あと約一年経てば、王宮へ――今よりもっと遠いところへ行く。

 五年。あの子はどんな学園生活を送ってきたのだろうか。

 手紙のやり取りはしていない。学園側が禁止していたからだ。それも秘密が漏れる可能性を少しでもなくすためだったのだろう。

 ちゃんと息抜きしていただろうか。頑張り屋のあの子は休むことを忘れてしまうから。ちゃんと食事はしていただろうか。身体の栄養だけでなく心の栄養も大事にしてくれていたら良い。野良猫くらいいただろうか。時々で良いからのんびり昼寝くらいしていて欲しい。


「――――……グレン」


 冷たく美しい笑顔ではなく、年相応に笑い合える仲間に出逢えただろうか。ヒロイン♂の子はゲームで言っていたような、アクアリウムのような子だったのだろうか。――誰かを、好きになっただろうか。


「グレン……」


「なに?」


 いつの間にか道の真ん中で立ち止まって足元を見ていた。

 のろのろと顔を上げると、記憶よりずっと精悍な顔つきの――それでも、私を見る瞳は変わらないやわらかさを湛えて、そこにいた。


「………………え、サボり?」

「……っぶ」


 笑われた。解せぬ。


「まず言うことがそれなの?」

「だって」

「まぁ良いけど。学園側が授業どころじゃないんだよ」

「あぁ……」

「その様子だと知ってるんだね」

「何日遅れかわからないけど」


 天使は最上級の美青年になっていた。

 甘く整った顔立ちはそのままに、まさに貴公子と呼ぶべきキラキラしさと文武両道を体現したような男らしさを十二分に兼ね備えて、私などの予想を高笑いする勢いで粉砕し美の至高をこれでもかと具現化して逞しく成長されていた。有り体に言えば目が潰れる。

 だが私は矛盾したことに、間抜けに口をあけっぴろげて凝視していた。


「そんなに見つめられると、流石に照れるよ。……それとも見惚れた?」


 あぁでもはにかんだ笑顔は天使成分……と思いきや、流し目されて今度こそ固まった。なんだろうか、この壮絶なる色気は。学園中の子達は大丈夫だったのか心配になる。主に腰が。


「あの、なんで……」

「迎えに来た」

「は」

「連絡手段がなかったとは言え、気づかなくてごめん。でも、もう大丈夫だから。これからは俺が守るから」


 呆然としているうちに手を取られて、指先に口付けられた。そんなバカな。

 ロザリオを見ながら、彼はそれはそれは美しく微笑む。


「良かった、ちゃんと虫除けになったみたいで」

「え、あの、」

「頑張ったよ。学園の普通の授業じゃ物足りないから論文書きまくって、ツテもコネも作って、ちょっとしたビジネスも興して自力でゼロから稼げるようになった。魔法も魔術も剣の腕も磨いて、魔法騎士団のトップも負かした。君のためだけど、悪魔退治にも役に立ったな」

「グレ、ン」

「でも、ちょっと後悔したこともある。やっぱり人間って汚いよ。子供も大人も。家名や顔だけ見て胡麻擦ってくるようなやつらばかりでさ。そうじゃないやつらもいたけど……あの日、君と義父さんに出会わなかったら、どうなっていたんだろうね。いつか堂々と君を迎えに来られるように決めたことだけど、やっぱり会えないのは寂しかったし、たまに息抜きしようとしても、君が隣にいないからどうすれば良いのかわからなかった。猫もいないし」


 髪切ったんだね、と肩くらいになったプラチナブロンドの髪をさらりと梳かれる。さっきから色々とナチュラルすぎやしないか。だが私はと言えば混乱してそれどころではない。


「な、なんで」

「ん?」

「ヒロイン♂は」

「ヒロイン?」

「あ、えっと、……例えば、転入生の子、とか」

「転入生?あぁノアのこと?顔も知らないはずなのに心配してくれてたんだ。大丈夫、少し怪我はしたけどシオンがついてる。王族と言うだけあってなかなかの実力者だよ。ノアも根性はあるみたいだし、二人なら良い国にしてくれると思う」

「王宮に抜擢された、って」

「その話なら蹴った」

「蹴っ」

「だって、ずっと望んでいたのはそこじゃない」


「シルビア」


 真紅と金のオッドアイが艶やかに目を細めて私を見る。……おかしい。何故こんなにも危機を感じるのだろう。笑っているはずなのに凄まれている気がする。


「どうして他の男のことを気にするの?もしかして好きなの?実は知り合いだったとか?だとしたら僕としたことが迂闊だったな…」

「あ、変わった……って、違う、違うよ、好きとかじゃないし知り合いでもないし、ただちょっと気になってというか」

「ふぅん?まぁそれなら良いけど。もしそうなら殺していたよ」

「ちょ、」

「義父さんは俺の気持ちわかってるはずだし、婚約者とか作らないはずだって思ってたけど。でも虫除けつけたって心までは流石に介入できないし、だからちょっと心配してたんだけど良かった」


 なんということだ、いつの間にか腰を抱き寄せられて密着している。こうしていると鍛えられた身体が服越しでもよくわかった。背もずっと高くなった。良い匂いもする。目眩がした。

 もう手を引いていた小さな手はどこにもない。


「やっと言える。領地のこと聞いて、後始末放り投げて慌てて来たから急拵えだけど、でももう十分待ったから良いよね。――シルビア、愛してる。お嫁さんになって?」


 なんと、いうことだ。

 お嫁さんになって――それは、『グレン√』のHappyENDの、最後の決め台詞だ。

 他の攻略対象キャラでは、ちょっと気障な言い回しだったり、ずっとそばにいて欲しい、みたいな台詞なのに、誰よりも大人びていて崇拝すらされるキャラの『グレン』のまさかの「お嫁さん」発言は鼻血ものなのだと親友が熱く語っていた。

 そういうものをギャップ萌えと言うらしいが、今の私は別の意味のギャップに衝撃を受けていた。


 だってそうだろう。『Rainbow knight〜虹色の幸せ〜』はBL作品だ。それで尚且つこの子はメイン攻略対象キャラで。全てがあのゲーム通りというわけではないのはわかっているけど、それでもその大前提があるからこそ“ありえない”と思い続けてきた。なのに、これはどういうことだ。


「あ……」


 ここで私はふと思い出した。

 思い出して驚愕する。何故今まで思い至らなかったのか。ー胸元の赤い石のロザリオが『グレン√』の重要なアイテムであることを、何故あの時思い出さなかったのか。理由は簡単だ。それまでどこか遠慮していたこの子が、初めて贈ってくれた誕生日プレゼントに親友並にハッスルしていたからである。


 この赤い石のロザリオはHappyENDへ繋げるために必要なアイテムだ。

 まずこのロザリオを贈られるように頑張って選択肢を選ばなければならない。だが手に入れただけではダメで、最後まで油断は出来ない。ヒロイン♂も初めはロザリオを渡された意味がわからず、それでも大切にしながら更に仲を深めていき、やがて悪魔事件が発生する。その直前の会話が――


「ねぇシルビア」

「はい」

「俺のこと好き?」


 考える前に、私は笑っていた。


「バカ言ってるんじゃないですよ、二人とも大好きです」


 選択肢は四つあった。「はい、僕も君が好きですよ」「わかりません」「突然どうしたんですか」それと今のだ。HappyENDかノーマルを目指すならこの一択のみである。キーポイントは二重人格であることまで肯定しているかどうかだ。


 だけどゲームをなぞったわけではない。


 “ありえない”と意識的にも無意識にも思っていた。先入観だった。だからロザリオのことも気づかなかった。思い込みとは恐ろしい。

 そういうもの、ならしょうがない。最初から“ありえない”のだから。そう思えば傷は浅かった。

 でも、もう良いのか。大前提はもう関係ないのか。

 そう実感したら、気負うことなくするりと封印していた気持ちが出てきた。最初から失恋だと思い込んで封じていたものが。


「うん。……あぁ、やっと手に入れた。もし他の答えだったら監禁か心中していたよ」

「怖いこと言わないで(……ヤンデレの芽は摘み取れなかったんだなぁ)」

「なに?そうならなかったんだから良いだろう。あぁそれと、君と義父さんを追い詰めた奴らは今頃牢屋だから安心してよ」

「なにしてるの!?」

「制裁。本当は手ずからいたぶってやれたら良かったんだけど」


 可愛い天使だったあの子は、ちょっと過激な格好良い美青年になって帰ってきた。

 親友がこの結末を見たらどうするだろう。反対するだろうか。それとも祝ってくれるだろうか。


「グレン」

「なに?」

「あのね、」


「ずっと前から、あなたのお嫁さんになりたいって思ってました」


 そう、ずっと前から

 ー前世のあの頃から。

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