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39話 賢王ティルムとザラム四賢者

〜賢王ティムル〜


「賢王。西は弱体しており、今こそ隙をつくべきですぞ。得られものは多くはありませんが、奴隷としてなら利用価値はまだありますからな」


「何をいうのだ。略奪は、ティムル様の名を汚すだけである。異教徒を奴隷にすれば、混乱の種にしかならん」


「異教徒は奴隷にできんというが、昨今、あちらこちらで新しい宗教が興りつつあるようじゃぞ。砂漠の民は預言者ローランを始祖に“カルアーン”を名乗っておるし、山の民は導師ヴァルマの下“ヴェーダ”を信仰しておる・・・まあ、今日の本題は、そのひとつ“新教”じゃがな」


「・・・・」



賢王ティルムには、ザラム四賢者と呼ばれる補弼会議体がある。


この会議は、賢王ティルムを議長に、モアブ(北賢)、アモン(南賢)、エシェット(西賢)、ロト(東賢)が同等の立場として意見を述べあう。





北賢モアブがティルムに決断を促した。

「賢王。先日、西側の勇者を名乗る軍勢が我が教軍に牙を剥きました。その報復に何の咎がありましょうか。どうかご決断を」



南賢アモンは、穏健派の筆頭であり、戦いを好まない。

「ティルム様。ここは冷静に動向を見極めるべきです。どうかご静観を。その間に、民には西側の混乱を伝えましょう。そうすれば、我が国の結束はより高まるというもの」



西賢エシェットは、王国最大の情報機関のトップであり、スパイ活動などの破壊工作を、賢王の勅令の下、実施している。

「王よ。新教の取り扱いは慎重にせざるを得ませんぞ。これは良薬であると同時に、猛毒にもなりかねんからな」



東賢ロトは、王国最強の武人であるが、()()である。

「・・・・・・」




ん〜〜。

そうだなぁ〜。

教会はうぜぇが、新教とやらのぉ正体が見えねぇ

西を攻めたところでぇよぉ、めぼしいもんはなんもねぇもんなぁ





「エシェット。」


「は。」


「新教とは、どのようなものなのだ?」


「恐れながら、王よ。わかっていることは、教会システムを否定し、天命こそを全うする教え、とだけ・・・」




「ふむ・・・・モアブ」


「は、はい。賢王。」


「教会は、我が王国、守護神モレ・クに仇なすもの。それは確かだ」


「そ、その通りでございます。で、ですので、この機に・・・」



「ところで新教は、敵か?」


「え?  は、そ、その・・・」


「断言、は、できんのぉ」


「はい。い、いや、しかし、まだ情報が足りませんので、なんとも・・・・」




「アモン、新教の教えが我が民を飲み込む、ということはないか?」


「!・・・・」


「教えは、城壁では防げん」


「その通りでございます。」




「ロト。お主ならこのような相手、如何にする?」


「・・・・見極めます」



「ふ。」





まぁなぁ〜


うち()に劣るところはなぁんもねぇ〜んだぁ。

おりこぉさんなら静観を気取るわなぁ〜


・・・ただなぁ、臭うんだよなぁ〜

新教とかいう奴らがなぁ〜


()()すぎんだよぉ〜


金を集めねぇ〜?

じゃあ何のための宗教だぁ?


宗教の一番の鎖を断ち切りやがったぁ

こりゃぁ、大ごとだゼェ?





「四賢者よ。教会の征伐を行う。ただし、新教の援軍としてだ」


「「「「は!」」」」




「ロト。教軍を率いよ。見極めてみせぃ」


「・・・・御意」




「エシェット。新教を探れ。我が王国の毒となるやもしれん」


「は!」




「モアブとアモンは、ローランとヴァルマに接触しろ。同盟か対立か、見解を示せ」


「は、ははぁ!!」





技術力、財力、情報網の全てに秀でた東の王国が、新教という謎めいた潮流に後押しされ、今動き出したのであった。

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