13話 勇者と淫乱、そしてplan L
「司祭! 今日一日でずいぶん片付いたな。」
「はい! 勇者様。 罪深き異端者どもは粗方救済できたようですな。ご苦労様でございました。」
「飯だ飯だ!」
そうか。
勇者を名乗る虐殺者か。。。
やだなぁ。
「なあヨシュア。ちょ、ちょっと俺、 わりーけど消えるわ。」
メフォストが焦っている。どうした?
「ヤベーわ。あの勇者ならなんとかごまかせるけど、あの女はダメだ。あいつ、結構な上位悪魔だぜ。お前も気をつけろ。 じゃあな。」
ピューっと、去っていった。
まあいい。
ガヤガヤと4〜5人の豪華な鎧を着込んだむさ苦しい男とどもと、メフォストがビビってた美女が食堂に入ってきた。
その中心に、黄金の鎧を着た下まつ毛長い系の美男子がいた。多分、あれが勇者だろう。
態度がでかい、から。
「あら、先客がいらしたの。お邪魔しますね」
怪しい美女が、声をかけてきた。
多分俺に。てゆうか、俺しかない。
「いえ。こちらこそお邪魔をしてしまい恐縮です。もう、終わりますので」
俺は、どう考えても面倒なことになる気がしたので、とっとと出て行くことにした。
まあ、できれば一泊くらいベッドで寝たいけど、ややこしいことになるのなら、野宿でもいいや。
「まあまあ、そのようなことをおっしゃらずに。ヨシュア様。このような辺境の教会に、勇者様率いる神軍と聖者様がいらっしゃる機会などそうそうあることではございません。どうか、ごゆっくりなさってください。」
エートスの著しく低い(であろう)司祭が、余計な気をまわしてきた。
よけーなことスンナ。
てゆうか、神軍?
こんなむさ苦しいのが、外にいっぱいいるのかな?
町を出て行くのも面倒なのかな?
まごついていると、勇者に話しかけられてしまった。
「なに? 聖者とな。話を聞いてもいいかな?」
いや〜。面倒だな。話したくない。
仕方がないから、こっちから聞こう。全く聞きたくはないが。
「勇者様。ご高名は予々承っておりました。ご武勇をお聞かせくださいませんか?」
「ほう。もちろんだ」
安心した。こいつは馬鹿だ。
(まあまあ)イケメンだし、くどい顔だから少しは切れるかな?と思ったけど、全然大丈夫だった。
小一時間延々と自慢話が続いてくれた。
やれ俺は、教会最強の戦士だとか。
やれ俺は、1000年に一度の勇者だとか。
やれ俺は、異端者認定の権限を神より授かっただとか。
やれ俺は、すでに500人を超える異端者を救済しただとか。
なんとか。
まあ、正直胸糞の悪くなる話に入ってきたので、俺は切り上げることにした。
「このような素晴らしいお方と夕食をともにできたこと、誠に有難く思います。私はそろそろ失礼させていただきます。」
トンズラして、もう部屋で寝よう。
「あら、先ほど司教様が、あなたを聖者様と仰っておりましたが、そのことを聞いてもいいかしら?」
くっそー、怪しい美女めー。
せっかく勇者が濁してくれたのによお。
どうやってごまかそうかと思っていると、援軍が来た(向こうに)。
「私は、確かに拝見しましたぞ。聖火による亡者の浄化を」
司教が、さも鬼の首を取ったように聖火のことを話した。
「聖火だと?」
あ〜あ。勇者も興味示しちゃったじゃん。
俺は、マステマを警戒した。
淫乱(憶測)は、切れる。そして、こっちを探っている。理由はわからん。
ただアホのメフォストは逃亡したし、この淫乱を上位悪魔とまで言っていた。
気をつけた方がいいだろう。
「私如きが聖者などとんでもございません。私は、彷徨える御霊に気がつき、ただ鎮魂の祈りを捧げていただけです。司教様がご覧になられていたあの時、ウラノスのままに御霊を誘う黒き影が私を包んだのです。その時のお声もはっきりと覚えております。」
淫乱が悪魔なら、デメテルを匂わせれば引くのではないか、と予想した。
「ウラノス。 それに、く、黒き影ですか。」
お、言い淀んだぞ。
効いたか(フラグ)。
「ダヴィド様。聖火の発現に通ずる力は、L-vthn捕獲計画に必要です。この方が、触媒なのかもしれませんね。」
ん?あれ?
藪蛇だった?
フラグは偉大である。
「そうだな。前域があまり混むと、バ・アルが力をつけ過ぎるからな。マステマの見立てなら間違いないだろう。」
へ?
「ヨシュア殿といったか。異教徒からリヴァイア=サンを奪回する我々に従軍して欲しい。」
「ちょ、ちょっとお待ちください。私如き、名もなき教導者。なんのお役にも立てません。神軍への参加などとても。。。」
「ヨシュア様。あなた様の祈りが聖火に通ずるのであれば、それはこの世界のルールに照らして、非常に価値の高い力です。私たち神の聖軍と言えども、ウラノスを曲げることはできませんから」
ふーん。
神様の命令なのに、不自由があるんだな。
と言うことは、この世界のルールは神様よりも上位の存在ということか?
「浅学でお恥ずかしい。ウラノスが神の御意志よりも尊きものであるなどと存じ上げませんでした。」
「もちろん、神は万能です。ただし、全てではないということですわ」
ふむ。
俺は少し勘違いをしていたようだ。
神は、この世界の最強プレイヤーであるが、運営ではない。
ということは、運営が他にいることになる。
俺の異世界転生の鍵は、この運営が握っていると見ていいだろう。
だが、いまのところ全然手がかりがない。メフォストもトンズラしてしまった。
しばらくは、淫乱から情報を引き出すしかないだろう。
俺は、仕方なくL-vthn捕獲計画とやらに参加することにした。




