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63話 不浄な女、焦るモアブ

〜教皇ゲラシウス〜

女性は堕落であり不浄である。

すべての正と明は男性に宿る要素であり、その影たる女性とは誤であり、暗。すなわち(よこしま)な存在なのだ。

しかし、神はその深遠なる計画(プラン)によって、女性(これ)を管理することを人間(マン)に命じたのだ。

我々の管理は甘過ぎた。


純潔な男は、その甘言にたやすく惑わされてしまう。


奴らのその色欲は大罪なり!

女に正義も真理もなく、ただ強きものに媚びる強欲の化身。

女の他力に依らんとする怠惰さと高慢さ、そして嫉妬という醜態。


ええい、挙げていけばきりがない。

その象徴が今回(マステマ)の件といえるだろう。



女性の悪質さを放置し、慈愛と寛容さをもってこれに()()()()()()()()()()が、見事に裏切られたのだ。


そして我々は、勇者を失った。



我々は今一度見直さなければなるまい。



神聖なる我が帝国を守るために。

ここままでは、()()が動き出してしまう。



神聖帝国の現皇帝は、その領土拡大の野望を抱えた()()()()()()()()である。

私の説得で、戦費の蓄財が十分に貯まるまでということで、我慢をさせてきたのだが。

(あれ)は、心の底より東の国ザラムを憎んでおり、賢王と称えられるティムルを磔にすることを悲願としている。


()()()()()()()()()()()()()()()()



教皇ゲラシウスは、皇帝が動き出すことを恐れていた。

なぜなら、今の神聖帝国の力ではザラムには、()()()()()()()()()()ことを知っていたからである。



なんとかせねばならない。

私の楽園である神聖帝国が滅亡してしまう。


やはり粛清しかない。

邪悪な魔女どもを浄火に焚べる時がきたのだ。

()()()()()()()



「“教会”の同胞たちよ! 我々の敵は女!! 魔女がこの世を闇に貶めんとしているのだ!!!」



矢継ぎ早に下される教皇ゲラシウスの下知は、日々苛烈さを増し、聖魔の区別を問わず、()()()()()()()()()火炙りにせよとまで極まった。


しかし皮肉なことに、この“教会”の過激化をきっかけに、()()()()()()神聖帝国皇帝カルロス5世を動かすこととなる。




〜モアブ〜

不味い不味い・・・・不味いぞ。


四賢者()()たるこの私、北賢のモアブがこれまで成果なしなどと。


砂漠の民カルアーンは移動を続け、その所在を把握することが困難である。


西賢のエシェットほどの情報網でもなければ、接触はおろか、その足取りをたどることもできない。


しかもカルアーンは預言者ローランの下、新しい宗教への実践を深めているという。


そのために、他民族との接触を極端に嫌い、その攻撃性と孤立性を日々高めている。



曰く、主を形づける全ての偶像を禁ずる

主を語った全ての金品の授受を禁ずる

主の信徒は全て平等である。差別は禁ずる

主への祈りのみが救いの道である。怠惰を禁ずる

己の祈りを妨げるものへの報復はこれを許す



下手に手を出せば、同盟どころか話し合いもできん。


奴らには、大した技術も資金力もないはずだ。


しかし、日々怪しさを増す謎の宗教集団として成長している。

今のうちになんとかせねば、我がザラムにとって目障りな存在になりかねん。


その尻尾でもつかめれば、いくらでも方法はあるのだが・・・

エシェットに頼るなど、この私のプライドが許さん。

諜報などという、卑怯な手段を使わなくても、この知将モアブであればこの困難を打開できるはず!



そのような北賢モアブの右往左往の日々に終止符が打たれた。

ザラム最強の武人、東賢ロトが援軍として派遣されたのだ。


その派遣は、賢王ティムルその人。

この命令は絶対であり、モアブだけでは任務の遂行は困難と判断されたのである。


援軍を出されることだけでも、モアブとっては屈辱である。

それだけはなく、東賢のロトが援軍とは・・・・。


()()四賢者筆頭のモアブは、このロトを最も苦手としていた。

ロクに口も開かない割には、こそこそと功績を積み上げる。

たまに口を開けば、()()賢王の歓心を買う。

如何なる権謀にも、誘惑にも引っかからない。

時にその野性ともいうべき勘は、モアブを驚愕とさせるのだ。



そのロトが、賢王の勅令によりモアブに派遣された。



もちろん賢王ティムルは、モアブがロトを蛇蝎の如く嫌っていることを承知の上で、派遣したのだ。

何故か?すべては、カルアーンを来たるべき大戦争に巻き込むためであった。



今必要なのは、混乱。

火種はなんでもいい。

人間には寿命があるのだ。

いつまでもチンタラと待ってはいられない。

四賢者の中で、最も野心家であるモアブを焚き付ければ、何かが起こる。



賢王ティムルは、西の大帝国との大戦争(ケンカ)を心待ちにしているのであった。

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