72話 青い竜巻とヤギさんの鳴き声
「アザ・ゼルにございます。」
メェ、目が怖い。
目がマイナスなのが怖い。
ヤギの顔で喋るのも怖いわ。
しかし、どうやら怯える必要はないようだ。
随分と礼儀正しい。
・・・・は! そうか!!
さすがは、セイ兄さんだぜ。
あんなアフォなメフォストを使っても、どうしようもないもんな。
考えてみれば、シモンは忠誠心が高く、細々した仕事を着実にやってくれた。
ああ〜〜俺は、バカだ。
どー考えても、メフォストには無理だった!!
あんなのを、少しでも役立てようなんて考えた俺のバカバカ!!!
アザ・ゼル君〜 期待してるぜぇ〜 頼むよぉ〜
俺は、泡吹いてガタガタしているシモンを民家の庭に横たえ、その側にアザ・ゼルを立たせ、焔を起こすことにした。
要領は、(おそらく)カルミラの時と同じだ。
「アザ・ゼル・・・良いか?」
一応ね。
失敗とかは、ないと思うけど(いや知らんけど)・・・聞いとく・・・
「ご主人様。 どうぞお力をお振るいください。 仔細承知しております。」
スッと、アザ・ゼルは跪き、厳かな雰囲気を醸し出した。
す、すげー
メフォストとは比べものにならん。
コヤツできよる・・な・・・
もちろんサマ・エルは遠くに逃げている。燃えちゃうからね。
かなりビビっているらしい。
カルミラは、ものすごい至近距離で、目を爛々とさせてる。・・・・近い。
じゃ、ま、やるか。
「・・・シモンよ。 今、復活するのだ。 焔よ!」
・・・ガッ ゔぉ・ゔぉゔぉゔぉゔぉ====ン!!!!
・・・・・・へ?
ナニコレ?
最早、焔っつーより竜巻に近いな。青い竜巻・・・
「ギャッ ギャーーーーー!!」
ん?
遠くから、悲鳴が聞こえるぞ?
あ、サマ・エルだ。
ちょっと、火がついちゃったかな? 可哀想に・・・確かに、思ったよりデカかった。
ま、ダイジョブだろ
前回の時は、霊体のベリ・エルが燃え尽きてキラキラ〜・・・みたいのがあったが、今回は何も見えん。
暴風のような焔が巻き上がり、視界もへったくれもない。
ぎゃるぎゃるぎゃるぎゃるぅぅ どどど・・どりゅりゅりゅりゅ〜〜〜〜〜〜・・・・・・
おおー
あれだけの竜巻が、シモンに吸い込まれていく。 すげー
アザ・ゼルさんは・・・・もちろん、跡形もない・・・
あんだけの濃いキャラクターが一瞬で消え去るとは・・・いと儚きものよ・・・
で、うまくいったのかな?
俺は、隣のカルミラを見た。
焦げてる。
ひー 半分焦げてるぅ
だ、大丈夫?
「か、カルミラ? そなた、大丈夫か?」
「よ、よ、ヨシュア様・・・・さ、さすがで・・・・・す」(パタリ)
あ、倒れた。
俺は、カルミラの息を確認し(まだ生きてる)、シモンに近づいた。
シモンは、静かに寝息を立てている。
カルミラの時はすぐ起きたけど、今回は違うんだな。
ついでに、サマ・エルの様子も見にいった。
100m近く離れた場所に、ぷすぷすと焦げた美女が大の字になって倒れていた。
サマ・エルは霊体なので、生きてる?とかそうゆうのは不明だが、一応確認してみた。
「さ、サマ・エル? 大丈夫・・・か?」
「・・・・・ひ・・・ひーん・・・・」
すげー小さな声で、泣いてる。
ダイジョブだ。生きて?る。
可哀想なので、肩を貸して、みんなが寝てる?場所に連れて行った。
よかった。
どうやらみんな無事のようだ。
成功? ・・・・だよね?
静かだ・・・・。
め”ぇ〜め”ぇ〜め”ぇ〜と、ヤギさんたちの鳴き声だけがこだました・・・。




