68話 デメテルとサマ・エル、固く柔らかそうな抱擁
そうなのだ。
デメテルの声は聞いたことがあるが、その姿を見るのは今回が初めてだ。
声や言い草から、とんでもねーモラハラ女であることは確定だ。
そこから連想される女性像といえば・・・・元祖ショートカットシャンソン歌手巨人アッ●とか、元祖モラハラ女優ピン●とか、そんな感じだろう。異論はいくらでも認めようじゃないか。
彼女らに共通する身体的特徴とは・・・・そう、BU●でぺ●ャpであることだ。
勘違いしたまま大人になってしまった哀れな老婆たち・・・
デメテルをそんなカテゴリーに入れていたのだ。
・・・・・ところがどうだ。
黒い闇のような霧が薄まり、浮き上がったその人物像はパーフェクトバデーのタレ目系ゆるふわレディーだったのだ(激カワ)。
あ、アレェ・・・?
と、いうのがファーストインプレッションである。
ヤケ糞気味の任侠モードになっていた俺っちは、出鼻をくじかれた形となった。
「そ、そなたはデメテルであるな?」
若干動揺し、変な喋り方で、同じことをもう一度確認してしまった。
逆に言おう、今更人?違いでしたってことは、まずありえんだろう。
でも、俺、散々クソババア的な表現で陰口を叩いてたからなぁ〜。あの、なんかごめん
それほどまでに、俺は混乱してるんだぜ。
「お前さんは、何が言いたいんだぇ?ええぇ⤴︎??」
・・・・見た目と喋り方が違う。
桜木花道の声(アニメ版)くらい、違う。・・・・チェンジで。
待て待て待て、そうじゃない。
見た目に惑わされてはいかん。俺はちっぱい派だちっぱい派だちっぱい派だ。おっぱいなんて嫌いだ、嫌いだぁ、嘘だぁ
あああーー 目を覚ませ!あー見えて、恐ろしいモラハラ女なのだ。
「デメテルよ。そなたに問う。」
ここは、いっそ目をつぶれ! 姿に惑わされるんじゃあない!
エイヤーっと、言ったらぁ オラオラオラオラオラぁ
「なぜ、私にこだわるのだ!?」
・・・・・・
は?何勘違いしてんの?キモっ!!
とか言われたら、膝から崩れ落ちること確定だ。ギャルなんてギャルなんてぇ〜
でも、初めて会った?時もそうだが、向こうから一方的に来て、一方的に決めつけてきたのだ。
これくらい言わせてもらってもいいはずだぁ、だぁ、だぁ・・・
・・・・ゴクリ・・・・
「自分が何をしたか、お前さん分かってないのかぇ?」
・・・俺が何をした?
自慢じゃないが、俺は何もできないから今回旅だったんだぜ?
言ってて悲しいが、びっくりするくらい役立たずなんだぜぇ⤵︎
「デメテル。そなたのいうことが分からない。私の何が問題なのだ?」
分からない? ふ、それは恥ずかしいことじゃない。
分からないことを分からないままにしておくことが恥ずかしいことなのだ。
分からないことは、知っている人に勇気を出して聞こう!
教えて!!
「・・・お前のエートスがウラノスに影響を与え始めた。ウラノスを書き換えることは許さない。愛おしいおじい様・・・」
おじいさま?
書き換えられる? おじいさま、って??
てか、俺、おじいさまを書き換えちゃてんの???
「ど、どうゆうことだ。そなたの御祖父と私のエートス?がどのような関係にあるのだ??」
ちょっと泣きそうなデメテルに、少なくない衝撃を受けた俺は、それでも質問を続けた。
「・・・ふん。そこまでエートスを高めたお前だ。しらばっくれるものいい加減にしな。」
だからぁ、分からねーんだって!
教えてくれぇ。
てか、そうゆうのを知るのが今回の旅立ちの目的だかんね。
「私には、この世界の知識が足りないのだ。ゲーノスに触れるため、この旅を決めたところだ。そなたには、ゲーノスに心当たりはないか?」
「ゲーノスだって!?そこまでつけあがっているのかい? あははは」
あら、すっかり受けたみたい。
こう言っちゃなんだけど、可愛らしい笑顔ですな。
ええぃ! てか、ほっこりしている場合じゃねー
「何がおかしいのだ。この世界の真理、すなわちゲーノスに触れなければ、人々を導くことなどできまい」
この世界の真理もわからんし、ゲーノスも何のことだかさっぱりわからんが、まあこうゆうことだろ?
「お黙り!!」
ひっ
き、喜怒哀楽の激しい女だぜまったく。
「いや、黙らぬ。そなたたちの神とやらの暴走を看過することなど、私にはできない」
「なんだって?神だって? はっ! 何を血迷っているのか知らないけど、あんなもんと妾を一緒にするんじゃないよ!!」
ペテロといい、デメテルといい、神様に対する敬意がないね。
ま、俺もだけどさ。
「そなたは、神の御使なのであろう?」
「あははは とんでもない勘違いだね。あんな歪んだエートスなんかは問題じゃないよ。お前のように、あれもウラノスに抗い続けているみたいだけれどね。」
「どうであれ、あのような神を放置していて良いというのか?人が死に続けているではないか!」
「何が問題なのか知らないけれど、死こそ救済じゃないか? 愚かで醜い肉体に支配された哀れな人間どもよ。ほれ、ご覧。その馬車の中で意識を失った情けない姿をさ。あのカルミラほどの精神力でもこのザマだ。」
「そなたがカルミラとシモンに何をしたか知らぬが、慣れぬものにはそなたの威圧がきついのは仕方がなかろう」
てかさ、俺も最初は口も聞けなかったし、目も開けられなかったもん。
でもさ、慣れっていうの大事だよね。
そうゆう成長っていうの?それが人間の強さだよな。
そこんとこヨロシクぅ
「はん! 慣れ!? 慣れだって?? お前は何を言ってるんだい?? 真理の前に立てる人間がいるとでも思っているのかい!?」
「もちろんだ。少なくとも私はゲーノスに触れるつもりでいる」
なんか勢いづいて言っちまった。
「あ? お前、自分がまだ人間だとでも思っているのかい?」
な、な、なにを言う。
そんな顔で、しかも真顔で、そんな酷いこというのか?
き、傷付くぞ、俺。
「ふーーー 勘違いでここまでつけ上がったということかい。まあ、いいさ。お喋りも十分だ。面白かったよ、人間」
デメテルは、とても冷たい目で俺を見やり、両手を広げた。
え?抱きしめてくれるの??
いいの?
でも、表情がお硬いみたいですが?
てか、なんで??
「おいで」
へ?
お、俺・・・その、経験とか全然ないけど、いいスカ?
ぎゃるるルルーーール〜っと、暗闇が渦を巻きデメテルを包んだ。
お、あ、あれ?
俺っち、まだ、何にもしてないケド・・・?
「・・・サマ・エル」
ん?
新しい女?が登場したぞ?
「サマ・エル。お前に命じる。この人間に付きな。」
「・・・?・・・人間に?ですか? デメテル様。」
「あははは ふん。 こいつが勝手に言ってることさ。こいつはウラノスに刻まれた。意味は分かるね」
「・・・承知しました。」
デメテルは、サマ・エルの承諾を聞き届けると、地面に溶けるように消えていった。
・・・べ、別に残念とかないけど、抱きしめてもらう必要とかないけど〜?
どん!!ガラガラッ!!
「が、がふっ! オゲ〜〜〜!!」
あ、カルミラだな。
・・・吐いてるな、もの凄く。
とりあえず意識は戻したみたいだね、よかったね。
「あなた、名は?」
サマ・エルと名乗る女?が尋ねてきた。
どことなくベリ・エルに似てる。暗い雰囲気に黒髮、上目使いとかが。あと有無を言わせない感じ?
今の元ベリ・エルは、絶賛ゲロっているが・・・あんな美形が思っ切りゲロ吐いてるのって・・・凄いね。
「あ、え、えと…よ、ヨシュアと、も、申、し・・す」
「ヨシュア・・・サマ・エル」
「え、あ、お … よ、よろし、く」
あれ?
よろしくでいいのかな?
話の流れだと、デメテルのケジメってのが、このサマ・エルなんだよな?
と言うことは、俺にとってはあんまり、いやかなり?いいことではない、はず?
よく分からん。
よく分からんが、ついヨロシクしてしまったぜ。
さすが女型に滅法弱いドーテーの俺、面目躍如といったところだろうか。
デメテルには、引くに引けなくなって、信じられんほど強気に出ちったからなぁ〜 あああ〜〜〜おっp・・・はあ
「げーーー、ガハッ、うう〜〜ん。 はっ ヨ、ヨシュア様!! ご無事ですか!?」
カルミラが、お口の周りに色々付けて、駆けつけてきた。
お、おう。
付いてるぜ?
「カルミラ。気が付いたか。よかった。」
俺はそっと布切れを差し出した。
お口。
口をぬぐいながら、カルミラはサマ・エルを睨みつけた。
「お前・・・サマ・エルか」
え?毒?
「・・・誰? あなた」
「ふ。 今はカルミラだが・・・ベリ・エルの魂はまだ残っているぞ」
え?悪?
「べ、ベリ・エル・・・」
「そうだ。お前は、なぜここにいるのだ?」
「・・・ヨシュアの堕落」
ズコー!!
本人を目の前に、随分はっきりと言うじゃない。
あ、そういえば、そうゆう任務を投げ出した奴もいたなー
「まさか、このような形で相見えるとはな・・・」
カルミラが、ゲロの処理も終え、キリッとサマ・エルを見据えた。
え?
決闘?
因縁の対決なの??
両者は、ジリジリと距離を詰め、手を伸ばせば届く距離まで近づいた・・・
カルミラ、頑張れ!!
こんな間近でキャットファイトを見るなんて初体験だが、お前なら大丈夫(多分)。
がしぃ!!
キャッ!
俺は思わず、目をつぶっちまった。
ん?
恐る恐る目を開けると…
なんの技だ、これ?
二人?が、固くハグをしていた。 ・・・俺は?




