60話 エートス全振りとゲーノス
〜ヨシュア〜
ああ〜エウリ・デウス様。
あのモレ・ク以来ですね。
あの時もよくわからないけど、結局助けてくれましたね。
いや〜会えて嬉しい。お礼を言おう。
「エウリ・デウス様。先の、魔神モレ・クとの遭遇の際には大変助けていただきました。ありがとうございます。」
「・・・・う、うむ? おい、お主、左腕がないな?」
「はい。冥府の門番ペテロ様に言わせると、モレ・クに喰われたと・・・いや、しかし、命はこうして守れましたから。」
うん、文句を言ったらバチが当たる。モレ・クだけになw
「ほう、ペテロがな。 だが、蛇はどうした? そういえば、魔封じも消えているな?」
へ、蛇? スキル?
はぁ〜、エウリ・デウス様との会話はいつもこうだ。
基本はいい人で信頼もしている。しかし話が全くわからん。
会話が続かんよの?
蛇はどうした?って?
スキルって言われても、なんなのそれ? 使い方とかも何も知らないし、え?てか、消えたの?
「はは〜ん。ペテロか・・・」
・・・・まあ、多分そうですな、あのおっさんでしょうね。
「お主もなかなかだのぉ〜。蛇のみならず魔封じまでも譲って、ここまでの運命を辿れるとはな・・・」
あれは俺が譲ったのか?
記憶が正しければ、刀で腕ごと(?)ぶった切られたような気がするが・・・
まあ、あげたことにしておこう。
どうやら褒められているみたいだしね。
俺は、プラス方面の勘違いについては寛容なのだ。
「私には過ぎた力のようでした・・・」
「ふっ。ふははは〜 面白いのお。お主。そこまでエートスに振るヤツは初めてよ。エウリ・デウスも面倒になってくるわ。あっははははー」
名詞がまずわからん上に、動詞が適切なのかよくわからんのよ。
「エートス」がまず?で、「振る」?って、どうゆうこと??
もう一個、エウリ・デウスも「面倒」??ってなに? それあなたでしょ?
言葉としては、その単語ひとつひとつの意味は分かるし、理解もできる。しかし、文意がわからん、さっぱりと。
ここはお愛想して、ヘラヘラしてるか。
「あは、あはは・・・・」
「おいこら。ヘラヘラしている場合か!」
ちょっと待ってくだせー
どうしろっての?
「しかし、そこまでのエートスとなると、間違いなくデメテルは何かしてくるだろうな」
ひっ。あのデメテル?
お父さんの仇でもある。
「ウラノスへの影響はもはや疑いのないところまできておるからな。神はともあれ、管理人のデメテルには看過できまいな〜 大丈夫か?」
もちろん大丈夫ではない!(キリッ)
やばいの?
なんかくれ。
身を守るスキルをくれぇぃ!!
そしてその使い方とかもちゃんと教えてくれい!!
「エ、エウリ・デウス様ぁ。どうかお導きください。どうしたらよろしいでしょうか?」
「う〜〜む。蛇はペテロにやってしまったようだし、象はバ・アルが飲み込んだからのぉ。お主の地獄はなんだろうなぁ〜」
ん?
地獄?
何この人、俺っちの死後の心配してくれてるの?
そうゆうお導きは、まだいらん!
俺は、生きたいのだ。
ろくにいいこともなかった。
自慢じゃないが、どこに出しても恥ずかしくない恥ずかしいまでのドーテーだ。
お金もない。
ホームレスだったし、今もだ。
世の中の仕組みとかもなーんも知らんまま、死にたくない。
「エウリ・デウス様。私には、(まだ)地獄は必要ございません。もう少し、この世界の知識が欲しいです。」
ふー、言ったったぜ。
ちょっと厚かましいが、はっきり言った方がいいだろう。この手のタイプは。
「な、な、な、なんと!! げ、げ、ゲーノスに触れようというのか!!?」
リアクションが大きいな。
ともかくだ、ゲンナリとか、ゲーム脳とか、全くよくわからんが、俺は知識が欲しい。
「わからないままでは、運命も何もありません。そのゲーノスというものに触れれば、少しはこの世の理が理解できるのでしょうか?」
エウリ・デウスのおっさんは、もはやブツブツいうだけで使えない人(?)になってしまった。
結論から言おう。
今回の邂逅に、特に収穫はなかった。
でも、モレ・ク戦の時のお礼はできたからよしとしよう。
何度もいうが、俺は風邪をひいている。
寒気がして、疲れているのだ。
ちょっと暇だったから独り言ちたが、基本的には寝るのだ。
エウリ・デウス様。
おやすみなさい。
俺は、ブツブツとよくわからんことを呟くおっさんを横目に、しっかりと瞼を閉じた。
せめて夢くらい、いいのが見たいぜ。




