62話 消えちゃう夢。只管打坐
〜ヨシュア〜
いやぁ〜よく寝た。
ゾクッとしたから早めに寝たけど、随分と長いこと寝込んじまったぜ。
思い起こせば、ベリ・エルさんの「ヒロシですヒロシですヒロシです」攻撃からはや3〜4か月、こんなにグッスリと寝れたことはなかった(気がする)。
それもそうか、戦争したんだもんなー。
あれは大変だったなぁ〜。
俺らしくもなく、火を出してみたり、ちょっと戦っちゃったもんなー。
まったく役には立たなかったが・・・。
しかも、ばったりと気絶して、気がついたら戦争は終わっていた・・・・。
あれ?
俺、結構、グッスリ寝てる?
いやいやいや、ノーカンノーカン、それはノーカンでしょ?
気絶と熟睡を混同されると困るよ、君ぃ。
ままま、とにかくよく寝たし、元気にもなった。
これ以上のことはない。
ところで、なーんか忘れてるなぁ?
俺、夢見たんだけど、それが思い出せない。
何だろうね。
夢というのは、なんとなく覚えてんだけど、詳しく思い出そうとすると霧が晴れるみたいに忘れちゃうんだよなー。
ドーテーの俺っちだって、妄想でいい夢みるときがある。
夢と覚醒の間で、あれ?これ夢じゃね?と思う時もある。
夢なら好き放題してやれって時もある。
でも、消えちゃうんだよなぁ。
なかなか厳しいね、夢も現実もさ。君の名はw?
・・・・・
あ
思い出した。
エウリ・デウスだ。
てゆーか。
ペテロのおっさんが色々言ってたよな。
エウリ・デウスは、誰だっけ?誰かの偽名的な?
そういえば、色々思い返せば、色んなことを理解できないまま聞かされてきたなぁ。
問題は俺の方か。
よく分かんねー よく分かんねー と愚痴りながら、色んな情報を適当に流してきたもんなー。
・・・・これはいかん。
反省しよう。
俺にはこの世界についての知識がまったくないのだ。
とはいえ、前世についてはそれなりに知っている。それが災いして、ハイハイってな感じで、色んなことを流してきた向きがある。
よく考えれば、前世のこともろくに知らないとも言えるだろう。
その最大の特徴がドーテーである。
就職もしたことない。
家庭も会社も学校もろくに知らんのだ。
全ては聞きかじりの中途半端な知識に過ぎない。
やっぱりきちんと理解しなければ、誰かにものを伝えるなんて仕事はやってはいかんだろう。
俺は、どうゆうわけか教導なんていうことをする仕事なのだ。
もうちとこの世界に関する仕組みについて情報を集めるとするか。
〜ヴァルマ〜
クルファは私を捨て、私はクルファを捨てた。
結局、何も分かり合えることはできなかった。
誇り高き山に生きる民、といえば聞こえはいい。
しかし、山という自然は厳しいかもしれないが、システムとしての分かりやすさがある。
それに適応することと、人間社会という名の文明の恩恵を受けることはまったく違うことなのだ。
クルファの民は、自然の厳しさをより上位に置き、文明からは恩恵だけを受け取ろうとしている。
そんな甘い考え方は通用しない。
あれほど屈強な戦士たちが、あっという間に心を壊されてしまったのだ。
忘れることのできない出来事である。
あの悪夢のような馬の出現、屍の山、それを食らう人ならざる者たち・・・。
あれが文明なのか。まだ認められない自分がいるが、あれが文明なのだろう。
私たちが育むべきなのは、心なのだ。
心と体の調和、魂といってもいい。
そこに文明は必要ないのだ。
彼らはその両方を駄駄を捏ねる子供のように求め続けている。
それはそうだろう、それが可能ならばどんなにいいだろうか?
しかし現実は逆だろう。
搾取され、蹂躙され、奴隷にされるのが関の山だろう。
クルファの聖典「ヴェーダ」の守護である私は、本来彼らを導かなければならないかもしれない。
どうやらそのような余裕はないようだ。
私は追求しなければならないのだ、魂の真理に。
その追求の同行人は、魔人ケルファだ。
彼は、常に私の側にいる。
この金色に輝く蛇の形をした痣とともに。
ヴァルマは、山中の奥深く、人を寄せ付けぬ洞窟に篭り、ただひたすら瞑想にふけることになる。




