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81話 緩いセキュリティ、ピザとステイ・ホーム

〜ダヴィド〜

す、すごいな・・・

()は、何の迷いもなく、私を引き連れて、建物を出て、街を抜けた。

多くの人々で賑わっていたが、怪しまれる素振りすらなかった。


しかし、戦争の直後だというのに、なんという賑わいだろう?

攻め込んだであろう私がいうのもおかしいが、被害どころか、様々な人々が溢れ、こんなにも活発な街は見たことがない。

その割には、セキュリティは脆弱だと判断せざるを得まい。


おそらく大罪人である私が、フードを被っただけの変装で、街から簡単に脱出できてしまっている。

こんなことでは、この街はあっという間に奸計に陥り大混乱になるだろう。

何しろ、あの教皇ゲラシウスに睨まれているのだから。


ともかくだ、私は()()()()と共に、ヴァティクーンに帰還しなければならない。


ゲラシウスが私をどう迎えるのかわからないが、私は教会の洗礼を受けた勇者なのだ。

もちろん、あまり目立つ行動はできない、()がいるのだから。

時間はかかるだろうが、徒歩で目指すしかないだろう。

教会が、アンデッドを使役しているなどという話が広まれば大変なことになるからな。


()()は、できるだけ小さな街伝いに大宗教都市ヴァティクーンを目指した。



〜シモン=アザ・ゼル〜

(あるじ)様の御加護により、私の能力は、かつての頃と比べ物にならないほどに高まっている。

何しろ、肉体との調和が完全な上に、魂力(こんりょく)が活性化しているのだ。

()()()()()()()()()()、といっていいほどの調子の良さだ。


私は、元々物づくりに特化したエートス(悪魔)であった。

金属から顔料まで、様々な物の加工が大好きだ。

そして、ヤギ面の悪魔ということもあり、生き物(特にヤギ)の世話も人間とともに研究したものだ。

その頃の記憶や技術が、より鮮明に、かつ向上した形で体現できる。

その際たるものが、料理だ。


(あるじ)様の御発想には驚愕させられる。

私は、これでも最古の悪魔の一角である。腕力はそれほどでもないが、知識量には自信がある。

それでも、全く気がつかなかったような加工や味付けを教えてくださるのだ。


正直言って、サマ・エルからの化粧品の注文がうっとしい。

私は、全力で料理に打ち込みたいのだ。


私の手料理を召し上がった時の、あの(あるじ)様の笑顔が見たい。

ただそれだけなのだ。

もはや他のことなど、()()()()()()


まあ、あのサマ・エルも、私と同じような気持ちで化粧品をねだるのだろうがな。それがわかってしまうから、貴重な時間を割いて化粧品を作るのだ。最近は、香水にハマっているらしい。(あるじ)様の反応が良いそうだ。


(あるじ)様といえば、そういえば、ローランという遊牧民の足取りも調査しなければならい。

のだが・・・まあ、カルミラ様か、サマ・エルがうまくやるだろう。

私にはやるべきことがあるのだ。


今夜は、ヤギチーズを使ったピザに挑戦する。

なんと、味付けは塩と蜂蜜だという・・・

こんな奇抜なアイディアは・・・などと、タカを括ったが、味見により、ヤギチーズと蜂蜜の相性がバッチリであることが判明した・・・・恐るべし(あるじ)様・・・・そして、料理はなんとも奥が深い。


これは、ワインに合いますぞ。


ふふふ どうかご堪能ください。



〜ヨシュア〜

ふむ。

おかしい。


俺の従者たちは、みんな人間離れした能力の持ち主だ、と言っておこう。

これは、全くもって正しい表現である。

そう、三人が三人とも、どうやら人間ではない。どうやらとか言ってしまったが、明らかに、だ。

しかも、俺に非常に高い忠誠を持っている、ようである。


しかしだ。いや、なのにだ。

ローランの足取りというものが、ようとして掴めていない。

なぜだろう?


そんな難しいの?

いや、問題はそこじゃないっぽい。


みんな()()()()()()()()()のだ。


え? いいことだろって?

ダメだよ?


だってさ、情報収集しなくちゃいけないのに、なんで俺の近くでせっせと働いてんの?

カルミラはヤギ乳をゴクゴク飲みながら、ぶつぶつと呪詛を唱えている。

顔が真剣だから、仕事をしている、ようにも見える。多分。ただイライラしているだけかもしれないが。もちろん怖いから話しかけない。

サマ・エルは、俺の身の回りの世話から始まり、(エロい)洋服を縫ったり、(いい匂いのする)化粧などに勤しんだりと、俺を発情させようとしているようにしか見えない。確かにお仕事(俺の堕落)なのかもしれないね。でもさ、そうだとするとその仕事は、デメテルのやつだよね? 俺のは?

唯一の常識人のはずだったシモンですら、今夜はゴーダチーズのピザですぞーってな感じで、ピザ生地ねってる。なんか味見してウヒウヒ言ってる。


ちょっと待って?

ローランは? ってわけだ。


サマ・エルからの情報で、ガルバ=エルはローランという砂漠の遊牧民に取り憑いているということがわかった。

それ以降、何の情報もない。


え? 満足しちゃったの?

ダメダメ。

ローラン探そ?


なんだか、みんなステイ・ホームしちゃって、外に情報を求めに行かないのだ。

こらこら、情報というものは足で稼ぐのじゃぞ?


え? じゃあ、お前が動け?


ははは、 俺? 俺は、ほら、監督する立場にあるし。てか、そもそも俺が一人で動けるわけないでしょ?

カルミラが放っておかないもん。


・・・え、じゃ、尚更俺が動け、と? うるせーな〜


ま、正直に言えば、今重要(楽しみ)なのは、今夜のピザだな。

うまいもん食う以上に重要なことなど、ない。


キンキンにワインを冷やしてるんだって。白ワイン。

流石シモン、痒いところに手が届くぜ。コカコーラとかペプシがあれば100点満点だけどな。


あーあ。

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