73話 固いアザ・ゼル、でかくて熱い
〜サマ・エル〜
な、なんだ・・・なんなのだ、この男は・・・。
ベリ・エルをカルミラとして転生させたばかりだというのに、今度は何の変哲も無い御者に施すだと?
・・・・色々な意味で、ありえん!
まず、転生などということを、こ、こんな思いつきでやること自体が非常識だ。
転生は、この世界の根源的な力と構造に触れる行為である。
そもそも、この世界はユピテルとクロノスの支配を基礎に成立している。
この二柱を統括し、説明するのが、ウラノスである。
つまり万物の管理人であり、全ての力の源こそがウラノスである。
まあ、いい。
そんなことはどうでもいいのだが・・・
転生という行為は、このウラノスに重大な影響を与える・・・
そしてその反動というものは必ず起こるものなのだ。
カルミラの場合は、ヤギ乳の聖別というよくわからん方法でこれを抑え込んだというが・・・・
なぜ、ヤギ乳を飲めばあのヴァンピールの飢えが癒える事になるのだ?
そんなことで済むなら、ヴァンピールは人類の敵でもなんでもなくなってしまうじゃないか?
・・・・・・・わけがわからん。
そして今回、なぜシモンのような凡庸な男を苗代にして、また転生を行わねばならないのだ?
考え方がおかしい。
まずは、求めるべき魂が先にあり、それに相当する紐としての霊体を用意しなければならない。この契約は、ただの人間にできることで決してはない。
そして、この2つを受け止めることのできる肉体を探すのだ・・・・
普通に考えるのならば・・・だが。
カルミラは、カルミラとベリ・エルの魂が混ざっているという・・・そこまでのエネルギーを受け止める肉体の負担は相当のものだろう・・・・・・っく、ヤギ乳か・・・ワケがわからん。
今回の件は、どうゆうことだ? シモンの魂は破壊されている・・・ぞ?
一体何がしたいのだ?
シモンは、どうなってしまうのだ?
一体、何を降ろそうというのか?
・・・・・・
問題はまだある。
転生のために必要な霊的エネルギーとして、悪魔を使うということだ。
ベリ・エルは、まだいい。
ヤツは、自ら望んだのだ。
そうゆうケースもあるだろう。
しかしアザ・ゼルだと・・・・?
ふ 冗談じゃない。
アザ・ゼルは、格こそ中堅だが、〈強固〉を冠する古の悪魔・・・。
人間ごときの言うことなど聞くはずがない・・・・
が・・・なぜか、あの男に忠誠を尽くす気持ちらしい・・・その存在を危険にさらしてまでも?
人間が、なんの代償も払わず悪魔を召喚するなど・・・・ありえん。
・・・・・・
そもそも悪魔をはじめとした霊体とは、突き詰めて言えば、純粋なエートスである。
理論上は、より強力なエートスによって上書きされれば、存在自体が本質的に変質することがある。
ならば、受肉のために肉体に合うように調整することも可能ではあろう。
しかし、彷徨う魂である亡者ならまだしも、独立存在に至ったエートスである悪魔を弄るなど、ましてや消失せしめるなど、もはや最高神の所業と言えるだろう。
「アザ・ゼル。よいか?」
あの悪魔公が最敬礼の形を取る。
・・・・・・どうやら、転生の秘儀が始まるようだ・・・・・・
ベリ・エルに言わせれば、あの男の蒼き火は、非常に危険だそうだ。
それはそうだろう。
ベリ・エルほどの霊体を一瞬で分解したのだ。
ベリ・エル・・・・本人が望んでいたにしろ、悪魔軍最強の一角を一瞬で・・・・ゴクリ
どれほどの火なのだろうか?
確かに迂闊に近づけば、私もただでは済まないだろう。
肉体を持ったカルミラは間近で見たいようだが・・・・
もちろん私に向けられたものではないし、私は、サマ・エルなのだ。
まあ、これだけ距離をとれば、まず大丈夫だろう。
お、火が起きたな。
・・・た、確かに蒼い。
・・・ガッ ゔぉ・ゔぉゔぉゔぉゔぉ====ン!!!!
んな?!
で、k っ!!
ぐっぁ!!
あッ 熱”い!!!
ギャッ!!! ギャ〜ーーーー!!




