78話 西と北の誤算と滋養強壮そして距離
〜ザラム王国西賢エシェット〜
ゴモラが、捕らえられたか・・・
ヴァンピール・カルミラの力を見誤ったな。
まさか、ここまでとは・・・
西の帝国は、予想通り大混乱である。
魔女狩りなどというその場しのぎで、教会の延命を図るとは、実にあのゲラシウスらしい。
問題は、カルアーンのローランだな。
この我々が、居場所を掴めない・・・
ロトが合流したようだが、あの嗅覚でなんとかなるか?
さて、賢王のご命令は新教との密約・・・。
情報を整理しよう。
まず、指導者ヨシュアには近づくことすらできん。
そして新教の本拠地ナザロでは、ヨシュアが去った後、新指導者を「選挙」で決めるという・・・
信じられんような仕組みだが、どうやら本気のようだ。
戦後ナザロの異常なまでの警戒態勢が、それを証明している。
いかなる破壊工作も未然に防がれているようだ。
長いことこの仕事をしてきたが、ここまで強固な警備は初めてじゃな。
できることならば、こちらの都合の良い人間が選ばれるといいのだが・・・
ヨハンという元司教のことは大体わかるし、ジャンという青年のこともジュナイブでの調査であらかたわかった。
問題は、あの船頭カイロンだな。
・・・まったく普通の人間に見えるとのことだが・・・
・・・すべての鍵は、ヨシュア・・・か。
〜北賢モアブ〜
まったく気に食わん!
このわしが、自らこんな辺境の砂漠を捜索してるというのに、ひとかけらの情報もないだと!?
カルアーンは、その勢力を増し、数千のキャラバンを率いているというではないか?
なのに、その居場所となるとヒントすら掴めない?
完全に失態だ。
ロトが合流した。しかも、賢王の勅令だという
ぐむむむ
何が、援軍だ!
たった3人に何ができるというのだ!?
我々は、すでに1000を超える戦闘員で捜索にあたっていると言うのに!!?
カルアーンを発見後、場合によっては、そのまま戦闘というケースも想定しておった。
砂漠の民を奴隷にできれば、賢王もさぞお喜びになる。
異教徒の征服をとやかくいうアモンもおらんし、四賢筆頭であるこのモアブの勲功が上がるチャンスだったのだ。
あやつにどうこう指図されるのは、まっぴらだ!!
我が手のものの中には、ロトを崇拝する馬鹿どもも少なくない。まったく、不愉快だ!
しかし、そもそもあやつは、口数が少なすぎて何を考えているのか、さっぱりわからん!!
ええ〜い!
このままあやつに振り回されるわけにはいかん!!
「誰か!! 合議じゃ! 東賢とその手のものを呼べ!!」
〜ヨシュア〜
血の気の多いカルミラをなんとか説得したと思ったら、最近エロくなったサマ・エルが近づいてきた。
俺、なんか緊張するんだよな、サマ・エルに。
・・・んー、やっぱ、ドーテーを拗らせたかなぁ〜
いやさ、こんなんじゃダメだとはわかってんだよ。
むっつりとさ、おっp探したり。通りすがりに、サマ・エルの匂い嗅いだり・・・
俺 サイテーだよな。
なんつーか、そうゆう後ろ暗いことしてムラムラしてると、いざこうやって面と向かって対峙すると緊張しちゃっていけないね。
サマ・エルも正式な部下になったのだ。
俺がしっかり引っ張ってやらないけない。
「・・・サマ・エルか。どうだった? 尋問はうまくいったのか?」
できる限り威厳を保ったつもりで、俺は言ったね。
「ひっ! は、 はい。 い、いえ、あの、尋問といいましても、意識が混濁している人間の夢に入り込むだけですから、そ、そんな大した・・・」
ふっ
大したことない、か・・・
冗談じゃねーぜ。
気絶してるとこに、入り込まれて、頭ん中全部見られたんじゃたまんねーぜ?
サマ・エルは、なーんか俺っちに怯えてるが、怖いのはこっちよ?
まあいい。
人間(?)、得手不得手というものがある。
「・・・そうか。 で? 何がわかったのだ?」
サマ・エルの引き出した情報はこうだ。
男の名は、ゴモラ。
ナザロ攻防戦の最中、相棒のソドムとともにナザロに潜入。カイロンと接触したらしい。
その際の任務は、カイロンという人間(?)の値踏みと、東賢ロトらの援護。
戦後も、ナザロに潜伏したが警備が固く、情報が集まらなかったため、相棒のソドムは別任務についた。
ゴモラの継続調査の結果、カイロンがあの船頭カイロンであることを確認。ことの顛末を明らかにすべく、指導者ヨシュアに接近。
死者復活の禁呪とその儀式を目撃後、上司であるエシェットに報告。
さらなる情報収集と、場合によっては暗殺もあると指示され、細心の注意と準備で尾行を開始しようとした途端に、突風のような人影に襲われ半死状態になる。
・・・・なるほど・・・・。
え?
あ、暗殺??
はあ
ショックだよ、ショック。
あ、暗殺ってなにさ。
スパイ映画じゃあるまいし、平和ボケしたピュアジャパニーズのおいらには受け入れられねー、とんでもねー悪意だぜ?
ああ〜〜嫌だよお・・怖い。
なんなの?
人の命をなんだと思ってるの?
はああああ
俺は暗い顔で、サマ・エルの話を聞いていたわけだが・・・嫌なこと聞いたぜ・・・まったく。
「ご、ご主人様・・・?」
怯えきったエロい女性が、暗い眼差しで俺を見ている。
すまん。
エロいは余計だよな。
でもさ、俺、ドーテーだからさ。
・・・ドーテーなのに、暗殺の対象になるって・・・ドーなの?
はっ!!
そ、そうか! シモンだ! シモンのせいだ!!
最近、食生活がすごくいいのよ
こっちに来てから痩せ細る一方のオイラだったが(ジュナイブの時は結構よかったが)、この数日は滋養たっぷりなのがはっきりわかる。
何が言いたいのか、と言うと・・・
なんか、こう、昂ぶるわけ・・・いやん
ドーテーはともかく、サマ・エルをこうもエロくみてしまうのは、滋養深い食生活にあるとみた!
これなら恥ずかしくなく、手篭めれるぜ?
悪魔にすら催すこの痴情。
がっつりとガルバ=エルにぶっつけてやりますとも。
セイ兄さん、これでいいんでしょ?
「サマ・エル。 ご苦労だった。よくやった。 ガルバ=エルの追跡を急ぐ必要があるようだな?」
「ひっ、は、はい ご主人様。御命令頂ければ、ソドムに取り憑きますが?」
? ソドム?
えと、誰だっけ?
まあいいか。
お願いしておこうか、サマ・エルと少し距離をとろう。
部下に対して常にムラムラするなど、上司失格だぜ。
「サマ・エル 頼めるか?」
「は、はい!」
あ。表情が明るい。
ちょっと寂しいな。
でも、ここはちゃんと反省しよう。
そしてタップリと溜めるぜ?




