103話 人違いと怪しい色気
〜ヨシュア〜
サマ・エルが行方不明である。
ガルバ=エルも行方不明だ。
俺は、実に純粋に「え? だからマイ・テンにいるんでしょ?」と、カルミラに聞きたい、のだが。
でも聞けない。
なぜって?
なんかどうやら、この世界は大変なことになっているようなのだ。誰かさんのせいでな。全くとんでもない奴がいるもんだね。
その深刻さは、カルミラとシモン、そして新顔のアス・デウスとアバ・トンらの会合からヒシヒシと伝わってくる。
え?
もちろん、俺もその会合には同席している。
しかしだ。例のごとく、さっぱりと何言っているのかワカラン。
それでもまあ、単語ぐらいは拾えるよ?
やれガルバエルシステムがどうの、やれウラノスがカイホウされただぁの、エートスのカシカだぁのぉ、ユピテルにバグだノォlお、クロノスのねじれぇだあののおおおおおおおおおおおおお〜〜〜!!!!
辞書くれ、辞書。
うんうん・・・・あー、それな。 じゃねーよ。
分からんよ?
そうだ、その通りだ。
分からないことは聞くのだ。
これが基本であり全てである。
つまり、原点にして頂点ってことだ。
うん、言ってみただけだ。
「して、サマ・エルはいかにして救出できるのだ?」
聞いてみた。
要点を押さえておけばいいわけ。
「は。ヨシュア様。この問題は、Galba=Elが、前門の基幹システムであるOuranosへどのようにアドオンしているかという点が先にあります。つまり、ガルバ=エルがシステムとしてどのようにOuranosにビルトインされているか、場合によってはサマ=エルもuroborosを経由してビルトインされた可能性もあり、新世界の基本ルールを確認しないことには動きようもないのです。」
は〜ん・・・・なるほどね・・・・ふん、要は何もわかってないってことだろ?
ガッカリだよカルミラ・・・。
大体ね、訳のわかんねーカタカナ使って、まくし立てる奴にロクなのはおらんのよ?
そうゆう奴に限って、本質を見失っているね。
あ? Galba=El?
え? 前門の基幹システム?
な? アドオン?
は? ビルトイン?
・・・俺っちは騙されねーぞ!!!
大事な部下を、よく分からんビルトインされてたまるかってんだ。
とにかく! 俺は、サマ・エルを奪還し、ガルバ=エルを手篭める! この一点に、一片の曇りなぁし!!
・・・・・つまり、くだらん会議には付き合いきれんよ、ということだ。
「そうか・・・わかった。では、(とりあえず)サマ=エルについては転生させようじゃないか。」
俺は高らかに宣言した。
そう、考えてみれば、サマ・エルは霊体である。
霊体であるサマ・エルのパイちらに興奮していた俺もアホだが、とにかく理論的には呼び出せるはずである。カルミラのように、ね?
まあ、確かにカルミラは呼び出そうと思って呼び出たわけではない。
なんか回線的なものが、偶然カルミラ的な霊体的な何かにに繋がった的ななんとやらなのであろう。
であるならば(?)、意識的にサマ・エルを呼び出すことも可能なはず(頑張れば)。
・・・・どうだ?
「・・え、は、あ、あの、い、いや、・・は、はい! そうか、な、なるほど・・・・」
ん? あれ?
ナイスアイデアじゃないの? 流石です、じゃないの?
「む、カルミラ。何か問題があるのか?」
分からないことは聞く、これが基本である。
「い、いえ。ただ、素体がどうしたものかと・・・・」
ソタイ・・・?
「あれほどの悪魔です。具現化させるには、余程の耐久性が必要ですし、それこそ拡張後のOuranosにどのような影響を与えるか計り知れません。しかも、セイ・トンが滅したことを鑑みるとユピテルはかなり不安定な様子。人間への転生は難しいでしょうし・・・」
・・・・ああ〜〜分かった分かった、分からんということがきっぱりと分かったよ。
いつもみたいに、キャンプファイヤーボー! でいっちょ上がりではない、ということか・・・
めんどくさいな。
セイ・トンが滅した、か・・・俺が思うに、それははぐりんがヘソクリにしているはずである。
だから、うん、それを出そうじゃないか。
グダグダ心配してても埒があかない。
明けない夜がないように、取り組むことのできない課題もないのだ。
・・・・・まあいい。いいこと言ったつもりだったが、何を言っているのか自分でも分からん。
俺は、左腕に意識を集中し、サマ=エルを想起した。
・・・そう、あのぺらぺらの服を着て、ない胸をチラチラさせていたサマ=エル。
・・・黒髮どストレートで、一生懸命化粧して、香水立てて、むっちりとした太ももをさらけ出してたサマ=エル。
・・・俺がエロい視線を投げると、ひーっと怯える可愛いサマ・エル。
一人にして悪かった。
はぐりんが立派なうなぎをたっぷりと溜め込んでるはずだから、それをソタイにして戻っておいで?
俺は、祈るように、そして多分に謝罪の気持ちを込めて、ジワリジワリと焔を纏った。この辺の火加減も随分と上手くなった気がする。何事も火加減というものは大事だね? 素材を活かすも殺すもこれ次第なのだ、知らんけど。
「な、が、あ@づd ぎg具・・・」
なんか悶える爆乳とメンヘラ美女がいるが、今は無視だ。
正直、あのキャンプは楽しかった。
本当は、ガルバ=エルなんてどうでもよかった。セイ・ゼブルには悪いが。
別に俺の仕事なんて、実は何の意味もないことだったのだ。
・・・サマ・エル・・・お前は、お前のお仕事だけやってくれてていいから、戻っておいで?
ニューー〜・・・・
・・・え?
なんかセリ出てきた・・・
気持ち悪い。
俺っちの左腕が、巨大なイボ?こぶの如く膨れあがった。
火炙りにしたので、餅が膨らむようなもんか・・・
これ、なんか四大悪魔王の一柱であるところのセイ・トンとかいうのの成分が入ってんだよな〜
シモンのいうところのよれば、色欲の大罪の候補だったという・・・(イマイチ意味わからんが)
色欲ねぇ〜
あのペラペラのサマ・エルが色欲ねぇ〜・・・へっ、ねぇな。
サマ・エルにはさあ、なんかこう・・色気の闇の深さが足りないんだよね。
そういう意味では、あの・・・なんだっけ・・ほら・・・ ! あっ、そうそうマステマだ。
ああゆうのが、色欲的ってんだよな。
危険極まりない感じ?
俺っちの趣味でもなんでもないが、特に巨乳というわけでもなく、絶世の美女というわけでもないが、心をざわつかせる様な妖艶な魅力というの?
バカとつるんで悪さしてたみたいだけど、色気仕掛けでいろんな男誑かしてたんだろ? 知ってるぞ?
その点、サマ・エルは駄目だ。
あの子は結局可愛いのよ。そんなんじゃあ、色欲を冠するなんざ夢のまた夢よ。
(まあ俺っちには、偉そーに講釈垂れる資格も経験もないのだがな。)
しかしまあ、今はサマ・エルだ。マステマのことは置いておいて・・・・ブツン!
俺の左腕が膨張し、結構な量のはぐりんが地面に落ちた。
当然ながら焔を纏っているから、熱々だろう? 水銀蒸発?とかしないといいが・・・毒だしね、あれ。
人体大の大きさのはぐりん(成分は多分水銀だが、俺の左腕でもあり、セイ・トンでもある)は、ネロネロと蠢き、人の形になっていった。
恐らくだが成功であろう。
というか、失敗したことないのだ。当然、成功だと思う。
「こ、これは!」
シモンが感嘆の声を上げる。
まあまあ、そんなに驚くない。(思い通りの成功など)いつものことよ。
グニグニのそれは、明確に女型になり、顔を上げた。
「・・・こ、ここは・・・? ・・・・私は、マステマ・・・・」
へ?
「貴様!!」
カルミラが疾風が如く飛びかかった。
対するスッポンポンのマステマ(自称)は、カルミラに喉輪を決めた。
「ぐっ!!」
「何? なんなのこれは??」
さすがのカルミラである。マステマ(仮)の腕を両手で強引に解いた。
「・・・貴方、カルミラね。これはどういうことなの?」
「なんの真似だ! ヨシュア様の儀式を邪魔しおって!!」
カルミラがまた飛びかかる。
ガシッ! っと プロレスの力比べみたいな形になった。
ブルブルと明らかにとんでもないほどの力がかかっている。
あのカルミラのフルパワーに匹敵するとは、マステマ(暫定)もどうやら化物だ。
・・・・・ゴキっ!! バキッ!!! グシャ
「うっ!」「あがっ!」
ひー
二人とも骨折したらしい。痛そー
「き、貴様。どうしてここまでの力を・・・」
「貴方こそ、前よりも強くなっているわね・・・」
・・・・なんだ、スポ根か? てか、もういい。暑苦しい。
俺は、はぐりん(左腕)に、マステマを少し懲らしめるようお願いした。
・・・・・
マステマがカルミラと取っ組み合い(早すぎてほぼ見えないが)になり、かつ実力が均衡していたのに、この俺が全然焦らなかったのには、理由がある。
あれがなんであれ、そもそもははぐりんなのである。そして、はぐりんは俺の左腕だ。
かのセイ・トンとやらを呑み込んだはぐりん。
(暴れている)あれは、体積的にいって、推定全はぐりん量の1%にも満たないハグリン支局の末端に過ぎないわけね。
ヨシュアHDとして説明するとすれば、はぐりんはヨシュアHDの一部門であり、マステマは、そのはぐりん部門の連結子会社(末端)なのである。
あれが、ぼとっと地面に分離した時、ヨシュアHDのヘッドクオーターたるこの俺様には、ヨシュアHDシステムを直感的に理解できたのだ。
ついでに、はぐりん部門に本部からの通達的に「お願い」できることも分かった。
「ぐあああああああ!!!・・・・・」
連結子会社(末端)が、地べたに這いつくばって苦しんでいる・・・
親会社が、かなり厳しめに懲らしめているようだ。
「カルミラ、大事ないか?」
「は、ヨシュア様。 し、しかし、これは一体・・・」
ふむ。
疑問か・・・そうだろうな。
しかしだ。それを俺に聞くな。
俺は、直感で分かっただけであって、理屈はわからん。
というか、うっすらとマステマが降りてきた理由は知っているが、これは言えん。各方面から怒られそうだからね。
とりあえず、あれとは孫悟空と三蔵法師みたいな関係はキープできそうではある。問題はないだろう。
マステマ(雇われ店長)は、気絶した。
この黒髪ソバージュヘアーの怪しい美女と金髪ウェーブ・隠れ巨乳のカルミラ。
どうやら犬猿の仲みたいだね。
しかも、両者ともに受肉しているし、実力は均衡している・・・・
俺は気がついた。
あれ? これ、ハーレムじゃね?と。
まだ霊体ではあるが、アス・デウス(金髪ストレートロング・美乳)、アバ・トン(赤髪ショート・爆乳)もいる。
シモンはおっさんだが、んで、みーんな悪魔だが、随分とハーレム的になった。
あと、可愛いエロいサマ・エルを回収すればとりあえずメンバー全員だし、ガルバ=エルについても密かに楽しみにしている。
ひひひ
ちょーっと楽しくなってきたなぁ。




