20話 見つからないドロップ
〜マステマ視点〜
予想外だった。
L-vthnは強すぎた。勇者にどうこうできるものではなかった。
そして、魔神だ。
強さの範疇を超えている。
私のような中位悪魔でどうこうできる存在ではない。
私は、これでも神の恩恵を受けている。その底上げもあって、一時的にであれば第九圏でさえ発動できる。
しかし、そのようなレベルではない。あれは。
L-vthnも強かったが、それでも所詮第九圏の魔物である。
地獄界では、最深部の住民だが、神のレベルから見れば、ただの贄に過ぎない。
ちょっとした高級食材という位置付けだろう。そのことをまざまざと実感させられた。
あれには敵わない。
辺境の町で拾った聖職者を贄として差し出し、隙をつくつもりだったが、全くそのレベルではなかった。
一瞬、贄に興味を持ってくれたので、勇者を抱えて逃げることができたが。
今回の任務では、神軍の精鋭を失い、L-vthn捕獲も失敗。魔神についての若干の情報を手に入れただけだった。
もちろんこのままでは帰れない。
私たちは、前域の王国バ・アルに向かうことにした。
少しでも勇者を強化しなくてはならない。そのためには、亡者の力が必要だ。
〜ヨシュア視点〜
俺は生きのびた。生きのびたが、問題が山積だ。
まずひとつめは、俺はこの迷宮から自力で脱出することができない。
なぜなら、魔物どもが跋扈しているからだ。
この辺りは、神軍エリートがあらかた討伐したことと、何よりモレ・クの影響が大きい。何もいない。
しかし恐らく時間の問題で、奴らも集まって来るだろう。
ふたつめは、坂道である。
これは地味につらい。登りだし、装備とかもないし。
最後に、宝物である。
バカが集めたのは、まあいいとしても、こーゆーボス戦の後には必ずあるはずなのだ。
俺は、急いで祭壇の辺りを探った。
だいたいこうゆう場合、ボスが消えたところにいいものがあるはずだ。
しかも、落とし主はあのモレ・クだ。
凄いものがなければ、おかしい。
・・・ない。
何も見当たらない。
・・・時間もない。
俺は、祭壇にもたれかかった。もはやこれまで、かと。
カチッと、なんかを押してしまった。
ゴ、ゴゴゴゴー っと、仕掛けが動く音がする。
祭壇の周りから砂が大量に流れ込み、俺の座り込んだ辺りが排砂穴に変化した。
お、足掻いても足掻いても、すり鉢状の流砂から逃げれんぞ。
アリジゴクの現場体験ですな。
ふむ。無理だわ。
俺は、砂塵とともに地下深くへと飲み込まれていった。砂が入るとやだから、目とお口をしっかり閉じて、流れに任せた。
ま、魔物だらけの迷宮を抜けなくても良くなったが、どうせろくなことにはならんだろうね。
しかも地下は、モレ・クの消えた方向だ。やだなー




