#5 最強
オサムはアレシャルの塔へやってきた。グリフォンで半時間もかからない。
甲冑は昔のビーツの最後で最高の作品、背中の剣もこれ以上の物は作れないと言われた逸品グランダカス。そして腰にもデアビルグンド。オサムのみが扱える装備である。
そして、全大陸で最も神聖な色とされている漆黒に染められていた。
「さてと、遊ぶか」
ダンジョンに入るとやはり誰も居ない。昔から最強の塔の一つであり、王国に各地のダンジョンが集められた今ではほぼ誰も来ない。
まずはゴブリンナイト、そしてレイス、ハーピーと順に強くなっていくが、オサムは一閃でスキルも使わず斬っていった。
ゆっくりと降りたつもりだが、3時間で傷一つ負わずに最下層のグレートドラゴンまで倒しきった。
そして最下層で地下1階層から100階層までの倒したモンスターの晶石を全てばら撒き、リジェネレートを待った。
ボスクラスのモンスターが70匹一斉に現れるはずだ。
暫く待つと晶石が輝きだし、少々の時間差はあるもののモンスターが現れだした。
「さて、パーティーの時間だな」
剣を構え「ディフェンスオブゴッド。エクスプルマジックバリア。グレートウォールオブレジストファイア、アンチショットウェポン。チャージストレングスマキシマイズ。ブレスダメージコントロール。ベリアリックディバンド。フレイムスパーク。フレイムキャノン。フレイムナパーム。マキシマムサンダーブレイク。グランアタックオブエレキマクス、ドラゴニックバンドラ。ウィンドオブマックスストーム。バクムブレイド。マキシマイズアイスランス。グレートアーススパイク」
体と力を強化し、神聖属性以外の全ての最強呪文を剣に乗せて身構え、周囲のモンスターめがけて
「アイガスバーンクラフト。オーディナルブラスト。アースクラッシュ。エクスターミネーション。デュランドスラッシュ。エクススラッシュ!」
地水火風の魔法とインペリアルセイヴァーの最強スキルを全て一閃で使い切った。
嵐が吹き荒れ、氷の剣が飛び、業火が焼き尽くし、雷鳴が響き渡った。そして防御不能の剣戟は容赦なくモンスターを切り裂いた。
たった一撃。それで勝負はついた。グレートドラゴンでさえ反撃する暇もなく一瞬で消滅した。
「よし、まあまあだな」オサムは散らばった晶石を腰のバッグに入れていった。
壁に凭れて座り。「あーもう・・・あれだけのモンスターを相手にしても一瞬かよ、つまんねー」
最強の防具と最強の武器を持つ最強のマジックナイト。それがこんなに退屈なものだとは考えていなかった。
しかし、今はワルツという少年の成長に興味がある。モンスターと遊ぶのは一旦辞めてそちらで楽しむことにした。
「2~3日留守にすると言ったよな俺。じゃあ塔と大規模、中規模ダンジョンをクリアしとくか」
簡単に言ってのけたが、中規模ダンジョンはレベルの高いパーティーがかなりの数入っている。
漆黒の装備は禁忌に近く、星帝とその近衛騎士のみが着用を許されたものだといつからか決まってしまっていた。そのため通常の色の甲冑と剣に装備替えする必要がある。
オサムは塔を出て人気の無い場所でグレートドラゴンを呼び、その首から下がるマジックボックスから通常色の装備一式を取り出した。
これらも伝説の鍛冶師ガストル・ビーツの遺作でとてつもない防御力と攻撃力を持つ。ビーツの晩年に作り出された帝国の最秘宝の内の一つであり、やはりオサム以外には使用できないGods専用の武装である。
最小限の動作、最速の動きでダンジョンや塔を攻略していった。
そして中規模ダンジョンのテルメ荒野のダンジョン。王国北東の大都市ポト・ローレンダーク、ここはクイードに与えられた城塞都市だったが今でもローレンダーク元爵家の者が領主となっている、その更に北東の迷宮である。
他と比較すると大きなものではないとは言え、その全14階層を足した広さは小国の王都に匹敵する。
1階層では多くのパーティーが戦っていた。
2階層になるとナイトやスペルマスター、ローグ等の2次職のパーティーが多い。
3階層、4階層と下っていき、このダンジョンの最下層14階層では見回った限り2チームが戦っているだけだ。
「さて、ここのボスはなんだったかな?ブラックドラゴンだったか。とりあえずちゃっちゃと片付けよう」
向かってくるモンスターもここまで来るとオーガナイトやリザードナイト、ケンタウロスなどボスクラスの敵が多い。6人以上のバランスの取れた2次職パーティーでないと厳しいだろう。
しかしオサムにとっては剣を振るうだけで切り裂ける簡単な敵である。魔法を使う必要もない。
歩きながら奥へ奥へと向かうだけだ。
「ここかな?あ、居た。ここだね」
オサムが目にしたのはブラックドラゴンではなくブルードラゴンだった。ドラゴン種の中でも下から4番目の強さでしか無い。
「誰も見てないな?」周りを見回して
「ソードエクスキューション!」1撃で真っ二つに叩き切った。
晶石を拾い「さて、これで終わりか?他に行っていないのはディメンショナル系の小規模ダンジョンだけだな」
オサムは帰ることにした
「えーと帰還アイテムは・・・」マジックバッグの中を探って小さな木の棒を出した。その棒には魔法の印が刻まれている。
パキっと折ると一瞬でダンジョンの入口、地上へ戻れた。
「やっぱ便利だよなあこれ。何かの魔法に組み入れとくかな?」
オサムは新しい魔法具をクライアンの継嗣と開発しては使っていた。また、新しい魔法も作り出している。
「この前作ったスーパーノヴァは星が滅ぶから使う機会はないけど、つーかあれってバルス以上だよな。あれはダメだけどこれは良いなあ、転移魔法か・・・ワイザーに組み入れてみよっと、レベルはそうだな・・・20くらいが妥当か」
以前色々な魔法を組み合わせて作ったスーパーノヴァという試作魔法は大陸が消し飛ぶほどの威力があるとわかったので、マジシャンの人類到達可能な最高位であるプロミネントオブスペルマスターの更に上位であるグラガン、更に上位の絶対到達不可能なエンペラーマジューズですら使えないGods専用の魔法に組み入れた。
この様に新しい魔法やスキルをオサムがどんどん加えていくので冒険者だけではなく文明的にもかなり発達していっている。
例えば瞬間転移魔法であるリモートポータルはワイザーの呪文で魔法レベル50に組み入れた。
魔法レベル50というとエンペラーマジューズ、剣士でいうインペリアルセイヴァーのレベル200に匹敵する強さなので使える者はオサムやリムルと、天空宮殿のハイヒューマンや魔人族最上位10名を合わせて12人のみである。
簡単に言うなら、ヒールやファイアボールなどはマジシャンレベル1でレベル1の魔法が行使出来るが、徐々にレベルが上がりレベル20のヒール、ファイアボールが使えるようになるにはプロミネントオブスペルマスターのレベル99が必要となる。
その辺りの加減はオサムがじっくりと考えた上で特殊呪文として新しく公開される。要は勝手に魔法を作り、皆が使えるようにしてしまうのである。神にしか出来ない所業だった。
「やっぱ俺って強すぎるよなあ。魔王とかエンシェントドラゴンとか作ってみようかな?あ、魔界はあったんだったなあ、俺が支配下に置いちゃったから実質俺が魔王だな」
以前、サタン、ルシフェル、ベルゼブブを倒して魔界を征服したのを思い出した。
「けど行き方が面倒だし、ほっといていいな」
やはり適当さは100年以上生きても治っていなかった。
「さてと、宿に戻るか」
オサムはまたアズになるためにグリフォンで王都に戻ることにした。