95話 マイ・テン
マイ・テン・・・
世界の原初は、完全性によって担保されたマイ・テンにある。
しかし、そこが完全であるがゆえに誕生したいくつかの不完全な思想があった。
それがユピテルとクロノスである。
ユピテルとは、概念的に言えば「状態」であり、クロノスは「変化」である。
ユピテル・クロノスは、のちに双子の神となる。
「状態」と「変化」は、マイ・テンという母胎においては、あまりにも不完全であり、歪過ぎた。「状態」は、そもそもが流動性を前提にしており、定義があやふやである。しかも見る者、見る場所、見る時間によって無限の意味を持ってしまう。「変化」に至っては、独立して定義できない、生まれながらにして矛盾を抱えた思想ともいえた。
この2柱神は、互いにからまり合い双子の神となり、マイ・テンを捨てた。いや、「排除」された。
だが巧みにマイ・テンの一部を切り取り、そこを前域と名づけ、ウラノスを育んだ。
この双子の神は、のちにケイオスという別神格で呼ばれることになる。
つまり前域の核は《混沌》であり、ウラノスの母胎でもある。
当然ながら、混沌のアンチテーゼであるウラノスは、この前域に身を置き続けることはできない。
混沌は、ウラノスを育むことができるが、確立した法則は混沌のままではいられないのだ。
力を蓄えたウラノスは、前域を出て、門を築いた。
その2つの世界を区分するために、巨大な川まで設けて・・・・
人間を創造したウラノスは、ユピテル・クロノスの愛を一身に受けて育まれたが故に、祖父(?)であるマイ・テンとは異なる完全性を追求することになった。
それが、人間を憑代にした「上書き」および「追記」によるアップデートシステムである。
マイ・テンは、「削除」・「排除」の機能によって今の姿を完成させた。ユピテル・クロノスという最高神ですらを「排除」してしまうその機能は、ウロボロスと呼ばれる。
このウロボロスによって、これまでどのようなエラーであっても、マイ・テンに影響を与え、帰還したものはいない。
唯一、ユピテル・クロノス の補完完全体である混沌だけが、この「排除」機能を巧み利用し、前域の切り取りに成功したのだ・・
そのあまりにも厳しすぎるシステムに比べると、ウラノスのシステムはあまりにも優しい。
人間という脆すぎる肉体の器に注がれた混沌の魂は、器自体の性質によって容易に変質し、母胎であるウラノスすらを揺るがし、傷つけ、時には書き換えてしまうのだ。
前域に居ながら、門を眺めるウラノスの子孫たちは、この人間の振る舞いに常に歯がゆい思いをさせられることになる。
果たして人間とは一体なんなのだろう?
ウラノスの両親たるユピテル・クロノスを模った「器」の担う役割とは?
そして、人間だけに赦されたウラノスの書き換えという力・・・これは何を目指しているのか?
ただひとつ、そこには疑いようもなく、ウラノスの人間への愛情と信頼が溢れている。
そして今、そのウラノスの嫡子たる人間らが、彼らの曽祖父にあたるマイ・テンの腹中へと侵入したのだ。
終末の大天使ガルバ=エルの導きによって・・・
皆様もそうだと思いますが、私もこの社会的な混乱で執筆を中断してしまいました。
大変ご迷惑をおかけ致しました。
一度離れてしまうと、このページを訪れる事すら忌避感が湧き、しばらく閲覧すらできなくなっていました。
ところが、つい先日のことですが、ふとこのページを訪れると「レビュー」の書き込みがありました。
本作への感想を受けるのは実質初めてのことだったし、2ヶ月近くこのことから離れていたので、純粋に驚きました。
たった2行「読んでよかった」という趣旨の、実に短い感想をいただきました。
このお言葉で、もう一度書こうという勇気を確かに頂いたのです。
これまでただの趣味として、自分の勝手気ままに書き続けるつもりでしたが、声援の力を本当に実感致しました。
これは私にとって、大変重要な経験となりました。
皆様、どうかご声援のほどをよろしくお願い致します。
一言でも背中を押していただけると、本当に心強く、私にとっても未知のストーリーが生み出されると言うことが分かりました。
必ず返信をさせていただきますので、どうか温かいお言葉をいただけるとありがたいです。




