53話 戦争2日目
〜正面城門守備隊、カイロン〜
まったく、本当に無口なヤツだぜ。
オイらが城門付近に布陣しようとする前に、ヤツらは既に待ち構えてやがった。
昨晩話をした使者アブラム・オルテガと、ありえねー威圧を放つ男、ロトだ。
援軍っていうから、どんなもんかと期待もしたが、たったの3人だ。
正直拍子抜けしたぜ。
しかしなぁ、クルファ軍の撤退工作は見事だったが、こいつらとは別口か?
わからねー、わからねーことばかりだぜ。
とにかく、布陣と守備戦に関する一通りの作戦を説明した。
普通なら、どんな感じで協力してくれるのかってゆー点を詰めるんだが、こいつらはたったの3人だ。
しかも親分のロトが、堅く口を閉ざしたまま、ただ聞いているだけで何も喋らない。
部下も部下で、あのアブラムも一切口をきかねー。
こいつらテレパシーでも使えるのかね?
てかそもそも、“使者”が戦に役立つのか?
ま、すげー役立つんだろうけど、気味わりぃぜ、まったく
〜裏手城門守備隊、ジャン〜
ザラムの援軍が、カイロン殿の守備隊に付くそうだ。
正直羨ましい。
ザラムの軍事力、技術力の高さはジュナイブでも有名であった。
できることなら、その高い技術力を間近で学びたかった。
しかしながら、正面城門には、あの勇者隊が攻め入ることが予想されている。
残念だが、我々にはとても手に負えるものではない。
カイロン殿でさえも頭を抱えるほどだ。
ただ、あれをなんとかできる技術があれば、我々の価値観はさらに大きく変わるだろう。
筋力や狂気を持たぬ、一介の民草がそれらに対抗する力を持つことができるのだ。
これからの“新教”に必要なのは、そんな我々の信条を守る新しい力だ。
ヨシュア様の興された次なる奇跡、ヴァンピール・カルミラの再誕。
それこそが、そのことを意味されている。
神の敵対者たるヴァンピールであっても、我々は使わねばならない。
安穏と手を合わせ、祈りを唱えていれば叶うものではないと。
恐ろしい、恐ろしいが、初めて人間としての生を切り拓いている実感がある。
力が欲しい、文明であれ、敵対者であれ、それが“神”の基準から見れば狂った呪いであったとしても。
〜マステマ 〜
予想以上の戦士団が手に入ったわ。
鍛え上げられた肉体に宿っていた稀有なまでに純粋な精神が、蠱毒の秘儀に功を奏した。
抑え込まれていた肉体の潜在能力が、100%以上解放させることができるようになった。
ただし、少し刺激が強すぎたみたい。
どうやら正気に戻ることはなさそうね。
彼らをさらに育てていくには、より濃い血が流れる必要がある。
まあ、いいわ。
ダヴィドと彼らで、さらなる強化につなげていきましょう。
さて、出陣ね。




